2008年8月18日月曜日

白馬の騎士は誰なのか?

南オセチア分離派を支援することを口実にグルジア全土に進軍を試みたロシア。グルジアの自決が侵されているとしてロシアと対峙する米国。その米国とロシアの間に入り調整役を買って出るフランス。もう一丁、ドイツも「参戦」?一体、誰が白馬の騎士なのでしょうか?

水戸黄門に代表される時代劇は勧善懲悪が基本。しかし本物の歴史まで勧善懲悪で説明しようと試みるのは勝てば官軍式のプロパガンダ以外の何者でもありません。

フランス革命が成立し断頭台の露と消えたマリーアントワネット。「パンが無ければケーキがあるじゃないの」という宛ら空気を読めない発言を流布することで新興市民勢力はブルボン家を悪者に仕立て上げました。しかし死人に口無し。そんな発言を聞いた執事が革命軍に内部告発したって、ちょっと無理がありませんか?

中学校時代、古代史が大好きで話は面白いが教科書が全然進まず同級生をやきもきさせていた歴史の先生、いよいよ19世紀帝国主義の時代に入るかと思いきや「アフリカや中南米の植民地化の事実を知ると諸君は西欧列強すべてを嫌いになるだろう。ここから先は勉強しないほうが良い。一気に飛ばします」とご発言。結構ウケました(苦)。

植民地化や奴隷貿易という人倫に悖る行為が何故競って進められたか。いち早く太陽の沈まぬ国となったイギリスが、列強他国も真似しようとしたとき、それは世界倫理に照らしやり過ぎですよと掌を裏返し国際世論に訴えます。イギリスが紳士の国であるからでは決してなく、物質的に豊かになるために、自分達がやらなくても他がやる、それなら先にやろうという競争主義ストレスが根源にある。この理解こそ歴史教育が果たさなければならない最重要命題ではないでしょうか?

複雑なグルジア情勢を、はたまた思春期の頃まではもしかすると理想主義に燃えていたかも知れないスターリンやプーチンも結局は粛清に訴える人間の性を、読み解く鍵はそこにあるのではないでしょうか?

ところが、歴史教育がひたすら暗記物を続けている間にインターネットが急速に発達してしまいました。その御蔭で、イラク介入やソマリア介入の動機が「非民主的政権によって蹂躙されている民衆を救済するために“紳士の国”アメリカが立ち上がってくれた」などというプロパガンダを信じる人は誰もいなくなりました。

●グルジア紛争に対峙、西側は一枚岩に?(8/17FT)
●ロシア、本日にも停戦合意に基づきグルジアから撤兵?(8/17WSJ)
一枚岩は無理でしょう。ヤルタ会談も一枚岩から程遠い、欲のぶつかり合いだったと。
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