2009年1月6日火曜日

天然ガスと集団的自衛権

●ウクライナに対するロシアの天然ガス供給制限に対し、EUは中立を保つ(1/5IHT)
ロシアとウクライナの間の天然ガス価格に関する条件闘争は3年前にも起きていた。前回はウクライナ側を支援したEUだが、今回は仲裁役を務めず中立を決め込む、とインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙。

EU圏は、そのガス需要の25%をロシアに依存しており、更にそのうちの80%がウクライナ経由。月曜日ロシアが通告した更なるウクライナへの締め付けはヨーロッパを打撃する。特に、ブルガリア、ルーマニア、チェコ、ハンガリーは直ちに緊急事態に陥るとの報道も。

それでも、今回は、

★ロシアはエネルギー価格の暴落に直面していること

★ウクライナは経済危機に直面しており、ロシアが要求しているガス価格を支払うとなると、IMFが合意した経済援助資金(約160億㌦)相当分が一挙に枯渇すること

紛争当事者双方に弱みがある点が、2006年の同様の紛争と異なる点だと指摘。

昨日発売の「週刊ダイヤモンド」。長期連載中の櫻井よしこさんのコラムのなかで外相・陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交はいかなる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」を取り上げています。櫻井氏は「日本が、米中合同管理体制への従属を避ける道はたったひとつ。外交と軍事は一体であることを認識し、自衛隊を国軍とすること」と説きます。

その先、一足飛びに「集団的自衛権の行使を可能にする」ということに結びつける。または万能の切り札としての集団的自衛権が先ずありき、という議論をするから、非現実的な抵抗に遭うのだというのが個人的感想ですが。自衛隊はソープランドと同じだ、違憲だが合法だ、という解釈改憲の泥沼からはそろそろ卒業しなければならないのは事実。しかし、自衛権と集団的自衛権の差は著しく、そこに歯止めを掛けて、大国の論理で自衛隊派遣について日本国独自の裁量を奪われるようなことがあっては絶対にならない。余計なおせっかいであったイラク介入で力尽きた米国が、もはやイスラエル対ハマスに実効的な介入が出来ない状況に陥る中、前掲の天然ガス紛争。世界が多極化すると思われる中、与野党論客には大国の利益代表ではない立場で議論をしてほしいものです。

陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交」。「兵力」と並べて、エネルギーなど天然資源も加えておくべきと、前掲のインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙は物語っているようです。
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