2009年2月20日金曜日

ダウ終値6年ぶり安値

★国有化懸念で銀行株下落(2/19WSJほか)

バンカメとシティはそれぞれ14%下落。

当ブログで時々ご登場いただいているグリーンスパン前FRB議長。頑固で“ぶれない”レッセフェール(市場放任主義者)を一転翻し、米銀大手は国営化が必要と、昨日FTとの独占インタヴューで答えていました。

「グリーンスパンさん、結局あなたが間違っていたんじゃないか?」と批判するのは簡単。リスクを覚悟のうえでレバレッジを効かし、実力以上のキャリー益を楽しんできた投資家を血税で救う道理はない。しかし、為すが儘にし過ぎることによって、リスクを回避し続けるべく銀行預金でしか運用してこなかった(キャリー益を楽しんで来なかった)庶民まで取り付け騒ぎに巻き込ませるのは行き過ぎだ。

無リスク金利の運用者と決済インフラだけは傷つけてはいけないという一線を確保する考え方は、正しい。

ところで、上記「レバレッジを効かし、実力以上の“キャリー益”を楽しんできた」のは投資家だけではなく、所得水準以上の住宅に住むために住宅ローンを借りまくった多くの米国民も含まれます。オバマ大統領が住宅差押回避のために2750億㌦の予算を通したのは、モラルハザードのばら撒き政策に他なりません。

人気のオバマ大統領がやると、大胆でスピーディという褒め言葉が付く。同様の政策でも、人気が地に落ちた麻生内閣では何をやっても評価されない。世論による集団暴行で予算が通らない、単純なばら撒き政策も出来ない構図は、少なくとも期末までに解消される筈はなく、恐らくは来年度前半は続くでしょう。ばら撒き政策を成立させることができないにもかかわらず、自らの醜態を晒すことで政権に留めをさし円安を導いた中川前閣僚は最後にgood jobをしたことになります。

一方、今朝のFTのトップの記事は、
★日銀、社債を1兆円購入へ(2/19FT)
会見の最中に、目の前に手を延ばされミネラルウォーターを持って行かれようが、日銀の独立性は確保されているのです。

埃を被ったマクロ経済学の教科書程度の知識に基づいて、上げ潮派と下げ潮派が「財政政策か?金融政策か?」と責任を押し付けあう内輪喧嘩は、中央銀行が国債以外の資産に手を出し始めた時点で相当程度無意味になることをもう一度強調したい。

一例を挙げますと、結局は道路や上下水道の工事や整備をすることが波及効果が大きいという判断を政治が下したとしましょう。その予算が通らなくても、道路公団と公営公庫の財投機関債(≒社債)を日銀が引き受ければ効果は同じです。
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