2011年2月11日金曜日

アセットクラスとキャリア形成

アセットクラスとは、同じような値動き(リスク⇔リターン)をもたらす金融資産(アセット)のグループというか範疇(カテゴリー)というか階級(クラス)のことで、具体的には、現預金を究極とする短期金融資産から債券、株式、不動産、商品(先物)・・・更には、「クラス」というニュアンスには違和感を感じますが、外国為替(FX)、貸出債権(ローン)を指すこともあり、外国為替では主要通貨(ドル、ユーロ、、、)と新興国通貨(南アランド、ブラジルレアル、、、)を「クラス」分けしたり、ローンについても正常債権と不良債権、またはシニアローン、メザニン、・・・、コーポレートローンとノンリコースローンなどとやはり同じく「クラス」分けされることもあります。

昨日、わたしがアレンジしたふたつの打ち合わせで、いずれも途中出口の見えない議論に陥り、締めくくりのキーワードとなってくれたのが「アセットクラス」でした。

打ち合わせ(その壱)は、有名銀行のローン売却責任者とハゲタカファンドの社長と超有名投信委託会社の金(ゴールド)担当者が参加。

銀行側は「ローンを売って行きたいので人材を紹介して欲しい」と。一方のファンド側は「小泉=竹中時代と異なり美味しい不良債権が出て来ず、市場が干上がっている」と嘆きます。

高く売り抜けたい銀行と、安く買いたたきたいファンドと、立場の異なるどちらにとってもパッとしない今日の日本について「やはり無理矢理でも良いからミニバブルを起こさないと」「税金や社会保障費が高過ぎて政治は一体何をしているのか」と何故か意気投合。

投信委託会社の運用担当者も、投資信託の業界そのものが実は存亡の危機にあるとの思いから、急遽打ち合わせに参加してくれたのですが、利益が相反するふたりの話を聞いていて「何処か一箇所突破口が見つかれば、すべてがグルッと動くような気がしてならないのですが・・・」とわたしに囁きました。

政治批判はわたしもしょっちゅうやりますが、政治のせいで儲からない分野もあれば逆もある筈。経済学的に言えば、市場も失敗するが、政府も失敗しますから、経済活動の結果として評価される各「アセット」の値段を歪(いびつ)にさせる点では、市場と政治は、目糞鼻糞だと思います。そして、汗水垂らして働くよりも小賢しく稼ぎたいという連中が集まる金融業界に、役割らしい役割があるとすれば、その歪(いびつ)な評価を是正すること(アービトラージ)に尽きます。

このブログの読者の皆さんの多くが賛同してくださると思われる観察結果が、日本人の特徴=「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」またその裏返しとして「青信号 みんなが立ち止まっていると 怖くてひとりでは渡れない」(こちらは超字余りですが・・・)、、、です。

この結果、現在の例でいけば、住宅ローンの評価は高過ぎる(銀行の審査が甘すぎる)、外国為替(FX)証拠金取引のキャンペーン単価が高過ぎる(取引所FXの手数料が安過ぎる)などなど、少々考えれば馬鹿馬鹿しいと思われるプライシングが横行しているのに、大手金融機関の役職員が「わかっちゃいるけど やめられない」という理由だけで破綻するまで続けてしまっているというのが、まだまだ沢山観察されます。

取引所FXのキャンペーンに関しては、大手金融機関、、、、例えば我がフェニックス証券のまん前に本店を構え、我が社の何倍もの月坪家賃と何万倍もの広告宣伝費を浪費している証券会社など、、、は、誰がどう考えても今後何世紀掛ってもキャンペーン費用を収益で取り返せるという計算が成り立たないと思われるのです。

そのような業界から潔く撤退し、全く異なるアセットクラスで事業展開するというプレーヤーがもっともっと登場しても、本来であれば可笑しくありません。

そういう業態転換が滅多に起こらないのは、大手金融機関の企業戦略や人事戦略が馬鹿馬鹿しいほど硬直的であることが大きな要因ですが、従業員側もまた、自分が事実上の徒弟制度のもとで長年嫌な思いまでして学びとり業界内なり社内なりで気持ち良く仕事が出来るまで人脈を作り上げてきたものをゼロリセットすることが嫌だということで、結果、金融分野以外の勤労者から見ると違和感があるほど範囲の狭いアセットクラスに安住しようという思いの人が圧倒的に多いこともまた一つの大きな要因だと思います。

確かに欧米の大手金融機関にもアセットクラスごとに専門化したチームが横並びになっては居ますが、グローバルには当然のように存在し、或る意味最重要な金融機能とも言えるアセットアロケーション、例えば日本株を減らしてアジアに投資をするという意思決定機能が日本の金融界にはありません。言いかえれば、マクロベット型のヘッジファンドが日本には存在しないのです。そのような機能を担えるスーパー金融マンがもし育っていたとしたら、恐らく大手銀行の取締役人事部長のようなポストに就いてしまっていたかも知れない、それが我が国の金融業界側のキャリア形成の欠陥であると思っています。

何だか随分偉そうな言い方をつづけましたが、フェニックス証券もごたぶんにもれず、昨年6月からは月間で赤字に陥り、わたしにとっても、収益面での苦労は5年振りにのしかかって来ました。が、半年で収支をトントンに回復させました。これは、フェニックス証券が非常に小ぶりの金融機関で、アセットクラスの見直し、それに必要な人事戦略の実行を、非常にスピーディーに行なっていることが最大の理由だと思います。

アセットクラスの見直し、更には業態の見直しにもつながりますが、これはまだ道半ば。2011年は、ますます明るく変わって行けそうな予感でいっぱいです。

打ち合わせ(その弐)を忘れていました。これは夜に行なわれた役職員の会。場所を提供して下さった
兜町のイタリア&中華 ベリー、そして飲み物を提供して下さった同じく兜町のブッキンに感謝、感謝。
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