2016年3月2日水曜日

【特別寄稿】ロンドン市場を牛耳った男がこっそり語る!?EU離脱のホンネとタテマエ

こんにちは。Win-invest Japan杉田勝です。

きょうは、アヴァトレード・ジャパンの丹羽さんから、イギリスのEU離脱問題について書いてくれと頼まれた。七転び八起きブログの読者のみなさんも気分転換のつもりでお付き合いください。

一匹狼でヘッジファンドのマネージャーをやっていたのがイギリス時代です。わたくし個人の力量と責任で現地のファンドから資産を預かって運用指示をしてその成績だけを頼りに報酬をもらっていた時代です。成績が良ければ報酬もいただけて、ファンドの資産も成長します。逆にいくと報酬ももらえない、資産も減る、出金も増えるという、ジリ貧の連鎖になります。

いまも助言の仕事にたずさわっていますが、当時は外国ということもあって、また食うか食われるかという環境だったので、いまよりも緊張を強いられていたかも知れません。

しかし、イギリスは金融こそメジャーリーグ、いやプレミアリーグという感じですけど、それ以外はのんびりしているんです。電車が1分遅れただけで車掌さんが「まことに申し訳ございません」と繰り返す東洋の島国とは大きく違います。あちらの島国は、10分、20分遅れは当たり前、そのうえ運行取りやめになってもお詫びなんて一切なく、運転中止が決まっても、待ちくたびれていたはずのホームのお客さんは不平不満なくその場を立ち去って行きます。

イギリスは一事が万事こんなです。電車だけじゃないんです。普通は古いアパートにしか住めないので、壁やら床やら配管やら、あちらこちらに不具合が出ます。それを直すのに職人さんを頼んでも時間どおり来てくれないのです。すっぽかしもあります。

まあ、電車が止まっていたからかも知れませんが・・・

しかし、、、、、、

東ヨーロッパから出稼ぎに来ている労働者や職人さんたちは、良く働くのです。日本人なみに時間にも正確で、てきぱき仕事をこなします。仕上がりもバツグンです。

これは、ポンドとユーロという通貨の違いこそあれ、東ヨーロッパ(わたくしがお世話になった配管工はポーランド人でした(^^ゞ)もイギリスもEUという枠組みで、ある程度(※)統合化されているからなのです。

でも、これって貿易摩擦とちょっと似てますよね?「安くて良く働く移民のせいで仕事を奪われた」と不満タラタラのアングロサクソン労働者がいっぱい居るわけです。

グローバル化の行き過ぎ(?)で失業したり生活水準が切り下がったりした先進国の国民からの得票を狙おうとう政治家が出てきます。イギリスでBREXIT旋風をいま巻き起こしているのは、なんと政権与党である保守党出身のロンドン市長であるボリス・ジョンソンなのです。野党は、労働党も、スコットランド国民党もEU残留を主張していますから、保守党党首で首相のデーヴィッド・キャメロンは、板挟みのなか、EU改革と国民投票を取り付けているということになります。


いままさにアメリカではスーパーチューズデイで、台風の目どころでないドナルド・トランプはいわずもがな、民主党はヒラリー・クリントンもバーニー・サンダースも、似たり寄ったりの内向きな政策を繰り返すようになりました。

もう、誰が米国大統領になっても、米国はTPPに参加しない、、、まるで第一次世界大戦後の国際連盟みたいに、枠組みを作っただけで自国は入らないという可笑しなことになりそうです。

イギリスの話に戻ると、イギリスはEUに入っていることで、EU政府に毎日(毎年じゃないですよ)55百万ユーロもの経費を支払わなくてはならないのです。これはもちろん、ドイツやフランスも払っているのですが、こうした経費が、南欧諸国など貧しい国々に移転されていると考えられていることなどから、国民の多くがEU残留反対という声を上げているらしいです。

「だから、、、、イギリスポンドはどうなるの???」あー、そうでした。わたくし杉田は、ポピュリズムによってEU離脱、つまりBREXITが決まる可能性濃厚と見ています。ただし、6月までの間に、EU改革での駆け引きやら、デーヴィッド・キャメロンとボリス・ジョンソンの妥協やら、いろいろな進展でポンド相場は振り回されるでしょう。《EU離脱が遠のくニュースで戻り売り》これを繰り返すのが手だと思っています。
(win-invest Japan取締役会長 杉田勝)