2017年4月4日火曜日

ドナルド・トランプと習近平の対決は単純な貿易摩擦ではない

以下はUSDCNY(米ドル/人民元)週足のローソク足です。




トランプ新大統領の経済運営については、
    レーガン大統領のそれを彷彿とさせるところはあるが、保護貿易とか公共投資など、共和党らしくない政策と、再軍備などやはり鷹派的なところを併せ持つハイブリッド型(俗に「はちゃめちゃ」「前代未聞」「未来予想不能」など)であること
    レーガン大統領との共通点を強調するならば、小さな政府を理想に掲げた割には、前代未聞の所得税減税と軍事費増大で同氏が忌み嫌ったケインズ政策を結果として実現してしまいそれが好況をもたらした。ドル高を旗印にしたレーガン大統領は、自民党政権と当時の大蔵省に媒介させることで、当時最大の貿易(赤字)相手であった日本の銀行や生損保に無理矢理米国債を押し売りした。ドル高はプラザ合意で外された梯子だった。
    レーガン大統領のドル高政策とプラザ合意という日本(=貿易黒字国=資本輸出国)梯子外しというシナリオは、現在のトランプ政権下においては、まったくは当てはまらない。なぜなら最大の貿易相手であり米国債購入者が中国へと変化しているから
    日本はペリー来航以来、戦争、原発、TPPと梯子を外されまくりだが、同じことは中国のような大国かつ核保有国には通用しないだろう。

いよいよ今週、トランプVS習会談となり、貿易摩擦、為替操作、北朝鮮指導で強硬な姿勢を取ると例によって呟いている状態です。

人民元。社会主義国らしく凝り固まっている時期と激しく上昇トレンド下降トレンドを繰り返す難解な通貨です。先程MT4のチャートで表した週足は、下記の1982年から(天安門事件前)の超長期チャートでいうと長方形で囲った部分に過ぎません。



それぞれの節目で何があったのか考えると何時間あっても飽きがきません。レーガン時代の貿易大国日本とトランプ時代の貿易大国中国では大違いです。核を持つ国連安保理常任理事国か核を持てない非常任理事国がやっとこさの国かということではありません。普通、常識的には、貿易不均衡は資本取引によってファイナンスされますが、日本の場合は、貿易黒字で溜め込んだ外貨準備で米国債を買わされていたわけです。

現在の中国は、一見似てますが、トランプが苦言を呈するように、貿易大国という地位を固めるために、為替操作を続けるために、敢えて米国債を買い込むというのは、最初のMT4のチャートの人民元高ドル安の谷底(2014年初頭)までの説明に過ぎず、そこからは貿易黒字は減りつつも季節要因以外では赤字になったりはしていないにもかかわらず、恐るべきペースで外貨準備高が減っているという日本ではかつて無かった人民元からの(言い換えれば国家または銀行システムからの)逃避が加速している。。。

繰り返すと、貿易黒字はペースダウンしつつも赤字に陥っているわけではない(下のグラフ)。



にもかかわらず、外貨準備高は異常な勢いで減少している(下のグラフ)。



何が言いたいのか?上海に住む友人によると、もともと「投資」が好きな中国人の間でもFXが未曾有の人気となっていて、みんな人民元が紙くずになるまえに逃げ出したい。アメリカも酷い国で米ドルも紙くず度合いは似たものかも知れないけど、直感的に人民元よりはましだと異口同音に語るそうです。もともと厳しかった外貨持ち出し制限や交換制限は更に厳しくなっていて、こういう規制強化があればあるほど余計心配になるという悪循環なのだそうです。

フロリダでどんな会話がなされるのでしょうか???北朝鮮問題は措くとして、トランプ氏が為替操作いい加減にしろと言われたら習近平氏は中国全土に人民元を投げ売りして米ドルを買い漁らないよう規制強化している、やるべきことはやっている、言われなくてもこっちは国家存亡の危機で大変なのだ、って言い訳をするでしょうか。

トランプ大統領の御用新聞になったと言われるウォール・ストリート・ジャーナルですら、ここのところ連日、中国の金融システムの腐食、資本逃避、外貨規制強化をテーマに報道が続けられています。




仮想通貨(暗号通貨)をやっている皆さんが不換紙幣(フィアットマネー)とこき下ろす点で、人民元も米ドルも日本円もすべて紙くずと言えば紙くずなのでしょうが、何となく紙くず度合いでは、人民元>米ドル>日本円という感じがしてなりません。再来する中国ショックに備えた売り方買い方がドル円をやるときも大事です。