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2012年1月25日水曜日

ビッグマック指数の最新版

今月は英エコノミスト誌恒例のビッグマック指数が更新され発表されています。
http://www.economist.com/blogs/graphicdetail/2012/01/daily-chart-3
もともと何か特殊要因でハンバーガーの「相場」が割高だったブラジルは、欧州危機後のレアル暴落にもかかわらず、「平均値的通貨」であるドルや円に比べて依然極端な割高が続いていること、1ユーロ=1.2スイスフランまで無制限介入を約束して度肝を抜いたスイスもまだ、割高さトップの地位に君臨していることなど、様々なことが見えてきます。

2008年に、この「七転び八起き」ブログを始めたときに、同時にオンラインセミナーも始めており、当時からユーロの割高をしつこく指摘してきました。その論拠の一つが、購買力平価であり、その簡易版であるビックマック指数もプレゼンに活用させてもらいました。

オンラインセミナーのオンデマンドは期限か切れておりますが、より詳しい内容は、このブログの過去記事にもあります。一例がこちら

先々週ついに97円割れ寸前まで下落したユーロも、その後の一週間半で101円台まで急速に買い戻され、対ドルでも1.3台を回復しています。しかし、OECDの指摘(新興国への警告)の通りで、ユーロが最悪期を脱したと見ているひとは殆どいないでしょう。それだけ、円キャリー(またはドルキャリー)によるユーロバブル(またはポンドバブル)が常軌を逸していたわけであり、その治癒には相当の時間がかかるものと思われます。

その反面、デレバレッジ、金融機関の機能の低下が世界中に蔓延しそうな今日この頃、ハンバーガーの値段が極端に安い国の通貨はもっと見直されてもよいと思います。

ビッグマック指数は、他にも面白い切り口を提供してくれています。ずっと円高だったため、割安感もなくなってしまった日本(円)ですが、実は、最低賃金で買えるビッグマックの個数は世界一なのだそうです。何かと、生活保護の給付水準に比べて最低賃金が安すぎると議論されることが多い現在、日本の最低賃金の高さを目立たさせる事実になっています。ただ、ここで大変失礼ながら、マクドナルドのパートの皆さんの給与水準が法定ぎりぎりに近いと仮定すると(注:それでもマックのバイトが人気なのは、時間の柔軟性にあります。これ、重要)、高い最低賃金で作られる日本のハンバーガーが安いのは、効率性(労働者がテキパキしている。ひっきりなしにお客さんが来るので原材料のロス率が低い)の高さや、または諸外国比でビッグマックの大きさが小さい(日本が本当にそれに該当するかどうか知りませんが、オーストラリアのビッグマックはカナダのそれよりかなり小さいらしい)、材料をけちっている(本部のバイヤーの買い叩きが特に強烈であるとか、質を「選んでいる」とか)などなどの要因も考えられます。

ファーストフードのパート店員の給与水準が最低賃金レベルであるという事実が概ね世界共通であるという仮定から、エコノミスト誌自身も、実際の為替レートと、ビッグマック指数が乖離するのが、一人あたりGDPの違いによるところが大きい と分析しています。

この点、わたしが重要だと思うのは、「逆は必ずしも真ならず」であって、今日、ファーストフードのパート店員だけが最低賃金レベルではなくなってきており、製造業の現場では部品のモジュール化が、非製造業の「現場」ではIT化が、それぞれどんどん進み、これにグローバル化を掛け算すると、「われこそは最低賃金とは無縁の中流ホワイトカラーだ」と思い込んでいた中途半端な知性の人たちの雇用がどんどん失われていく傾向にあることです。ビッグマック指数が平均以上の国の「中間層」のひとたちは注意が必要です(この議論には、貿易黒字国・貯蓄超過国の海外からの配当利子などの所得が一人あたりGDPや実際の為替に与える影響について含めておりません)。

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2009年10月29日木曜日

ロシア、金の大量売却予定?

アニシモワ=タマラさんの本日のコメントです。詳しくは、フェニックス証券ホームページへ。
http://phxs.jp/

市場関係者は先週に伝わった「ロシア財務省がソ連の崩壊以来の金の大量売却を計画している」との報道に注目し続けている。ザ・タイムズ紙は27日、「準備の段階で情報がマスコミに漏れため、ロシア政府は取り引きを断念せざるを得なくなるだろう」との見解を示したが、ロシアのクドリン財相は28日、「この計画を検討している。詳細は近日、発表する予定だ」と述べ、先週に出回った報道を否定しなかった。市場関係者によると、売却が予定されている金の量は世界の年間需要の0.5%-1.25%に相当するようだ。また、「今回の計画が実施されれば、金の価格が急落する展開は考え難いものの、金相場への影響が出る可能性がある」と指摘する市場関係者もいる。

金利を上げるという国もあれば、金を売るという国もあり、新興国セクターは波乱万丈です。ふつうのメディアからは判らないエマージング情報を是非フェニックス証券のホームページから御入手ください。
http://phxs.jp/
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2009年10月15日木曜日

老眼鏡がたった100円

週末、ホッチキスの芯を買いに100円ショップに行きまして、以前から必要だった老眼鏡を衝動買い。その性能と安さに驚きました。その店が仮に「100円ショップ」という看板を掲げておらず、1000円の値札であったとしても七転び八起きは迷うことなく買っていたと思います(この場合の、1000円と100円の差900円は一消費者にとっての「消費者余剰」であると経済学では呼ばれます)。

昨日、NHKの長寿番組「クローズアップ現代」でコンビニの苦境が報じられておりました。FC本部の営利追求の結果、コンビニチェーンは飽和状態に達する(1店舗当たりの商圏人口が3000人程度という限界点にまで低下している)ほど店舗数が増えてしまい、同系列のコンビニ同士の食い合い(カニバリゼーション)も顕著になってきています。そこで、われわれの記憶に新しい「セブンイレブンの弁当値引きに関するFC本部の抑制(規制)に対する公正取引委員会による『排除命令』」。皮肉なことに公取委の介入はフランチャイジー(コンビニ店主たち側)の要望や利害を代表した結果であるにもかわららず、FC本部(フランチャイザー)の言い分通り、既に食い合いが始まっている同一商圏の同系列コンビニ同士の足の引っ張り合いをより酷くさせ、フランチャイジーの利益もフランチャイザーの利益も共に激減するという“両者リングアウト負け”状態に至らしめました。

この結果として、富は劇的に再配分され、昨今特に低賃金に喘ぐ倹約好きな消費者たちに多大な「消費者余剰」がもたらされているのです。

自称ケインズ信奉者の経済学者はマクロ経済学と称してこの現象をデフレスパイラルと呼び、デフレ≒景気低迷(景気悪化)という常識を庶民に植えつけてきました。与野党を問わず政治家の多くも右に同じ(“左に同じ”と言うべきか)でしょう。

しかし、赤字国債を乱発し国家予算を膨張させたところで、100円ショップの老眼鏡が1000円以上に戻るでしょうか?コンビニ弁当が百貨店のデパ地下並みの値段を維持出来るでしょうか?ダイエーが「価格破壊」という流行語を産み出したのは90年代前半でした。100円ショップやユニクロ、しまむら、そして今コンビニ競争と、デフレ“スパイラル”が止まらないのは、我が国が20年もかかって未だに政府や日銀がデフレ対策の有効打突を決めていないからではなく、余りにも競争がなかった状況から、競争が導入されて(これでもまだ)間もないからという視点も必要です。

日本=デフレ(スパイラル)=不景気低成長はコンセンサスです。七転び八起きの言説は少数意見です。ですから、高成長=高金利(高インフレ)=新興国投資は正しい、いずれは円安だ、という意見に人気が出ます。物価上昇率や購買力平価の算定は完璧に客観的に行うのは不可能ですが、多くの証券会社が外貨投資をそそのかしている新興国の多くが、名目の高金利からインフレ率を差っ引いた実質金利はゼロ近傍であることは無視できません。かたや、日本では、お弁当の値段をはじめ衣食住すべてにおいて、とくにインターネットを通じた私的なコミュニケーションから商取引まで、またその土台となるハードウェアや通信回線に関するコストを考えても、当局が出す統計より遥かに実質的な価格破壊を実感出来ています。実質デフレの年率は、とある有名な海外メディアの算定では5%から10%だそうです。消費財バスケットは世帯それぞれで人生いろいろですが、納得される読者の皆さまも少なくないのではないでしょうか?

もしそうだとすれば、銀行の普通預金は金利ゼロのようで、実は実質年5%~10%で運用出来ているのです。日本の銀行が儲からない理由はここにもあります。少々論理は飛躍していますが、適度な規制で潤ってきたリアルの産業が、インターネット分野から競争を挑まれた結果、デフレが起きると、既存産業を支えてきた商業銀行は行き場をなくすという現象は、日本だけでなく米国でも起こっていることが昨今証明されています。

以上の天邪鬼な分析は為替にも示唆を与えるものです。新興国通貨、例えば南アフリカランドを売りから入る人は殆どいないでしょう。多くのリテール証券会社が、南アフリカランド建ての“ぼったくり”外国債券を必死に不招請勧誘しているようです。名目のキャリー損失が精神衛生上嫌なので判っていてもなかなかできないことですが、実質金利が低い通貨【南アランド】を(調達して)売り、実質金利が高い通貨【日本円】を買って(運用する)、この投資戦略に一理あることはいずれ実証されることになるでしょう。

名目金利が高い通貨を売る。これが出来るのもFXの魅力です。“ぼったくり”外国債券で過去何世代にもわたって大量損失のばら撒きがリテール証券会社によって繰り返されてきました。その仕返しが出来るのはFXを通じてしかありません。
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2009年10月7日水曜日

「子ども手当をばら撒きというひとはマクロ経済がわかってない」

この藤井裕久財務大臣の発言に対して2ちゃんねるではお祭り騒ぎになっているようです。
http://tsushima.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1254871259/
http://www.mof.go.jp/kaiken/kaiken_my20091006.htm
そもそもマクロ経済の実態というのは経済学を勉強しさえすれば把握できるような性質のものなのかどうか七転び八起きには疑問。「子どもは親(の所得水準、生まれ育った地域が都会か田舎かなど)を選べない以上、憲法も保証している教育の機会均等、なによりも子どもにとっての将来の夢に向けての公正な競争は、財源問題よりも遥かに高い次元で実現を目指さなければならない」ただその一言で良いのではないでしょうか。

これは週末のNHKスペシャルを視ての感想。「格差の是正が課題であり、格差の原因は、『非正規労働者』の増大であり、またそれは日本が『市場原理主義』を受け入れてきたからだから、『グローバル資本主義』は遮断しなければならない」という目下人気の議論と連動しがちではありますが、大衆迎合の政治上のテクニックを別とすれば、これらの議論こそ遮断すべきでしょう。

競争の行きつく先が戦争であるとも或る意味言えるので、競争は激し過ぎても緩すぎても社会は綻びます。(人類を除く?)生態系は生存競争の結果としての進化(論)を受け入れているというのは定説。しかし原則に対する例外の存在があるから小選挙区制度のようにWinner takes all(独り勝ち)とはなりません。海を泳ぐ魚にとって動物プランクトンが増殖するのは短視眼的には喜ばしいように見えますが、“赤潮”は植物プランクトンを全滅させるので結局巡り巡って魚の餌がなくなってしまうからです。

NHKスペシャルを視たあと、同じくNHKで「ほっけ(𩸽)柱」の話をしていました。海を泳ぐ魚にとって、“浮き袋”が発達していることは自由に色々な深さのところを泳いで餌を探すことができるわけで競争上有利に違いありません。ほっけ(𩸽)にはこの“浮き袋”が殆どないことを解剖で示していました。一年の半分は動物プランクトンの死骸が海底に沈むのを食べている一方、動物プランクトンが元気に海面近くで泳いでいる季節には、ほっけ(𩸽)は群れをなして、“浮き袋”がない分、他の種類の魚よりも断然一生懸命に尾びれを震わせ上昇を目指すのだそうです。この異例の推進力が(空気中の上昇気流が竜巻を生むのと同じ理屈で)渦潮を産み出す。これがほっけ(𩸽)柱であり、回りからどんどんとプランクトンを引き摺りこむので効率的に餌にありつけるというわけです。ほっけ(𩸽)柱が渦潮を伴うので、鴎など天敵も近寄りがたいようです。

これまたかつてNHKのラジオで聴いた話ですが、海底を這うことしか出来ないナマコには天敵が殆どいない(敢えて言えば中華料理好きの人類くらい)そうです。動きが鈍く逃げ足が遅いナマコの類が生き残っているのは、かぶりついたところで皮の部分が分厚い割には“身”が少ないので、わざわざ海底まで潜って捕獲しにいくには値しない獲物だというのが海の中の生き物の間でコンセンサスになっていること、動きがどうせ鈍いのでエネルギー消費量は少なくて済むため、海底の砂を食べてその中に僅かに含まれる栄養分だけを摂取するという非効率的でのんびりした食生活には競争相手がいないことが理由だそうです。

ナマコのような清貧の思想は、無資源国である日本が細く長く繁栄するために重要なヒントを含むような気がします。

競争上有利なものだけが生き残るという進化論が原則に過ぎないことを示す例は、
①有性生殖が絶対有利なのに無性生殖が残っている(前掲のプランクトンなど)こと、
②生存競争におけるモラルハザードを排除した結果が体内受精だとしても、体外受精の魚類は人類が幾ら進化論上遅れていると軽蔑したところで絶えるわけではなく、逆に絶滅してしまえば、巨大赤潮と一緒で、人類そのものまで巻き添えを食ってしまうこと、
③進化論上もっとも進化していると自画自賛の人類は、自然界を制覇しているように見えて、ウィルスとの戦いは半永久的に続きそうであること、
など枚挙に暇がありません。

(グローバル)競争が善か悪かという二項対立からは社会問題の是正への糸口は見えてこないでしょう。第一歩としては競争の結果責任は親の世代は或る程度負うのは仕方が無いにしても、子どもの世代には負わせないという哲学を浸透させることでしょう。

今朝のFT紙は、資源通貨の代表格豪ドルの(予想外の?)利上げ(=リーマンショック後、G10諸国では初)と金相場が(ドル建てで)記録的高値を更新し、世界経済の回復が軌道に乗りつつあると報道する一方、モルガンスタンレーのスティーヴン・ローチ氏の論稿「2008年から2009年にかけての世界的経済危機は国内および国家間のマクロ不均衡が原因。その不均衡が再び危険水域に近づいている」を同時に取り上げています。
http://www.ft.com/cms/s/0/5f02e83e-b2a3-11de-b7d2-00144feab49a.html
http://www.ft.com/cms/s/0/bee43992-b27b-11de-b7d2-00144feab49a.html
マクロ不均衡は人類における“赤潮”そのものでしょう。
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2009年6月19日金曜日

豪ドル/円のスプレッドが3銭から!?

店頭外国為替証拠金(FX)取引【フォレックス・ラインForex Line】の小口取引(主要通貨ペア1000通貨から)、取引所FX取引【大証FX】、そしてCFD【アクティブ・ゼロ・ネオActive Zero Neo】それぞれ開始と、7月以降目白押しのフェニックス証券から、、、

豪ドル/円のスプレッド 本日より3銭から!!

期間限定、ロンドン時間中心に、「大安売り」のお知らせです。
http://phxs.jp/

主要通貨ペア1000通貨単位から取引可能(最低証拠金額10,000円で、英ポンドやドル、ユーロの小口取引も、南アフリカ共和国ランドの大口取引も可能)となる来月7月に先駆けての「大バーゲン・セール」を当社店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】で開始します。

豪ドル/円を選んだ理由。資源通貨の代表格、豪ドルは原油価格や貴金属価格に強く相関しています。リーマン破綻後、ヘッジファンドや投資銀行は以前程はレバレッジを効かせられず、投機的だった資源相場も安定した値幅で振幅していることが観察されています。

一部投資銀行のエコノミストの極端な相場見通しとは裏腹に、原油価格は40㌦~70㌦あたりを安定的に行き来するとの見方が大勢。ここに来て、多くの個人投資家の皆様がFX取引に戻って来ておられるのは、「高過ぎたら売る。安すぎたら買う。」という“投資本能”が活かせる相場が復活したからだと私は見ています。

過度なレバレッジを懲らしめる効用は、確かにあるのです。

フェニックス証券は(お客様の注文を原則全てインターバックに直結させるビジネスモデルのFX会社としてはとしては)米ドル、ユーロのスプレッドは既に“最狭水準”。本日から、豪ドル/円を加えたのは、上記理由からです。
http://phxs.jp/

レバレッジ規制と全額完全信託規制に殆ど対応済みのフェニックス証券をこれからも応援して下さい。
(店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】に関する留意点はフェニックス証券のホームページをご覧ください)
http://phxs.jp/
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2008年10月21日火曜日

銀行による株式保有は禁止されるべきだ

●CITIC香港現地法人、為替投機で20億㌦穴を開ける(10/20FT)
CITIC(中国国際信託投資公司)は政府系巨大ノンバンクみたいなもの。その香港現法(上場企業)が米ドル売り+豪ドル買いのポジションで大ヤラレした。しかも巨額のポジションを持つことについてちゃんと稟議があがっていなかった。

内規や決裁権限は措くとして、マクロ分析で豪ドルが対米ドルで割安に映った気持ちは個人的には判らなくもない。レバレッジ過多に硬直的なロスカットルールではリスク管理の機能が果たされない。むしろ損失の思わぬ拡大に繋がる。この点、個人レベルでも巨大金融機関でも同じなんだと本件は示している。

こういう馬鹿な政府系金融機関があるお陰で、豪ドル/米ドルは史上稀に見る押し目買いbargain huntのチャンスを提供してくれているような気もします。

ところで昨夜の相場は、
●景気後退見通しで米ドルは前半の下落を補う(10/20FT)
米ドルと日本円は先週ボラティリティ急騰を味方につけ高値を享受してきた。しかし、スウェーデンと韓国の公的資金導入発表で、ドルと円は下落。

世間の大半は相変わらず単細胞。米ドルと日本円はキャリートレードの原資に過ぎず、リスク性向の度合いに反比例して上げ下げすると同紙は指摘。

本日一番取り上げたかったのは、
【番外編】自己資本規制比率見直し検討-銀行貸し渋りに金融庁が対策、含み損処理など焦点(10/21日経)
日本の銀行は海外の銀行に比べて株式の保有比率が高く、株価下落局面では規制自己資本下落が追い討ちを掛け貸し渋りの原因になる、というのが銀行界の言い分。

ちなみに、銀行保有株式(など有価証券)の含み益を規制自己資本に入れて欲しいとBIS(国際決済銀行、於バーゼル)に主張したのは日本。結果、認められたのが45%相当を補完的項目に入れること。逆に含み損については税効果勘案後を補完的項目から差し引かれるので現在の法人税率を前提とすると約60%相当と、プラスとマイナスで非対称的だと泣き言の理由になっている。

何故、バブルが繰り返されるか?何故、銀行破綻を招くほどの不良債権が発生するか?私の答えは変りません。銀行の数、銀行員の総人件費が高すぎるのです。R銀行を公的資金で救済して「失われた10年」に終止符が打たれたと巷間言われますが、わたしに言わせれば、R銀行1行分がこの国には余計だ。

銀行保有株式について言えば、銀行が融資先の「物言わぬ株主」という地位に甘んじないと融資先を増やせない融資を伸ばせない。間接金融の少ない需要に対して供給過多(オーバー・バンクと言います)つまり過当競争となっている状態を、90年代高額の授業料を払ったにもかかわらず是正出来なかったことこそ、バブルと不良債権が繰り返される諸悪の根源です。

時限を設ける等の激変緩和措置があって良いので、銀行による株式保有を例外なく禁止すべき。「貯蓄から投資へ」のラストチャンスが今到来した、というのが私の考えです。

ちなみに、R銀行は無借金経営の優良企業の当座貸越枠さえ貸し剥がす一方、貸出先には不良人材を半ば強制的に送り込み、自発的な経営改革を逆行させ、結果として不良人材派遣元の融資や政策保有株式の価値を下落させ、それゆえ公的資金(つまり我々の血税)も返済できない、愚かな金融機関です。
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2008年10月9日木曜日

米欧6中央銀行、協調利下げ

米国2.0%⇒1.5%(公定歩合も同時引き下げ。本来のFOMCは10/30だった。)
英国5.0%⇒4.5%(本日10/9予定だったBOE総会は前倒しによりキャンセル)
ユーロ圏4.25%⇒3.75%(先週10/2のECB総会で金利据え置き発表が記憶に新しい)
カナダ3.0%⇒2.5%
その他、スウェーデン、中国、UAE・・・・

昨夜BBCで在東京特派員がキャスターから「日銀はどうして協調利下げに参加しないのか?」と質問され「日銀の政策金利は殆どゼロなので、下げようが無いからだ」と答えていたのが印象的でした。今週初、アスキー+マネージャパン共同企画で対談をさせていただいたソフトブレーン創業者の宋文洲さんも「日本が超低金利で海外に資本輸出し過ぎたのも問題の一端。FXもレバレッジを掛けさせ過ぎじゃあないのぉ」と忌憚の無いご意見。ごもっとも!わたしは「FX会社は、過度なレバレッジに頼らずに事業の継続が出来るような体制・体力を目指すべきだと、少なくともフェニックス証券は考えているんです。現在の競争環境で完璧な体制を築くのは至難の業ですが、フェニックス証券はその理想に相当近いほうだと自負しています」と回答。

日銀はさておき、協調利下げの前日のRBA総会、オーストラリアは予想幅を超える1%の利下げを発表。一時的な効果はあったものの、このところの豪ドルの下落は、対日本円は勿論ですが、対米ドルでも最悪状態です。これは今月23日に政策金利発表を控えるニュージーランドについても言えます。

4月以来、当ブログやセミナーで一貫して申し上げてきたことは、信用収縮⇒金融危機、つまりデ・レバレッジの局面では、為替相場は購買力平価に収斂するという読みでした。これが、対米ドルでユーロやポンドを売り推奨させていただいていた理由です。しかし、もうひとつ忘れてはならなかったのは相場は振り子だということ。極端から手を離したブランコは最下点では止まらず、もう一方の極端へと一旦は向かってしまう。信用収縮⇒金融危機の震源地である筈の米国が、それゆえに米ドルの空売りコストが割高になってしまっている要因も手伝い、米ドルのパフォーマンスは対日本円以外では頗る良好になっております。よって、豪ドルとNZドルは購買力平価を通り越しても下落が止まらない恐れあり。

そうは言っても、日本人にはファンが多い、オーストラリアとニュージーランド。セミナーでも申し上げたとおり、外貨預金の感覚で(すなわちレバレッジ=1からゆっくりと・・・)買い始めても良い時期なのではないでしょうか?外貨預金より取引コストが圧倒的に低いFX(外国為替証拠金)取引。円の一人勝ちがまだまだ続くと読まれる向きには、米ドル売り+豪ドルand/orNZドル買いというポジションも作って(このポジションは過去数週間は最悪のパフォーマンスでした。これを外貨預金でやるのは無理です)対日本円で中立(ニュートラル)にすることだってできます。米ドルを余計に売り建てて、対日本円買い長(ロング)にすることもお好みで可能です。

毎度のことながら相場は当たるも八卦、当たらぬも八卦。人生は七転び八起き。投資は自己責任かつ余裕の範囲で。。。いまほどこの原則が大事なときはありませぬ。
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2008年9月4日木曜日

鯛の頭と尻尾

●豪ドルとNZドルに下落圧力(9/3FT)
「おたくの社長のセミナーも遂に予想が外れたね」という“苦情”が2件。いずれも長年フェニックス証券とお付き合いいただいているヘビーユーザーのお客さまからの暖かい励ましのお電話。それを聞いた外国為替部長からは「社長、気にしなくて良いですよ。これでもまだ4勝1敗。星野ジャパンより勝率は上です」と慰められる始末。

確かに、4月以降、ユーロ売り、米ドル買い、ポンド売り、南アフリカランド買いは大当たりでした。でも、それぞれ大きなトレンド形成の着火点に至るまで、セミナー直後だったり1~2ヶ月掛かったりと様々。オージー、キウイについても、着火点は近くないという覚悟でした。キウイ60円台でまとめ買いという助平根性を我慢して、70円台中盤以降で大人買いで良いのではないでしょうか。

セミナーを熱心にお聞き下さっているお客さまからは「社長は矛盾していないか?原油バブルは早晩崩壊すると力説してたのに、豪ドル買い推奨は早まり過ぎたのでは?」と鋭い指摘も。8月のセミナーでは、対米ドルで買ってしまうと、原油価格との逆相関にやられるリスクが大きいとも指摘。もう一点は、金利差、つまりスワップポイントがあるので(特に対日本円では)買い始めから多少の下落は見逃し得るとも。此れ即ち「鯛の頭と尻尾は呉れて遣れ」という相場の格言であります。

●8月の米自動車販売、不振変わらず(9/4WSJ)
GM     307,285 (20%)、Toyota   211,533 (9.4%)、Ford    155,117 (26.5%)、Honda   146,855 (7.3%)、Chrysler 110,235 (34.5%)

GM関連では、
●GMAC、住宅ローンを取り扱う全店舗を閉鎖(9/4WSJ)
全米200店舗網で米国最大の住宅ローン取扱を誇るGMAC、従業員も6割カットへ。かつてGMの完全子会社だったGMAC、現在はサーベラスが51%の株式を保有している。
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2008年8月26日火曜日

“げっぷ”と“おなら”

●JPモルガン、1200億㌦保有のファンフレッド永久優先株を強制評価減(8/26WSJ)
600億㌦の損失。E*トレード、ソブリン・バンコープ、ウェルスファーゴなども同様。

一方で、
●シティバンクのアナリスト、ファンフレッドの国有化はあり得ないと(8/26Reuter)
普通株、優先株の株主に犠牲を強いる救済策に反対。政府がモーゲージ債を買い取ることはあっても、と。

ポジション・トークにしか聞こえないのは筆者だけでしょうか?

●UBS、人件費を1/3削減(8/25FT)

もうひとつ
オバマ氏、ファンフレッドの破綻は許されないと演説(8/26Reuter)
「儲けるときは儲けておいて、損をしたら納税者に救済を求める」処理案を批判。しかし、現時点での破綻では「有権者が住宅ローンを借りられなくなる」として破綻は許されない、と。

納税者と住宅ローンの借り手との利害相反が鮮明になってきたこと。民主主義国家の為政者を目指すには、この両方に良い顔をせざるを得ない現実と同時に浮かび上がります。残念なことに、オバマ氏の演説からは具体的な処方箋は出てこないのです。

話はガラリと変わって、昨夜フェニックス証券第5回オンラインセミナー「オセアニア通貨-ソコが底ですか?」で喋り切れなかった点を補完しますと、、、

①(ニュージーランドの電力需要の50%以上は水力発電によって賄われているが)温室効果ガスの問題と無縁ではない。それは、人口を遙かに超える数の羊と牛の“げっぷ”と“おなら”。両者の主成分メタンガスは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるらしい。
②(少なくとも暫くは、対米ドルではなく対円でオージー・キウイを買うべしと申し上げた理由として)幾つかの人口統計demographyを用意していました。

人口はご存知の通り、日本=1億2800万人、オーストラリア=2000万人、ニュージーランド=400万人。

「人口が多ければ良いというものではない」として、最近問題視されている出生率は、日=1.3、オ=1.8、ニ=2.0。

実は、筆者の個人的な意見は「少子化なんか気にするな」なのです。何故なら、『耕地面積当たり人口』という統計の取り方をすると、日=2895人/k㎡、オ=115人/k㎡、ニ=41人/k㎡。日本は主要国中で最悪。

更に暴論を続けますと、過疎や限界集落の問題も気にする余裕は最早この国には無いのではないでしょうか?都市人口率で見ると、日=68.4%、オ=92.0%、ニ=85.9%。新幹線に乗って何処まで行っても人家がなくなることの無い車窓風景は世界的に見て我が国独特のものです。

オーストラリアとニュージーランドは一体としては語り尽くせないので改めてお時間を頂戴したいと思いますが、規制緩和、移民政策、貿易自由化のいずれの点をとっても、日本はオセアニア両国から周回遅れであることは間違いないようです。
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2008年5月20日火曜日

自動車メーカーの「不倫」

資源国オーストラリア通貨が24年来の高値。オーストラリア・ドルが対米ドルで1984年以来の最高値をつけました。米ドルは対ユーロでも弱く、3週間振りの安値をつける瞬間もありましたが、日本時間朝方に掛けて落ち着くという展開。

一方、株価指数は、英米ともに、今年1月以来の高値更新。リスク性向復活と見られる一方、トリシェECB総裁やウォーレン・バッフェット氏は「金融危機は解消からは程遠い」との指摘も。

雨風強まるなか朝の出勤、ご苦労様でした。わたしはズボンの皺がいっぺんに無くなってしまいました。

●米国、海外原油「依存症」解消へ(5/19FT)
原油の高騰、自動車の燃費改善、バイオエタノール活用で、1977年以来初めて原油消費量に占める輸入割合が減少に転じたとの報告。現在60%の輸入原油依存度は2015年には50%を切るとの見通し。

●マイクロソフトの対ヤフー提案、検索エンジンに集中?(5/19FT)
465億㌦での「まるごと」買収は捨てたが、検索エンジン業務だけでも210億㌦の価値があるとのアナリストの見方も。

同様に秋波を送るグーグルのシュミット会長はマイクロソフトの動きに反発、「インターネット産業にとってこのような企業間の『競馬』は不健全」と発言

●仏プジョーと三菱自動車、ロシアで合弁(5/19FT)
比率は7:3の予定。三菱自動車は既にプジョー407とシトロエンCを日本で作っている(って知ってましたぁ?)。

むかし、三菱自動車の財務の方が、「自動車メーカーは『不倫の歴史』だ」とおっしゃっていたのが、プジョー(の提携相手=トヨタ、フィアット、BMW,フォード)を見るだけでよくわかります。
€/$の今後の見通しは?オンライン・セミナー、好評再放送中!
http://phxs.jp/
資産の安全が何よりも大事。選ばれるFX、フェニックス証券

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2008年5月16日金曜日

社長はつらいよ!?

昨日は終日出張でメルマガも代筆、失礼致しました。

朝、7時台に関西空港に降り立ち、さて大阪市内まで、JR特急はるかで向かおうか、南海のラピートにしようかと気分がテツになったのもつかの間。駅に着いたら、特急は当分無いどころか、快速電車も疎ら。もう一便あとの伊丹行きにすれば良かったのかも知れません。が、新幹線のぞみのように便利なものは益々便利になる一方で、不便なものはどうしてもジリ貧になるのは仕方がないのかとも。

ちなみに、羽田発関西空港行きはボーイング737という中型機で、結構空席がありました。今回、株主優待券をプレゼントしてくれた某氏には感謝していますが、やはり次回からは新幹線にしようかなぁ。

株主優待券が譲渡できるのは、八重洲のチケット屋でも明らかですが、株主の議決権まで譲渡が可能であることを改めて教えてくれているのがカール・アイカーン氏であります。

委任状闘争(プロキシ・ファイト)が、(ヤフー株を)買ったばかり(で、しかもマイクロソフトの提案を断った後の株価下落後ですから自身が損してはいない)にもかかわらず、委任状闘争に持ち込めることについては、日本の商法学者や役人の中には「短期売買の株主の権利濫用(を許す制度)は望ましくない」と批判もあることでしょう。

だけど、日本で、株主代表訴訟を含む株主の権利を行使するのに、6ヶ月の保有が必要というのは長すぎる気もします。

おっと、また墓穴を掘るようなことを書いてしまった、ジョブ・セキュリティの低い雇われ社長でありました。

●SUN HUNG KAI不動産、「お家騒動」発覚(5/15FT)
時価総額450億㌦という香港最大の不動産デベロッパーのひとつである同社のお家騒動は、オーナー会長が「弟たちが先導した取締役会によるクーデターだ」と主張。その主張を裁判所は最後の最後に通す形で仲裁。

どうでも良い記事なんですが、何となく、他人事ではなかったので、書いてみました(汗;)。

●イギリス大手銀行複数が、イングランド銀行との間で「モーゲージ・アセット・スワップ」(5/16FT)
住宅ローン債権と国債を800億乃至900億ポンド規模で交換しようというもの。イングランド銀行が当初想定していた規模の略2倍。

●ブラックストーン、不良資産「買戻し」へ(5/15FT)
昨年、商業用不動産を高値で売り抜け大儲けした同社、安値で買戻しを検討だと。

●リオ・ティント、鉄鉱石で中国を「カウンター・パンチ(?)」(5/15FT)
中国の製鉄業界に対して、65%乃至71%の値上げを要求していた同社、中国当局からオーストラリアの鉄鉱石の運搬許可を遅らせるなど、えげつない交渉の末。新日鉄とトヨタのように仲良くとは行かないのが大陸流!?
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2008年5月13日火曜日

分水嶺

「ゲゲゲの鬼太郎」の作者、水木しげるさんの漫画『昭和史』に、「昭和の歴史は事実上(大正12年の)関東大震災に始まる」とあります。大正デモクラシーと戦争への道との分水嶺を大地震に置く考え方は洞察に富んでいます。四川省の地震は、中国という国のカタチを変えるマグニチュードを持つのではないでしょうか。

●モルガンスタンレー、ライブドアの筆頭株主に(5/12FT)
非上場株買い増しにより、堀江被告(17.24%)を抜く。

●MBIA、不良債権償却で24億㌦の損失_1-3月期(5/12FT)
損失金額は市場予想の2倍に相当(1株当たり利益1.46㌦に対し、13.03㌦の損失ということに!)。但し、発表後の昨日深夜での取引では、株価は6%上昇!?

●ウエストパック、セント・ジョージ銀行を買収_オーストラリアの銀行再編(5/12FT)
オーストラリア2番手と5番手が統合され最大のモーゲージ・バンクに躍り出る。最大手だったコモンウェルス銀行(CBA)、3番手だったナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は戦々恐々。

●HSBC、米国の住宅不況は2009年まで続くとの見方(5/12FT)
1-3月期、32億㌦引き当てを積み増し。

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