2008年9月4日木曜日

鯛の頭と尻尾

●豪ドルとNZドルに下落圧力(9/3FT)
「おたくの社長のセミナーも遂に予想が外れたね」という“苦情”が2件。いずれも長年フェニックス証券とお付き合いいただいているヘビーユーザーのお客さまからの暖かい励ましのお電話。それを聞いた外国為替部長からは「社長、気にしなくて良いですよ。これでもまだ4勝1敗。星野ジャパンより勝率は上です」と慰められる始末。

確かに、4月以降、ユーロ売り、米ドル買い、ポンド売り、南アフリカランド買いは大当たりでした。でも、それぞれ大きなトレンド形成の着火点に至るまで、セミナー直後だったり1~2ヶ月掛かったりと様々。オージー、キウイについても、着火点は近くないという覚悟でした。キウイ60円台でまとめ買いという助平根性を我慢して、70円台中盤以降で大人買いで良いのではないでしょうか。

セミナーを熱心にお聞き下さっているお客さまからは「社長は矛盾していないか?原油バブルは早晩崩壊すると力説してたのに、豪ドル買い推奨は早まり過ぎたのでは?」と鋭い指摘も。8月のセミナーでは、対米ドルで買ってしまうと、原油価格との逆相関にやられるリスクが大きいとも指摘。もう一点は、金利差、つまりスワップポイントがあるので(特に対日本円では)買い始めから多少の下落は見逃し得るとも。此れ即ち「鯛の頭と尻尾は呉れて遣れ」という相場の格言であります。

●8月の米自動車販売、不振変わらず(9/4WSJ)
GM     307,285 (20%)、Toyota   211,533 (9.4%)、Ford    155,117 (26.5%)、Honda   146,855 (7.3%)、Chrysler 110,235 (34.5%)

GM関連では、
●GMAC、住宅ローンを取り扱う全店舗を閉鎖(9/4WSJ)
全米200店舗網で米国最大の住宅ローン取扱を誇るGMAC、従業員も6割カットへ。かつてGMの完全子会社だったGMAC、現在はサーベラスが51%の株式を保有している。
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2008年9月3日水曜日

塩漬けの豚肉

福田首相辞任から一夜経って、海外メディアの取扱は極めて小さくなっています。FT、英エコノミスト、ニューヨークタイムズにはフォロー記事が見当たりません。WSJが、自民党内で伝統的ばら撒きか規制緩和による成長かで綱引きa tug of warが始まったと報じている程度です。

筆者がしつこく忌み嫌っている東京放送など地上波の街頭インタビュー。福田首相辞任について、「突然で驚いた」「無責任だ」「投げ出しだ」という批判が大方の反応。編集がどの程度加わっているのかは知る由もありませんが。。。街の声だけでなく野党の反応も同様であることには呆れます。

敢えて言いたい。無責任で、投げ出して、何が悪い!?学級委員や零細企業の社長もやったことのない街の声の主の他人事のような反応を公共の電波で撒き散らすことこそ無責任だ、と。「何故日本の元首(では憲法上はないが)は一年毎に変わるのか」と外国人から素朴な疑問を投げかけられたときにどう答えるか日頃から頭の中が整理されていることこそインタビューされる側として必要な資格。しかし「街の声の主」にその能力を求めるのは無理。どうせ視聴率も上がらないのだから、今すぐこのような似非報道番組は廃止すべきだ。

ところで、WSJ紙で「伝統的ばら撒き」と筆者が約した原文は(the return of) traditional pork-barrel politicsとなっています。このpork-barrelをアルク社さんの「英辞郎」で調べると、、、

pork barrel
豚肉{ぶたにく}保存{ほぞん}[塩漬け]用のたる
ポークバレル法案、特定の議員[選挙区]だけに利益がある助成金[国庫地方交付金・政府事業・地方開発補助金]◆【語源】南北戦争時にアメリカ南部の農場で、奴隷にたるに入れた塩漬け豚肉を与えたことから。

pork-barrel politics
利益誘導型政治、地方開発事業政策{ちほう かいはつ じぎょう せいさく}、予算のばらまき政治、ポークバレル政治

より詳しくは、ウィキペディアを。
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2008年9月2日火曜日

福田首相辞任は突然か?

福田首相辞任を海外メディアはどう伝えたでしょうか?
●政府自民党さえも驚いた?福田首相の突然の辞任(9/1FT)
就任後1年にも満たない福田氏は、解散総選挙の可能性に道筋を残したと?

●慢性的不人気の政権に終止符(9/2NYT)
突然の辞任は、世界第二位の経済大国を一層の政治混乱に突き落とすこと必定?
強いリーダーシップの欠如が日本に蔓延していると、ニューヨークタイミズ紙は締め括る。

●不況漂う日本で、またひとり首相が辞任(9/2WSJ)
後任候補の麻生氏は、国の巨額債務を放置してでも、支出拡大で経済活性を図るつもりだと。
多くの日本人は、小泉首相の退任後も、“過激な”リーダーを望んでいたのだが、、、ビジョンと政治的影響力を兼ね備えた候補者に恵まれていない、とWSJ紙は手厳しい。

ことほど然様に、国内外から総スカンを喰らっている福田氏ですが、筆者は6月11日MIXI上で「『犠牲者は私』首相また恨み節」という記事に絡めて下記の日記を公開しています。

(引用開始)
福田首相に同情する。「二世議員中心の政界が日本を駄目にしている」が持論だが、福田家には伝統的政治に必要な寝技を持ち込まないDNAを感じる。男70代にしてこんな役回り演じたいと誰が思うだろうか。恨みを晴らすためには抜き打ち解散しかない。福田首相は自民党の犠牲者でもあると、いっそ思い込み、人間爆弾となって、この国の形をターン・アラウンドするべきだ。後世に名を残す数少ない宰相となること必定。
(引用終了)

福田首相辞任を“電撃”とか“突然”という形容詞をつけたがるのは報道をワイドショー化させたい地上波メディアの意図に過ぎず、筆者ブログの読者の殆どは、“やはり”とか“またか”という感想なのではないでしょうか?筆者としては、ただでさえ強いリーダーシップが発揮しにくい日本型政治システムの中にあって数少ない首相の秘密兵器である7条解散による総選挙snap electionを行使して欲しかっただけに残念です。

ところで、日本語ロイターのアンケート、福田首相辞任の影響で異例の一日限りに終わってしまったのですが、「11兆5千億円の緊急経済対策」について①不十分、②効果あり、③いい加減ばら撒きを辞めて、改革路線に戻るべき、以上3つの選択肢があり、途中経過では③が圧倒的多数でした。この現実を、麻生・小沢両先生に伝えたいものです。

●グーグル、自前のウエブ・ブラウザーを立ち上げ(9/1WSJ、FT)
マイクロソフトとの捻じれた競争のなかで出てきたプランで、やはりオープンソースです。但し、筆者も利用しているモジラとの提携は続ける予定だとも。

●日本企業による国外企業買収が活発に(9/2WSJ)
塩野義⇒シエラ・ファーマ、オンワード⇒ジル・サンダース、リコー⇒イコン・オフィス、武田⇒ミレニアム・ファーマ、、、世界の株安を勝機と考えている。
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2008年9月1日月曜日

日本だけではないオーバーバンク

ハリケーン「グスタフ」、中国・四川で再び大地震地球が悲鳴を上げ続ける中、愛知県岡崎市のゲリラ雨の傷跡を長々と放映し、野次馬の歓心を得ようとする地上波メディアは報道と呼ぶに値するのでしょうか?

●コメルツ銀行、ドレスナー銀行を買収(9/1FT、WSJほか)
欧州最大の保険会社アリアンツが7年前に230億€を出して買ったドレスナーを(FT予想では)たった90億€で転売することに。

信用収縮による銀行株の価値下落、そもそものドイツの銀行過剰overbank(WSJ推計でイギリスやスペインの5倍の金融機関が犇めく)、アリアンツによる銀行保険一体経営"bancassuarance"からの撤退、そして人員削減(WSJ紙によると合併後67,000人中9,000人カット)を含意。

アリアンツに対しては中国開発銀行China Development Bankからドレスナーを買いたいという提案を受けており、コメルツの提案よりも価格的には有利であった模様だが、政治的な意味合いもありドイツ資本に留めることになったとWSJ紙。

おまけ、、、
●英国は60年で最悪の経済危機、ダーリング財務相(8/30英ガーディアン)
7月のセミナーをご覧になって直ちに英ポンドをお売りになったお客さま、大変おめでとうございました。

月が替わりました。夏休みを取られた読者の皆さんも取られなかった皆さんも、引き続き応援よろしくお願い致します。
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