2008年10月31日金曜日

日銀利下げ幅は、たった0.2%

フェニックス証券のFXは「たった2銭」ですが、日銀の利下げ幅は「たった0.2%」でした。瞬間的に市場は大きく荒れており一概に失望で株安・円高と決め付けるわけには行きません。が、市場予測が「0.5%⇒0.25%」だったことを考えると、《絶対にグリーンを捉えると思われていたフェアウェイからのショートアイアンだったのに、手前のバンカーに沈んだ》という印象かも知れません。

ところで、今朝のブログのクイズの答えは・・・化粧品です。皆さん、正解でしたか?えっ、他にも答えはあるって??
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日本株は底か?すっぴんに耐える日本経済へ・・・

●米モトローラ、3.97億ドルの赤字に転落-第3四半期(10/31WSJ)
●アメリカンエクスプレス、人員7000人削減-全職員の10%相当(10/31WSJ)
●グーグルとヤフー、検索エンジン提携協議を中断へ(10/31WSJ)
●エクソンモービル、四半期利益148億ドル-過去最高を更新(10/31WSJ)

今週月曜日にフェニックス証券オンラインセミナーを収録したあと、弊社の株式部長から質問を受けました。
「社長のおっしゃる『米国発』の皮肉は株価指数についても言えませんか?日本(の金融システム)だけが避難場所と言われる割りには日本株が売られすぎている。米国株以上に売られる意味が判らない・・・

・・・株仲間と話をしていたら、日本の弱さは食料自給率の低さにあるのではないか、と。米国は金融バブルがずたずたになっても飢え死にはしないが日本は違う、と。社長はどう思われますか?」

過去7回のセミナーでも食料自給率の問題はしばしばとりあげて参りました。ウチの株式部長のお友達の視点は一理あると思います。

勿論、テクニカルには、
①日経平均の銘柄入替が果たして良かったのか?
2001年の銘柄見直しでIT関連株に大幅に見直した直後のITバブル崩壊だけではない。 浮動株比率を最重視しているMSCIや時価総額ベースで低位大型株にウェイトが置かれるTOPIXに比べ、円高時や相場急落時に実態以上に売られてしまう。

②ドル建て日経平均はそれほど売られていない。
円高だから(輸出関連株が売られ)株安。円高なのに(日本に資金が戻っているのに)株安。ドル建てで見れば当然のこと。

より本質的な問題として、
③日本の金融システムが消去法的に選ばれていることの幻想
しばしば申し上げているように、邦銀の融資先株式の政策保有、その含み損は、外国銀行の不良債権問題と五十歩百歩である。

そして③の裏返しとして
③´個人投資家が育たず、外国人投資家に翻弄されている日本株
政策保有株式の下落による資本毀損は公的資金で助けられるが、損をした個人投資家には税金すら帰ってこない。モラルハザードが続けば個人にとって株式投資は馬鹿馬鹿しくてやってられない。本来、サラリーマン投資家よりも適正水準を意識して売買できる個人投資家の参加が進んでいないことは日本株にとって悲劇。

お待たせしました。最後に食料自給率です。

指数の話ばかりしましたが、個別株で言えば、何が買えるでしょうか?食品に限らず、生活必需品(基礎財)に関連する銘柄ではないでしょうか?

ここでクイズです。今週ある業界の方から「わが業界の企業売り上げは、ただひたすら広告宣伝費のみに比例するんだ」と豪語しておられました。曰く、売上原価にも技術開発にも比例しないと。さて、この業界とは何でしょう。答えは夕刊でお知らせしますが、勿論、生活必需品でないことは明らかです(必需品だと思い込んでいる人も少なくないかも知れないけれど・・・がヒント)。

食料自給率低迷、減反政策、食糧管理政策、食の安全の問題。。。これら全てを農水官僚の仕業だと決め付けるのは全く筋違いです。思えば、何故小学生時代の給食がコッペパンだったのか?何故、農水省は禁止農薬の範囲を広げ、結果的に事故米の定義を拡大させたのか?事故米や事故米焼酎などは、食料としての流通を差し止められただけでなく、バイオ燃料としても再利用されず、単なるゴミとして破棄された事実をご存知ですか?

心ある農家の皆さんが日夜努力されている一方、既得権益に固執するだけの農業団体、その票田に固執する政治家、既得権益への固執となれば日本一の地上波テレビなど大手マスコミ。これら悪の枢軸が農水官僚を集団暴行した結果、食料政策が脳死状態になったと私は推定します。
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2008年10月30日木曜日

米国利下げ。FF金利は1.0%

同日、中国やノルウェイも利下げ。ECB、BOEも来週利下げが濃厚と、WSJ紙。

更なる利下げも臭わせたFOMC。「ゼロ金利政策が近づいていることのジレンマ」という表題でFT紙は90年代の日銀の政策が景気浮揚に成功しなかったことと今回の米国の事態を比較しています。

デフレ下で名目金利をゼロにしても、実質金利(注)は高止まってしまうわ名目金利はマイナスには出来ないわで万事休す。これが90年代の日本だ、と。現在の米国は(ヘッドラインインフレこそマイナスに転ずるリスクが濃厚だが、生鮮食料品とエネルギー価格を除いたコア)インフレは(元々の水準が)高いので大丈夫。金融政策の余地はある、と。

(注)実質金利=名目金利-期待インフレ率

しかし、中途半端な経済学者がよく間違える罠なのですが、只今現在のインフレ率と、その将来の予想とは意味が異なります。加えて、現在の米国金融の最大の問題は名目金利が一物一価になっていないこと、つまり銀行間市場の機能不全は依然続いているため、政策金利を引き下げても銀行間の(無リスク金利である筈だった)金利が高止まり、結局は実質金利を制御できない事態に陥り続ける恐れがあるということです。

完全雇用状態(デフレギャップが無い状態)を実現する金利を「中立金利」と定義づけ、中立金利の下落に対して政策金利の引き下げが後手後手に廻ると日銀が直面したゼロ金利のジレンマに陥ると論じたのがスタンフォード大学のテイラー教授です。金利政策に限定する限り(つまり、中央銀行の機能は金利政策だけではないということが言いたいのですが・・・)、米国の現況は既に90年代日本と同様の落とし穴に嵌っているといわざるを得ません。

ただし、ユーロ圏も五十歩百歩ですが。
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2008年10月29日水曜日

オンラインセミナー、ブログに更新!

今夜から明日にかけてのFOMCでの利下げ期待(FF金利1.5%⇒1.0%)で円安ドル高株高。国家破綻のアイスランドは今更ながらの通貨防衛で利上げを発表(12%⇒18%)。いまやFXは政策金利の予想だけで成り立つゲームではありません。

史上2番目の上げ幅を演出した昨夜の米国株。それでもショッキングなのは、我が国の上場証券会社の四半期決算。日本株も駄目。投信も駄目。外国債券も駄目。ついにやることが無くなった。でも「証券・金融は経済の血液だ。無くなるわけにはいかない」と言われます。本当にそうでしょうか?

レコード針のように、知らないうちに無くなってしまった産業はいくらでもあります。過去5年間で日本酒の蔵元や杜氏の数が激減していることも意外と知られていません。証券会社が経済の血液だというのなら、日本酒は会社組織の潤滑油ではなかったか、と反論したくなります。

日本酒については経験と技術の粋を極めた杜氏さん達の世代交代がうまくいかなかったという供給側の事情と、我が国の若い世代が米麹の香りを好まなくなったという飲む側の嗜好の変化という需要側の事情が相俟って市場が萎縮したと考えられます。しかし事情はどうであれ、一大産業の環境激変に伴い職を失った方々は、過去に培った経験や技術を多くの場合は活かせない新たな職業を自助努力で探すべく苦労されいているに違いありません。

たびたび証券村で村八分になることを恐れず繰り返すのですが、金融業界だけひとり景気や雇用を人質にとって公的な保護を求めるのは筋違いでしょう。加えて日本酒はインターネットでは醸せないけど、金融取引ほどネットに馴染むものはないという厳然たる事実があるのですから。
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