2009年9月2日水曜日

政権交代の本当の衝撃

七転び八起きブログにリンクを貼っている自民党の田村耕太郎参議院議員がこんなことを書いておられます。

「自民党支持層の多くは与党支持層に過ぎない。ここが引き剥がされていく。業界団体、首長、連立友党。少なく見積もっても得票率で20%引き剥がされる計算になろう。つまり行って来いで40%引き離して勝っていないと次は勝てない。そんな候補者はわが党にはどこにもいない。(中略)全員即死だ。」

民主党政権はお試し期間に過ぎず、小泉人気も鳩山(?)人気も振り子が(小選挙区制のせいで極端に)大きく振れているだけで、来たる参院選では再び揺れ戻しがあると考えている有権者は少なくないのでは。しかし、「与党だから支持しているだけ」、「現職だから応援しているだけ」という危機感はただものではありません。

昨日お会いしたお客さまが「小泉元首相は『自民党をぶっ壊す』と言っていたが、約束を守ったんだなぁ」とお話しされていたのが印象的でした。老舗百貨店の倒産の如きドラマはこれからが本番なのでしょう。
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2009年9月1日火曜日

話題の鳩山「論文」

衆院選後の昨夜。NHK特番で、細田自民党幹事長が「鳩山代表の『論文』が米ニューヨークタイムズ紙に掲載されている。米国流の自由主義経済を見習ってきた弊害という論調に、米国民も呆れていると聞いている」と同席の岡田民主党幹事長に負け惜しみを吐き捨てた。

問題の記事はこちら。

http://www.nytimes.com/2009/09/01/world/asia/01japan.html?_r=1&pagewanted=print

穏健派で知られるニューヨークタイムズ紙が、企業のモラルハザードについてはゾンビ企業を認めない立場からGMやクライスラーの破綻処理に関して政府介入を批判していたことは、拙書「“為替力”で資産を守れ!」にも書きました。こちらの記事でも、日本経済の閉塞感が、小泉(+竹中)改革による弱者切り捨てのせいではなく、むしろ同改革が既得権益打破や官邸主導なり地方分権なりの徹底が全く不十分だったせいであるという論調に賛成。問題は、小泉氏に選ばれた後継者(達・・・安倍、福田、麻生)のせいなのか、続投しなかった小泉氏のせいなのか、小泉氏自身が改革者のふりをしてブッシュ政権に尻尾をふっていただだけ(外交面でも、靖国問題含め、対アジアで不要な摩擦を生じさせた点も、真の改革とは整合しない)なのか、なかなか明快にするのは難しいので、民主党の選挙戦略は「小泉路線見直し」だったわけですが、結果的には反小泉でも“半”小泉でも勝てたかも知れません。

先々週のブログで述べた通り、経済運営においては自民党にも民主党にも過大な期待は出来ない状況のなかで、オバマ政権との適度な距離を置きつつ、自民党が果たせなかった対アジアの「太陽政策」【注】が民主党の手によって出来れば日本の将来も多少明るいかも知れません。
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【注】自民党が果たせなかった・・・1997年のアジア通貨危機後の宮沢構想は米国によって実質的に潰されました。自民党政権下で「太陽政策」が出来なかったのは自民党のせいでは必ずしもない点にも言及しておきたいと思います。

2009年8月28日金曜日

いよいよ衆院選

小選挙区で公共工事を沢山誘導してくれる政治家を応援するのが地域エゴイズムならば、子供がいる家庭が少子化対策を大盤振る舞いしてくれる政党に票を投ずるのは世帯エゴイズムかも知れません。

七転び八起きの持論爆論は、少子化は対策を立てるべき問題ではなくて、日本は少子化という症状と仲良くやっていくしかない、というもの。しかし、かと言って、大盤振る舞いの少子化対策マニフェストがまるっきりナンセンスだとは思っていないのです。

その理由は、日本の年金制度が必要以上に少子化傾向をサポートしてしまっている点にあります。

年金制度が歪んでいるくらいなら廃止したほうが良い、という政策は政治的には実現不能でしょう。その代わりに少子化対策をふんだんに行うという手はあるのです。

詳しくは、拙書「“為替力”で資産を守れ」をご覧ください。


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2009年8月27日木曜日

英国当局、金融部門の肥大化を矯正

英国金融庁のトップであるターナー卿の発言。「金融センターとしてのロンドンの競争力の強さを、金融庁としてはもっともっと注意して(懐疑的に)見ていくべきだ。英国経済にとって、シティの強さがかえって不安定要因になってしまっている」と。

ターナー卿の提案は、「トービン税」。米エール大学の経済学者ジェイムス=トービン教授に由来するアイデアは、世界中の金融取引に一律に課税して、発展途上国など世界中に再分配するというもの。既にこれまでに開発経済学者やフランス政府などによって、特にリーマン危機後提唱されてきたが、金融部門からの反対に遭って来ました。

英国内でも、ターナー卿の発言に対しては、アリスター財務相や、英国銀行協会(BBA)のナイト理事長が「聞いていない」と無視まはた反対する等、まだ一枚岩ではなく、規制緩和の賜物であるシティの存在は税収という点でもイギリス経済にとって欠かせない資源だという伝統的意見はまだまだ根強いようです。

実体経済の規模に対して金融部門が余りにアンバランスに肥大化すると歪みや弊害が致命的となるお話は以前から当七転び八起きブログでさせていただいておりました。時に、幸福実現党は小さな政府(警察と国防だけの夜警国家)を唱えておりますが、金融も仲間に入れるべきかも知れません。しかし、国内だけ課税するとイギリスの所得が減るだけなので、世界中での一律課税(new global tax)を提唱するところが、七つの海を支配し続けていると勘違いしているイギリス貴族らいしところ。
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