2015年12月29日火曜日

心配御無用???1人当たりGDP OECD加盟国で20位に後退

アベノミクスに端を発する円安が最大の要因でしょうし、また、最近は使われなくなったGNP(国民総生産)と異なり、GDP(国内総生産)では海外からの配当が算入されないというところも勘案しなければなりません。

さはさりとて、「イスラエルや香港のような小国(?)に抜かされた」「韓国が23位と肉薄している」という事実に、感じ悪いと思われた方が少なくないことでしょう。

人口で割り算をしていないGDPで、日本が中国に追い越されたというニュースについて、わたくしは世間の大騒ぎを無視しました。

しかし、、、、、、

人口で割り算をしているGDPとなると、なんとなく大勢の人たちのあいだで、人間の幸せ度合いと比例し直結する指標なのではないかと思われがちなのは当然です。

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東京にも大阪にもホームレスはいっぱい居ますが、テルアビブやエルサレムには物乞いや掏摸(すり)がいっぱい居ます。それは先進国と言われるヨーロッパの諸都市もいっしょかも知れません。

テルアビブで、小銭の単位もわからず、バス停や行き先の名前の文字も読めず、ドキドキしながらバスを待っているわたくしは、小銭の半分くらいを乞食にあげてしまいました。バス停に並ぶイスラエル人のなかでわたくしのようにお金を乞食に渡すひとは誰一人いませんでした。

イスラエルは、何かと、日本ととは真逆の国だと言えます。。。。。。

米国の世界戦略に沿って、日本が極東で担っている(担っていた)役割と同様のそれを中東においてイスラエルが担っている(担っていた)、にもかかわらず、です。

イスラエルは核拡散防止条約に加盟しておらず、核保有について肯定も否定もしていません。いっぽう、原子力発電所はひとつもないのです。中東に位置しながら、石油が掘れない場所であるにもかかわらず、、、、、、宗教上も外交上も疎遠な隣国から石油を輸入してでも、小国ゆえ国そのものが吹き飛んでしまうような原発事故のリスクは絶対に避けなければならない、という、日本では考えられない思考回路によって、イスラエルの核戦略が導かれているようです。

ところで、アヴァトレード・ジャパンの親会社の事務所は、いまでは東京の都心では見つけることが難しいくらいの、築年数不明の雑居ビルのなかに2フロア間借りをしています。そんなところにIT企業のはしくれが事務所を開いていて大丈夫なのか???サーバはロンドンの金融センターにありますかkら大丈夫ですし、日立製作所のイスラエルの出先機関も同じ雑居ビルに入っているくらいです。

この背景には、テルアビブの郊外を含めた一部の不動産が高騰していて、良質の不動産が手に入りづらいことがあります。弊社親会社や日立製作所が入居しているオンボロオフィスビルの近くには、インフィニティ(日産)やレクサス(トヨタ)の新車ディーラーのショーケースがあったり、グーグル、アップル、3Mなど、米国を代表する企業の開発拠点があったりもします。それらの(帰属)家賃までは調査できていませんが、そこから地中海の海岸にまで広がる住宅地は、高級な部類であり、とは言え、東京の感覚だと、1~2億円の物件に見えるものが、その10倍くらいの値段で取引をされているようです。

テルアビブやその郊外のイスラエル版シリコンバレーの物価が全体として高いかと言えば、そうでもありません。外食は東京と同じくらい。テルアビブの旧市街からシリコンバレーと呼ばれるヘルツリアまでバスで1時間くらいかかりますが、日本円換算で300円くらいです。

その乗り合いバスも、金曜日(の日没から安息日がはじまるため)本数が極端に減ります。しかし金曜日だれも仕事をしていないわけではありません。ユダヤ教徒であっても、金曜日に急ぎの仕事を抱えていれば、仕事を優先します(一部の過激派などを除く)。それでも金曜日はシリコンバレーだったはずの街の雰囲気がガラッと変わり、いつ来るかわからないバスを、大勢の黒人が待っているのです。彼らの多くは、建築現場で働いています。さきほど例示したグーグルやアップルや3Mのオフィスはみんな築浅。街がいま出来つつあるという状況なのです。

地中海に夕日が沈むなかバスでテルアビブの旧市街に戻る途中、横断歩道でフラフープに興ずる少女を見かけました。いまごろイスラエルではフラフープが流行っているのか?と聞くと、信号待ちの運転手に物乞いをするのだ。以前は、もっと普通に、花売りの少年少女がいっぱいいた。イスラエル経済が上向きになって、そういう子どもたちがだいぶ減ったのだ、という回答を得ました。


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一人あたりGDPは、平均値であって、中間値でも最頻値でもありません。中間値や最頻値で見ると、豊かさの順位は大きく変わってくるでしょう。

日本を統計上追い越したイスラエルは貧富の差がより激しいことは明らか。それが一方的に良くないという意味ではありません。

わたくしは長年、日本に移民や難民(受け入り)が少ない背景として、言語の壁がおおいにあると思っていました。金融やITサービスの世界拠点になるためには、アイルランドやカナダ、オーストラリアやニュージーランドに比べると不利だ、ということになりますが、かと言ってニュージーランドが金融ITサービスのメッカになっているという話も聞きません。

イスラエルは英語が日本よりは通じますが、圧倒的にヘブライ語であって、世界でも1000万人未満の人しか喋っていない、英語、スペイン語、中国語はおろか、日本語に較べても汎用性の低い言語の壁があるわけです。この言語の壁を乗り越えてでも、雇用機会に巡り会いたいという人が各国から集まってきています。農業、化学、航空、IT(暗号化技術を含む)などの最先端分野では、ヘブライ語の壁や宗教の壁をそれほど気にせずに仕事や研究をすることができるということなのでしょう。金融とITを足して2で割ったような、アヴァトレード・グループのイスラエル拠点も(アイルランド拠点も)、意外なほど、宗教、出身国、肌の色、母国語は様々です。

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さて、アベノミクスは、円安を招いただけで、インフレをもたらすという「宿題」を果たせなかった、という論評が中心ではあります。

月刊ファクタ新春1月号 日銀「マイナス金利」確率3割

本筋から、またもや離れるようではありますが、この記事のタイトルにある「マイナス金利」に対して、現在行われているのは「ゼロ金利」ではなく「プラス金利」だったという事実をご存知でしょうか?

日銀が民間銀行から国債を買い取ります。その「純」増額たるや、アベノミクス開始以来3年間で約200兆円。

これが大きい数字なのかどうかピンとこないくらい大きい数字ですが、、、、、、

日銀準備預金(<日銀当座預金<マネタリーベース)の残高は、

2012年11月=35兆円
2015年11月=224兆円

つまり、日銀による民間銀行からの国債買い取り(民間銀行による日銀預け金の増加)は、残高としても増え方としても異様な大きさであったことがわかります。

そしてこの224兆円に対して、日銀は、年率0.1%の付利をしています。金額で言うと二千二百四十億円。凄まじい金額ですが、民間銀行の普通預金金利(現在は0.01%から0.05%。最頻値(!?)は0.02%)と比べれば大した差ではない、と銀行経営者なら思うところです。

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アベノミクスが民間銀行に与えたもの。それは国債のイールドカーブ(長短金利差)と引き換えに年利回り0.1%の預金。民間銀行はイールドカーブリスク(≒国債の価格変動リスク)を日銀に引き取ってもらったとは言え、短気調達長期運用(※)による利ざやの大半を失った。

さきほどマネタリーベースの最重要要素である日銀準備預金の残高を比較した二時点で、10年国債の利回りをざっくりくらべると、

2012年11月=0.8%前後
2015年11月=0.3%前後

です。そうすると、わたくしの上記の結論には重大な見落としがあることに気が付きます。日銀が用意した引換券には、イールドカーブリスクに加えて、国債売却益という、割増退職金のような一時金も含まれていたということです。

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これまでに利用したデータの出典は、すべて財務省と日本銀行です。ついでにもうちょっと数字を見てみましょう。わたくしが注目したいのは国債費で、そのうち過去に発行した国債の償還に充てられる費用を除いたもの(利払い費など)です。これが2015年度は10兆円を上回ります。

国債残高が天文学的数字に至るなかで、いまのところは、国債の保有主体としては、日銀がぐんぐんと存在感を増しているだけで、海外主体は微増に留まっています(医療と年金の個人負担比率を改悪せずに高齢化を放置することによって社会保障費を中心とした財政赤字が今後も増えると、「日本国債を購入しているのは日本人だけだから心配ない。日本の国家財政破綻論は破綻している」という議論も成り立たなくなりますが、いまのところはだいじょうぶです)。

そうすると、この国債利払い費10兆円というは、ほぼ純粋に日本国内の経済主体間の所得分配をいびつにしかねない厄介者だということになりそうです。

アベノミクスのビフォアアフターを問わず、銀行セクターが、大手と中小の差こそあれ、

①金融仲介機能(借り手と貸し手との出合い系のような役割)の報酬
に加えて、
②日本国債にまつわる若干インサイダー的で若干既得権益的な利潤
が上乗せされることで、経営を成り立たせてきた。

それでも、先述の準備預金0.1%=二千二百四十億円という補助金は、国債利払い費10兆円から比べると微々たるもの。

歳出の1割程度をもしめる国債利払い費は誰が受け取っているか?日銀と民間銀行と生損保等がざっくり3割ずつというのが答えです。アベノミクスのビフォアアフターで、生損保等はほぼ不変。日銀が1割から3割にシェアを増やし、民間銀行が5割から3割にシェアを減らしました。もうおわかりのように、民間銀行はシェアを減らすことで、毎年の国債利子受取収入を減らしてしまったけれど、減らす過程で、莫大な売却益を計上してきたという図式です。

わたくしたちは、なんとなく、高校や大学などで経済学と称して、日銀が民間(銀行)から国債を買い取る行為が金融緩和であってインフレをもたらすが如き屁理屈に触れてきたり、またそれを妙にわかりやすい詭弁を用いて地上波ワイドショウなどで解説する似非エコノミストに触れてきたりします。しかし、こんなものは金融緩和でもインフレ政策でもなんでもなく、補助金10兆円の受取主体が民間銀行から日銀に遷移したが、民間銀行は一時金によって慰労された、だけのことだったのです。

我が国の税負担が公平だとしても、この10兆円ファンドに参加できているかいないかでは大きな差があります。借金してでも国債を買おう、と結論づけても、借金の利払のほうが大きくては話になりません。国債利払い費10兆円の美味しさを味わうためには、どうしても中央銀行=民間銀行という特権社会の一員でないと難しい面があります。

わたくしはグローバル資本主義(!?)のなかで国家戦略を実現するために、どこの国でも銀行セクターにある程度の特権的地位を与えることが必要(悪)だと思ってもいます。軍事力が必要(悪)なのといっしょです。しかし、以上に描写した銀行セクターの不都合な事実は、英米独仏瑞などの代表的国際的金融機関が担っている国家戦略のようなものには結びつかない、単に歪なヘリコプターマネーのように見えて仕方がないのです。

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一人あたりGDPの順位だけにとらわれず、貧富の差や、本日は触れなかった貧富の逆転の可能性(モビリティ)、特権社会の存在不存在など、さまざまな切り口を加味して論ずるべきなのでしょう。

日本はかなり変化の兆しが見えてきたとは言え、まだまだ多くの人達が大企業や公務員など特権社会に所属しないと割りを食うという思いでいると思います。それもまた事実でしょう。

いっぽう、イスラエル型の社会では、先に触れた研究開発やビジネスの最先端は、一部米系大企業の出先を例外として、そのほとんどがベンチャー企業によって担われていることは注目すべきです。アングロ・アメリカン型社会は、日本型とイスラエル型の中間くらいでしょうか。

2015年7月6日月曜日

ギリシャ国民投票、財政緊縮策にNO。ユーロ下落

ナチスドイツが大戦中に強奪したギリシャ中央銀行の金塊をまだ返してもらっていない

かれこれ6年にも及ぶギリシャ債務危機を、いまどきここまでこじらせたのは、今年1月の総選挙で、首相となるアレクシス・チプラス率いる急進左派連合の緊縮財政撤回路線を国民が選んだからである。


欧州でも最悪レベルである50%の若年層失業率、年金を下ろせず休業中の銀行のATMの前で右往左往する老人たち、仕入れもできず客も来ない商店主。疲弊するギリシャの市井人は、経済危機を悪化させた政権交代を後悔している。


先週末の国民投票は、ギリシャの政治経済という時計の針を、政権交代前まで戻るための残されたチャンス。


ドイツ筆頭に債権者たちが突きつけてきた救済策を脅迫状だとして、反対投票をテレビ演説で呼びかけたアレクシス・チプラスは、気が狂っている。


債権者たちが最後通牒としている救済策の反対することは、ユーロ通貨圏からの脱退を意味する。「いや、そうではない。ユーロに残れる。国民投票でNOが多数になることで、債権者たちをもういちど交渉のテーブルにつかせることができる、いまつきつけられているギリシャにとって屈辱的な条件を改善することができるのだ」というアレクシス・チプラス首相の主張は、絵空事に過ぎない。


・・・・・・と、悪夢を見て、目覚めたギリシャ有権者の多くは、賢明かつ冷静にして、YESを投ずるだろう、、、との予想が、みごとに外れてしまいました。


先週月曜日(6月29日)は、ユーロ円が1%以上のギャップダウン(窓あき)で再開。国民投票を強行するとして揺るがないギリシャ現政権に対して、それなら債務軽減交渉のテーブルにつかないというトロイカ(含むIMF)たちとの平行線のまま、翌6月30日の債務期限を迎えることになるという最悪の事態に、外国為替市場がひらいていない週末、進展してしまったからです。


今回の国民投票(レファレンダム)も、またまた、週末の出来事。ユーロ円は、またしてもギャップダウン(窓あき)でオープン。わたくしだけでなく、多くの市場参加者が、6割を超えるNo(反対)が集まるとは予想していなかった。ユーロ下落が織り込まれていなかったということになります。


わたくしを含めた予想を外した市場参加者から見ると、ギリシャの有権者(すでに国を見捨てて海外に出稼ぎリ行っている若者や、お金持ちを除かなければならないので、あえて国民と書かずに、有権者としています)は、愚か者で怠け者で浮かれ者だと唾棄すべき存在なのでしょうか???


わたくしは、5年半ほどまえ、まだ初期段階だったギリシャ債務危機に際して、
驚嘆に値するギリシャの言い訳
として、英フィナンシャルタイムズの報道《ギリシャの副首相が「ナチスドイツが大戦中に強奪したギリシャ中央銀行の金塊をまだ返してもらっていない」との発言》を引用しました。

かたや、いま英国放送協会のホームページにはこのようなチャートが出ています。



ドイツが公的にまたは私的にかかえているギリシャ向け(不良)債権が突出しているのです。

アベノミクスでデフレ問題を解決できると信じていた日本国民には笑えないギリシャのデトロイト化

年金や公務員給与などのレガシーコストにいっこうにメスがはいらず、その一方で、ギリシャ有権者は債権者たちにNOを突きつけてもユーロ圏に留まることができると楽観し、さらには債権者にとってもギリシャのユーロ圏離脱は事実上の債権放棄になる(※)として、引き金を引けないことが、ギリシャ債務問題が6年ものあいだひきづられてきた理由です。


国や地方公共団体の債務にとって、徴税権だけが担保です。それでは、夕張市やデトロイト市はなぜ債務問題を解決できなかったのか?担税力のある市民は、緊縮財政を強いられる地域に我慢して住み続ける必要を感じないからです。


IMFやEUが、ギリシャ国民に、出稼ぎや移民を禁じて、ギリシャの徴税権が及ぶ会社や工場などで強制労働をさせることなど、できないでしょう。またそのような環境で、ギリシャが通貨発行権(シニョリッジ)を復活させてドラクマが流通したとしても、自国債務がユーロ建てで発行されている以上、ユーロとの交換比率、つまり為替相場はいちじるしく低い評価にとどまらざるを得ません。


これは第一次世界大戦後のドイツのハイパーインフレと同じような混乱をまねきます。けっきょく、国民も、ババ抜きのババのような新ドラクマを支払決済手段として容認しなくなり、(ジンバブエの自国通貨と米ドルの関係のように)、やはり流通するのはユーロだけだったということになりかねません。




しかし、それでも本来手を付けるべきは、レガシーコストそのものであり、金融政策や消費税を弄るのは本筋ではなくて、有権者対策にほかなりません。これまた為政者が確信犯でやっているところです。


有史以来はじめて直接民主制を導入し、ゆえにその制度上の欠陥をあらわにしたギリシャで、いまふたたび衆愚政治の極みが演じられています。ユーロ紙幣の在庫も払底しているし、ドラクマ紙幣の印刷機も錆びついている、ところが、金がなくても自生するオリーブの実をかじり、シュノーケルで魚を啄んでいれば、そのうちなんとかなるだろうと考えて、国民投票結果に浮かれているギリシャ国民。債権者が対抗できる手段はあいもかわらず限られている。「債務不履行のトリガーを弾いてもむしろ損失は膨らむ」と自覚する債権者側は、「ユーロを供給しない」という真綿で首を締めつづける方法を続けて、ギリシャを姨捨山にするしかないと考えていくのではないでしょうか。

2015年6月29日月曜日

ギリシャ悲劇は最終幕なのか?異次元の静けさを装う国債市場と為替市場

ギリシャ国債の三大投資家(俗称トロイカ)とされる国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)、欧州連合(EU)が、仏の顔も三度までと言わんばかりに、明日6月末を以って債務不履行という憶測が広まっています。

EUが継続支援しないという報道が流れたのが、休場の週末であったこともあり、今朝の外国為替市場の再開では、1%を上回るギャップダウンが、EURJPYなどで見られました。下記チャートはEURJPYの週足です。過去の債務危機のときのように何周にもわたって大幅なユーロ下落があったのと比べると、先週から今週にかけてのユーロ相場の落ち着きは嵐の前の静けさのようでもあります(昨年11月から今年3月にかけての長期にわたるユーロ安は、テーパリング観測によるドル高が主たる要因です)。
EURJPY週足チャート アヴァMT4)
同様の現象がより顕著で不気味なのが、ギリシャ国債の利回りとクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の推移です。


ギリシャ国債 CDS 過去5年分


ギリシャ国債 利回り 過去5年分
信用市場の落ち着き(※)、為替市場の落ち着きが不気味なほどであるのに対して、ギリシャの銀行は取り付け騒ぎとなっており、きょうからギリシャの銀行は6日間休業。ATMに並んでもひとり1日あたり60ユーロしか現金を引き出すことが出来ないとなっています。いちぶ報道では、それ以前に、ATMにユーロ紙幣が詰め込まれていないとも言われています。

わたくしのブログでギリシャについて述べてきたことをアーカイヴズから引っ張りだしてきたいと思います。

MF Globalとギリシャは根っこが同じ!?



↖↖↖今回だけはこうはならないのだと思います。




(※)ブルームバーグ社が無料で提供してくれているウエブ上の情報では10年物のジェネリックの数値しかとれていませんでしたが、残余財産分配をより的確に反映する短期債の利回りは週明け顕著に上昇しています。ギリシャ国債2年物は前週末比で12ポイントも上昇して年利33%に(価格は下落)。ギリシャ危機で世界同時株安

2015年6月19日金曜日

インディアンを皆殺しにしたアンドリュー・ジャクソン米国第七代大統領

今週のFOMC(連邦公開市場委員会)は、イエレン議長が記者会見で「年内利上げは1回のみ。雇用情勢次第」と語り、現状の金融政策を維持する内容だったことで、サプライズなしとの評価になりました。

へそ曲がりのわたくしは、FRB(米国連邦準備理事会)がその翌日発表した、一見してどうでも良いニュースに注目しました。

現在、10米ドル(本稿執筆時点で約1230円相当)札の肖像が、アレクサンダー・ハミルトン氏になっているところ、2020年から、女性が加わることが内定したそうです(WSJ)。

Alexander Hamilton to Share Image on $10 Bill With a Woman

アレクサンダー・ハミルトンというひとは、FRBの創設者であり、米国の初代財務長官だそうで、米国の歴史上の重要な女性(未定)と、横並び(?)で写ることになりそうです。

「米ドル紙幣に女性の肖像を」というのは、あまりおおっぴらに反対する人は少なそうです。問題は、紙幣の種類を増やさずに、どの男性を追い出すか???だったろうと思われます。

それは、下馬評では、アレクサンダー・ハミルトン氏ではなく、20米ドル札に描かれているアンドリュー・ジャクソンだったと言われています。

不人気投票で一番の理由は、米国第7代大統領の彼が、中央銀行制度に否定的な人物だったからとされています。

へそ曲がりののわたくしは、ジャクソン大統領に俄然興味を抱いてしまいました。

ところが、この人物のことを、ネットで調べると、日本語ウィキペディア、英語ウィキペディア、ホワイトハウスどっとゴヴ、ヒストリーどっとコム、、、、、、で、なかみがいちじるしく違うのです。

海外由来の内容なのに、ウィキペディアの英語版よりも日本語版のほうが詳しく書かれている(普通は逆)ところがあります。

それは、アメリカ原住民(いわゆるインディアン)に対する軍人としての戦い、女性や幼子も含む非戦闘員皆殺しを徹底指示していたことです。

この点は、ホワイトハウスの資料にはいっさい書かれていません。

また、黒人奴隷をたくさん雇って経済的に成功していたことは、あちこちで書かれていますが、英語版ウイキペディアでは、当時の平均的な奴隷よりも広い場所に住ませ、武器やお金、自由を与えていたと好意的に書いています。

我が国が寄らば大樹と思っている(思わざるを得ない)米国が、現在の戦争にまつわる法律や通念からかけ離れた野蛮で血なまぐさい方法によって、国を形作っていたのが、ほんの200年ほど前に過ぎないことは熟慮に値します。

しかし、スペインによるラテンアメリカ支配と同じく、天然資源と労働力を貪るために、原住民を支配するというエレガントな統治をとらずに大量虐殺し、黒人奴隷に強制労働をさせるというハードランディグな路線をとった理由とは???大統領の発言にはその言い訳もはっきりと示されています。

南北戦争とほぼ重なる時代、日本は黒船来航によって、不平等条約を結ばされこそすれ、その時点では非戦闘員を巻き込んだ皆殺しにはならなかった。ジャクソン大統領がインディアン移住法を成立させたのは、わずか22年前のことです。これはちょっと日本語訳が穏便過ぎると思われ、英語では、Indian Removal Actとなっています。

このような国の形が整っていない時代だったとは言え、当時の中央銀行(第二合衆国銀行)の存続に徹底して異を唱えた為政者が居たことは、ハイパーインフレの末に先頃自国通貨を廃止し公式通貨を米ドルへと切り替えたジンバブエをはじめ、国内銀行への取り付けがはじまっているギリシャの問題や、我が国のアベ黒田ノミクス問題への考えるヒントを与えてくれます。

米国版の樋口一葉となるのは誰か?誰か注目しているのでしょうか??