2010年6月8日火曜日

泣いた赤鬼と椿姫と小沢一郎氏

「国民のために一生懸命政治をやっており、実績もあがっているのに」と赤鬼クン。「国民が聞く耳を持たない」と嘆いた。それを聞いた親友の青鬼クンは「自分が悪役を演ずるから、君がボクを退治したまえ」と。図ったように人気反騰の赤鬼クンを尻目に、青鬼クンは「これまで通り友達付き合いを続けたら、共犯者だ、悪鬼だと思われるだろう。自分は静かにしている」と家に張り紙を残し、赤鬼クンの周辺から身をくらませる。

犠牲(sacrificio)というのは、犠牲であることを悟られないことこそが本質であり、それが故の悲劇もある。椿姫第二幕のヴィオレッタの犠牲を、空気を読めない恋人アルフレードの悲劇がそれであり、肺病病みの高級娼婦ヴィオレッタが、オペラ史上最もファンを引きつけるキャラクターのひとりであり続ける理由もその一点にあるのでしょう。

さて、以上はありふれたブログ的随想であり、当ブログで繰り返し揶揄している日本の政治の仕掛けを読めない大マスコミに対する皮肉です。遡れば、鳩山前首相の故人献金≒子ども手当問題や小沢前幹事長の同様の「政治とカネ」に関する複数の問題が十分発覚していた昨年の衆院戦後の状況判断として、そのまま参院選まで持つ筈がないというのは多少の想像力を働かせれば判るというもの。そこに来て、普天間の期限を任意に5月末と決めてしまったことを単純に鳩山前首相の愚行と看做してしまうことこそ、殆どのメディア人の知能指数が、実は自分たちの掌の上を転がっているに過ぎないと馬鹿にしている政治家トップクラスの人たちよりも格段に劣ることの証左と言えましょう。

さて、普天間5月末期限という仕掛けとともに、もうひとつ考慮しなければならないのが、戦後の歴代の内閣総理大臣の在任期間であります。左のハイパーリンクから資料をご覧頂くと、日米関係こそが最大の決定係数であることがおわかりいただけると思います。選挙民に対するメッセージとは別に、実質的に日米関係を政策の最重要課題として取り組んだ首相が、在任期間の長い順番に並んでいるのです。

新内閣は、小沢氏の犠牲を忘却の彼方に葬って、米国に魂を売るということはないでしょう。しかし、青鬼くん宅の張り紙が剥がれない間、当面、小泉竹中路線のベクトルへと、或る程度のパラメータが振り向けられることが予想されます。国際金融のテーマもこれありです。南欧~東欧問題に留まる筈のないソブリンリスクの顕現化は、大き過ぎる政府への批判を正論たらしめ、大衆の人気を得てゆくものと考えられます。
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