2021年1月21日木曜日

国会議事堂襲撃の資金はビットコインだった!?

 

年末年始、市場の話題を攫って(涼って)いたビットコインが、またもや踊り場に来ています。

 

思い出したかのようにアップさせていただくBTCUSDのチャートがこちら。



「サラリーマン投資家が登場すると、相場もそろそろ大詰めというのは、洋の東西を問わない」と溜息をつきたくなるところですが、そうとも言い切れません。サラリーマン投資家の最たるものである中央銀行や年金が、7年以上、買いあさってきた日本株は、いま昭和バブル期を凌駕する高値圏にいるのです。

 

わたくしの過去のブログのアップでも、おおいに反省すべきものがあるのが、相場はファンダメンタルズで分析しても意味がない、先は読めないということです。インサイダー情報はここで言うファンダメンタルズではありません。

 

ビットコインをフォローするなかでぶち当たった気になるニュースがこちらです。

 

米国国会議事堂襲撃事件関与たAlt-Right Group主要人物フランス人極右青年50ドル相当ビットコイン寄付てい!!!

 

このニュースが気になった理由は、いくつかあります。

 

ひとつ。ワシントンのキャピトルヒルの襲撃は、現職の大統領が暴力を首謀するとは、前代未聞だとか、言語道断だとか、さまざまな感想や意見が寄せられています。いっぽうで国会議事堂のセキュリティはいったいどうなっているのだなど、言われてみれば確かに解せない指摘もあります。

この点、トランプ前大統領に近い情報機関からは、同前大統領は集会や示威行動までは教唆したが暴力にまで走らせたのには別の首謀者がいるだとか、その別の首謀者は俗に言うアンティファという反トランプ陣営で、BLM運動などを通じて米国社会の破壊を企んでおり、その資金源は中国などの米帝転覆を狙う筋だとの陰謀論的な情報まで飛び交っているからです。

アンティファ云々は、絵空事のようにも思え、まともな情報機関は相手にしていないように見えますが、とにかく、歴史、政治、経済、、、科学(新型コロナウイルス感染症の関係を含みます)について、先入観を持たずに、権威の言説を猛進せずに、というのが我がブログの精神なので、そういう意味で、この事件は素直な気持ちで情報を収集し、冷静に分析をしたいと思っていたところなのです。

 

ふたつめ。ビットコイン(をはじめとするブロックチェーン)については、しばしばその本質に迫りたくて分析をしてきました。そのなかで、ビットコインの匿名性というのがあります。この記事によれば、500,000ドル相当のビットコインの送り主も受取人も把握できているわけで、とくに送り主についての詳細など、どのようにして「足がついた」のかについても、記事では開示できないが、ChainAnalysisとしてはしっかり把握できているのだと書かれているのです。

 

ChainAnalysisの記事には、フランス人で、ビットコイン送金後に自殺を図ったプログラマーの遺書が紹介されています。自殺の直接の原因と考えられる自身の体調不良についてのほかに、欧米諸国全体に対する「憂国」が綴られているのです。フランス国内に限らず、また米国にも限らず、欧米社会全体の伝統を蔑ろにする風潮、寄付者の言葉でワイマール共和国的な悪がはびこっているとし、その一例としてBLM運動が参照されています。

 

ところで、巨額のビットコインを誰が送り、誰が受け取ったか、このようにほとんど判明している理由は、わたくしにはよくわかりませんが、送金に使われたとされるフランス版暗号資産取引所のKYCがしっかりしていたからか、送金で使われたウォレットやノードのなかにあるExtremist Legacy WalletExtremist Donor Walletが何らかの理由でChainAnalysisの技術でトラッキング可能だったのかも知れません。

 

それによると、

 

ビットコインの寄付金はひとりの送り主から20口座近くのアドレスに送られていて、一部アドレスの「名義」がわからないものも含まれているようです。しかし、総額の約半分は、米国極右の代表格であるNick Fuente青年ひとりに送られているのです。

 

名うてのYouTuberだったらしい同青年は、同アカウントを凍結されるほどの筋金入りの極右で、有色人種排斥だけでなく反ユダヤでもあるようです。そうすると、ユダヤ人を娘婿に迎えたトランプ全大統領とは政治信条が完全一致するのかと、やや疑問を挟みたくもなります。米国の保守主義というのも幅があるようで、トランプ大統領のユダヤ人贔屓というもどう考えても打算の代物でしょう。Nick Fuente青年がトランプ前大統領を心底惚れ込んで応援団長を買って出ていると考えて間違いはなさそうです。

 

なんとかあらすじを拾ってみようと書いてきましたが、興味がある読者の皆さんは、まずは、ChainAnalysisの記事そのものをご覧ください。わたくしが書ききれなかった細かい情報やニュアンスが詰まっています。

 

この大スクープによって、トランプ派報道機関(Fox NewsNew York Post など)が言う「集会させたのはトランプだが襲撃までさせたのはトランプ(と同じ考え方の人物)ではない」という言説は、さらに怪しいものに思えてきます。さらには、立場が真逆のアンティファが、トランプ派の振りをして、暴徒に混じるどころか、率先して国会議事堂に侵入し暴力行為を働いたというのは、やはり陰謀論にように思えるところです。かと言って、アンティファや一部のBLM運動にも許しがたい問題を引き起こしているものも厳然とあります。

 

自殺したフランス人プログラマーの、ワイマール共和国という譬えに沿うならば、まさに現在の米国は、ワイマール共和国成立後、国家社会主義労働者党と共産党が対立し、中道派が瓦解したドイツの状況に似ているのかも知れません。記事中のAlt-Rightとアンティファ、どちらが正義でどちらが悪者なのか、、、という観点でしか物事を判断できないひとが蔓延してきていることこそが、人類社会の崩壊の証左なのでしょう。

 

最後に余計なひとこと。実はアンティファだったというのが陰謀論ではなくて事実であったみたいなことは歴史上いくらでもあろうかと思います。我が国でも、安保闘争を暴徒化させた資金は、大東亜戦争後は代表的な右翼となった田中清玄から全学連に渡っていたものだったとされますが、なかには元外交官の孫崎亨氏のように、田中清玄を経由させた資金の出どころはCIAであり、その狙いは、岸信介で退陣あって、見事に狙い通りになったと説かれています。もちろんこの説が出鱈目だというひと(とくに安保闘争の当事者だったひとたち)もいます。

 

2021年1月7日木曜日

コロナ第三波で、世界のお金持ちは、何を考えているのか?

お陰様で、Daily WiLL Onlineのおカネに関する連載が6話完結したいま、人気記事ランキングのトップファイブを独占するに至りました。

もうこれ以上は記事が更新されないので、あとは、陥落のみです(苦笑)。

 

MMT(現代通貨理論)を皮切りに、金(ゴールド)・銀・銅を切り口とした異説日本史を経て、最終回はいま熱過ぎるビットコインなどの暗号通貨の話題で締めくくったことが、反響を倍加した感じです。

 

MMTをきっかけにしたのは、怪しい経済理論であるにもかかわらず、コロナ禍のもとで、先進諸国は議論する余裕もないまま、未曽有の財政赤字の急増がなし崩し的に意思決定され、ロックダウン(日本では緊急事態宣言に伴う時短などの自粛要請)とセットでの給付金対応を迫られているからです。

 個人的には、給付金はフェアであってほしいですが、それそのものを否定したくはありません。

 「コロナ勝ち組」、「コロナ負け組」などという、品(ひん)の無い言葉もあります。

 人間たるもの、いまどちら(側)の産業に従事しているかには、運の要素が強すぎて、努力で克服できるレベルを超えていると思うからです。

それにしても、「コロナ勝ち組」の連中や、これまでしっかりと現預金を溜め込んできた世界のお金持ちが、いま、何を考えているかを想像してみることは重要です。2021年の相場を見通すために、十分ではないが必要な、考察です。

彼らの多くは、景気循環のひとつの局面である景気後退期から不況または恐慌の時期にあっても財政支出を支持しないものなのです。ましてや、とりわけ今回のようなショックは、資本主義に内在する景気循環の結果ではなく、外生的なものです。ならばなおさらのこと財政出動で和らげられる性質のものではないと考えます。

しかし、民主主義の政体は、「外生的ショックの緩和には財政赤字は有害無益」という《正論》では支持を得られません。次善の策として、資産防衛のために、インフレーションやスタグフレーションに耐えられる資産(アセットクラス)は何か無いものかと、死に物狂いで模索します。

この候補者選びもまた《正論》は存在しません。ケインズの美人投票のような過程で絞り込みがなされてゆきます。

ビットコインも第三波!?暗号通貨からマネーの本質を探るで、

「金(ゴールド)など貴金属には実体(としての価値)があるが、暗号通貨は実体が空っぽである」

という言説は誤りであると、連載全体の結論として締めくくりました。金(ゴールド)やビットコインなど、通貨(貨幣)の代替候補に人気が出てきている(法定通貨に対する相場が急騰している)のは、物体(使用価値)としての実態(実体)とはほとんど無関係の、決済手段としての信任です。

その信任には、《合理的な根拠》は不要ですが《緩やかな合意》は必要です。信任される通貨(の代替候補)は、どんな物体(ハードウエアとソフトウエアの両方を含む)でも良いわけではありません。《絶妙な程度の希少性》が必要で、地球上に少なすぎても多すぎても候補から漏れます。すなわち、

造幣する費用≦偽造する費用≦市場価値(流通価格)

これを満たしていて、過去~現在~未来も安定的にそうであると、通貨として採用するコミュニティ内で合意形成されるものでなくてはなりません。長い時代、それが一部の貴金属に限られていたこと、刑務所や強制収容所などではタバコが、貴金属が「絶妙な程度の希少性」を超えて希少過ぎた古代中国においては、コミュニティから十分距離の離れた海外で採れた貝殻が、使われていた事例などは、この《法則》を裏付けるものです。

コロナショック(2020310日)の週【赤くて太い点線の長方形】は、条件反射的にリスクオフで軒並み急落した、以下の代替通貨候補が、波打つように、その後は(対法定通貨=チャートは対ドル)相場を回復させていること、そのピークは、例えば金(ゴールド)とビットコインとを比べると、特に理由はなく、有意にずれていることなどがわかります。

【金/ドル】


ビットコインのチャートは、Daily WiLL Onlineの記事では、第一波(20141月のマウントゴックス破綻まで)、第二波(20181月のコインチェック事件まで)、第三波(コロナショックから現在)の三つのピークがよくわかるように、対数表示にさせていますが、以下では、通常の表示で、過去1年分の動きをご覧いただいております。

 【ビットコイン/ドル】


連載の最終回を書いたのは、先月つまり2020年12月の中旬で、そのころビットコインは20,000ドルを超えて大騒ぎしていたときです。それが、本日2021年1月7日のただいま現在は、その倍である40,000ドルを超えるのは時間の問題みたいな雰囲気です!!

おまけで、年末にご紹介した「リップル疑獄」にちなんで、リップル/ドルも挙げます。年明けも比率で見れば異様な乱高下ですが、《リップル送金手数料闇補助金問題》が解決されておらず、この先も不透明です。

【リップル/ドル】

更に、年明け一層のモメンタムが出ている原油相場について。こちらは、コロナショックから1か月経ったところで、先物限月交代に伴う《買手が現物を受け取るタンクがない》問題で未曽有の価格がマイナスという現象がありましたが、気がつけば、コロナショック前の価格を回復しています。これも、貴金属、暗号通貨と並べて、代替通貨選択にノミネートさせてあげるべきです。原油の倉庫証券は立派な代替通貨候補です。しかし、引き取り手の倉庫がなくなるのは困るので繰り返されたくないところです。

【原油(WTI)/ドル】


大まかに振り返ると、コロナショック後、世界のインフレヘッジャーたちは、タイムラグを経つつ、金(ゴールド)、ビットコイン、原油を現預金の疎開先としてコンセンサスをうかがおうとしてきて、またそろそろ次は何か?不動産や株式は、ほんとうなら、コロナ禍で実体価値は減耗しているのだが、金やビットコインでの相場操縦の成功体験は、不動産や株式をも例外とさせない可能性は大いにあるのです。

最後に、暗号通貨関連でおまけ。ビットコインも第三波!?暗号通貨からマネーの本質を探るで、ブロックチェーンの歴史を超絶わかりやすく(?)振り返るために名脇役を演じてくれたのがステーブルコインでした。ドルなどの法定通貨とずっと(?)一対一で交換を発行体が約束する暗号通貨のことです。これを、米国の通貨監督庁(OCC※)が、米国内の銀行間の決済手段として(例えば、Fed Wireなどの代わりに←筆者注)利用して構わないというニュースが流れました。

FederallyChartered Banks and Thrifts May Participate in Independent Node VerificationNetworks and Use Stablecoins for Payment Activities

こちらは、それを日本語に翻訳して紹介しているニュースですが、これだと、米国内の銀行が、日本でいう仮想通貨交換業(現行法の暗号資産取引業の一部)の兼営が許され、さらに日本では許されていないステーブルコインの取り扱いまで許されるのかとも読めるのですが、そのようなB2Cの話ではまだなさそうです。

米通貨監督庁(OCC)、国法銀行にステーブルコイン利用とノード運営を許可

これは、年末年始の暗号通貨界の話題としては、リップル疑獄に次ぐマグニチュードのものであると評価されます。

※暗号通貨に関与する米国当局には、SEC(証券取引委員会)、FinCEN(金融犯罪捜査網)があり、各当局の態度が異なるので、なかなか困った状況なのだと考えられます。