2010年5月31日月曜日

リーダーの賞味期限

みずほ、JAL、そして日本
このようなタイトルの論説が各種メディアを賑わすのもそう遠くない日かも知れない鳩山首相の周辺であります。勿論、このブログの趣旨は、鳩山首相の退陣を煽ることではありません。「“政権交代”があったにもかかわらず、、、」という言い方を敢えて控えましょう。“出身政党”は違うのに(元は同じ?)、安倍、福田、麻生、そして或る程度の確率で鳩山と、賞味期限が1年の内閣(総理大臣)が4回も続くかも知れないという《絶望的既視感》は、もはやリーダーひとりひとりの個性や、政党の組織や人材の問題など、特定の原因に帰することが出来ない段階にまで来てしまっております。

メガバンクで言えば、みずほグループ。事業会社で言えば、日本航空。これらの病理が経営者一人の力ではどうしても治癒も切除も出来ないのと同じように、この国の政権中枢もまた、そこ自身の問題だけでなく、選挙制度や国民の気質、そのどうしようもなく低い民度に迎合することでしか生き延びることが出来ないビジネスモデルを知っていて続ける大手マスコミの揚げ足取りと出る杭を悉く打つ戦略、これらのドロドロとした総竦み状態に陥っており、これを断ち切らなければ日本航空と同様に国家が墜落するという危機感と実行力を持つ人材は、そういう性格故に、たとえ政治家を志したとしても、なかなか首相の座までには至ることができない構造にあるわけです。

大統領制、または首相公選制、なら、、、否、少なくとも全国区かつまたは比例代表制を重視すれば、と単純に主張するものではありません。

絶大な支持率を誇っていた英国ブレア首相とポンド相場
拙書“為替力”で資産を守れ のなかでソフトブレーン創業者の宋文洲さんが「安倍さんも福田さんも1年で辞めても日本は大丈夫だ。と思われるから、平気で辞められるんだ。。。日本は世界でも稀な『鼓腹撃壌』を謳歌している住みやすい国だ」という趣旨の発言をしておられます。いつまでそんな天下泰平が保たれるかという問題はありますが、宋文洲さんとの対談の内容には一理あります。圧倒的かつ持続的な人気を背景とした強力な個性のリーダーが、一見眩(まばゆい)い政策を続けた結果、取り返しのつかない禍根を残すという話が、ここのところ私のブログでご紹介した舞台演劇「ザ・パワー・オブ・イエス」で描かれておりました(英国の「新」労働党政権下で進められた「歪んだ」市場原理主義と金融依存、、、それに、演劇の範囲外ですが、イラク戦争も無縁ではありません)。

議員内閣制の英国ですらそうです。トニー=ブレアとゴードン=ブラウンの組み合わせで「17年連続の経済成長を果たした」(上掲「ザ・パワー・オブ・イエス」)英国は、ピーク時のポンドが対円で250円にも達し、円貨換算でロンドンの地下鉄の初乗り運賃が1000円を超えるという、常識で考えれば何か変という状態から、現在為替は「半値」近くになっているのです。英国経済の実態は、南欧経済が他人事と言えない深刻な状況です。

まして、米国の大統領制を真似て、力強いリーダーシップを、と単純に唱えれば良いというものではありません。

鼓腹撃壌と古代ギリシャ
日本の民主主義は、その最も醜いところ、リーダーの支持率下落で御祭騒ぎをすることしか脳のない「衆愚」と大胆な政策が一切取れない「事勿れ主義」が竦み合っている状態であるが故に、致命的に間違った政策も実行されない・・・世界で何か激震が起こると必ず円高になることと無関係ではありません・・・日本円は政府がこれだけ借金をしていても、金利を生まない金(ゴールド)と同様、金融ショックでは最も好まれて買われる「通貨」の位置を確実にしています。

日本はこれから先も、没個性のリーダーを一年毎に更迭し続け、衆愚と事勿れ政治にどっぷり漬かって天下太平をエンジョイして行けるのかどうか?これが難しいところです。今話題のギリシャは、言わずと知れた古典古代に於ける民主主義の原点です。つまりそれは衆愚政治の原点でもあり、それゆえ共和制の崩壊と多民族による支配を経験したのち、近現代のヨーロッパ大陸の中でも、国家の独立と民主政治を勝ち取るまでに最もエネルギーを要した国のひとつに陥ったと言えます。この因果関係は些か強引ですか、現在の日本に住む我々が最も重視しなければならない教訓のひとつでしょう。
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