2020年9月30日水曜日

日宋貿易を独占した総合商社のドン、平清盛の実像 ~歴史で考える「MMT批判」

今月も、月末ぎりぎりとなりましたが、WiLL Onlineに新しい記事が掲載されました。

第3話「日宋貿易を独占した総合商社のドン、平清盛の実像~日宋貿易から考える「MMT批判」」

先々月、先月の記事も長めで読者の皆さんを煩わせたこと必定ですが、今回も長いです。

しかし、過去記事の二本は、ピーク時、WiLLの経済部門で人気№1、№2を独占することができました。こちらのブログとは異なり、コメント欄がないので、実はディスられているのかも知れないですが。

第1話「バカボンのパパはやはり天才だった」

第2話「聖武天皇は日本史上初のMMTerだった!?」

経済(とくにマネー)と歴史と鉱物学とを、なるべく予備知識なしで、楽しく、それでいて浅薄にならないように説明してきたつもりです。それでも、どうしてもしばしば聞きなれない用語が突如としてあらわれてしまうことがあります。今回は、平清盛編を少しでも楽に読み進めていただけるよう、わたくしのブログで、語釈をつけてみることとしました。

安徳天皇    生後1か月で皇太子に、満1歳で天皇に、満6歳で壇ノ浦に沈んだ。父は高倉天皇、母は建礼門院徳子。ゆえに、後白河天皇(後の上皇・法王)は父方の、平清盛は母方の祖父ということになる。

自国通貨建てVS他国通貨建て    日米貿易で言うと、輸入(輸出)代金を円で支払う(受け取る)のが自国通貨建て決済、ドルで支払う(受け取る)のが他国通貨建て。ドル円の流動性が十分であれば、貿易決済が自国通貨建てか他国通貨建てかで有利不利はないはず。しかし、「ドルは(元)基軸通貨なので日米貿易もドル決済が主流であり、これはドル(米国)の既得権益だ」と考えるのが一般常識らしい。

改鋳(かいちゅう)    硬貨(金属貨幣)の材質(例:銅と鉛の比率)を変更すること。多くの場合、貴金属の比率を下げ、卑金属の比率を上げる、つまり質を悪くする(degrade)という意味で使われるが、必ずしもそうではない。

外貨準備高    貿易を国家が独占している場合(例:鎖国下の徳川幕府、明(みん)の勘合貿易)または貿易に民間が携わっていたとしても為替相場が固定相場制の場合、貿易黒字は中央政府または中央銀行の対外的な貯蓄となる。これが外貨=基軸通貨で貯蓄されている場合、外貨準備高=対外純資産となる。

南家⇒式家⇒北家 中臣鎌足(藤原鎌足)の次男(※)藤原不比等の4人の息子(※※)、武智麻呂、房前、宇合、麻呂を藤原四兄弟(藤原四氏)と呼ぶが、第2話「聖武天皇は日本史上初のMMTerだった!?」 の通り、四兄弟は全員、天平の大疫病(天然痘)で死亡した。武智麻呂は藤原南家の開祖であり、上記第2話の「主役」藤原仲麻呂はその息子。房前は藤原北家の開祖であり、平安時代に摂関家として全盛を極める冬嗣~道長・頼道の先祖。宇合(うまかい)は藤原式家の開祖で、その長男広嗣は九州で乱を起こすが、橘諸兄・吉備真備・玄昉を排斥することに失敗。式家が再び脚光を浴びるのは、孝謙天皇=称徳天皇崩御後、道鏡排斥へと動いた同八男百川(ももかわ)から。麻呂は藤原京家開祖。

(※)一説に、中臣鎌足の息子ではなく天智天皇の落胤とも。

(※※)聖武天皇の母藤原宮子も、聖武天皇の皇后となる藤原光明子も、藤原不比等の娘である。四兄弟のうち麻呂の兄貴の三人、宇合、宮子、光明皇后は腹違いなので、色分けしました。

通貨発行益    シニョリッジとも言う。政府・中央銀行が発行する通貨・紙幣から、その製造コストを控除した分の発行利益。「シニョール」(seignior) とは古フランス語で中世の封建領主のことで、シニョリッジとは領主の持つ様々な特権を意味していた。その中には印紙税収入や鉱山採掘権などもあるが、特に重要なのが貨幣発行益であった。中世の領主は額面より安価にコインを鋳造し、その鋳造コストと額面との差額を財政収入として享受していた。

スカルン鉱床    石灰岩などの大規模な炭酸塩岩が発達する地域で、花崗岩などの火成岩が貫入した際に発生する熱水により、交代作用(変成作用のひとつ)が起こり、炭酸塩岩が単斜輝石や柘榴石などに置き換えられることがある。これをスカルンと呼ぶ。この時、鉄、銅、亜鉛、鉛などが、酸化物や硫化物の形で一緒に沈殿することで形成する鉱床がスカルン鉱床。

赤字国債    特例国債とも言う。財政法第四条により日銀引き受け(財政ファイナンス)を禁止されているが、民間(例:市中銀行)が引き受けた赤字国債を公開市場操作の名目で日銀が購入することができる(買いオペという)ので、財政ファイナンスは実質的には禁止されていないことになる。

以上、Wikipedia、松原聰「鉱物ウォーキングガイド 関東甲信越版: 歩いて楽しい! 都内近郊の鉱物めぐり26地点」、高木秀雄「日本の地質と地形: 日本列島5億年の生い立ちや特徴がわかる」などを参考にして作成しました。


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