2008年9月12日金曜日

寝た子を起こすな!

●米リーマン、複数の金融機関に身売りを打診(9/12WSJ)
バンカメが筆頭候補とも。しかし、買収後の追加損失への懸念が根強く、(我が国で長銀・日債銀の一時国有化後のファンドへの売却の際に用いられた)瑕疵担保条項のような、追加損失は政府が補填する形でのバックストップを潜在的買い手は求めているとWSJは報じている。

米リーマンの株は、連日の暴落を演じつつあったところ、WSJのスクープで一挙に反騰。買い手候補の筆頭と報じられたバンカメ株も高い。

●ファンフレッド救済で米財務省が異例の説明-邦銀・生保に対し債権継続保有を個別に懇願(9/12日経)
普通株や優先株の損失は自己責任。でも、ファニーメイとフレディマックの債権は、もともと暗黙の政府保証付きで、米国債よりちょびっとだけプレミアムが乗っているということで、我が国のサラリーマン投資家には魅惑の金融商品であり続けていた。

しかも国家管理に置かれるのだから、却って益々安心していたところ、
「大丈夫ですから、売らないで_m(..)m_^^;~~;**;」
と言われると、寧ろ不安を書き立てられるのではないでしょうか?

米財務省に藪蛇(やぶへび)だと教えてあげたい。
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2008年9月11日木曜日

投資銀行って、いったい何ですか?

●北朝鮮の独裁者、健康状態に重大な疑問(9/10WSJ)
核無能力化交渉は予断を許さず、と同紙。

ここ数日の金正日氏に関する報道をどんなに一所懸命チェックしても、多くの読者の疑問

「金正日氏が亡くなったら(既に亡くなっていたら)北朝鮮はどうなるか?極東情勢はどうなるか?」

に答えてくれる報道は殆ど見当たらないのではないでしょうか?

「天皇に戦争責任は無い」とは先日引用させていただいた中曽根康弘氏の著書の通り。戦後教育に毒された世代も含め、我が国が日中戦争の泥沼に入り込み、日米開戦を余儀なくされ、そして無条件降伏したことが天皇の責任だと信じている人は今では殆どいない筈。明治以降、戦前の我が国は、形式上の権力=カリスマを目に見えない実態上の権力が取り巻き利用するという構造を作り上げていたと考えられます。

恐るべきことに現在の北朝鮮にこれは当て嵌まるのではないかと。金正日氏というカリスマを取り巻く本当の権力者による外交戦術は残念ながら見事としか言いようがありません。

企業の場合だとトップが世襲するような組織や風土では、有能な取り巻きは離散し、日本の場合でも2代、3代と事業が継続繁栄することは稀になってきています。現代の企業制度においては名ばかりの社長というのは難しくなっており、競争しながらの営利追及、重大なリスクを伴う経営判断、従業員のヤル気を引き出す人間力、、、等々の激務は社長に集中してしまわざるを得ないからでしょう。国家の場合は、この権能を象徴的カリスマと目に見えないが有能な権力者=執行部に分けることができる。そういう不透明な構造をぶち上げることが出来る。北朝鮮に限らず、見た目は透明性が確保されていそうな民主国家でも法治国家でもこれは可能。どこかの国の、三権分立とは名ばかりの立法府⇔行政府の凭れ合いは格好の例です。

国家と企業の違い、、、亡命や脱北は転職や離職ほど楽ではない。

我が国の恐らく多くの人々は、正日氏に何かあれば、周りが放っておいても現政権が自ずと瓦解すると期待するでしょうが、以上の理由によりこれは当然には難しいでしょう。ローマ帝国を潰した傭兵オドアケルのような人物が出てきて北朝鮮正規軍を崩壊させれば別ですが。

●米リーマン、39億㌦の赤字-6月~8月(9/10WSJほか)
20年前、社会人1年目だった筆者たちが屯していた独身寮に遊びに来た副支店長さん。日曜日の夕方からビール片手に「投資銀行だ、投資銀行だ、って頭取は言うけど、投資銀行って一体何だい?要は“株屋”になれってことだろぅ?」とおっしゃっていたのが記憶にあります。

事業を分解して、決済リスクを伴うビジネスと、投資リスクを伴うビジネスを分離してくれることは零細ブローカー社長としては手放しで歓迎。
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2008年9月10日水曜日

【夕刊】ただより高いものはない

事故米がFX業界にも存在?FXのスプレッド競争、過熱の果てに。。。

(以下、トレーダーズFX社IRから引用)
平成20年9月9日付、弊社は、財務の健全性を示す自己資本規制比率が低下していることを考慮し、誠に勝手ながら、事業を休止させていただくことを決定致しました。
平成20年7月11日に営業活動を開始し約2ヶ月が経過致しましたが、商品コンセプトとしておりました業界最高水準でのスプレッドにてサービスをご提供していくには、運用している取引システムの現在の機能だけでは、市場リスクを適切に管理することができない状況であると判断致しました。
(引用終了・・・赤い太字は筆者)


日本語として少々理解に苦しむところもあるのですが、「業界最高水準でのスプレッド」というのはドル円のスプレッドが最低ゼロ銭からというもの。いくら仕入れを叩いても小売レベルでゼロ銭は無理。小売客と向かってポジションを呑み、市場リスクを臨界点ギリギリまで張ることでしか事業は継続できないでしょう。だから「市場リスクを適切に管理できない」となると事業を中断せざるを得ない。。。そう読めば良いのでしょうか?

当事者ではないので断定的なことは言えません。関連する事実として、FX業界の心ある社長仲間による当局への“陳情”の成果なのか、FX注文をカウンターパーティに繋がずに過度な市場リスクを取っていないかどうかという緊急調査を先週末から金融庁が始めています。真の顧客保護という意味で画期的な良い流れだと考えられます。

カウンターパーティと言えば、今夜決算発表の米リーマン。公的救済は避けられないとする意見の主はデリバティブ取引のカウンターパーティリスクが顕現化すれば市場全体が混乱する。税金を使う対象・目的は民間企業一社ではなく連鎖する金融システムという公器に他ならないという考え方。

ちなみにフェニックス証券のカウンターパーティには米リーマンは入っていませんが、それを殊更自慢するのではなく、事業を襲うリスクはどこにでもあるという謙虚な態度こそ大切だと珍しく朝礼で吠えました。
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晩夏の夜の夢

●ファンフレッド救済は歓迎されたが、新たな疑問が(9/9WSJ)

●リーマン株45%下落、韓国産業銀行による買収案件の破談で(9/9FT、WSJ)

ポールソン財務長官が発射したバズーカ砲が打ち込まれたのは月曜日の極東市場でした。メディアも市場もドルと株の買戻しサインだと無条件に反応しましたが、誰しも論理的根拠に心底納得して買い戻したわけではなかった筈。

ポールソン氏の“変心”を手放しで歓迎した中国人民銀行。外貨準備の多くが米国債だけでなくファンフレッド発行の機関債で運用されていることが背景にあるのでしょう。

両立と均衡が難しいセーフティネットと税負担の問題。昨日報じたとおり、オバマ氏側からもマケイン氏側からも政策的立場表明は聞こえて来ません。

●金正日総書記、重病か(9/9WSJ、FT、日経ほか)
米国高官によるとここ1ヶ月以内に脳卒中で倒れた、とか、中国から医者を呼んだ、との説も。

北朝鮮は中国の自治区なのでしょうか?
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