2009年1月13日火曜日

ガザ危機と商品相場

「七転び八起きブログ」をご愛読くださっている皆さまのなかには、当ブログがガザ危機についていまだに取り扱わないことが不思議だと思われているかたも少なからずいらっしゃるのでしょう。無視を決め込んでいるわけではありません。イスラエルとパレスチナのいずれかに利害関係があって、書きづらいという事情があるわけでもありません。むしろ、ご想像の通り、我が国で入手可能な大手マスコミの情報から導き出される「図式」

少数民族パレスチナ人が被害者⇔イスラエル人が加害者←国連安保理決議でアメリカが棄権

という、勧善懲悪の歴史観に、大国主義の国連が機能しない(米国の政権が「ユダヤ人」票なり「ユダヤ人」の資金力を無視できない)姿が加わる「図式」は、確かに我がブログが従前から忌み嫌っている一方的な見方かも知れません。しかしながら、この一方的な決め付けに対峙できるような情報もまだ入手できておらず、我がブログ独特の天邪鬼なものの見方をご紹介できずにいるというのが本音です。

グルジア問題や北朝鮮問題を通じて、マスコミ等が喧伝する一方的な勧善懲悪を信じてはいけないと繰り返してきた「七転び八起きブログ」。これらにも増して「ユダヤ人」についての関心は、昔から深かったのですが、これまた書籍を含めたメディア全般において、日本において十分な客観的な情報を手に入れることが極めて難しい分野。「ユダヤ人」と鍵括弧付で書いてきたのも、民族の定義からして問題含みであるという指摘がこれまでにも随分されてきました。ここでは、「ユダヤ人」の全てがシオニスト(ユダヤ人は独自の国家を持つべきである《イスラエルを建国すべき》という立場)ではない。シオニストの全てがガザ侵攻に賛成なわけではない。という点だけお伝えし、引き続き私の独自の調査と勉強を続けて参りたいと思います。

宗教問題、民族問題、そして政治について「あっけらかん」としているのが、(例外は多々あれど)日本人の美徳だと申し上げてきましたが、この点逆に、「日本人は外国人相手に宗教、民族、政治の話題をしてはいけない」などと注意が繰り返されることがあります。私自身がこの注意書きを無視して大変なことを招いたことがあるのです。約13年前、イタリアはフィレンツェの料理屋で米国から旅行に来たとおっしゃる中年のご夫妻と席が一緒になりました。職業は、旦那様が大学教授で、バッハ以前の音楽を研究されていらっしゃるとのこと、一方、奥様はお医者様だとのこと。ここでピンと来るべきだったのですけど、音楽の話を徹底的に聞きだしている間に、例の注意書きを忘れてしまいました。名物のTボーン・ステーキを食べ終わる頃、お住まいを聞くと、ボストンだとか。既に酔っ払っていた私は、余計なことを口に出します。「ボストンと言えば、キッシンジャー元国務長官をはじめ、米国在住のシオニストが多く住んでいるところでしょう・・・」。当時の私のユダヤ人に関する知識は、シオニストのユダヤ人とそうではないユダヤ人はもともと民族の出自が異なるという「説」でした。「それは違う!、シオニズムは立場であり(建国)運動である」と、旦那様が興奮気味に語ると、奥様はそれは微妙に違うのでは云々と、旅行気分を台無しにさせる夫婦喧嘩のキッカケを与えることになってしまったのです。締めは「あなたは最初からお判りのとおり、わたしたちはユダヤ人だ。しかし、僕はシオニストだが、妻は違う。立場が違うんだよ」と。

「あっけらかん」と異文化を学ぶのは好奇心を満たすには良いのですが、随分な迷惑を掛けてしまったと今でも申し訳なく思っています。同一宗教(同一「民族」?)だが立場(時に「宗派」?)が違うということが、しばしば日本国外では大きな意味を持つという現象を、わたくしたちは、何何原理主義云々を待たずして垣間見ることが出来ます。何となく仏教徒の子孫という程度の意識の我々の多くが、恋愛や結婚をするときに、宗派は何処かなどと気にすることは一部の例外を除きないのではないでしょうか。

恐らく二度と会えないであろう、あのときのご夫妻に、おふたりそれぞれの立場でガザ問題について伺ってみたいような、万万が一再会してもその話題を避けて、「Tボーンステーキ、味は忘れたけど、美味しかったですね!」という当たり障りのない会話に終始したいか、複雑な心境に陥らせている今日の状況です。

パレスチナ地域を囲み、イスラエル=米国と対峙するアラブ諸国の立場も、決して一枚岩ではない点、最後に申し添えます。ガザ地区で修羅場と向き合うパレスチナ人に同情しつつも、難民流入は困るとして、支援に消極的なエジプトとレバノン。その両国を非難し、反米・反イスラエルを強硬にアピールするイランとシリア。

それにしても、原油価格は上がりすぎても下がりすぎても、紛争の火種になります。18年前の湾岸戦争も、その直前は商品価格が歴史的な安値圏だったことを忘れてはなりません。
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2009年1月8日木曜日

FXで夢を叶えよう

今日のタイトルは、珍しく、フェニックス証券の宣伝コピー。年初から2月いっぱいまでのキャンペーンです。口座開設をしていただき、どの通貨でもいいので、一回取引をしていただくと3000円のキャッシュバックというもの。宣伝コピーは、東欧通・中央アジア通で知られる(?)フェニックス証券の外国為替部長が考えたものです。

プレスリリースもしました。

プレスリリースでは、同時に、毎日お読みいただいているこの「七転び八起き社長のFXダイアリー」が1月31日に書籍化され出版されることもアナウンスしています。書籍の題名は、

『為替力』で資産を守ろう~世界を見る、経済の先を読む力がつく~

というものです。ブログの内容を抜粋し、現時点でも古びていない記事を中心に、テーマ毎に整理しつつ、日々ブログを読んでいただくときと同様の臨場感や緊迫感を失わないように、原則加筆訂正は殆ど行なわっておりません。森永卓郎さんや宋文洲さんとの対談、『為替力』が身につく用語解説など、書籍ならではの構成をお楽しみいただければと思います。

書店やネットでお買い求めいただければとても嬉しいですが、ちなみに冒頭のキャンペーン「FXで夢を叶えよう」の特別プレゼント企画にもなっております。どうぞご活用下さい。

今週は書籍の準備作業が大詰め。ブログの更新が順調ではなくて、まことに申し訳ございません。
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2009年1月7日水曜日

バーレーンの格付けと米財政赤字

●バーレーンを格下げ方向で見直し、ムーディーズ(1/6FT)
イスラエルのガザ侵攻で中東情勢流動化を受けての措置かと思い、記事を読んだら、全然逆でした。
原油価格の暴落による国家財政の負担増が原因とのこと。ガザ侵攻で原油が50㌦まで戻しているのはむしろプラス材料なのか。

バーレーンは中東諸国のなかでは、原油輸出以外の収入源の多角化が図られているほうだが、それでもピーク時の三分の一程度に低迷する原油価格では財政状態の維持は困難と見られている。ムーディーズの現在の格付けはA2。

もっとも、当ブログでは、格付機関はもとより信頼しておりませんが。

●アルコア、15,000人雇用削減(1/6WSJ)
期間社員含む全従業員の15%に相当。

●米財政赤字、2009年度は1兆㌦へ(1/7Reuter)
財政赤字の天井がなくても、さすがに自動車やアルミそのものを公的資金で買い上げるわけにはいかないでしょう。
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2009年1月6日火曜日

天然ガスと集団的自衛権

●ウクライナに対するロシアの天然ガス供給制限に対し、EUは中立を保つ(1/5IHT)
ロシアとウクライナの間の天然ガス価格に関する条件闘争は3年前にも起きていた。前回はウクライナ側を支援したEUだが、今回は仲裁役を務めず中立を決め込む、とインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙。

EU圏は、そのガス需要の25%をロシアに依存しており、更にそのうちの80%がウクライナ経由。月曜日ロシアが通告した更なるウクライナへの締め付けはヨーロッパを打撃する。特に、ブルガリア、ルーマニア、チェコ、ハンガリーは直ちに緊急事態に陥るとの報道も。

それでも、今回は、

★ロシアはエネルギー価格の暴落に直面していること

★ウクライナは経済危機に直面しており、ロシアが要求しているガス価格を支払うとなると、IMFが合意した経済援助資金(約160億㌦)相当分が一挙に枯渇すること

紛争当事者双方に弱みがある点が、2006年の同様の紛争と異なる点だと指摘。

昨日発売の「週刊ダイヤモンド」。長期連載中の櫻井よしこさんのコラムのなかで外相・陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交はいかなる正理に根拠するも、その終極に至りて失敗を免れざることあり」を取り上げています。櫻井氏は「日本が、米中合同管理体制への従属を避ける道はたったひとつ。外交と軍事は一体であることを認識し、自衛隊を国軍とすること」と説きます。

その先、一足飛びに「集団的自衛権の行使を可能にする」ということに結びつける。または万能の切り札としての集団的自衛権が先ずありき、という議論をするから、非現実的な抵抗に遭うのだというのが個人的感想ですが。自衛隊はソープランドと同じだ、違憲だが合法だ、という解釈改憲の泥沼からはそろそろ卒業しなければならないのは事実。しかし、自衛権と集団的自衛権の差は著しく、そこに歯止めを掛けて、大国の論理で自衛隊派遣について日本国独自の裁量を奪われるようなことがあっては絶対にならない。余計なおせっかいであったイラク介入で力尽きた米国が、もはやイスラエル対ハマスに実効的な介入が出来ない状況に陥る中、前掲の天然ガス紛争。世界が多極化すると思われる中、与野党論客には大国の利益代表ではない立場で議論をしてほしいものです。

陸奥宗光の言葉「兵力の後援なき外交」。「兵力」と並べて、エネルギーなど天然資源も加えておくべきと、前掲のインターナショナル・ヘラルド・トリビュン紙は物語っているようです。
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