「好不況や円高円安はたいした問題ではない。経営者が本当に恐れるのは技術革新だ」
技術革新すなわち創造的破壊こそが、資本主義の裏と表の実像であり、その裏表がオセロのように一挙に入れ替わることが企業家にとって夢でもあり悪夢でもある、、、という話を、最近ブログ等で取り上げるようにしております。
只今発売中のFX攻略最新号にも、そのような話を書かせていただきました。是非ご一読ください。
それでは、恒例と言いつつしばしばサボっている、過去記事(2011年11月号)から。
「ことりFX」で為替の新時代を迎え撃とう、なんて言うとまたフェニックス証券の宣伝かと思われそうですが、この時期に為替新時代を宣言することには大きな意味があります。
「ヨーロッパ全域を統一通貨圏に」という試みは21世紀初頭の壮大な実験だったと後の歴史家が評価するかも知れません。ナチスの第三帝国とは関係ない話ですが、ユーロ構想は、ローマ帝国の膨張やフランク王国の成立に続く偉業でもあり暴挙でもある・・・逆にそれ以外の時期のヨーロッパは、戦争や小国(含む都市国家)の分裂に明け暮れており、大雑把過ぎる大局観をお許しいただければ、地域全体の統一のメリットとデメリットの比較評価で何十世紀も揺れ動いてきた後の“一旦の”結実が統一通貨圏構想だった。。。
過去の巨大帝国との違いは、もちろん“平和裏に”各参加国の財政政策と金融政策の裁量を“奪った”ところにあります。ドイツ哲学の伝統の一端を担う弁証法で言えば、過去の分裂と統一のメリットデメリットを止揚(アウフヘーベン)したものにも見えます。
これらのうち、金融政策の放棄は自明です。が、財政政策については「毎年の財政赤字はGDPの3%までよ」などのルールは「表向きだから、裏で色々やりようがあるからね」という、ただただ参加国を増やすための二枚舌が、統一理念の土台自体を腐らせる欺瞞であることを“改めて”白日の下に曝したのが、ギリシャ危機、改め南欧危機、更に改めフランスまでも含む「ドイツ以外のユーロ圏危機」だったのです。
そこまで無理をして騙し騙し欧州全体に固定相場制を広げるメリットが域内唯一の貿易黒字国(=資本輸出国)であるドイツに集中していたことに注目すべきであるし、しかもそのドイツ国内の論調としては「公務員が58歳で退職し、現役時代の8割の年金をもらえる。政府は破綻寸前なのに、国民の大部分はまともに税金を払っていない。そんなギリシャを筆頭とする怠け者の国に、なぜ我々の税金を使わなければならないのか」(月刊ファクタ10月号:「欧米金融機関『三年目の断崖』より」ということらしいです。気持ちは判りますが・・・冒頭で、ナチスは関係ないと書きました。それは兎も角、第四帝国なんて、手を変え品を変えだけで簡単に成立するいうことではありません。為替に関して言えば、欧州関連資産の相場暴落は、根拠のない相場操縦で所詮マッチポンプだと矮小化するのは間違いでしょう。過去の民族間の戦争の傷跡や遺恨、一旦手にしてしまった豊かで安定した生活にしがみつきたいという大衆の感情に政治がメスを入れられないという文明国の末期現象など、解決困難な根の深い問題であると考えるべきだと思います。