2009年3月27日金曜日

七転び八起きの欠点

私には重大な性格の欠陥があります。

ひとつは、頼まれた仕事を断れないこと。

さらに、ランキングを気にし過ぎること、です。

初出版の「“為替力”で資産を守れ」が書店に並んでからもう少しで2ヶ月となります。アマゾンの順位は今どうだろうか?八重洲●ックセンターや●善、ジュン●堂、紀●國屋では平積みしてもらっているだろうか?人事を尽くして天命を待っている筈の著者は、発売当初の勢いが無くなりかけたり、内容の無い似非経済学者が書いた本が大型書店の入り口に待ち構えるように平積みされていたりすると、ガッカリしてしまいます。よく考えてみると、嘆いても仕方がないことなのですが・・・

劇戦のビジネス書で高順位を保つのは並大抵のことではないそうですが、50位以下に何度落ちても這い上がって来るのもまた不思議。応援してくださっている読者の皆さまに心から感謝する次第です。

それにしても、「為替力」の産みの親となった「七転び八起き」ブログ。こちらのアクセス数はお陰さまで鰻登りです。驚くべき数値になっていますので、この記事の真下にある『ブログを応援』をクリックしてみて下さい。最初のページは所謂「社長ブログ」ランキングです。そこから、「好きなブログ新規登録する」バナーの真下にある「Myカテゴリー(公式・有名人)」の「全て」をクリックして下さい。我がブログが著名芸能人ブログに伍して頑張っている姿を垣間見ていただけますよ。
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オバマ大統領、ガイトナー財務長官への期待は過剰なのか?

久しぶりに「FX“深化″論」を更新しました。第5回のお題は、

2009年の為替相場はこう動く。米新政権への過剰期待は禁物。

原稿の締め切りが2月中旬でしたので、その後の紆余曲折、特に今月のFOMCや先日の官民投資プログラムについて全く反映されておりません。今回の原稿が新鮮さを多少残している部分を自画自賛すると、ガイトナー財務長官のWSJ紙への論稿にある

×リーマン的処置も駄目

×AIG的処置も駄目

という宣言が、米国新政権自らを苦しめるジレンマになりかねないという視点。このような悲観論を相当程度携えて、今後の相場に臨む必要はあるでしょう。

一方、楽観論の象徴が、今朝のREIT市況。日経朝刊「REIT支援へ官民基金」で爆騰。しかし、一部の銘柄を除くと板が薄く出来高もまだ低調です。黒字かつ資産超過の不動産ファンドなのに資金繰り理由だけで理不尽に低迷しているケースは、今朝の記事(リーク?)が救済要因になるでしょう。
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2009年3月25日水曜日

WBC、敗者復活戦の妙

天邪鬼で鳴らす「七転び八起きブログ」としてはWBCネタは取り上げないつもりでしたが、V2は目出度し。「韓国とは最大で5回も戦うことになるんですよ」、と事前に聞かされたものの、、いまだに仕組みを理解していない筆者は、案の定最悪の5回も戦わされた韓国軍に「お疲れ様」も言いたい気持ちです。

敗者復活の仕組みが随所に活かされたトーナメント形式。一度負けたら御仕舞いの厳格なトーナメントが当然の我が国高校野球に応用されたら?と昨夜想像してしまった筆者は相当な捻くれもの。敗者の涙と甲子園の砂はキラーコンテンツ。そんなことは議論すら起こり得ないでしょう。

しかし、社会には厳格なトーナメント形式の中にもっともっと敗者復活のメカニズムが入れ込まれたらどうでしょう。失われた10年やらリーマンショックなどを通じて、自他ともにエリート組織人と思われてきた方々の中にも、有名な学校、有名な企業や官庁、そして大組織の頂点を目指すことだけが社会的な成功の証だとは既に言えない世の中になってきることを自認出来ている心ある方々が加速度的に増えていると御見受けします。

このような方々は定義上は「正社員」。つまり不況下で非正規労働者に雇用調整を押し付け、立場上は大組織にしがみ付くことが出来る方々です。この日本独特の理不尽は、正社員にとって守るべき既得権益でしょうか?

受験のためだけに勉強をし、大企業ブランドを身につけるためだけに面接技術を磨いた腰抜け正社員にとってはそうでしょう。しかし、「定年とやらまで会社で(会社が?)喰って行けるのか?」と疑問を募らせ、危機に直面しても大企業病を無視する組織の中で閉塞を感じつつも、言いたいこと、やりたいことを主張するよりは我慢することを選んだほうが取り敢えず賢明かと、不承不承、無難な選択を余儀なくされている方々のほうが大多数なのではないでしょうか?

正規雇用に限って会社事情による解雇が困難である我が国独特の制度(判例)では、正規雇用労働者を雇う側も定年までの固定費を心配して転職者の受け入れに慎重になることや、既に正規雇用労働者を雇った場合には当該企業でしか使えない技能の教育に力を入れる等々、様々な「社畜化」メカニズムを働かせている現実があります。これらは、既得権益である裏側として、既に当ブログで問題視してきた「非正規雇用が雇用全体のバッファーを押し付けられていること」と「バブル期と就職氷河期とで馬鹿馬鹿しいほど理不尽な世代間不平等が発生すること」と併せて認識されなければなりません。

終身雇用と年功序列は意外と日本の伝統芸能ではありません。論功行賞で俸禄が決められた封建制度の縦社会においても、主君を何十人と変えて最後は外様大名としては異例ながらも家康の最期に接見するに至った実力主義者藤堂高虎のような例もあります。儒教の浸透で、その後の我が国では藤堂高虎のようなジョブ・ホッパーへの評価は必ずしも高くはありません。しかし、「実力があれば、くだらない上司や閉塞的な組織から飛び出せるんだ」という希望を、潜在能力が眠っているエリート組織人に撒き散らすのだとすると、一見しがみ付くべき既得権益に思われる終身雇用と年功序列は意外にも権利放棄すべきもののように思われ、藤堂高虎のような武将は今日こそ再評価されるべきだと思います。

決して、高校野球に、WBCのようなややこしい敗者復活ルールを入れるべきという論旨ではありませんので、よろしくお願い致します。
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2009年3月24日火曜日

最大1兆㌦、官民投資プログラムを発表

これで果たして株式相場、不動産相場は、大底を打つのか?その分析の前に、ガイトナー財務長官がウォール・ストリート・ジャーナル紙に寄稿した論説の極々一部を御紹介します。

「一国家として、我々アメリカ人は借金をし過ぎたのだ。金融システムをして無責任なリスクを追わしめた。かような意思決定は、どちらかと言えば慎重で責任感のある普通のアメリカ人や中小零細企業のオーナーたちにダメージを与えている。実に不公平であり、わが国民が憤るのは無理もない。」

無責任な大手金融機関が貸し渋らざるを得ないために、借入に慎重だった責任感のある個人零細が最終的かつ極大的な被害に見舞われるのは理不尽だ・・・この理屈、慎ましい生活をして資源や農産物をせっせと輸出している新興国の通貨が、持続不能な大量消費が破綻して信用収縮を起こした震源地米国のドルに対して、暴落したままだという皮肉と通ずるものがあります。

途中、民間資金を導入することで、(不動産系)不良債権の譲渡価格が正当化できる・・・という件(くだり)があり、

「片やリーマン破綻によって招かれた壊滅的な被害を受け入れるという選択肢、片やAIGの如き組織に兆円規模の血税を注ぎ込むことでしか経済を危機の大きさから守れないという選択肢。米国は、この両極端よりも優れた選択肢を選ぶに値する国だ。」

まだまだ抽象的だとの批判を覚悟して結んだガイトナー財務長官の論説は、“演説の国”アメリカを思わせる言葉の力を持っています。実現の可能性、効果の程度には当然疑問が残るものの、これから先は、リーマンもなければAIGもないとの主張は、とても雄弁な「安全宣言」です。

最後に、ブログ読者の最大の関心事:「これで大底を打ったのかどうか?」まず、少なくとも日本の株価は、たとえ米国が本格反転してくれても、ついて行けないと考えられます。言わば「逆デカップリング」の我が国。その理由は過去記事をご参照下さい。

米国について。民間資金の導入が、政府資金が足りないことと、上述の不良債権移転価格の正当化と、二つ意味があります。「正当な条件で不良債権処理を進めること=巨額の債務超過を認めること」・・・市場参加者は既に気づいている実態を白日の下に晒さす事態は、当プログラムで乗り越えられるのか?この各論部分までを議会制民主主義国家の金融当局のトップに突き詰めるのは、トップが誰であっても酷。議会制民主主義国家でバブルが弾けたときに、金融を政局にしてはならない、というのが「失われた10年」の日本の最大の教訓だというのが私の意見。しかしこの教訓を学べるのは独裁国家しかない。

ガイトナー財務長官は、「官民投資プログラム」はスウェーデン(ほど単純ではない現在の米国金融のシステム)の教訓と、日本(ほど不良債権処理に時間を掛けたら経済停滞は深刻)の教訓から作り上げられたアイデアだとも言っています。
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