2009年6月16日火曜日

不美人投票の潮目が変わった昨夜の相場

イタリアでの主要先進国財務相会議で一体何が話されていたのか?世界経済が崩壊寸前と思われた3月上旬から、巧妙かつ成功裏に株式相場も商品相場も過熱させてきた約3ヶ月間。米銀ストレステストも茶番劇だとほくそ笑みつつ、祭りに加わるのは悪くないという発想は、投資家の多くとメディアをも巻き込んでいました。しかし、週末から昨日にかけて、米欧中央銀行からは水を差す発言が続きます。

「ユーロ圏の銀行は今年と来年で更に2830億㌦の不良債権償却が必要」-ECBコメント(FT紙)

この金額規模は、IMFが予測した米銀の更なる不良債権処理額(今年と来年で5400億㌦)よりは小さいものの、茶番と言われようが果たすには果たした米銀のストレステストに比べ、欧州のほうは茶番すら出来ない状況こそ、深刻さを語っています。

過去3カ月、無理矢理過熱させてきた株価と商品先物で、米ドルはユーロ(や豪ドル等資源通貨)に比べパフォーマンスが悪すぎたわけで、今日以降その修正局面へと向かうべく、静かな号砲が鳴らされたと見るべきでしょう。特に、日本円は、ユーロや豪ドルに対して相当程度強いと見ておかざるを得ません。いつものことながら、当たるも八卦、当たらぬも八卦ですが。
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2009年6月15日月曜日

かんぽの宿とFX業者

鳩山邦夫前総務大臣の見てくれや喋り方には共感しませんが、それら外見からは想像つかないほど(失礼)、邦夫氏は秀才なのであります。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%B3%A9%E5%B1%B1%E9%82%A6%E5%A4%AB
「いずれ歴史が証明」と語った辞任会見。しかし、「いずれ」では遅すぎないか?日本郵政の何が極悪なのか、何故いま氏の口からハッキリと聞かせてもらえないのか?国民が望むのは、西川社長を非難する口調や激しい語気ではない。ただし、鳩山邦夫氏を代弁しているかの情報もあります。例えば、
http://ameblo.jp/worldforumnet/entry-10280491441.html
http://kigyohanzai.livedoor.biz/archives/619285.html
一方、かんぽの宿の売却価格は決して低過ぎるわけではない、という主張も。赤字企業を雇用維持という条件(国会決議)で引き受けるならば、土地建物の簿価の高さは新スポンサーにとっては無意味です(かんぽの宿の問題だけで、小泉-竹中-西川路線を、売国奴と呼ぶのは無理があるでしょう。であれば、郵貯簡保を舞台にして、より本丸の巨悪が存在するのか?そしてそれは何か?)。

「FX会社を救済買収してくれませんか?」という話。ここ数カ月、件数が増えているだけでなく、どんどん買い手側に有利に。「純資産額以上で、かつ従業員の雇用を守って欲しい」から「純資産額を割れても良い」、そして現在は「1口座幾ら幾らで純資産を買って下さい。従業員の面倒は不要です」と変遷しているのです。FXブームに乗り過ぎて固定費が嵩んでしまった会社と、FXブームに全く乗れず、採算ラインまで達成出来なかった会社の両方があるのですが、従業員の面倒を看るか看ないかで、売却価格は全く異なる点で、かんぽの宿とFX会社は一緒です。

最後に、鳩山邦夫氏は何故か中日ドラゴンズファンらしい。これは共感が持てます。
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2009年6月12日金曜日

社会ダーウィニズム【訂正】

昨年、ビジネスアスキーとマネージャパンの取材・対談で御一緒させていただいた宋文洲さんからは毎週金曜日にメルマガが送られてきます。今朝それを読んでドキッとした部分。

殆どの「社員」は本音では創業したばかりのベンチャーや零細企業に勤めたくないのです。それでも来る「社員」が居る理由はただ一つ。ほかにもっとましなところに行けないからです。大企業に行けるのに敢えてベンチャーや中小企業を選ぶ人はもはや「社員」ではなく創業者です。

ちょうど4年前に「七転び八起き」がフェニックス証券を引き受けた頃はでもしか企業だった。それが今や人気企業です。しかも、4年前からいた自称古株社員も人気企業化に合わせて進化成長しているのです。

さて、昨日ブログで「佐和先生は日経夕刊コラムの字数制限ゆえ、格差固定化打破の具体的処方箋までは書かれなかった」と書きましたが、帰宅後もう一度前日の日経夕刊を読んで、私の記憶違いであることが判明。お詫びして訂正致します。フィンランドのように小学校から大学まで教育費無料にする等、提案がありました。
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2009年6月11日木曜日

この国の格差、ダーウィン、そしてマルクス

昨日日経夕刊1頁の佐和隆光先生のコラムには目から鱗。お金持ちしか偏差値の高い大学に行けず、“生涯所得”の高い企業に就職できない、格差が固定化した我が国の問題の核心を突く文章でした。

文字数の限られたコラムゆえ、「格差固定化」への佐和先生の具体的処方箋までは言及されていらっしゃらなかったのですが、先生御本人の頭の中にはユニークなアイデアがおありの筈。ちなみに、「七転び八起き」は、定額給付金をばら撒くくらいなら、教育費クーポン券をばら撒いたほうが遥かにましだと考えています。

もうひとつ、文字数制限なかりせば、佐和先生による社会ダーウィニズム批判についても、注釈をされたかったのではないかと察します。ダーウィニズムそのものも様々に“曲解”されていますし、社会ダーウィニズムも時代とともに“変節”しています。先生がコラムで否定した「白人は有色人種より遺伝子が優れているから平均学歴も平均所得も高い」という選民思想は、変節に変節を重ねた末の社会ダーウィニズムでしょう。ダーウィニズムの原典である「進化論」は、生き残るのは必ずしも強者ではなく、環境に適応できた種(しゅ)であると説いています。資本主義そのものが淘汰されるであろうと予測したカール・マルクスは唯物史観のヒントを与えてくれたダーウィンに「資本論」の第一巻を献本したそうです。実際は、淘汰されたのは社会主義のほうだったのは、資本主義のほうが「環境変化を謙虚に受け入れる個人や企業の努力に報いる」ルールがより徹底しているからでしょう。

自然界における強者はかつては恐竜であり、経済社会においては巨大金融機関や大企業製造業。ただし、強いこと、大きいことが必ずしも「環境変化を受け入れる」謙虚さや器用さを意味しないことは誰もが承知しています。雇用や下請けへの影響を唱えて、大企業を破綻や清算から守るという国策は、資本主義の長所としてのダーウィニズムを棄却する愚策です。世界的な金融危機から各国が立ち直るスピードの違いは、適者生存ルールを各国政府がどの程度捻じ曲げずにいられるかに依存します。

さて、最後に、格差の固定化を打破し、日本国憲法も保証する教育の機会均等を真に実現するために、教育バウチャー以外に有効かつ血税負担も少なくて済む政策案を申し上げましょう。一つ、駿台予備校や四谷大塚のような塾を非合法化すること。一つ、東大受験では浪人した年数に応じて獲得点数を割り引くこと。一つ、公立小中学校でゆとり教育を否定するかわりに、能力別(達成度合い別)クラスを徹底する。
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