2009年4月16日木曜日

ロシア化する米国

一昨日FT紙に掲載されたマーチン・ウォルフ氏の

「大きくて複雑な金融機関は潰せない、という考え方は間違っている。肥大化しすぎた金融機関(金融セクター)を構造的に解決するためには無担保債権者の犠牲もやむを得ない」

という正論だが政治的には恐らく適用不能と思われる論稿を詳しく取り上げようと思っていた今朝のブログですが、予定を変えます。というのは、「七転び八起き」の「お勧めブログ」に入れている田村耕太郎参議院議員のブログに経済学者の青木昌彦スタンフォード大学教授が登場、私がこれまでブログや雑誌記事、テレビ等で申し上げてきた日米中の話と、これほど一致するご意見に遭遇するのは初めてなので、余りにうれしく、まずこちらを先行させてください。

詳しくはこちら

田村議員要約による骨子を御紹介させていただくと、

★アメリカ経済はスタグフレーションに陥る可能性大
★そして、やがて世界はかなりのインフレに
★最も早くよくなる経済は中国
★米中経済はさらに親密度を増す
★日本は米国との次世代技術革新競争と中国との補完関係を活かせば活路有!

私が田村議員のブログをお気に入りに入れているのは、私が彼を応援しているからではありません。それに、ブログを読む限りは(←ここ重要)、彼の意見に賛成の部分は半分程度に留まるかも知れません。政治家が国民に対して発するメッセージは、当然、選挙を意識したものであり、そのメッセージに一々私が一々同感できる筈がないし、田村議員もそれを期待していないでしょう。その中で、今回の青木教授の“断言”は目から鱗でした。

著者が著名な学者やタレント等であるという理由だけで大型書店に平積みされる殆どの経済本やビジネス本。その殆どは紙屑に等しい。片や、何故に青木教授の意見が断トツに優れた洞察を与えてくれるのか。恐らくそれは、マルクス主義と新古典派経済学という両極を極めた稀有な研究家かつ努力家でいらっしゃるからだと拝察します。
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2009年4月15日水曜日

最新チェルノブイリ報告会in東京

先週ブログで御紹介したチェルノブイリこども基金から「写真家 広河隆一さんによる、最新チェルノブイリ報告会 in東京」のお知らせです。

チケット:前売り1,000円 当日売り1,300円
2009年4月20日(月)19時開演
  「広河隆一 最新チェルノブイリ報告会」
   文京シビックホール 小ホール(※)

   ゲスト:詩人 石川逸子、 ピアニスト 須山真怜
◇同時開催 チェルノブイリ最新 写真展(小ホールロビー)
〔主催〕チェルノブイリ子ども基金 Tel&Fax 03-5228-2680
〔後援〕ウクライナ大使館 ベラルーシ共和国大使館 ロシア連邦大使館

中央アジアと東欧に造詣の深いフェニックス証券外国為替部長と私も、チェルノブイリ報告会に行く予定にしています。上記プログラム以外に、ここだけの話、ウクライナ大使さんのお話も聞けるらしく、楽しみにしているところです。

拙著“為替力”で資産を守れ!をお買い求めになった読者の皆さんで、チェルノブイリ報告会にお越しいただける方がいらっしゃいましたら、喜んでサインをさせていただきますので、是非本をご持参ください。

前売チケットその他詳細についてのお問い合わせは、チェルノブイリこども基金まで。

(※)文京シビックホール 小ホールは、文京区役所(文京シビックセンター)2階。丸ノ内線、南北線後楽園または三田線春日から徒歩ゼロ分です。
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ゴールドマンサックス決算発表から一夜明けて

私の読解力不足から、何故1日早かったのか?時価会計免除の効果がどの程度だったのか?理解できず、ブログの更新を一日滞らせたゴールドマンサックスの市場予想を上回る黒字決算。

大手“投資銀行”のアナリストは決算を評価する一方、中小またはオンラインブローカーからら含み損不明の黒字決算で時価発行増資に踏み切った暴挙を皮肉るアナリストも。

そこまでして増資を決行したいGSの意図は、公的資金の返済。つまり、昨年までと同様、巨額のボーナスを貰いたいということだと米国各紙は報じています。30人に一人は、100万㌦以上のボーナスを享受していたと言われるGSの執念と、公的資金の返済計画を懸念する米金融当局が睨みあっている最中。公的資金注入金融機関のボーナス支給制限問題については、AIGの事例で、「不特定多数とは言えない」幹部社員だけに極端な税率を課す法令が成立したものの合憲か違憲か疑わしくなったことやら、クレジットデリバティブとは無関係の部署で“まともに”稼いでボーナスを約束されていたがゆえに、クレジットデリバティブの部署の残務処理を買って出てあげた(転職の機会を自ら放棄)あげく、ボーナス支給にあずかれなかったとして「退職願」をニューヨークタームズ紙に投稿した事件やら、色々ありました。

昨夜、珍しく早帰りをして観たNHKの番組プロフェッショナル。人気番組「プロジェクトX」の後釜として、時には“作り”に無理があるなと思うケースもありましたが、昨夜登場されていた慈恵医大の血管外科医の先生の、番組慣例の締めの質問「プロフェッショナルとは」に対する

「金銭的な利害や報酬で動くのではなく、患者やその家族の笑顔や感謝で報われることが、また次の仕事や試練に立ち向かい動機になるという意識。つまり究極のアマチュアリズムこそがプロ」

とのお答えが、金融界や芸能界にも当て嵌まると気づき、一日遅れでGSボーナス問題(=公的資金問題=公募増資問題)に触れようと思った次第。ちなみに、番組の血管外科医の先生は、米国の実力社会・競争社会の中で最年少で教授となり、年収1億円というニューヨークの生活を捨て、母校からの三顧の礼で帰国したのだそうです。
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2009年4月13日月曜日

FX会社経営から見た本格底入れ宣言!?

この週末も嬉しい出会いが3件ありました。意図してお会いしたわけではないのに、話を伺うとFX(外国為替証拠金)取引と関係が深いお仕事で活躍されている方々。シンガポールまたはイギリスの大手銀行だったり、オーストラリアのB2B専門ブローカーだったり。わたくしどもフェニックス証券のように個人のお客様中心ではなく、取り扱っている商品も為替よりはクレジット物中心。リーマン破綻後の信用収縮はFXのほうはまだまし、クレジット・デリバティブは壊滅的、ヘッジファンドからの商売も細る一方であると、三者三様に教えてくれました。

景気も相場も本格底入れと言えるのか?ここ数週間「七転び八起き」ブログで繰り返しておりますように、金融機関もメディアもこぞって底入れムードを醸しだしている動きに或る程度素直に乗っかることは重要。しかし、土日にお会いした「プロ同士で鎬を削っているプロ中のプロ」の方々は、日々の生業(なりわい)がチキンレースに他ならない(世界の大手の金融機関のあちこちに巨大な不発弾があることを前提とした“黒ひげ危機一髪”だ)と異口同音に語っていました。

FX会社からの広告宣伝や情報提供、アフィリエートブログでも滅多に語られないプライム・ブローカーの話題を当ブログではタブー視せずに取り上げて参りました。リーマン危機までは我こそPBにという状況だったのが、同危機後は「PBは出来ません」とのドタキャン、「どこかでPBをしてもらわないとスポーク銀行(PBにギブアップする銀行)にはなれません」等々、潮が引くように態度を豹変させた外国銀行にFX業界は翻弄されました。その背景にあった、信用収縮(銀行同士が信用できない状況)とヘッジファンド危機が解消されたかというと、そのような予兆も感じるものの、本格回復はまだまだというのがFX会社社長の観察結果です。

しかしながら、世の中の注目はやはり米国大手企業の決算でしょう。黒ひげに気をつけつつ、これから数週間決算に注目しましょう。
<13―17日>
14日インテル、ゴールドマン・サックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)
16日JPモルガン・チェース、ノキア、グーグル
17日シティグループ、ゼネラル・エレクトリック(GE)
<20―24日>
20日バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)、IBM、テキサス・インスツルメンツ(TI)
21日メルク、コカ・コーラ、ユナイテッド・テクノロジーズ、デュポン、キャタピラー、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、ヤフー、サンディスク、ブロードコム、アルテラ
22日アップル、マクドナルド、AT&T、イーベイ、ウェルズ・ファーゴ、ボーイング、クアルコム、ザイリンクス
23日マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム、UPS
24日スリーエム(3M)
<27日―5月1日>
27日ベライゾン・コミュニケーションズ
28日ファイザー、サン・マイクロシステムズ
29日スターバックス
30日エクソンモービル、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)
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