2009年9月11日金曜日

すべての官僚組織を敵に回すほど馬鹿じゃない民主党

マルクスの唯物史観は、「人類の歴史は階級闘争の歴史であり、経済や生産力など社会の土台が進化すれば、政治や身分制度など社会の上部構造は転換ないし転覆を余儀なくされる」と説きます。

この考え方はかなり正しいと思いますが、現実は、生身の人間の欲望や嫉妬が無視できないので、上部構造から土台(下部構造)への反作用を軽視することは出来ません。

このような大上段の議論をするまでもなく、民主党は過去の苦い経験から、官僚組織に手を入れる際に、官僚全員を敵に回すような愚かな手順を繰り返すことはないでしょう。

つまり、良く言えば横並び、悪く言えば縦割り蛸壺の霞が関のなかで、エリート中のエリートであり、自他共に認める“特別な官庁”である財務省を味方に引き入れる可能性が強いと思います。

先日引用した田村耕太郎自民党参院議員ですら、同趣旨のことを言っておられます。

私は財務省は民主に加担すると思う。いや民主党政権を操縦していく気がする。まず利害の一致がある。財務省の悲願は二つ。自民党政権下では実現できなかった野望だ。
1・増税
2・特別会計改革
増税のためには長期安定政権が欲しいところだ。次の参院選挙に民主が勝てばとりあえず三年は安定政権になる。自民を殲滅すれば国民の選択肢はなくなり、本当の長期安定政権になれる。財務省はそれを支援するのではないか。

民主党は財務省を霞が関というコンクリートにおける蟻の一穴にしようと考えるのではないか。そう考えると、藤井裕久民主党最高顧問(元 大蔵大臣)の財務相内定という人事は的を射ていると思われます。

これは円高。
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2009年9月10日木曜日

ベルリンの壁崩壊はヒトラーの再現より酷い

七転び八起きがユーロ弱気派だからこのような記事を取り上げているわけではありません(笑)。

只今、英FT紙が速報で伝えた情報によると、英国の秘密文書が20年ぶりに公開され「ミッテラン仏大統領(当時)がサッチャー英首相(当時)に、東西ドイツ統一の脅威について、ブログの題名のように耳打ちして警告した」のだそうです。

http://www.ft.com/cms/s/0/0c713ea2-9d7e-11de-9f4a-00144feabdc0.html

時は、1990年1月。その前年既にベルリンの壁は崩壊していましたが、東西ドイツの再統合は正式には同年10月を待つことになります。

FT紙によれば、英国が国家の機密文書を一般公開するのは事件の30年後という慣例があるそうで、ヨーロッパ統合の流れに水を差しかねない本来慎重に扱うべき資料がたった20年で公開という異例の措置になったことは英仏の摩擦を引き起こすのではと報じています。
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2009年9月9日水曜日

この道はいつか来た道♪~

大火傷の記憶が薄れた頃に必ず流行る金融商品があります。その代表例が、日経平均連動型(ノックイン・オプション内臓)仕組債。ノックイン・オプションの意味するところを厳密に説明するのを省きますと、

☆日経平均株価が仕組債の発行時よりも40%以上下がらなければ、発行価額(100円)で召喚され
る。

☆利率は3~4%と銀行預金や国債より遥かに高い。

☆最終償還期限は3年程度だが、発行後3ヶ月毎に、発行時の日経平均株価より少しでも高ければ早期に償還される。

この仕組債、「常識的」に考えるととても魅力的です。現実に、只今現在、普通の証券会社の店頭では大変良く売れているようです。「リーマンショックとは100年に一度の出来事なのだから、これから3年程度は再現しないだろう」と思えば、現物株を買うよりも全然有利に思えます。

そのリーマンショックのときには、ニューヨークダウは11,422から6,547へと一夜にして40%以上暴落したのでした。金融業界は、政府の監視と援助のもと、高リスク経営の反省のうえに、再生が図られていると、表立った指標をみる限りでは考えられます。

しかし、本日のWSJの記事「リーマンショックが薄らぎ金融部門のオーバーホール(分解点検)は頓挫」という記事によると、金融機関の自己売買部門が抱える一日平均の最大損失額Value at Riskは、今年2009年は昨年2008年よりも寧ろ拡大しており(第二四半期どうしで比較)、大手5行合算で10億㌦を初めて超えたというのです。

http://online.wsj.com/article/SB125245417031494185.html

ノックイン型の商品が個人向け店頭に並ぶ時期は、ミニバブルの円熟期です。根拠に乏しいユーロの対ドルでの高値同様、危険水域にあると言わざるを得ません。
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2009年9月8日火曜日

パーティーで音楽が鳴っているあいだは

某中央銀行の採用試験で4人目の面接官が金融研究所在籍の方でした。経済談義の流れで私が「現在の株式相場と不動産相場はバブルだと思います」と申し上げました。時は1987年の夏。結果的には当たっていた臍曲がり発言に対し、面接官は「いま“バブル”という用語を使われましたね。“バブル”と言えば、“合理的バブル”とはどういうものですか?定義を言いなさい」と切り返され、「し、知りません」と答えるしかありませんでした。

図書館や大学生協の本屋で経済学辞典を何冊か立ち読みしましたが、“合理的バブル”は出ていません。

その解答が、今朝の日経新聞の「やさしい経済学」に出ています。慶応大学の池尾和人教授が連載中の「『情報の経済学』と金融危機」の第6回目「裁定行動の限界」。自分だけがバブルの崩壊に賭けて、次の評価時点までにバブルが崩壊していなければ、(ライバルのファンドマネージャーとの)勝負に負けて極めて低い評価を受けてしまうリスク・・・儲かれば(大半が)自分のものになるが、損が出たときには出資者に押し付けることができて自分自身の負担にはならないという立場のファンドマネージャー達で金融業界が成り立っていると仮定すると、「パーティーで音楽が鳴っている間は、ダンスをやめられない」という状況に陥る、というお話。

同じく本日の日経新聞に、豪ドル相場が対米ドルでリーマン破綻前の水準に戻ったとあります。さて、これも合理的バブルなのでしょうか?
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