2011年10月11日火曜日

ノーベル経済学賞にサージェント氏とシムズ氏

ウォールストリートジャーナルは、受賞者であるふたりの米国人の功績を、いわゆる合理的期待形成理論を打ち出したことだけにとどまらず、統計学の応用によって、マクロ経済学は、「サージェント=シムズ以前」と「以降」に分類されるほどだとの称賛を引用しています。

一方、フィナンシャルタイムズは、インフレターゲットや量的緩和(QE2などの時間軸効果)のコミットなど、中央銀行の政策目標がガラス張りであることの良し悪しについての分析において、このふたりの受賞者の研究成果が大いに役立つことを指摘しています。

財政・金融による恣意的な景気刺激策は、長期的には勿論、短期的にも意味が無いと説く、合理的期待理論は、レーガン政権下の経済運営に大きな影響を与えていた筈ですが、実際には、社会保障費などの削減以上に国防関係費が嵩むという経過を辿り、当時の米国経済は、オールド・ケインジアン的な枠組みで景気を回復させてしまいました。

80年代後半の我が国のバブル経済が崩壊してから、財政政策は平時経済では有り得ない程度の赤字を続け、昨今財政破綻の問題が起きている欧米諸国のどこよりも悪い水準に至るまでになっています。この20年間、合理的期待理論が日本経済の失速をどのように解説できるか?本質を穿つ難問ゆえ、別の機会に譲らせていただきたいと思います。

より現実的でわかりやすい実例は、リーマンショックからの米国経済の立ち直り、世界経済の立ち直りに、惜しみない財政・金融政策は、大いに貢献していたのではないかという観察です。幸いなるかな、労働市場も、金融市場の参加者も、サージェント氏が想定していたほど、合理的に行動はしていなかったということです。

しかし、それが長期的に、恒久的に有効ではない、、、、という至極当たり前のことが、欧米両側で発生している債務危機(ソブリン危機)です。

民間銀行の問題を国家権力(の協力)によって一時しのぎは出来た。が、問題の所在が国家権力のレベルに格上げされると難易度は比較になりません。

欧州通貨の相場については、一時しのぎで対円または対ドルで戻っているときは、売りから入るチャンスだと考えられます。収束にはかなりの時間を要し、相場の変動幅が大きい状況が意外と長く続くと予想します。
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