アベノミクスに端を発する円安が最大の要因でしょうし、また、最近は使われなくなったGNP(国民総生産)と異なり、GDP(国内総生産)では海外からの配当が算入されないというところも勘案しなければなりません。
さはさりとて、「イスラエルや香港のような小国(?)に抜かされた」「韓国が23位と肉薄している」という事実に、感じ悪いと思われた方が少なくないことでしょう。
人口で割り算をしていないGDPで、日本が中国に追い越されたというニュースについて、わたくしは世間の大騒ぎを無視しました。
しかし、、、、、、
人口で割り算をしているGDPとなると、なんとなく大勢の人たちのあいだで、人間の幸せ度合いと比例し直結する指標なのではないかと思われがちなのは当然です。
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東京にも大阪にもホームレスはいっぱい居ますが、テルアビブやエルサレムには物乞いや掏摸(すり)がいっぱい居ます。それは先進国と言われるヨーロッパの諸都市もいっしょかも知れません。
テルアビブで、小銭の単位もわからず、バス停や行き先の名前の文字も読めず、ドキドキしながらバスを待っているわたくしは、小銭の半分くらいを乞食にあげてしまいました。バス停に並ぶイスラエル人のなかでわたくしのようにお金を乞食に渡すひとは誰一人いませんでした。
イスラエルは、何かと、日本ととは真逆の国だと言えます。。。。。。
米国の世界戦略に沿って、日本が極東で担っている(担っていた)役割と同様のそれを中東においてイスラエルが担っている(担っていた)、にもかかわらず、です。
イスラエルは核拡散防止条約に加盟しておらず、核保有について肯定も否定もしていません。いっぽう、原子力発電所はひとつもないのです。中東に位置しながら、石油が掘れない場所であるにもかかわらず、、、、、、宗教上も外交上も疎遠な隣国から石油を輸入してでも、小国ゆえ国そのものが吹き飛んでしまうような原発事故のリスクは絶対に避けなければならない、という、日本では考えられない思考回路によって、イスラエルの核戦略が導かれているようです。
ところで、アヴァトレード・ジャパンの親会社の事務所は、いまでは東京の都心では見つけることが難しいくらいの、築年数不明の雑居ビルのなかに2フロア間借りをしています。そんなところにIT企業のはしくれが事務所を開いていて大丈夫なのか???サーバはロンドンの金融センターにありますかkら大丈夫ですし、日立製作所のイスラエルの出先機関も同じ雑居ビルに入っているくらいです。
この背景には、テルアビブの郊外を含めた一部の不動産が高騰していて、良質の不動産が手に入りづらいことがあります。弊社親会社や日立製作所が入居しているオンボロオフィスビルの近くには、インフィニティ(日産)やレクサス(トヨタ)の新車ディーラーのショーケースがあったり、グーグル、アップル、3Mなど、米国を代表する企業の開発拠点があったりもします。それらの(帰属)家賃までは調査できていませんが、そこから地中海の海岸にまで広がる住宅地は、高級な部類であり、とは言え、東京の感覚だと、1~2億円の物件に見えるものが、その10倍くらいの値段で取引をされているようです。
テルアビブやその郊外のイスラエル版シリコンバレーの物価が全体として高いかと言えば、そうでもありません。外食は東京と同じくらい。テルアビブの旧市街からシリコンバレーと呼ばれるヘルツリアまでバスで1時間くらいかかりますが、日本円換算で300円くらいです。
その乗り合いバスも、金曜日(の日没から安息日がはじまるため)本数が極端に減ります。しかし金曜日だれも仕事をしていないわけではありません。ユダヤ教徒であっても、金曜日に急ぎの仕事を抱えていれば、仕事を優先します(一部の過激派などを除く)。それでも金曜日はシリコンバレーだったはずの街の雰囲気がガラッと変わり、いつ来るかわからないバスを、大勢の黒人が待っているのです。彼らの多くは、建築現場で働いています。さきほど例示したグーグルやアップルや3Mのオフィスはみんな築浅。街がいま出来つつあるという状況なのです。
地中海に夕日が沈むなかバスでテルアビブの旧市街に戻る途中、横断歩道でフラフープに興ずる少女を見かけました。いまごろイスラエルではフラフープが流行っているのか?と聞くと、信号待ちの運転手に物乞いをするのだ。以前は、もっと普通に、花売りの少年少女がいっぱいいた。イスラエル経済が上向きになって、そういう子どもたちがだいぶ減ったのだ、という回答を得ました。
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一人あたりGDPは、平均値であって、中間値でも最頻値でもありません。中間値や最頻値で見ると、豊かさの順位は大きく変わってくるでしょう。
日本を統計上追い越したイスラエルは貧富の差がより激しいことは明らか。それが一方的に良くないという意味ではありません。
わたくしは長年、日本に移民や難民(受け入り)が少ない背景として、言語の壁がおおいにあると思っていました。金融やITサービスの世界拠点になるためには、アイルランドやカナダ、オーストラリアやニュージーランドに比べると不利だ、ということになりますが、かと言ってニュージーランドが金融ITサービスのメッカになっているという話も聞きません。
イスラエルは英語が日本よりは通じますが、圧倒的にヘブライ語であって、世界でも1000万人未満の人しか喋っていない、英語、スペイン語、中国語はおろか、日本語に較べても汎用性の低い言語の壁があるわけです。この言語の壁を乗り越えてでも、雇用機会に巡り会いたいという人が各国から集まってきています。農業、化学、航空、IT(暗号化技術を含む)などの最先端分野では、ヘブライ語の壁や宗教の壁をそれほど気にせずに仕事や研究をすることができるということなのでしょう。金融とITを足して2で割ったような、アヴァトレード・グループのイスラエル拠点も(アイルランド拠点も)、意外なほど、宗教、出身国、肌の色、母国語は様々です。
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さて、アベノミクスは、円安を招いただけで、インフレをもたらすという「宿題」を果たせなかった、という論評が中心ではあります。
月刊ファクタ新春1月号 日銀「マイナス金利」確率3割
本筋から、またもや離れるようではありますが、この記事のタイトルにある「マイナス金利」に対して、現在行われているのは「ゼロ金利」ではなく「プラス金利」だったという事実をご存知でしょうか?
日銀が民間銀行から国債を買い取ります。その「純」増額たるや、アベノミクス開始以来3年間で約200兆円。
これが大きい数字なのかどうかピンとこないくらい大きい数字ですが、、、、、、
日銀準備預金(<日銀当座預金<マネタリーベース)の残高は、
2012年11月=35兆円
2015年11月=224兆円
つまり、日銀による民間銀行からの国債買い取り(民間銀行による日銀預け金の増加)は、残高としても増え方としても異様な大きさであったことがわかります。
そしてこの224兆円に対して、日銀は、年率0.1%の付利をしています。金額で言うと二千二百四十億円。凄まじい金額ですが、民間銀行の普通預金金利(現在は0.01%から0.05%。最頻値(!?)は0.02%)と比べれば大した差ではない、と銀行経営者なら思うところです。
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アベノミクスが民間銀行に与えたもの。それは国債のイールドカーブ(長短金利差)と引き換えに年利回り0.1%の預金。民間銀行はイールドカーブリスク(≒国債の価格変動リスク)を日銀に引き取ってもらったとは言え、短気調達長期運用(※)による利ざやの大半を失った。
さきほどマネタリーベースの最重要要素である日銀準備預金の残高を比較した二時点で、10年国債の利回りをざっくりくらべると、
2012年11月=0.8%前後
2015年11月=0.3%前後
です。そうすると、わたくしの上記の結論には重大な見落としがあることに気が付きます。日銀が用意した引換券には、イールドカーブリスクに加えて、国債売却益という、割増退職金のような一時金も含まれていたということです。
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これまでに利用したデータの出典は、すべて財務省と日本銀行です。ついでにもうちょっと数字を見てみましょう。わたくしが注目したいのは国債費で、そのうち過去に発行した国債の償還に充てられる費用を除いたもの(利払い費など)です。これが2015年度は10兆円を上回ります。
国債残高が天文学的数字に至るなかで、いまのところは、国債の保有主体としては、日銀がぐんぐんと存在感を増しているだけで、海外主体は微増に留まっています(医療と年金の個人負担比率を改悪せずに高齢化を放置することによって社会保障費を中心とした財政赤字が今後も増えると、「日本国債を購入しているのは日本人だけだから心配ない。日本の国家財政破綻論は破綻している」という議論も成り立たなくなりますが、いまのところはだいじょうぶです)。
そうすると、この国債利払い費10兆円というは、ほぼ純粋に日本国内の経済主体間の所得分配をいびつにしかねない厄介者だということになりそうです。
アベノミクスのビフォアアフターを問わず、銀行セクターが、大手と中小の差こそあれ、
①金融仲介機能(借り手と貸し手との出合い系のような役割)の報酬
に加えて、
②日本国債にまつわる若干インサイダー的で若干既得権益的な利潤
が上乗せされることで、経営を成り立たせてきた。
それでも、先述の準備預金0.1%=二千二百四十億円という補助金は、国債利払い費10兆円から比べると微々たるもの。
歳出の1割程度をもしめる国債利払い費は誰が受け取っているか?日銀と民間銀行と生損保等がざっくり3割ずつというのが答えです。アベノミクスのビフォアアフターで、生損保等はほぼ不変。日銀が1割から3割にシェアを増やし、民間銀行が5割から3割にシェアを減らしました。もうおわかりのように、民間銀行はシェアを減らすことで、毎年の国債利子受取収入を減らしてしまったけれど、減らす過程で、莫大な売却益を計上してきたという図式です。
わたくしたちは、なんとなく、高校や大学などで経済学と称して、日銀が民間(銀行)から国債を買い取る行為が金融緩和であってインフレをもたらすが如き屁理屈に触れてきたり、またそれを妙にわかりやすい詭弁を用いて地上波ワイドショウなどで解説する似非エコノミストに触れてきたりします。しかし、こんなものは金融緩和でもインフレ政策でもなんでもなく、補助金10兆円の受取主体が民間銀行から日銀に遷移したが、民間銀行は一時金によって慰労された、だけのことだったのです。
我が国の税負担が公平だとしても、この10兆円ファンドに参加できているかいないかでは大きな差があります。借金してでも国債を買おう、と結論づけても、借金の利払のほうが大きくては話になりません。国債利払い費10兆円の美味しさを味わうためには、どうしても中央銀行=民間銀行という特権社会の一員でないと難しい面があります。
わたくしはグローバル資本主義(!?)のなかで国家戦略を実現するために、どこの国でも銀行セクターにある程度の特権的地位を与えることが必要(悪)だと思ってもいます。軍事力が必要(悪)なのといっしょです。しかし、以上に描写した銀行セクターの不都合な事実は、英米独仏瑞などの代表的国際的金融機関が担っている国家戦略のようなものには結びつかない、単に歪なヘリコプターマネーのように見えて仕方がないのです。
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一人あたりGDPの順位だけにとらわれず、貧富の差や、本日は触れなかった貧富の逆転の可能性(モビリティ)、特権社会の存在不存在など、さまざまな切り口を加味して論ずるべきなのでしょう。
日本はかなり変化の兆しが見えてきたとは言え、まだまだ多くの人達が大企業や公務員など特権社会に所属しないと割りを食うという思いでいると思います。それもまた事実でしょう。
いっぽう、イスラエル型の社会では、先に触れた研究開発やビジネスの最先端は、一部米系大企業の出先を例外として、そのほとんどがベンチャー企業によって担われていることは注目すべきです。アングロ・アメリカン型社会は、日本型とイスラエル型の中間くらいでしょうか。
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