2008年10月7日火曜日

臨時ニュース【夕刊】

ロイヤルバンク・オブ・スコットランド、公的資金注入を求めるべく英国政府と交渉(臨時ニュースFT)
この報を受け、同銀行の株価は30%下落。昨夜、S&Pの格下げで既に20%下落していた。但し、格下げと言ってもRBSの長期カウンターパーティ格付でAA-⇒A+と、まだまだ全然投資適格水準なのだが。

元英国4大銀行のひとつナットウェスト銀行とスコットランドのアルスター銀行を傘下に抱える世界最大の商業銀行。かの地スコットランドにおいては発券銀行でもある。

●アイスランド首相、「このままだと国家破産」だと発言(10/7FT)
同首相演説前にアイスランドクローネ(弊社ではこの通貨は取り扱っておりません)は対ユーロで45%下落。同国の銀行株は全て取引停止状態。

リーマン・ブラザーズのファルド社長、米下院委員会で喚問(10/7WSJ、FT)
倒産の数日前に役員3人への退職金計25億円相当を支払っていたことが電子メールの記録から明らかになったリーマン。「欲深い経営陣によるカジノ経営」を長年主導してきた同CEOは焼きを入れられるgrilled。

一方、同社長は、AIGを助け、リーマンを助けなかったことに憤りを感ずると証言!?

通常、私のブログ【夕刊】では、《朝刊》のようなことは書かないのですが、余りに色々あるもので朝書ききれないということと、欧州時間寄付の久々の株価上昇をかき消す臨時ニュース等で、いつになく更新をさせていただきました。
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米株暴落。ダウ終値、4年ぶりに1万㌦割れ

★聞き捨てならぬ「免責事項」
8年前、営業未経験の私をモルガン・スタンレーの社債引受部門に引っ張ってくれた当時の上司が、出勤初日夕刻、恵比寿ガーデンプレイス1階の喫茶店に私を誘い出して曰く、「外資系というと短期で実績を出さないと直ぐクビにされるイメージがあるかも知れないが、モルスタに限ってそれはない。興銀(現みずほ)の本店が東京からニューヨークに移転したぐらいのつもりで。。。くれぐれも肩の力を抜いて、焦らず頑張って欲しい。

「ただし、」えっ?ただし??「うん。ただし、米株。ダウ平均が1万㌦を割れるような事態になると前提は変ってしまうんだよ」「引受部門の仕事は、主幹事を一つでも多く獲得する。日系証券会社のフランチャイズに分け入り、少しでも引受関与を増やす。そうやってこつこつ稼いだ引受手数料が私の給料の源泉なのではないんですか???」

★サブプライム以前に潰れていた我が故郷
今年の春に、モルスタの社債引受部門の同窓会に呼んでいただきました。モルスタを引退し、現在は上海に留学して中国語を勉強中(ちなみにFXもやっていただいております・・・これ余計^^;)の当時の上司が一時帰国。ご自宅に大勢が集まり、改めて元上司の人望を認識。最後に元上司の挨拶が「やはり残念なことは、自ら立ち上げ率いてきた社債引受部門が廃部になってしまったこと。。。」そうとは知らなかった私は驚きました。

リスクの取り過ぎ、レバレッジの掛け過ぎで批判の渦中にある投資銀行。その中にあって、実直に手数料を積み重ねてゆく引受サービスは別物、と思いたいところですが、実際には、リスクを取れない⇒儲からない⇒既に無くなっていたというのです。ちなみに、M&Aの仲介・助言というサービスも手数料ビジネスの部門も、余程の“棚牡丹”案件を除けば、企業買収に必要な資金(レバレッジを含む)を提供する等、案件のリスクに参加することで、やっと案件にありつけるというのが実態です。

★需要が無くなったわけではない投資銀行業務。。。しかし、、、
三菱UFJ、野村がそれぞれモルスタ、リーマンを救済。「投資銀行は終わっているのに。。。」と批判が専門家の間で喧しいですが、“ビジネスモデル”が完全に破綻したというのは言い過ぎ。我が国では私の周辺(これ意味深長^^;)も含め、事業承継や業態転換が思うように進まずに悩んでいる同族企業など中小企業が少なからず存在し、事業の建て直しやM&Aの仲介・助言を外部に求めざるを得ない差し迫った状況に置かれています。思うに、この仕事を請け負える人材は非常に貴重で、月坪何万円もする綺麗なビルの一室にふんぞり返って他人の褌で相撲を取るバルジ・ブラケットのバンカーには勤まらない。彼等が望む報酬は得られない割には手間と人間力が要求される仕事なのです。この点、三菱や野村がどう考えるか、注目です。

赤信号、みんなで渡れば怖くない!?
「銀行預金全額保護」を電撃発表したアイルランド。イギリスは預金保護を350,000ポンドから500,000ポンドへ明日から引き上げ。スペインも「EU統一の金融システム救済策が策定されないようであれば」アイルランドの真似をすると発表。デンマーク等も追随か(以上、10/6夜BBC)。

最もスピーディでトップダウンな唯一の“金融システム救済策”かも知れません。が、ユーロ圏については、政府の簿外債務の急増は許されるのか?世界標準でペイオフ解禁となった我が国の1千万円は何だったのか?
「世界大恐慌以降の保護主義の連鎖を彷彿とさせる」(EC委員長。10/3FT)EU諸国の動きは、少なくともユーロ採用国にとっては明らかに通貨統合の遠心力となってしまっています。
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2008年10月6日月曜日

やっぱり変だよ世界の金融

何となくここのところ月曜日は雨降りと円高が多いと思うのは私だけでしょうか。
さて、今日はこれから大ベストセラー『やっぱり変だよ日本の営業』で有名なソフトブレーン創業者の宋文洲さんを直撃インタビューです。角川さんとのご縁とご協力で、これまで世界ソムリエコンクール日本代表の佐藤陽一さん、最新刊『投資のレッスン88』が話題の逢坂ユリさん、そして今更解説を必要としない森永卓郎さんという尊敬すべき仕事人の方々をインタビューさせていただいております。
「月刊ビジネスアスキー」「マネージャパン」で内容はご覧いただけます。どうかお楽しみに。

●米金融安定化法案下院可決で一辺倒の週末各マスコミ・・・
しかも尚、共和党は造反者が多数。我が国で言えば、今となっては飯事の郵政民営化法案、大平内閣不信任案可決、40日抗争くらいしか思い浮かびません。議員あっての二大政党と言えば聞こえは良いが、サブプライム関連資産(今では危険資産toxic assetと改名済)証券化同様、議会制民主主義も流動化しているということか。

●ドイツ、最大の不動産金融会社の救済失敗。新たな救済枠組みを策定へ(10/5FT)
総資産€4000億と欧州最大級の商業用不動産金融会社の破綻は現代ドイツ最大の金融破綻になりかけていたところ。護送船団による€500億の資金注入が予定されていたのだが・・・

●イギリス、預金保険の限度額を一口座当たり£350,000から£500,000に引き上げ(10/4FT)
ご存知の通り我が国のペイオフは1千万円。これでも「『貯蓄から投資へ』とは名ばかり」と証券業界の諸先輩社長が嘆かれます。イギリスのペイオフ、もともと随分高かったんですね。アイルランド政府が銀行預金全額保護という電撃発表で、ブラウン首相は怒り心頭。週末直ちに対抗策をとったもの。

宗教戦争とは言いません。が、明らかに保護主義合戦に入ってしまっている欧州金融事情。結果として、ユニバーサルバンクは守ってあげざるを得ないという欧州の事情が底流にあり、米国よりも破綻処理になりふり構わずという構図ゆえ、対米ドルでユーロのほうが銀行間のフォワード市場(スワップ市場)に安心感がある。その分、逆日歩が跳ね上がり続けている米ドルより空売りされやすい。よって、ユーロは対ドルで非常に弱いということになっております。

もし私の分析が正しいとすると、米国の金融が安定化し銀行間市場が落ち着きを取り戻すと、対ユーロでは高止まっていた米ドルが底抜けする恐れがあります。しかし、週末ご覧のとおり、バラマキ政策では金融安定化は無理。資金決済と金融商品ブローカー業務だけをグッドバンクとして残し、ヘッジファンドの真似事は良かれ悪しかれ独立してやりなさいという切り口を替えた新グラス・スティーガル法こそ今の米国金融に求められているのではないかと思いますが、何度も申すように私の意見は極々少数派。こうはなりませんので、米ドル暴落には意外と時間が掛かりますよ。
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2008年10月3日金曜日

金融安定化法案、下院を通過か?

9/29(月)金融安定化法案が下院で否決。3年前の我が国の小泉郵政解散のときの造反劇が単なる飯事として忘れ去られてしまう程、意外な与党共和党からの夥しい造反。それでも、恥を掻かされたのはブッシュ大統領よりもポールソン財務長官よりも、むしろ政策を抱き込まされた民主党オバマ候補だったのでは?

実際、オバマ候補の支持率は今週に入りマケイン候補に急迫される始末。ペイリン副大統領候補やペロジ下院議長の空気を読めない言論が撹乱材料たりうるかどうかは論じません。ちなみに、空気を読めない人材は企業組織に無くてはならない貴重な存在だっ、と言うのが零細企業経営者である七転び八起きの確信ではあります。

思い起こせば、①ベア・スターンズは救済⇒②ファニー・メイとフレディ・マックは救済⇒③リーマンは破綻⇒④AIGは救済⇒⑤ワシントン・ミューチャルは破綻⇒⑥ワコビアは救済、、、そして7000億㌦の金融安定化法案は与野党大統領候補まで抱き込み「根回し」をやり遂げ、下院での大量造反劇で否決。

全てが想定外、または政権末期のダッチロールだ、、、というのが一般の論調です。にもかかわらず、これでも筋書きのあるドラマである可能性を否定できないと疑うのが筆者の仕事であります。

ロシアに触発されても動かなかったグルジア情勢。筆者ブログは西側メディアが伝えない当該紛争の真相をお伝えしました。米政権は軍事的な負担や資源問題を含むロシアとの不毛な対立を見事に避けつつも、日本の殆どの無能メディアを自然と掌握し軍事専門家をしてロシア批判を繰り広げさせました。直後、オバマ候補の支持率はマケイン候補に急迫または逆転されるという事態が発生しました。

金融が政局となっている大統領戦直前の米国。ここで再び、オバマ氏率いる民主党が共和党の手練手管に弄された背景には、ファニー・メイとフレディ・マックという大衆迎合的なバラマキ機関が実に民主党陣営の恥部であるという実態があります。クリントン政権の財務長官でオバマ候補のブレインだとされるサマーズ氏もこの件になると途端に雄弁を失うことも思い出されます。

以上のお話は、筆者ブログを愛読して下さっている某上場会社の社長との昨日の談義の成果。本業は証券会社システムでいらっしゃいますが、話は不動産市況やM&Aのことまで及び、さすが上場会社の社長さんだと敬服するばかり。これからもお世話になります。

おっと、勿論、為替相場の話もしました。絶対的に弱含むと筆者が予想した米ドルよりも更に弱いユーロ。理由はユーロ圏の景況感だけではありません。銀行間市場の機能不全はむしろ米ドル相場にプラスなのです。少なくとも短期的には。。。。失われた10年・・・という言い方が嫌いな筆者ですが・・・ジャパン・プレミアムを要求された邦銀各行ですが、この間実に円高基調であったことと理由は殆ど同じです。解説は改めて・・・・・
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