2009年2月2日月曜日

双子の赤字、ニッポン

●温家宝総理、更なる景気刺激策を約束(2/1FT)
昨年暮にぶち上げた4兆元(約60兆円)の財政パッケージに加え、新たな対策を検討。国内経済を刺激し、個人消費に火をつけたい、とFT紙の独占インタビューで。だからと言って、「中国国内に淀む莫大な貯蓄が世界金融危機の一因だ」という馬鹿げた非難には一切与しない、と。

景気刺激の方法として、人民元の切り下げをハッキリとは否定しなかったものの、中国政府が人民元相場を「均衡のとれた妥当な水準」に保つべく努力してきたことを強調。「多くの人々はこの点に気づいていない。もし人民元がグローバル市場に翻弄され(ユーロ/ドルやポンド/ドルなどのように-筆者注)ジェット=コースターみたいな乱高下をしていれば、事態はより深刻だったであろう」と語った。

「今後も米国債を買い続けるか?」というFT紙記者の質問にはハッキリと返事せず。「外貨準備は国内需要刺激のために必要。一方、そのためには既存のドル建て資産の価値を維持しなければならない」。

これこそが、日経CNBCにて申し上げた、中国政府の外貨準備にまつわるジレンマです。ちなみに温総理は、IMFや世界銀行への融資目的で外貨準備を使ってほしいという世界の期待に応えるつもりはないとピシャリ。これら国際機関(という名の米国傀儡組織-筆者注)の組織改革が先だろうと語った。

日経CNBCと先週のオンラインセミナーでお伝えしたもう一つのメッセージは、

「中国は、景気刺激のための財政ばらまき政策が効果的かつ実効性が高い、世界で唯一の国」

であるということ。財政赤字、貿易赤字、家計赤字の国では、ばらまき政策は高インフレを起こすだけ。これを機会に生活水準を見直すしかないのです。日本は米国に近いでしょうか?中国に近いでしょうか?直近は、家計以外の二つは赤字。いわゆる双子の赤字に陥っています。

2009年の為替を見通すために、人民元VS米ドルは、難しいながらも重要な視点。この機会に是非、

「“為替力”で資産を守れ」(アスキー・メディアワークス、1,260円)

を是非お読みください。

月が改まりました。2月いっぱい、フェニックス証券にFX口座を開設していただき、1取引以上を成約してくださったお客様全員に書籍をプレゼントさせていただきますので、そちらもご活用ください。
CoRichブログランキング

2009年1月30日金曜日

為替操作国呼ばわりされた中国と偽ドル工場呼ばわりされた北朝鮮

●為替操作国と名指された中国、米国新政権に対して、最大級の非難-欧州外遊中の温総理(1/29FT)
ダボス会議出席をはじめとする欧州各国歴訪で、自国に次ぐ世界2番目の輸出大国ドイツを訪れた温家宝総理。メルケル首相との対談後の記者会見で「人民元政策は市場のニーズに合致したものであり、柔軟性に富んでいる。

先週、ガイトナー米財務長官が、長年の“タブー”を破り、中国に対して、輸出を保護するために人民元を人為的に操作していると批判したことに対する声明。世界の為替相場がジェット・コースターのようなボラティリティに晒されているが、それが中国のせいにされるとはけしからん、と。

ところで、温首相が訪ねたドイツは、ほんの20年弱前までは半分は共産圏でした。2月号のFACTA(月刊:ザ・ファクタ)で、人気コラムを連載中の手嶋龍一さんは、東ドイツ出身の欧州中央銀行(ECB)政策担当者をベルリンまで訪ねてきた北朝鮮高官が、

「わが朝鮮民主主義人民共和国が偽ドルを刷っていると中傷するものがいる。笑わせてはいけない。偽ドルというが、ニクソン・ショックで金とドルの兌換をやめてしまったドル紙幣のどこがホンモノだと言うのか」

と語ったという話を伝え聞いたと書いておられます。偽物のようなホンモノ、ホンモノのような偽物。このテーマは、昨年来、当ブログで追っかけていたものですが、北朝鮮高官の「不換紙幣自体が偽物」発言はさすがに詭弁。しかし、通貨とは何ぞや?不換紙幣とは何ぞや?基軸通貨とは何ぞや?なかなか痛いところを突いた、見事な詭弁です。

西側社会への意外にも太い地下水脈、贋金作りという大罪を平然と弁護する詭弁能力。勿論、皮肉で申し上げているのですが、北朝鮮の国力はあなどれないと感じます。

【本日最大のニュース】
わが処女作「“為替力”で資産を守れ!」(アスキー・メディアワークス、1,260円)が、いよいよ本日発売開始となります。昨日今日のブログの土台となっている、深くてわかりやすい経済その他の読み解き術が満載の書籍。

今日の東京はあいにくの雨ですが、傘をさしてさっそく「書店へGo!」

ついでに、

外国為替証拠金取引をやるなら、フェニックス証券。主要通貨ペアのスプレッドが「2銭でGo!」
CoRichブログランキング

2009年1月29日木曜日

意外とミーハーな私【号外】

只今、打ち合わせ先から銀座線で会社に戻ったのですが、日本橋で地下鉄から降りたところ、福井日銀前総裁が乗り込んでこられました。先方は、高島屋の買い物袋を持っておられ、当方は、フェニックス証券謹製のエコ・バックを偶然持っていたので、「これからはコチラをお使い下さい」と差し出そうかと一瞬考えましたが、どうしても直ぐにトイレに行きたかったので諦めました。

福井前総裁を間近に拝謁するのは実に17年振り。初回である前回は、福井氏が日銀理事として金融制度審議会に出席されていたとき。大蔵省(当時)の一室で、色んな人が色んなことを言うのですが、その中で福井理事(当時)の発言は断トツに切れ味があったのを今でも覚えています。

果たして、グリーンスパン氏が五番街で買い物をしたあと、地下鉄で家に帰るでしょうか?細かいことを言うときりがないですが、日本は良い国だと一瞬思った、夜の一こまでした。速水総裁の時期の議事録が公開され始めています。そのうち、福井総裁時期のも詳しくわかるわけで、とても楽しみですが、そのころは日本は景気が回復しているのでしょうか?わたしは、日本の景気回復は、中国より遥かに遅く、米国にすら先を越されると見ています。短期=円高、長期=円安。そのココロは、是非、『“為替力”で資産を守れ!』を御笑読ください。
CoRichブログランキング

2009年1月28日水曜日

FX業者は絶滅するのか!?(其の参)

昨年の日本経済新聞、今週の読売新聞、NHKの報道にもありました

「FX会社の顧客資産に、《証券会社並みの》全額信託保全を義務付けへ」

の話。いよいよ来週にも、内閣府令改正案が金融庁から公表され、同時にパブリックコメント募集となりそうです。

改正のポイントは3つ。

①FX顧客から預った証拠金(=顧客資産)は、全額、信託銀行で区分管理されなければならない。

これまでの区分管理ルールは、預金(但し別名義口座)、一部信託(残りはカバー先の外国銀行等への差入証拠金)という方法が許されていたのが、今後は駄目になるということ。

最大の論点だったLG(Letter of Guarantee=信託銀行がカバー先の外国銀行等に差し入れる保証書)方式が認められるかどうか、の結論も、原則駄目ということになりました。原則に対する例外は、債務不履行時のLG実行の際、カバー先債権が顧客返還債権に劣後する信託保全のみ。

LGに依存して《全額信託だぁ!》と顧客保護をアピールしていたFX会社にとっては、茫然自失となるルール改正なのです。

②ロスカットルールが存在しない業者、または機能していない業者に対する取締り。

対面中心のFX会社に該当業者が存在するらしく、当然のルール改正だと思われます。

③極端な低スプレッド、極端な高レバレッジを標榜しているFX会社に対して、適正なリスク=リターンのビジネスになっているのかどうか監督監視を強める

最後のポイントは内閣府令改正ではなく、監督指針改正で対応するそうです。

金融庁としても、上記のうち特に①が、FX業界に凄まじい激変をもたらすことは承知のうえです。すなわち、
①’LG方式は認めるが、全額信託は義務付け
①”一部信託(+カバー先預託)は認めるが、預金は認めない
という比較的緩やかな規制強化案と比較検討していたものの、まさしくリーマンショックにより、LG方式を特別扱いする道理は消えた。よって最も厳しい規制強化案に落ち着いたと考えられます。

今後の猶予期間中に、増資等により自己資本規制比率を増やせる業者がどれだけあるかにもよりますが、現時点では、区分管理に関して①”に落ち着いていたとしても、業界の3分の1以上が、①’であれば3分の2以上が廃業または業務停止に追い込まれるという意見があります。

ましてや、今回の結論①では、生き残れるのは健全経営の極々僅かなところに留まってしまう
でしょう。パブコメで大手を含む殆どの業者からの反論-特に《LGだけは全て認めろ》等-が予想されますが、逆に、「有事でのカバー先優先のLG」は認められなくなるぞ、と金融庁に指導され、わざわざ高コストな区分管理方法に変更した優良業者にとっては中途半端な妥協は許されないでしょう。

今日のブログはフラッシュニュース。本来はもう少し背景なり、区分管理の意味合いや重要性、そして上記③の「向こう見ずなスプレッド競争やレバレッジ競争」への影響について解説をしたいところです。私自身は、幸いにも、こうした動向を相当適度予見することが出来て、FX会社を経営してきたつもりです。

おかげさまで、明後日発売の『“為替力”で資産を守れ』で、今日のフラッシュニュースと同時に解説申し上げたい内容を、一章を割いて、たっぷり書かせていただくことが出来ました。FX取引に関わりのある皆様、どうぞ書籍をお手にとってご覧になってください。

参考過去記事:
FX業者は絶滅するのか!?(其の壱)
FX業者は絶滅するのか!?(其の弐)
CoRichブログランキング