2009年2月24日火曜日

年金給付2割目減り-現役収入比62%⇒50%

★米ダウ、250ポイント下げ。1997年5月以来の安値水準に墜落(2/23WSJ)
AIGが、追加支援をめぐる政府との交渉が決裂すれば、破綻に追い込まれる可能性がある、とCNBCは報じている。商業用不動産等で600億㌦もの追加損失を計上する見込みで、AIGは既に破綻を視野に入れて弁護士を雇う等の準備に入っていると日本語ロイター。

実は、銀行セクターよりも、ハイテクセクターの下落が悲惨。IBM、ヒューレットパッカード、アップル、GEがそれぞれ5%前後下げ。

昨日の日本時間では米政府が保有する普通株は4割に留まると報じられ株価反発の材料となったシティグループ。昨夜は、米政府保有の優先株を普通株に転換するとの情報も流れた。

国営化はしない⇔公的資金による銀行株の追加取得はあり得る???

こうした態度表明により、株式相場と為替相場の相関関係が大いに乱れてきているのが特徴。

昨夜セミナーでお話したとおり、短期的には、当ブログの一目均衡表などテクニカルが大いに力を発揮します。

★フォードとUAW、退職者向け健康保険の契約見直しについて暫定合意(2/23WSJ)
詳細は明らかにされておらず、全米自動車労連は他の加盟企業に対しても承認を求めていく必要が残されている。

退職者向けの保険と言えば、今朝の日経の一面。

★年金給付2割目減り-現役収入比62%⇒50%、厚生労働省が30年後を試算(2/24日経)
「不安を煽る」のと「安心を嘯く(うそぶく)」のと、日本を元気にするにはどちらが有効か?『百年安心』が崩れたのを御上のせいにしても仕方がない。金融恐慌という多額の授業料を払って得るべき日本人にとっての教訓は「自分のことは自分でしましょう」という気持ちの切り替え。

年金制度を直ちに廃止する。(支払済保険料)-(給付済年金)を国民に還元したときに、ひとりひとりの国民が、いま消費にまわすか、銀行やタンスに預金するか、年金のファンドマネジャーのような運用をするか、任せてしまうことこそ、景気対策と構造改革の両立だと思いますが、政権交代があろうとなかろうと実現は100%不可能でしょう。

年金廃止は極端にせよ、名目成長率以上の運用成績を政府系ファンドのマネジャーに課すのは酷でしょう。一頃だけ流行ったアジア・中東のソブリン・ウエルス・ファンドも全て落ちてくるナイフを拾ったことにより、名目成長率を遥かに下回る運用しか出来ていない筈です。郵貯簡保の民営化の真髄は、ここではありません。
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2009年2月23日月曜日

商工ローン大手のSFCG、民事再生法を申立て

★欧州主要国の首脳が集結、IMFに支援枠の倍増を求める(2/22IHT)
「金融危機が、東ヨーロッパだけでなくユーロを使用している国々まで急速に汚染し始めている」という認識で一致。各国首脳は汚染を食い止めるためにIMFの役割が重要だと強調。

しかし、つい数年前までは、彼らは現在のグローバル経済の発展にとってのIMFの役割は疑問だとしてきたと、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は皮肉る。

非ユーロ圏の金融危機では、是が非でもユーロを採用したいために、財政規律の強化に動き、失業率の火に油を注ぎ、暴動が多発している東ヨーロッパ諸国もあります。

一方、ユーロ圏での金融危機も、アイルランドやスペイン、ギリシアの国債発行費用が急増。同一通貨なのに、ドイツの国債利回りと破綻懸念国のそれとは大きく乖離してしまっています。

米国発の金融危機故に、米ドルの次の基軸通貨はユーロだという意見もありましたが、実際には、ニクソンショック同様の危機がユーロ通貨に差し迫っていると考えられます。

週末会議でIMFに求めた支援枠は5000億㌦。

★アラブ首長国連邦、ドバイに金融支援(2/22WSJ)
不動産市況の急落で過剰債務に悩む都市国家に、100億㌦を緊急融資。

そして、我が国では、
★SFCC(旧 商工ファンド)、倒産(2/23各メディア)
臓器が売買可能だと大衆に知らしめた金融機関も、グレーゾーン金利撤廃と過払い訴訟には勝てず。
負債総額は約3000億円。
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2009年2月20日金曜日

生き残れないSAAB、生き残った農林中金

★SAAB、保全手続きを裁判所に申し立て(臨時ニュースWSJ)
米GMのスウェーデン子会社は、第二次大戦までは航空機を作っており、独自の技術が玄人受けしていたが、GM影響下で赤字を垂れ流していた。OPELはどうなるのか?

海外子会社の野垂れ死を放置して、GM本体だけは米国の公的資金でゾンビのように生き残るとするならば、米国はWTOから脱退すべきだ。

★農林中金、1兆9000億円の増資を発表(日経ネット)
理事長も交代。割当先は全額JAグループだとか。

輸入米との価格競争で苦戦を強いられる国内米。JAグループは何故それほどの資金を拠出できるのか?

そのヒントは、こちらにあります。
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ダウ終値6年ぶり安値

★国有化懸念で銀行株下落(2/19WSJほか)

バンカメとシティはそれぞれ14%下落。

当ブログで時々ご登場いただいているグリーンスパン前FRB議長。頑固で“ぶれない”レッセフェール(市場放任主義者)を一転翻し、米銀大手は国営化が必要と、昨日FTとの独占インタヴューで答えていました。

「グリーンスパンさん、結局あなたが間違っていたんじゃないか?」と批判するのは簡単。リスクを覚悟のうえでレバレッジを効かし、実力以上のキャリー益を楽しんできた投資家を血税で救う道理はない。しかし、為すが儘にし過ぎることによって、リスクを回避し続けるべく銀行預金でしか運用してこなかった(キャリー益を楽しんで来なかった)庶民まで取り付け騒ぎに巻き込ませるのは行き過ぎだ。

無リスク金利の運用者と決済インフラだけは傷つけてはいけないという一線を確保する考え方は、正しい。

ところで、上記「レバレッジを効かし、実力以上の“キャリー益”を楽しんできた」のは投資家だけではなく、所得水準以上の住宅に住むために住宅ローンを借りまくった多くの米国民も含まれます。オバマ大統領が住宅差押回避のために2750億㌦の予算を通したのは、モラルハザードのばら撒き政策に他なりません。

人気のオバマ大統領がやると、大胆でスピーディという褒め言葉が付く。同様の政策でも、人気が地に落ちた麻生内閣では何をやっても評価されない。世論による集団暴行で予算が通らない、単純なばら撒き政策も出来ない構図は、少なくとも期末までに解消される筈はなく、恐らくは来年度前半は続くでしょう。ばら撒き政策を成立させることができないにもかかわらず、自らの醜態を晒すことで政権に留めをさし円安を導いた中川前閣僚は最後にgood jobをしたことになります。

一方、今朝のFTのトップの記事は、
★日銀、社債を1兆円購入へ(2/19FT)
会見の最中に、目の前に手を延ばされミネラルウォーターを持って行かれようが、日銀の独立性は確保されているのです。

埃を被ったマクロ経済学の教科書程度の知識に基づいて、上げ潮派と下げ潮派が「財政政策か?金融政策か?」と責任を押し付けあう内輪喧嘩は、中央銀行が国債以外の資産に手を出し始めた時点で相当程度無意味になることをもう一度強調したい。

一例を挙げますと、結局は道路や上下水道の工事や整備をすることが波及効果が大きいという判断を政治が下したとしましょう。その予算が通らなくても、道路公団と公営公庫の財投機関債(≒社債)を日銀が引き受ければ効果は同じです。
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