2009年8月3日月曜日

レバレッジ規制へのパブコメと金融庁の回答

実は、先週金曜日に日経CNBCで生本番が始まる前、簡単な打ち合わせで「レバレッジ規制のほうはパブコメと金融庁の回答はまだなんですよね」とコメンテーターの直居敦さんから聞かれ、「現時点ではそうなんですが、何となく今日あたり出てもおかしくないんです」と答えてオンエアとなったのでした。
案の定、勘が当たっており、番組中のレバレッジ規制に関する解説(キャスターの原田恵理子さん)の原稿から「近々公表の予定」というのを削除しておいて良かったということになりました。

話題のパブコメはこのように金融庁のホームページに載っています。
http://www.fsa.go.jp/news/21/syouken/20090731-6/01.pdf

これほど関心の高いパブコメは稀有なせいか、極めてユニークな内容になっています。普通のパブコメは、法令解釈に関する質問とか、法令引用等のミスプリの指摘が殆どなのですが、レバレッジ規制に関するパブコメは、「そもそも反対」「いやいや賛成」という総論的というか初歩的なコメントが多数寄せられていることが特徴です。

私は番組でレバレッジ規制は「最善ではないが次善の策だ」と申し上げました。それでも敢えて賛成論のなかにいい加減な論拠を持つコメントも混在していることを指摘しておきたいと思います。そのひとつが、

「委託証拠金倍率25 倍(4%)というのは、信用取引の3.3 倍(30%)と比べると極端に高すぎるという感をぬぐえない。」

という意見。為替の各通貨ペアと株式の制度信用取引の銘柄とで流動性やボラティリティを比較する以前に、制度信用取引においては、日中(立ち合い中)の瞬時の値洗いも制度化されておらず、したがって日中の強制ロスカットも出来ないどころか、追証請求の期限も翌々日の正午などと“悠長”な制度になっていることを理解してのコメントでしょうか。証券業界においては、店頭FXに比べて近代化が著しく遅れている株式インフラを十分反省したうえでパブコメに参加してもらいたいものです。
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2009年8月1日土曜日

汗はかかずも、話がチンプンカンプン

日経CNBCに再登場することは、田舎の両親には伝えていませんでしたが、七転び八起きブログで知っていたのか、二人仲良くテレビの前に座って観ていたそうです。

資産形成とは全く無縁の人生を送ってきた両親。番組の感想は「話がまるでチンプンカンプンだった」「髪型が変わったなぁ」「今回は汗をかいてなかったなぁ」、、、以上です。

反省すべきは、昨日もまた台本を無視して喋ってしまったために、時間配分が滅茶苦茶になり、喋りたかったことの半分くらいしかカバーできなかったこと。とくに「これからのFXはどうなって行くのでしょうか?」という原田恵理子キャスターからの質問に対し、「ミセス・ワタナベ的キャリートレードは終わっている」「高レバ・低スプ頼みの超短期スキャルピングも減るだろう」そしてレバレッジ規制後はいよいよ「資産形成のためのFX」が現れる。手数料ぼったくりの投資信託や外債投資よりは、穏便なレバレッジのFXのほうが金融商品として絶対に優れているという事実が、意図的なスリッページ等の悪徳業者が駆逐された後、徐々に認知されていく筈だ。消え失せるのは資産形成とは無縁の投機の場としてのFXに過ぎず、金融機関に支払うべき正当な取引コストを真面目に捉える投資家にとってのFXは寧ろこれから広まる筈だ、との一言を言い忘れてしまったことです。

近日中に、フェニックス証券のホームページに動画を公開する予定です。
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2009年7月31日金曜日

英国金融庁、原油市場関係者を召喚

昨日に続き、御当局による「お呼び出し」シリーズ第二弾です。昨日は米国で、今日は英国。昨日は住宅ローン関連で、本日は原油(商品先物)です。

英FT紙の臨時報道によると、特別会合は8月5日の予定。米国の規制当局(CFTC)が原油その他の商品先物市場への資金流入を取り締まるべく、ポジション・リミットの変更を検討していることに対応した動き。

しかし、今月の原油その他の商品相場や資源通貨の動き(注)を振り返るとき、FT紙の報道の中で注目すべきなのは、

「英当局(FSA)の動きが、ロンドンの原油ブローカー“PVM社”がしでかした不正取引(注)で強制ロスカット(損失規模10百万㌦)が原油価格を年初来高値の1バレル73.50㌦に押し上げたきっかけであるとの逸話をフォローするものだ」

という部分。そして、「お呼び出し」を喰らう市場参加者が特に注目しているのは、

「米国規制当局がポジション規制を強化すれば、資金は他国のプラットフォームや取引所に移るだろう。」

ポジション規制とは裏返せば(FX業界で話題の)レバレッジ規制。レバレッジ規制を行なっても(強化しても)規制のない他国に流出するだけという規制批判と似た見方が引用されています。現に、FT紙の報道によれば、来月早々の特別会議においても、現在ポジション規制のないロンドンのICE Futures Europeが直ちに規制対象になることは考えにくいとされています。
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(注)フェニックス証券の新しいホームページで、為替チャートとニュースのインターラクティブをお楽しみください。1時間足を分足や週足などに変更するには、口座開設をしていただく必要がございます。
(注)原文はrogue trading。英国の名門マーチャントバンクだったベアリングを倒産に追い込んだニック・リーソンによる(シンガポール上場の日経225先物取引での)巨額損失を映画化したRogue Traderにちなんだ表現だと思われます。

2009年7月30日木曜日

住宅ローン市場の暴落「疑惑」でゴールドマンを召喚

米上院がゴールドマン・サックスを含む複数の金融機関に議会証言を求める召喚状を出したとWSJ紙が速報。金融危機の根源と疑われる住宅ローン(モーゲージ)相場の崩落に関して重大な不正の疑惑があるのではと追及する構えと言います。

米上院の調査小委員会が注目するのは電子メールなどの内部連絡。対外的には安全な金融商品だと公表されてきたモーゲージ関連商品が“身内”では疑念を持ちつつ“調合”されていた実態が暴かれるかも知れないとのこと。

召喚状が出されたのはゴールドマン・サックスの他、ドイツ銀行、(ワシントン・ミューチャルを救済買収した)JPモルガンチェース。

ここだけ見ますと、綺麗にユダヤとゲルマニアとWASPが三つ巴で並んでいるので或る意味安心ですが、米国議会の一部に、「金融恐慌は意図的に起こされたものだ」という見方があるとすると、先日の記事金融ビジネスは必要悪の虚業なのかと同様、金融恐慌から戦争へという必然的な流れが、ヒトラーなど極一部のカリスマ全体主義者の狂気の問題として処理してはいけないことを示唆するでしょう。
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