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2022年1月24日月曜日

言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない

文学としての行政処分

他山の石として、金融機関に対する行政処分(業務改善命令や業務停止命令など)の中身を熟読することは、私の日課です。

しかし、みずほ銀行に対する行政処分は、その厳しさの度合いよりは、行政処分の文書のパタンである、「事実関係→法令違反の指摘(法令へのあてはめ)→処分内容」からはみ出した、異例のものになっています。

異例と思えるのは、まずは文章が大容量であること。そして、官僚の文章(霞が関文学などとも呼ばれます)とは思えない、情念のこもったものであることです。関ヶ原の戦いのまえに、石田三成が徳川家康の悪事を書き連ねた弾劾状を諸大名に送り「是非西軍に参加してほしい」とやるわけですが、その18カ条にも及ぶとされる書状をも彷彿とさせます。ただし、石田三成は所詮官僚どまりだったわけですが。。。

「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」という科白は、儲け主義の民間企業の役職員が、事なかれ主義の官僚を批判しているという文脈ならわかります(民間企業がみんな儲け主義だとか、公務員がみんな事なかれ主義だとか言っているわけでは、必ずしもありません)。言う側と言われる側が逆転していることが極めて屈辱的です。しかも、一般株主に対して責任がある上場企業ですらあるわけですから、なおさら言語道断です。

で、以上は、あくまで話の取っ掛かりであります。「言うべきことを言わない」≒「言うべきことが言えない」という企業風土では、優秀な人材は定着しないでしょうし、会社が経営不振に陥るのは時間の問題でしょうから、本来は、資本主義社会においてはみずほ銀行のような民間企業は淘汰されるはずです。しかし、国家権力となると、そう話は単純ではなさそうです。

「なぜ日本は無謀な対米対戦を決断したのか?」という話を、あらためて、2021年末にさせてもらいました。

学歴詐称の父-真珠湾「奇襲」80周年

昭和の選択・・・1941日本はなぜ開戦したのか

我々は(少なくとも私なんかは)戦後民主教育で、第二次世界大戦(終結)の意義のひとつとして、自由主義ないし民主主義の、全体主義(ファシズム)に対する勝利があげられると習ってきました。これが100%間違いだとは言いません。日本国憲法が事実上押しつけ憲法であることは間違いなさそうですが、その三つの柱は、日本の無条件降伏なくしては立てられなかったでしょう。

今日の本題はウクライナを巡っての世界大戦勃発リスク

しかし、明らかな間違いがひとつあります。例えば、スターリン政権下の当時のソ連は、ナチスドイツよりもひどいファシスト国家であったということです。

日本が、開戦前、昭和天皇もその取り巻き(例:木戸幸一)も対米開戦反対、近衛文麿も然り、東条英機ですら(※)この時点では開戦回避という考えで陸軍の下々を説得することが自分の役割であるという自覚があったわけです。よって、12月に書かせてもらったとおり、天皇に権力が集中しすぎていて、正しい考察や分析ができている有能な重臣や官吏が絶対権力者に対して「言うべきことを言えない」から間違った戦争を始めてしまう羽目になった、というのは間違いなのです。

※開戦前夜に至るまでの「軍拡」の流れ(日中戦争の推進や言論統制など)に責任はあるものの、と注釈すべきかも知れません。

戦前の日本の問題は、大日本帝国憲法や治安維持法をはじめとする非民主的な法規制のせいではなかったなどと言ったら、治安維持法の犠牲になった(ソ連共産党のスパイではない)良心の日本共産党員や反戦運動家の方々やそのご遺族からお𠮟りを受けることでしょう。申し上げたいのは、ファシズムという点で言うならば、ソ連やナチスドイツのそれらは日本とは比べ物にならない次元のものであったということと、米国にすらファシズムは存在していたということです。

米中に挟まれて極東情勢が流動化するなかで、日本としては、呑気に遠いところの話をしている場合ではないかも知れませんが、世界全体で見ると、いま一番緊張をしているのはウクライナ情勢です。

ウォールストリートジャーナルは、プーチンの出方次第では、ヨーロッパは1940年代以来の地上戦の舞台へと成り下がるかも知れないと報じています。

この記事、というか、長めの論稿には、面白い写真がフィーチャーされているのです。なんと、プーチンとゴルバチョフが額をくっつけてひそひそ話をしている写真です。


ゴルバチョフ元大統領とプーチン現大統領ー蜜月と批判

今年の3月で91歳になるゴルバチョフ元大統領は、現在では、権力集中へと邁進するプーチン大統領を批判するご隠居です。しかし、遡ること1991年、ゴルバチョフ氏の側近たちによる同大統領暗殺計画が企てられます。プーチンは、当時、ゴルバチョフ氏の民主化政策を助ける立場で、同氏夫妻を救出、クーデターは未遂に終わります。ゴルバチョフ大統領の政治改革は行き過ぎであり、このままでは、ソ連が崩壊してしまう、よって同大統領を失脚させなければならない、というのがこのクーデターの大義でした。

このクーデターが成功していたら、ソ連は崩壊していなかったのか?それはわかりません。事実は、クーデターは失敗したものの、ゴルバチョフ氏は大統領を辞任せざるを得なくなったというものです(この経緯は複雑)。

ウォールストリートジャーナルの記事は、ソ連崩壊は、モスクワから48.5%の人口と41%のGDP、そして米国とならぶ世界の二大国というステータスを奪ったという描写から始まります。

ゴルバチョフ氏が、ソ連という巨大組織の崩壊と自らの政治生命の終焉というリスクを賭してまで何故改革をあきらめなかったのかについては、ざっくりですが、

①自身の貧しかった少年時代に家族が体験した理不尽なスターリン粛清、

②スターリン批判を旗印としたフルシチョフ書記長の下での抜擢と昇進、そして

③昇進すればするほど身に染みたソ連共産党の「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない」組織風土

と読み取れます。

ところで、ロシア通ではない私には実にピンとこないのですが、ロシアはもはや一党独裁ではありません。そのなかで、現在は、プーチン大統領による事実上の独裁が進んでいるわけです。エリツィン大統領退陣後の2000年代は、ゴルバチョフ元大統領が隠居するわけもなく、社会民主主義政党を立ち上げては失敗し、という繰り返しをしていました。その間、プーチン大統領との関係は良好で、発言力のある(とは言えソ連を崩壊させたということで基本不人気であるが)好好爺として基本はプーチン大統領を支援していました。添付の写真はそんなころのもののようです。

実はスパイとしては出来が悪かったプーチン氏???

クーデターから救出してくれた恩人を一転して批判しはじめたのは2010年代からのようです。これはプーチンがロシア憲法における大統領の3選禁止規定を潜脱した(首相になったり大統領に戻った)り、選挙不正(?)をしたり、というのが元凶のようです。それでも、ウクライナ問題では、むしろ悪いのは米国でありNATO側であると一貫しています。

あらゆる戦争がそうであるように、結果的に勝ったほうも負けたほうも「義」があるわけで、われわれはだいたいは日本語か英語の報道しか見ないので、ウクライナを火薬庫として第三次世界大戦が起こるとするならば、きっと独裁者プーチンに対して誰も「言うべきことを言わない」ロシア側が悪いのだろうと考えてしまいます。

プーチンの粛清が、ゴルバチョフ大統領時代よりも前に(とは言え、スターリンほどひどくはなくてブレジネフ程度か?)逆戻りした感はあり、それがリスクであることは間違いなさそうです。

実はさきほど、ウォールストリートジャーナルの記事は、ソ連崩壊が20世紀最大の地政学上のカタストロフであるとして国民所得と人口の半分を失ったところから書かれ始めていると言いましたが、正確には、プーチンがベルリンの壁崩壊の瞬間は東ドイツにKGBのスパイとして駐在していたわけだが、スパイとしての評価は「リスクを過小評価する」出来の悪いスパイだったという記録がある、というところからはじまっています。要するにこの記事は、プーチン大統領が、もともとリスク感覚の疎い出来の悪いスパイ出で、ジョージア、アゼルバイジャン、ウクライナ(南オセチア、クリミア・・・)と紛争をしかけていくなかで、米国やNATO陣営のリアクションがそれほどでもないという経験値を積み重ねて、今日の危機に至っているのだという分析なのです。

確かに、司馬遼太郎先生も、デビュー作にして忍者小説の決定版「梟の城」で、主人公葛籠重蔵の描写において、忍者の辞書には「まさか」という語彙があってはならない、ということを書いておられた気がします。もしかしたら「関ケ原」の島左近だったかも知れません。


2009年7月31日金曜日

英国金融庁、原油市場関係者を召喚

昨日に続き、御当局による「お呼び出し」シリーズ第二弾です。昨日は米国で、今日は英国。昨日は住宅ローン関連で、本日は原油(商品先物)です。

英FT紙の臨時報道によると、特別会合は8月5日の予定。米国の規制当局(CFTC)が原油その他の商品先物市場への資金流入を取り締まるべく、ポジション・リミットの変更を検討していることに対応した動き。

しかし、今月の原油その他の商品相場や資源通貨の動き(注)を振り返るとき、FT紙の報道の中で注目すべきなのは、

「英当局(FSA)の動きが、ロンドンの原油ブローカー“PVM社”がしでかした不正取引(注)で強制ロスカット(損失規模10百万㌦)が原油価格を年初来高値の1バレル73.50㌦に押し上げたきっかけであるとの逸話をフォローするものだ」

という部分。そして、「お呼び出し」を喰らう市場参加者が特に注目しているのは、

「米国規制当局がポジション規制を強化すれば、資金は他国のプラットフォームや取引所に移るだろう。」

ポジション規制とは裏返せば(FX業界で話題の)レバレッジ規制。レバレッジ規制を行なっても(強化しても)規制のない他国に流出するだけという規制批判と似た見方が引用されています。現に、FT紙の報道によれば、来月早々の特別会議においても、現在ポジション規制のないロンドンのICE Futures Europeが直ちに規制対象になることは考えにくいとされています。
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(注)フェニックス証券の新しいホームページで、為替チャートとニュースのインターラクティブをお楽しみください。1時間足を分足や週足などに変更するには、口座開設をしていただく必要がございます。
(注)原文はrogue trading。英国の名門マーチャントバンクだったベアリングを倒産に追い込んだニック・リーソンによる(シンガポール上場の日経225先物取引での)巨額損失を映画化したRogue Traderにちなんだ表現だと思われます。

2009年7月9日木曜日

円高と資源安、どこまで続くのか?

先週来の、ユーロ円(だけでなく全てのクロス円)売り戦略は当たり続けています。しかし、ここまで下がると利食いによる買い戻し、割安感からの新規買いも増えて来ているのも事実。先週《ユーロ円で言えば、110円台乃至120円台が実力》と申し上げましたが、一直線でそこに向かうことはないでしょう。

円安と資源高のミニバブルが崩壊過程に入った昨今、直接には金融市場に影響を与えなさそうな二つのニュースが気になっています。

★グーグルがパソコンOSに参入
マイクロソフトの(Windowsという)青い芝生を刈り取りたいのか(WSJ紙)?

★英研究者、幹細胞から精子を作ることに初めて成功(FT紙)
このふたつの話題は、BBC等海外メディアでは、中国新疆ウィグルの反乱と同程度の大きな扱いなのです。

「日本は天然資源には恵まれないが、技術によって克服し続けることで、豊かな先進国でいられる」「欧米人の大半は勉強が出来ない。日本人の平均的な教養は高い」・・・本当でしょうか?無料の基本ソフトだとか、生殖細胞以外の幹細胞から生殖細胞を作るという着想や追求が日本の風土から生まれてくる感覚が持てません。

分野は異なるものの、両方に共通するのは、「中途半端に各分野の情報や知識を詰め込んだ常識人の発想からは出てこない偉業であること」「偉業とは言え、そこまで既存の常識や倫理を乗り越えて良いのかという議論を巻き起こしうること」等々。

前者を言いかえれば、詰め込み教育を素直に受け入れる秀才よりも、既存の知識体系を学習している途上で疑問を感じ先に進めず躓く「馬鹿と天才の紙一重」の人物のほうが、ブレイクスルーをもたらすということ。我が国の英才教育やらエリート教育というのはどちらを志向しているでしょうか?不妊治療の倫理問題と、教育のあるべき姿論を混同してはならないでしょう。

「1+1=2」を自明だと受け入れることが出来なければ小学校の算数で落ちこぼれるでしょう。しかし、これに疑問を抱かず知識を甘受してしまっていたら、バートランド・ラッセルクルト・ゲーデルは誕生しなかったでしょう。アインシュタインが小学生時代は理科が苦手だったという逸話は有名です。日本語が国際言語でない以上、世界中の研究者の卵達が日本で切磋琢磨するという絵は描きづらいでしょうが、知識詰め込みの画一教育からドロップアウトしそうな「馬鹿と天才の紙一重」を大切にする仕組みをもたないと、いよいよ日本は資源も技術もない三流国になってしまいます。

というわけで、クロス円は買い戻し準備!?
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2009年6月19日金曜日

豪ドル/円のスプレッドが3銭から!?

店頭外国為替証拠金(FX)取引【フォレックス・ラインForex Line】の小口取引(主要通貨ペア1000通貨から)、取引所FX取引【大証FX】、そしてCFD【アクティブ・ゼロ・ネオActive Zero Neo】それぞれ開始と、7月以降目白押しのフェニックス証券から、、、

豪ドル/円のスプレッド 本日より3銭から!!

期間限定、ロンドン時間中心に、「大安売り」のお知らせです。
http://phxs.jp/

主要通貨ペア1000通貨単位から取引可能(最低証拠金額10,000円で、英ポンドやドル、ユーロの小口取引も、南アフリカ共和国ランドの大口取引も可能)となる来月7月に先駆けての「大バーゲン・セール」を当社店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】で開始します。

豪ドル/円を選んだ理由。資源通貨の代表格、豪ドルは原油価格や貴金属価格に強く相関しています。リーマン破綻後、ヘッジファンドや投資銀行は以前程はレバレッジを効かせられず、投機的だった資源相場も安定した値幅で振幅していることが観察されています。

一部投資銀行のエコノミストの極端な相場見通しとは裏腹に、原油価格は40㌦~70㌦あたりを安定的に行き来するとの見方が大勢。ここに来て、多くの個人投資家の皆様がFX取引に戻って来ておられるのは、「高過ぎたら売る。安すぎたら買う。」という“投資本能”が活かせる相場が復活したからだと私は見ています。

過度なレバレッジを懲らしめる効用は、確かにあるのです。

フェニックス証券は(お客様の注文を原則全てインターバックに直結させるビジネスモデルのFX会社としてはとしては)米ドル、ユーロのスプレッドは既に“最狭水準”。本日から、豪ドル/円を加えたのは、上記理由からです。
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レバレッジ規制と全額完全信託規制に殆ど対応済みのフェニックス証券をこれからも応援して下さい。
(店頭FX取引【フォレックス・ラインForex Line】に関する留意点はフェニックス証券のホームページをご覧ください)
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2009年5月28日木曜日

崖っぷちのGMと米長期金利の急騰

株高は債券安(長期金利高)を、株安は債券高(長期金利安)を意味するという経験則があります。相関関係は多少落ちますが、為替については、前者は円安と、後者は円高とセットだと。

昨夜は、この経験則に反する、米国株の反落と米国債相場の急落が生じました。前者はDES(債権と株式の交換)を柱とするGMの私的整理案が予想を遥かに上回る債権者から拒絶されたこと、後者はMBS(不動産関連の証券化商品)の大口売りが、それぞれ直接の原因とされています。

GMについては、昨日の日本時間に「UAW(米国自動車総連)がDESに応じる」という“リーク”が伝えられ、既得権益側の根回しというか、既成事実化(GMのゾンビ化)に向けて、着々と手が打たれている空気はありましたが、事実上の破談を迎えたことになります。米国債の暴落についても、

「競争力のない大企業を公的資金で救済するという前例を作ってしまったら、そんなモラルハザード国家の借金など誰が引き受けるか!?」

という市場の恫喝と捉える必要はあります。

我が国も、まったく他人ごとではないスタグフレーションの始まりです。

資源相場の急騰が、新興国バブルと米国発不動産不況の引き金となったように、各国の長期金利の上昇は、モラルを犠牲にした財政出動でも景気回復は出来るという安易な楽観バブルに針を刺すものです。米国債の利回り曲線(イールドカーブ)の指標となる「10年物利回り-2年物利回り」は昨年8月に付けた過去最大幅をぶっちぎっての記録更新だとWSJ紙は伝えています。
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2009年5月13日水曜日

中国の輸出が急減、原油60㌦に接近

米国の貿易赤字が8ヶ月振りに悪化したのは3月のお話。中国の輸出が6ヶ月連続で落ち込んでいるのは4月のこと。更には季節調整の問題もあって単純に比較はできないので、米中の貿易不均衡の問題は引き続き慎重に分析して参ることと致します。

ここでは、FT紙に掲載されたモルガンスタンレーアジアの会長、米国経済への徹底した悲観論で知られるスティーヴン・ローチ氏の談話を取り上げます。

「中国政府は、今回の経済危機が1930年代のものとは全く異なる・・・つまり、世界経済は急速に回復し、同時に中国は世界の中でより大きな存在になる、と“計算”しているが、これは誤りだ。」

「グローバル需要が急回復するとの前提で、伝統的なばら撒き政策と古臭い経済成長戦略に寄りかかり過ぎている。」

「米国主導の外需落ち込みが延々と続くと予想されるポスト危機後の世の中に対する準備としては、中国のやり方は全くなっていない」

ローチ氏指摘の古びたばら撒き政策とは、公共事業と、輸出産業への特恵(低利融資や税還付など)。1997年のアジア危機や2000年のITバブル崩壊に際しては、中国はまさにこのやり方で乗り切ったのでした。

米国が再び馬鹿げた大量消費社会に完全復帰することはないというローチ氏の見方に賛成。ただし、中国に何を求めるか、FT紙には代替案が書かれていません。米国からの輸入が増えるようなタイプの内需拡大、つまり中国版“所得倍増計画”でしょうか。中国の財政の膨らませ方まで、米国がとやかく口を出せるというのは残念ながら不可能でしょう。

しかし、“投資銀行”に所属しているエコノミストとしてスティーヴン・ローチ氏ほど気骨のある人は稀。昨夜原油が再び60㌦に接近しました。昨年12月に原油25㌦を吹聴した投資銀行がありました。
http://phxs.blogspot.com/2008/12/blog-post_05.html
時まさにボーナス支給時期。いい加減な予想と同時に喰い逃げか。。。
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2008年12月19日金曜日

米ドルはどこまで腐敗するのか?為替介入はありやなしや??

●原油価格が急落、米国政府は自動車産業の破綻処理を熟考(12/18IHT+Reuter)
原油価格は9%下落し、過去4年の最安値を更新(1バレル36㌦)。OPEC減産合意と米国ゼロ金利政策導入にもかかわらず、世界経済の落ち込みが長く、そして深いとの懸念で。

米国自動車産業は、原油価格の乱高下の一番の犠牲者とも言えるが、政府による救済のプロセスの一部として破綻処理が持ち上がってきた。ブッシュ現大統領の「無秩序な破綻では衝撃が大きすぎる」との発言が、管理された破綻処理を現政権が真剣に検討し始めたとの憶測を呼んでいると。

一方、
●オバマ政権の新経済閣僚候補、最大で8000億㌦の財政出動を議会に提出(12/18WSJ)
減税、社会保障、学校建設、エネルギー効率化投資、ブロードバンド接続、健康情報分野の技術開発・・・と大枠が示されている。

米国の国内総生産は約12兆㌦と日本の約2.5倍。これに対する米国の公的債務は、今世紀に入ってからは対国内総生産比で40%弱を維持しており、同比率が160%~180%の日本と比べて遙かに健全。0.8兆㌦の追加財政出動など全く問題ない、と勘違いしてはなりません。

伝統的なマクロ経済学では、財政政策と金融政策の違いを強調し過ぎてきましたが、国債をどれだけ買うか売るかという調節手段に留まらず、民間企業の債務や株式、不動産(含む証券化商品、不良債権)まで中央銀行の貸借対照表に乗っかる可能性がある「代替的金融政策」の時代にあっては、財政と金融を区別することが殆ど無意味になってきています(我が国の「財政と金融の押し付け合い」やら「政府発行通貨が景気対策の起爆剤になる」という議論も、いつぞやのデノミ同様、意味の無いお祭騒ぎに過ぎません)。

つまり、米国の国家管理債務の金額を洗い出すうえで、FRB絡みのバランスシートの膨張もきっちり合算しなければ、米ドルという通貨の腐敗度合いを査定することは出来ないということです。

今年だけで、FRBはCP買い入れ枠1兆8000億㌦、入札方式による資金供給枠9000億㌦、住宅ローン消費者ローン対策枠8000億㌦をなし崩し的に意思決定しています。当ブログ独特の表現で金融機関モラルハザード案件では、FRBと政府とあわせて、AIG向け1500億㌦、シティグループ向け2500億㌦という超大口案件の影に隠れてベアスターンズ救済関連290億㌦も、今から思えば大した金額ではないものの3月当時は随分物議を醸したことを忘れてはならないでしょう。

以上は、未使用枠もあるので合算が難しい部分ですが、コミット済み(枠取り済み)の財政政策絡みではファニーメイ・フレディマック支援2000億㌦(住宅関連法案)、不良債権救済プログラム7000億㌦(金融安定化法案)が2大モラルハザード案件は当然のことながら合算されなければなりません。

今、筆者の手元にはないのですが、FDIC(連邦預金保険機構)をはじめとする公的機関や地方公共団体等の債務も考慮に入れる必要があります。この点、FDICはダントツに大口であり、今年、銀行債務と決済性預金の保証枠1兆9000億㌦が決定しています。

繰り返しになりますが、枠取りはされても未使用部分があちこちにあるため全部を合算させては可哀想ですが、以上がなし崩し的に使用されると、公的債務/国内総生産の比率は、どんどん我が国の水準に収斂すべく悪化すると見るべきです。

ただし、公的部門の「バランスシート」と呼ぶくらいで、負債があればその反対側には資産があるわけで、資産の質を問わずして負債の額だけで通貨の腐敗を決め付けることは論理的ではありません。《銀行の不良債権を時価以上で政府または中央銀行が買い上げてやり含み損または実現損部分を増税ではなく赤字国債でファイナンスし、その国債を中央銀行が買い切りオペで現金化する》タイプのポリシーミックスが財政出動策に占める割合が大きければ大きいほど、その国の通貨はハイパーインフレ等の経路を通じて坂道を転げるように腐敗すると言わざるを得ません。

昨日夕刻以降、中川財政相の為替介入を仄めかす発言等で、一時急激な円高是正がありました。但し、為替介入が日銀単独に留まり、協調介入が成立しないとなると、「(欧州や中国を見習って)米ドルの“腐敗化政策”を意図的に取ろう(政権交代のドサクサに紛れて、敢えて明言は避けつつ、ドル高政策を180度転換しよう)」という自国通貨の切り下げ合戦Dirty Floatへの宣戦布告だと読み取らなければならないでしょう。

今朝の二つの記事は、米国の政権交代が保護主義に向けて思い切った舵取りが切られるかも知れないという文脈で読み解く必要があります。
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2008年12月5日金曜日

原油下落と金利下落

●原油価格、1バレル25米ドルまで下落!?メリルリンチが警告(12/4FT)
米国、欧州、日本の景気後退が、これまで商品市況高騰の牽引役だった中国の成長鈍化を招くならば、との説明。「100ドルを越えたら、次は200ドルだ」と騒ぎ立てた投資銀行業界が、半年も経たずに今度は「50ドルを割ったら、25ドルだ」と、懲りずに『順張り』予想で世間を騒がせる。この“ビジネスモデル”、もう終わったのではなかったのか?

経済学では、需要の増加や減少によって(物理的な理由等により簡単には)供給が増減しないモノの価格を『地代』と言います。名前の由来である土地がその典型例(だった)。括弧付過去形の意味は、もし現在でも都心の一等地に建蔽率や容積率に厳しい制限がある一角があるとすれば、そこはきっと景気動向で不動産価格が周辺の規制緩和された区画よりも遙かに上下動するでしょう、という意味です。『地代』の例としては他に、お金のためではなく兎に角好きでやっていた野球だったのに気がつけばプロ野球選手として球界を代表する名プレーヤーになってしまったみたいな選手の年俸。各球団による争奪戦は、この選手にとっては想定外の動きであり、このような引き合いのことを『派生需要』と言います。『派生需要』と『地代』が発生するモノの供給曲線は価格軸と平行なのが特徴です。

で、原油はどうか?代替エネルギーがないわけではない。供給側(OPECなど)の生産調整も出来る。未開拓の油田もある。等々を勘案すると、少なくとも今の世の中では原油価格は『地代』とは言い切れないのです。

メリルやGSのエコノミストは余程のアホか、賢いのだけどもいやいや相場操縦につき合わされているかどちらかでしょう。

●英100bp利下げ、1951年以来の低金利(12/4FT、WSJ)
1694年にイングランド銀行が創設されてからの最低水準。来年1月には更に75bp利下げして、1.25%とまで予想する向きも。

ところで"bp"はベーシスポイントの略で、0.01(パーセント)ポイントと同じ意味です。“0.01%”と言うと、(下落)幅のことなのか(下落)率のことなのかハッキリしないので、この記事のように幅であることをハッキリさせたいときに(ベーシス)ポイントという表現を使います。ブリティッシュ・ペトロリアム(英国石油)の略ではありません。

●ユーロも75bp利下げ、2.5%へ(12/4FT、WSJ)
欧州中央銀行の10年の歴史で、最大幅の利下げ。

●米ビッグスリー首脳、再び議会で金融支援を懇願(12/4Washington Post)
3社の金融支援要請額を合計すると340億㌦~380億㌦。2週間前に言われていた数字(250億㌦)から増額されているのは、たった2週間の間の赤字運転資金だったのか。

3社破綻だと250万人の労働者が失業の危機に晒されることを考慮すると、その際の対策資金に比べて、380億㌦でも安いという経済評論家の意見をワシントンポストは紹介しています。が、その評論家も、今後2年間で必要な借り換え資金は各社首脳が申し出ている数字より遙かに大きい750億㌦~1250億㌦だとのこと。
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2008年11月21日金曜日

原油が暴落してもアメ車は売れない

●シティグループ、金融株への空売り規制を再開するよう議会とSECに求める(11/21WSJ)
金融株を標的にした「借株の手当てのない空売り(naked short sales)」は、撤廃済み。同時に、更に厳しい空売り規制=我が国でもお馴染みのアップ・ティック・ルールの復活も求めているらしい。米国ではアップ・ティック・ルールは2007年7月に撤廃されている。

シティグループの株式は、今週過去4日間で40%下落。

●ダウ平均445ポイント下落、原油価格50㌦割れ(11/21WSJ)
シティグループ株が26%下落したほかJPモルガン・チェース株も17%下落。金融株だけでなくエネルギー関連株が大きく足を引っ張る。

その原因が、原油先物の大幅下落。昨夜だけで1バレル当たり4ドル(7.46%)下げて、2005年5月以来の低水準に戻る。

今年7月3日に史上空前の1バレル145.29ドルを付けた原油価格。大手金融機関のエコノミスト達の大半が更なる高騰を予想し、中には200ドル突破まで嘯いた意見さえありました。しかもその根拠は原油値上がりの原因が投機ではなく実需だと。今週、昨夜の下落幅の大きさを実需の減少で説明するのは無理。FX同様、ヘッジファンドや個人がレバレッジを掛けて買い上がっていた分、強制決済が強制決済を生むという実態以上の下落にならざるを得ない現象に間違いがありません。逆に言うと、存亡の危機にある多くの大手金融機関は原油バブルを演出するためにエコノミストをして相場操縦に加担させていただけのことに過ぎないと言えます。

さて、実態以上に原油価格が下落しているのなら、ガソリンを無駄遣いしながら走るアメ車の需要は復活するでしょうか?ガソリンを電気プラグに替えてもエントロピー増大の原則にかわりはありません。

●米国上院の超党派議員、自動車業界救済措置で合意(11/21ロイター)
超党派と言っても、たったの3人。250億㌦の貸出について妥協すると発表。

一方、

●米国民主党幹部、自動車業界救済法案の決議を来月まで延期(11/21WSJ)
GM、フォード、クライスラー3社に対して、公的資金が如何に活用され事業再生し返済可能となるかについて、具体的な再建計画の提出を求めた。

救済か?破綻か?ハッキリしないことにはドルも株式も買いづらいのは当然の心理。オバマ政権発足が来年1月なのに対し、GMの資金繰りが厳しいのは来月。この間、特に週末は要注意ですが、今月末は28(金)が新月、29(土)が三の酉で火の用心だそうです。
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2008年11月12日水曜日

金の生る木はありませぬ

●原油価格、60㌦割れ-20ヶ月来安値(11/12NYTimesほか)
今年7月の高値から何と59%下落。OPECによるカルテル(産出削減合意)も、世界経済の成長鈍化に勝てなかったとニューヨーク・タイムズ紙。

金も下落。WSJ紙は、「ありとあらゆるインフレ再燃政策を駆使しているのに、商品相場が低迷しているのは、金融機能が相変わらず壊れていることを証明している」と論じています。

●GM、韓国での操業を停止(11/12FT)
ウォン安は関係ない!

●ファニー・メイとフレディ・マック、住宅ローンの条件変更プランを公表へ(11/11WSJ)
9月に国有化された米住宅ローンの巨人。何十万契約にものぼる住宅ローンの条件を債務者寄りに見直し、住宅供給が再び経済成長を引っ張るようにしたいのが趣旨だとのこと。詳細はこれからだが、昨年までに実行されたローン(要保険付、自己破産案件は除外)につき、毎年の元利金弁済が年間所得の38%以内になるように利率を緩和したり、場合によっては元本も一部帳消しにするとの案が出ている。

●7000億㌦の金融安定化法案、実効性に疑問が(11/11WSJ)
アメリカンエキスプレスが銀行持ち株会社となり、GSやモルスタと同様、金融支援対象となったほか、GM等自動車産業についても民主党新政権が既にプログラム適用をと鼻息が荒い。駆け込み寺に次々と殺到する「それなら私も助けてよ」という声・声・声に対して、政治は収拾をつけられるのか?

最後におまけ。
★アーバン転換社債の仮装払込はインサイダー取引の可能性あり-BNPパリバの外部検討委(日本語ロイター、日経)
楽して儲ける方法はありません。その一言に尽きる。
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2008年11月4日火曜日

怪我の功名

●原油価格、月間の下落幅が記録更新(10/31FT)
1983年にニューヨークで原油先物が創設されて以来。原油に限らず、穀物など商品先物全般が急落中。連休中の日経新聞でも大きく取り上げられていました。

●米銀、貸し渋りは続く(11/3WSJ)
連銀調査で明らかに。家計向けも企業向けも貸出基準を厳格化。とくにクレジットカードについては、借り手の信用力にかかわらず、信用枠を削減して行かざるを得ないと。理由として、経済の先行きが不透明であることと、銀行が資本の毀損でリスクに耐えられないという2点が挙げられている。

●GM、10月売上高が前年同月比で約半分!(11/3WSJ)
フォードは30%減、トヨタは23%減。人口増を調整した数値で見ると、第二次世界大戦以降で最悪の月間記録とか。

歴史に残るかも知れない2008年も6分の5が経過しました。まだ、1年を振り返るには早すぎますが、私にとっての2008年の個人的キーワードは「怪我の功名」ということになりそうです。これまでにない激動の一年のなかで43歳の誕生日を向かえることになった雇われ社長4年目突入の今年は、「怪我の巧妙」と呼ぶに相応しい出来事のオンパレードでした。そのエピソードは年末上梓予定のデビュー本に譲らせてください。

本日の記事でひとつだけ言わせて貰えば、エネルギー価格や食料価格のバブルが弾けたのは(予想通りとか当然のこととか評価はさておき)世界金融危機の副産物《怪我の功名》なのかも知れません。
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2008年8月15日金曜日

超~気持ちいい。

●ドルは底打ち、ユーロは下落へ-ゴールドマン・サックス調査レポート(8/14ロイター)
ゴールドマン・サックスは為替について、米経済成長の安定や原油価格の下落、米国外の見通し悪化を考慮し、過去10年にわたる米ドルに対する弱気スタンスを放棄する、との調査リポートを明らかにした。

4月以来、筆者ブログ並びにフェニックス証券オンライン・セミナーを参考にしてくださってきた皆さま、この日を待っておりました。

ゴールドマン・サックスはフェニックス証券にとって最も大事なカバー先のひとつです。これまでも、そしてこれからも。同社の調査能力、ビジネスを生み出す力が如何に卓越しているかは、昨年来のサブプライム騒ぎの渦中でのアウトパフォーマンスを見れば改めて説明を要しません。所詮、相場観は当たるも八卦、当たらぬも八卦。それはFX業者の経営責任者も然り、またお客さまにおかれても然り。自分の思い込みが間違ってたなぁと即座に反省して損切りが出来る人間力こそ長期間に亘り投資をエンジョイ出来る秘訣だと常日頃から考えています。

アーバンコーポレイション向け債権に回収懸念-東急建設と五洋建設(8/15日経)
金額は未定。昨日【号外】ではないほうのデベ⇔ゼネコンの企業間信用とはこのこと。前回の不動産不況以来、マンションデベは過当競争のゼネコン業界の弱みに付け込み、法外な延払い条件を呑むのなら発注してやる、という商慣習を定着させていた。今年最大の倒産をフォローする記事は本日の日経朝刊でたったこれだけ。米国のサブプライム問題で大騒ぎしておきながら、日本の不動産不況と信用収縮については意図的としか思えないほど取扱が小さい
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2008年7月9日水曜日

旅の恥は掻き捨て

●FED、銀行救済を延長(7/8FT、WSJなど)
大手米系投資銀行に対するFEDからの緊急融資枠、来年も継続とバーナンキ議長。信用収縮がまだまだ続くとの政界の懸念が高まるなかでの発言とFT紙。

ニューヨーク時間午後遅い時間帯での同発言で、米国株は急反発、ドルは対ユーロで再び反発、原油価格も数ヶ月来で最大の下落幅となっています。

ちなみに昨日取り上げたアルミニウムの相場ですが、1991年の湾岸危機以来、最大の下げ幅を演じる急反落となりました。

ドルと原油の逆相関、誰しもまだまだ続くと考えている中で、中央銀行はマッチポンプ的な口先介入を続けるしかないのでしょうか。1998年冬から春にかけての日本銀行の債券オペを巡る発言の変遷を思い浮かべてしまいます。

ひとつくらいはサミットの話題も、、、
●ブッシュ大統領、温暖化ガス削減目標の設定に同意(7/8FT)
42年後の目標を数ヵ月後に辞める大統領が約束しても意味が無い、という発言も。

バスに同席しないブッシュ大統領夫人、環境問題を論じながらの美食の晩餐。サミット反対派に付け入る隙を与え過ぎ(怒)。世界遺産=熊野古道をテクテク歩いてもらって高野豆腐など精進料理を食べてもらうというセッティングのほうが受けたと思います。高野山、金剛峰寺を頂くなだらかな山頂こそサミットと呼ぶに相応しい。
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東京地下鉄東西線、有楽町線、南北線から“ロードショー”始めました!

2008年7月7日月曜日

誰のための原油高だったのか?

7月4日米国独立記念日のブッシュ大統領演説、「戦争犯罪人!」と叫ぶ聴衆が次々と退場させられる中、「米国には言論の自由があるから、、、」と精一杯の機知で場の空気に対処する大統領の姿を多くのメディアが捉えました。

イラク戦争の長期化、泥沼化がブッシュ政権にとって誤算であった、と「Will8月号」で九段靖之介氏。高々2000億㌦と見積もられたイラク戦争の戦費も、少なくとも3兆㌦はくだらないという試算も(スティグリッツ「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」)。

そう言えば、“ネオコン”という言葉をハタと聞かなくなりました。ブッシュ、チェイニー、ラムズフェルド。。。彼らは、原油高政策が米国にプラスだと嘯き、大量破壊兵器をでっち上げ、イラクを攻めたわけです。勿論、「米国にプラス」というのは嘘で、カーライル-ハリバートンという石油利権に表象され、更にその背後に潜む鉄道利権、石炭利権に居座るネオコンにとっての金の生る木に過ぎないと広瀬隆氏は断じてきました(「世界石油戦争」「アメリカの保守本流」)。

原油高によるドル安、ドル安による原油高が何処まで進むのか?目下、FXに携わる我々の最大の関心事ですが、イラク戦争膠着というかつてのベトナムの戦況を彷彿とさせる読み違いがなければ、原油高=ドル高政策の予定だったということを今改めて思い起こす必要がありそうです。

電力の9割近くを原子力に頼るフランス、原発廃止方針の見直しに取り組むドイツ、この両国がイラク戦争に反対し、北海油田を持ち石油純輸出国であるイギリスが同戦争に反対したのも、このような文脈から眺めると納得感があります。
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2008年7月4日金曜日

株安、ドル安、原油高

ECB理事会と米国雇用統計が重なってしまった昨夜、FXは予想を上回る大商い。弊社では昨年12月からシステム一新と同時に、お客さまと弊社、弊社とカバー先を結ぶ光回線を従来の2倍の容量にしました。が、それでも昨夜は5分乃至10分価格配信がスローになってしまったり、一部のお客さまでブラウザ起動がうまくいかなかったりご迷惑をお掛けしました。

日本株の市場には真似できない投資効率と透明な市場-様々な要因によりFX人気はとどまるところを知りません。わたくしどももお客さまの需要に対応して、データセンターの増強や更なる通信回線確保を計画しています。

●グーグルに対して、ユーチューブの顧客情報を明け渡し命令-Viacom社の要求で(7/3FT)
Viacom社はMTVの親会社。ユーチューブが著作権を侵害したとして訴えていたもの。何百万件もの閲覧履歴を明け渡せとの判決。

ユーチューブに対しては、著作権侵害だと神経質に対応している大手メディアもあれば、新譜売り出し等のために利用価値を認めているメディアもある。

ユーチューブにアカウントを持っているヘビーユーザーの中には何度検閲されてもくじけずにアップロードしてくれる有難い方々が世界中にいらっしゃいます。

●思ったよりタカ派じゃなかったトリシェ総裁(7/3FTなど)
ユーロは対ドルで急落。
振り返れば、筆者がオンラインセミナーを始めた4月以降、ユーロ/ドルは殆ど1.54~1.59のレンジが硬いものになっています。その割には瞬間瞬間の変動率は非常に大きい。

「株安、ドル安、原油高」というと名調子なのでマスコミやアナリストは使いたがりますが、筆者はユーロ圏のインフレが日米両国では考えられないほど庶民の生活を圧迫していることを考えると、ユーロ高バブルもいつか限界が来ると見ています。ドルとユーロの不美人投票、これがユーロドルの硬いレンジとボラティリティを両立させているような気がします。
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2008年6月20日金曜日

“通信”大家さん

●米ヤフー、大規模な機構改革を実施へ(6/19WSJ)
マイクロソフトが支払おうとしていた475億㌦を超える収益力を示すのは至難の業。来週発表予定の大機構改革で経営陣に激震が走る。

検索エンジンという画期的なビジネスモデルで勝ち組の座を確実にしたかと思われたヤフーも、今気がつけばサイバー空間上の不動産賃貸業者に成り下がっているのではないでしょうか?

交通量が多いということで、家賃は随分高く、コスト重視の筆者の会社は広告出稿の実績はありません。

一旦、不動産業を始めると、コンテンツはテナント任せになってしまうもの。

日本でもバブル崩壊後に経営破綻した多くの百貨店も「自分らは大家業に過ぎない。売り上げのあるテナントにどんどん入れ替えていけば良い」と開き直っていたことを彷彿とさせます。

●中国、ガソリン価格と灯油価格を大幅値上げ(6/19WSJ、FT)
兼ねて報じておりましたとおり、アジア各国に共通の動き。本日から何と18%の値上げ。

これを受け、米国時間の原油相場(WTI)は約5㌦急落。

もうひとつ。

●中国当局、株価下落と悪戦苦闘(6/19FT)
株式公開の認可を遅らせる等。政府自身によるPKOを求める声も大きい。90年代の日本か???
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通販大家さん、デレバレッジ時代大丈夫?(--)/

2008年6月3日火曜日

石炭の反省!?

5/23付ブログ夕張、再チャレンジで原油価格の異常な高騰が続くのであれば、わが国の炭鉱を掘り返すくらいのことが必要なのではないかと書きました。

ところが、実際には輸入炭が多いのでしょうが、石炭の割合が急速に戻っているために、二酸化炭素の排出が増えており、問題なのだということです。

温暖化防止のために、チーム・マイナス6割!を掲げているフェニックス証券としては、認識不足で、どうもすみませんでした。

しかしちょっと待ってください。石炭で走る蒸気機関車のほうが、核燃料で走る電車より環境に優しい、というのは何か違和感がありますね。

温暖化ガスについては、因果関係が完全に証明されているのかどうかは別にして、環境破壊の抑止力になるという点で、効果的なプロパガンダだと思います。が、一方で、二酸化炭素さえ止められれば良いと短絡してしまうと、思わぬ副産物が生じてしまいます。

人類が便利さを求め、贅沢を求める限り、エントロピーは増大し続ける。地球にとってエントロピーを減らしてくれるのは唯一太陽だけ!植物は中立、人間含めた動物はすべて環境を破壊しているのだという自戒が必要です。

●米国株式、先週一週間の上昇を、月曜日一日で殆どちゃらに(6/2WSJ)
スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、リーマン・ブラザース、メリル・リンチ、モルガン・スタンレーの3社を格下げ。リーマン株は8.1%下落。バンカメとJPモルガンチェースについても格下げの可能性が高いとしている。

その他、ワコビア、ワシントン・ミューチャルでそれぞれトップ更迭など、金融関連の負の材料が目白押しで、「ISM指数、4ヶ月連続50割れは、2003年以来」という材料が問題視されないほど、株価の足を引っ張る。

FX的には、ドルは対円、対ユーロともに売られております。

尚、昨日【号外!】メルマガでご紹介した英B&Bの株価は、24%下落となっています。FT紙は「洋の東西で金融危機再燃が懸念され株価下落」と表現しています。
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御蔭様で「社長ブログ」人気ランキング1位達成。読者のみなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます。これからも日々戦い、熱く書き続けたいと思ってます_m(..)m_

2008年5月29日木曜日

クールビスの季節到来

●衆議院解散総選挙は可能な限り先延ばしするだろう(5/28FT)
小池百合子議員がFTのインタビューに答える。孫子の兵法を引き合いに出し、「(福田首相は)負け戦を戦うべきでない(筈が無い)」と断言。

「チーム・マイナス6割!」を掲げるフェニックス証券も来週からクールビス実施です。ご来社くださるお客さま、どうかラフな格好をお許しください。

●米国10年債利回り4%を超える(5/28WSJ、FT)
1月初旬以来。金利先高感を織り込み。

原油価格高騰によるインフレ悪化で、欧米の金利格差が広がり続けるのは可笑しな話です。昨夜はWTI反発も、ユーロは対ドルで下落。

この背景については、フェニックス証券オンライン・セミナー第二弾「たかがポンド、されどポンド」を是非ご参照なさってください。

●インドネシア、OPEC脱退へ(5/28FT)
アジア唯一の加盟国だったが、純消費国へ転落で。

●ユナイテッド航空とUS航空、合併に向け協議(5/28WSJ,FT)

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2008年5月28日水曜日

ドンだけぇ!?

「ガソリン税を下げろ!」という動きがヨーロッパでも遂に出始めた、とWSJが報じています。トラックの運転手が何百台ものトラックをロンドン市内に集結させ、渋滞を起こさせている。とか、フランスでは漁師たちが港や石油備蓄基地を封鎖。スペインやイタリアでもこうした抗議に参加する動きが出ているとか。

これまで石油価格高騰に対しては、アジア各国では補助金削減に動いており(FT)、結果たった1週間で石油価格が3割近く上昇したインドネシアでは学生や漁師が暴動を起こしている(WSJ)一方、石油価格問題が政治課題の中心になっている米国では、次期大統領候補がガソリン税減税を論じている(WSJ)という具合に、「処変われば品変わる」状態でした。

日本の現状は、みなさま良くご存知なので省略します(苦笑)。

対するヨーロッパでは、石油の高騰は「温暖化の抑止力になるという考え方が(米国やアジアに比べ)根強く自動車利用を控えれば良いのだ」(WSJ)ということで、大きな政治問題にはなってなかったそうです。

ここに来て一挙に火を噴いたヨーロッパにおける石油高騰問題。サルコジ仏大統領は石油課税をヨーロッパ全体でカットすべきと語っているようです。

ところで、「為替介入」というものは「協調介入」を含め、近年全く聞かれなくなりました。こういうときこそ、「為替=FX」ではなく、原油先物を売り浴びせるべく協調介入でも検討してみたらどうでしょう?通貨と違って、原油は印刷できないから無理かなぁ。

●ベトナム通貨「ドン」の対米ドル変動許容幅を±2%に拡大(5/27WSJ)
去る3月に±0.75%から±1%に拡大させたばかり。ハノイでは昨日の朝1㌦17,200ドンで交換していた両替商が夕方には17,700ドンに!

●「西側経済には規制が無さ過ぎる」と中国の“金融監督当局”トップが批判(5/27FT)
FTのインタビューに答えたもの。曰く「将来の金融危機を防ぎたければ、金融市場への監視を強化し、クロスボーダー規制を改善すべきだ」と。

一理あるが、中国には言われたくないと思われる方もいらっしゃるかも、、、

●FEDの融資枠に対して、米銀の立場分かれる(5/27FT)
ゴールドマン・サックスのように、信用危機の悪影響が比較的軽微で済んだところは、FEDの追加規制の受け入れに反対する一方、リーマン・ブラザースのように、追加規制を受け入れてでもFEDの特別融資枠を確保し続けたいというところも。モルガン・スタンレーは、その中間の立場だそうです。
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2008年5月23日金曜日

夕張、再チャレンジ

ポールソン米財務長官が「原油高騰は長期的な需給に沿ったもの。投機が原因ではない」とCNBCのインタビューで指摘(ロイター)。ご出身母体のゴールドマン・サックスの「1バレル=200㌦」予想と軌を一にするコメントであり、また多くの外資系投資銀行のエコノミストも「投機だけでは説明できない」とポールソン氏の考え方に同調しています。

実際は、昨夜135㌦台の記録をつけたWTI、その後急落して、130㌦台に落ち着いています。とは言え、「異常な状態」(福田首相)。「産油国に増産を働きかけねばならない」と語る同首相、浪花節が通じないのがグローバル資本主義だと思いますけど。。。

筆者も「異常な状態」が早く収まることを期待したいですが、これが実態であれば、石炭鉱を掘り返すくらいのことを真剣に考えなければならないのではないでしょうか?夕張、再チャレンジです。

エネルギー自給率の低さ、食料自給率の低さをカバーしてくれてきたのは、戦後一貫して汗水流して働いてきた町工場の方々です。筆者を含め、金融部門は全く貢献していません。農業は?医療は??それはまた別の機会にさせてください。

そんな中で、

●原油価格が135㌦をヒットするなか、アジア諸国は「エネルギー補助金」削減へ(5/22FT)
台湾、マレーシア、インドネシア各国、価格を市場に委ねる、ないしは政府補助金を削減する動き。台湾新政権はガソリンと灯油の価格統制の廃止(6月から)、電力料金値上げ(7月から)を打ち出す。

どこかの国も、2大政党がポピュリズムを競い合っているだけでは、結局国が滅びるだけですね。

●ロンドン証券取引所、好業績なのに、株価は大幅続落(5/22FT)
イタリアの証券取引所、ボルサ・イタリアーナからの敵対的買収に対し、防衛策を取り入れたことが、年初来安値を更新し続ける原因と同紙は分析。

と、ブログ執筆中に、「ヤフー、年次総会延期」というニュースが飛び込んできました。
「たかがポンド?されどポンド!」オンライン・セミナー、第2回受講申し込み受付開始!
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