緩やかなデフレに悩む国から近くて遠い国は、慢性的なインフレなのであります。北朝鮮では、したがって、過去5度も「通貨改革」を実行しているらしいのです(12/1朝鮮日報日本語版)。
http://www.chosunonline.com/news/20091201000018
今回、17年振りとなる「通貨改革」または「通貨交換」を、単にデノミと呼んでは本質を読み間違えてしまうようです。但し、北朝鮮というお国柄、奥の院からの公式発表が何も行われず、各国大使館宛に理由の説明を欠いたブリーフィングがなされただけ(12/2フィナンシャルタイムズ)ということで、各国主要メディアではその取り扱いの大きさから憶測や解釈に至るまで報道内容が様々であることが特徴です。
デノミの教科書的な解釈を軸に、無難にまとめているのがフィナンシャルタイムズ紙でしょうか。すなわち、
★大筋としては、11月30日から12月6日の間に、旧紙幣は、二桁少ない新紙幣に交換される。
★公式発表はいまだに無いが、インフレ対策に加え、闇市場(実態は行商人など)が不正蓄財した旧紙幣を召し上げることも目的。
★一部で不平不満が出ているとの噂あり。
★北朝鮮ウォンは著しく歪んだ通貨であり、公設市場では1㌦=140ウォンだが、実態は3000ウォンでしか取引されない。
これに対して、同じ英国でも、エコノミスト誌は、現地消息筋の情報を踏まえて、「庶民に対する国家の収奪・搾取」という観点を強調しています。まず、ひとこと目に、
★11月30日、北朝鮮人民の貯蓄が国家の命令により掻き消された。
そして、
★新紙幣への交換可能額は当初10万ウォンと設定されたが、国民の憤慨により、15万ウォンまで引き上げられたようだ。
エコノミスト誌は敢えてデノミという用語を使わず、鍵括弧付きで“revaluation”「再評価」が行われたのが17年振りだが、前回の目的が悪性インフレへの対策であったとは言え、今回の主眼はインフレではない(平壌の生活費用はこの17年間さほど上昇していない)と論じます。寧ろターゲットは、
★主として中国との商取引で金持ちになったビジネスマンや腐敗した公務員
だと。しかし、残念なことに、
★そのような利に敏い策士たちは、たった数百人くらいしかおらず、大抵は財産を人民元やドルや円に変えてしまっている。
なので、実際に最も打撃を受けるのは、平均月収5万ウォン程度の中流層であると報じています。
ちなみに、ウォールストリートジャーナル紙から幾つか補強材料を拾うと、
★政府からの公式発表が無いまま、水曜日から通貨の交換は実行され始めた。
★電話回線は遮断され、外出禁止令が発動されたこともあり、首都平壌は平穏無事である。但し、値札の付け替えのために、商店街はすべて閉店となっている。
★市場活動(≒資本主義的傾向)弾圧のために、これまででも最も大胆なfar-reaching施策で、米の価格が旧通貨ベースで20倍になったり、玉蜀黍が同30倍になったり、そして前述の利に敏いお金持ちが田舎に押し寄せ、「デノミ」についてまだ情報を知らない貧乏人たちから旧紙幣で農産物などを買おうという動きが出ている(この点は、仏教系チャリティ団体「良き友達」という在ソウルの対北朝鮮消息筋の話として韓国中央日報も同様の引用をしています)
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123555&servcode=500§code=500
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=123556&servcode=500§code=500
度々七転び八起きブログでご紹介している塩沢由典先生の著書「マルクスの遺産-アルチュセールから複雑系まで」のなかの一文に「共産主義は20世紀における人類最大の実験であった」というのがあります。この壮大な実験は多大な犠牲を伴いつつ、ソ連崩壊やベルリンの壁崩壊などにより失敗という結論でほぼ終結するのですが、まだ細々と実験を続けている国が、それも我が国の近くにあるわけです。
勝負あったかと思われる資本主義VS社会主義の冷たい戦いのなかで、北朝鮮の事例から日本は学ぶべきものはあるのでしょうか。資本主義陣営とは言え、純粋な「市場原理主義」など有り得ないことを考えれば、国家は民間の財産を簡単に収奪・搾取しうる点では、あまり北朝鮮のことを他人事と考えないほうが良いでしょう。例えば、固定資産税などは簡単に上げることが出来るのですから、不動産を「所有」しているとは思い込まないほうが良い。イギリスと殆ど同じで、御国から半永久的に借地をしているだけで税金という名の地代はこの先どうなるか判ったものじゃないと覚悟すべきです。
相続税や贈与税には色々な抜け道があるようですが・・・
実は、我が国の資本主義をもっとも停滞させているかも知れないのが、前出の中間層ですが、ここに良い顔をしないと選挙に勝てないという現状があります。北朝鮮の「デノミ」は、この集団と向かい合うわけですから、尋常なことではありません。
「まず財源ありきとの議論では駄目」「日銀はまだ寝ぼけたところがある」という金融担当大臣を誰も選挙で選んだ記憶がなくても、政府与党の代表のひとりであり閣僚のひとりなのであります。赤字国債を乱発して、日銀に引受させれば、財政法の脱法で簡単にインフレを起こすことはできます。そのことと、北朝鮮の「デノミ」という名の紙幣の紙屑化と比べると、政府による所得分配への介入という点では実態は同じで、技術的にも殆ど巧拙の差はありません。
2009年12月4日金曜日
2009年11月27日金曜日
緩やかなデフレの国の独り勝ち
「緩やかなデフレ」宣言が菅直人大臣から飛び出したものの、具体的な政策について触れられなかったことに対して、早くも民主党政権の迷走が始まったとの論調が強まっっていた矢先のドバイ・ショックでした。
米国FRB議事録でドル金利の長期低迷が明らかとなり、ドルの独歩安かと思われた今週末の為替相場は、実はオセアニア通貨やその他新興国通貨がドル以上に対円では弱くなり、結局は円の独歩高という解釈が正しかったようです。
砂上の楼閣ならぬ海上の不動産開発に酔い痴れていたドバイは、良く知られているように石油資源を持っておりません。持っていたのは、夢物語で桁違いの資金を集めまくる能力だけだったとすれば、やっていたことは我が国のバブル紳士やITもどき寵児と酷似しています。
「そろそろドルキャリー取引や円キャリー取引のミニバブルが弾けても可笑しくないな」とか「世界中の多くの大手銀行の不良債権の誤魔化しがそろそろ限界に来ているのではないか」とか胡散臭さを感じていた投資家の皆さんも少なくはなかったでしょう。その引き金がドバイであったことには驚きましたが、ドバイで起こっていることは実に日本人には理解しやすいことです。
しかし、為替ブログとして問題なのは、クロス円通貨の押し目買いをどこで入れれば良いかということ。キャリーをエンジョイした通貨は来月も激しいボラティリティに晒されるでしょう。であれば押し目買いは相当先まで待ったほうが良いのか。ドバイ問題で難しいのは、この不良債権がどこの通貨エリアに撒き散らされているかという点。これは邦銀とて無縁であるとは言い切れないと考えられます。現時点ではまだ情報が十分ではありません。
当面は心配していない、というか心配したくないのが、ドバイ型バブルを意図的に作っているもうひとつの経済圏、中国沿岸部の状況です。こちらが崩落すると、ドバイショックどころではなくなるでしょう。
ドルキャリーや円キャリーでポンドやユーロに投資をするよりは、日本の長期国債や(モノに寄りますが)不動産に投資をしたほうがシャープレシオは低い、という真実が急速に再評価されそうです。
ちなみに、長期国債は、フェニックス証券のCFDでもアクセス出来ます。
http://phxs.jp/
米国FRB議事録でドル金利の長期低迷が明らかとなり、ドルの独歩安かと思われた今週末の為替相場は、実はオセアニア通貨やその他新興国通貨がドル以上に対円では弱くなり、結局は円の独歩高という解釈が正しかったようです。
砂上の楼閣ならぬ海上の不動産開発に酔い痴れていたドバイは、良く知られているように石油資源を持っておりません。持っていたのは、夢物語で桁違いの資金を集めまくる能力だけだったとすれば、やっていたことは我が国のバブル紳士やITもどき寵児と酷似しています。
「そろそろドルキャリー取引や円キャリー取引のミニバブルが弾けても可笑しくないな」とか「世界中の多くの大手銀行の不良債権の誤魔化しがそろそろ限界に来ているのではないか」とか胡散臭さを感じていた投資家の皆さんも少なくはなかったでしょう。その引き金がドバイであったことには驚きましたが、ドバイで起こっていることは実に日本人には理解しやすいことです。
しかし、為替ブログとして問題なのは、クロス円通貨の押し目買いをどこで入れれば良いかということ。キャリーをエンジョイした通貨は来月も激しいボラティリティに晒されるでしょう。であれば押し目買いは相当先まで待ったほうが良いのか。ドバイ問題で難しいのは、この不良債権がどこの通貨エリアに撒き散らされているかという点。これは邦銀とて無縁であるとは言い切れないと考えられます。現時点ではまだ情報が十分ではありません。
当面は心配していない、というか心配したくないのが、ドバイ型バブルを意図的に作っているもうひとつの経済圏、中国沿岸部の状況です。こちらが崩落すると、ドバイショックどころではなくなるでしょう。
ドルキャリーや円キャリーでポンドやユーロに投資をするよりは、日本の長期国債や(モノに寄りますが)不動産に投資をしたほうがシャープレシオは低い、という真実が急速に再評価されそうです。
ちなみに、長期国債は、フェニックス証券のCFDでもアクセス出来ます。
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2009年11月23日月曜日
女のみち♪~「完結編」
某FX関連ポータルサイトで特集されておりました七転び八起きの「生い立ち」が本日4回目の掲載をもちまして完結致しました。
第4回:資産運用のためのFXを目指して
バックナンバーとあわせて、御笑読(ごしょうどく)ください。
それと、、、
11/20(金)に更新致しました田中良茂ピアノリサイタル♪の記事に関しまして、重要な追加事項がございます。
来たる2010年1月18日(月)に大活躍される田中良茂さんは、その先、4月24日(土)文京シビックホールで開催予定のチェルノブイリ子ども基金主催のチャリティコンサートで、こんどはピアノ伴奏としてボランティア出演をしてくださる予定です。昨年12月フェニックス証券主催チャリティ・オペラ・コンサートで大活躍してくださった我が国を代表する新進気鋭のヴァイオリニスト印田千裕さん にも妙技をご披露していただくほか、オペラティックなレパートリーにも絡んでいただく予定です。七転び八起きも少々お手伝いさせていただく予定であります。読者の皆さん、是非両日とも空けておいてください。
詳細未定につき、追ってお知らせして参りたいと存じます。日本で良く知られた歌の数々を、オペラ分野からはヴェルディ作曲「椿姫」をハイライトでお届け出来ればと考えております。
第4回:資産運用のためのFXを目指して
バックナンバーとあわせて、御笑読(ごしょうどく)ください。
それと、、、
11/20(金)に更新致しました田中良茂ピアノリサイタル♪の記事に関しまして、重要な追加事項がございます。
来たる2010年1月18日(月)に大活躍される田中良茂さんは、その先、4月24日(土)文京シビックホールで開催予定のチェルノブイリ子ども基金主催のチャリティコンサートで、こんどはピアノ伴奏としてボランティア出演をしてくださる予定です。昨年12月フェニックス証券主催チャリティ・オペラ・コンサートで大活躍してくださった我が国を代表する新進気鋭のヴァイオリニスト印田千裕さん にも妙技をご披露していただくほか、オペラティックなレパートリーにも絡んでいただく予定です。七転び八起きも少々お手伝いさせていただく予定であります。読者の皆さん、是非両日とも空けておいてください。
詳細未定につき、追ってお知らせして参りたいと存じます。日本で良く知られた歌の数々を、オペラ分野からはヴェルディ作曲「椿姫」をハイライトでお届け出来ればと考えております。
2009年11月20日金曜日
田中良茂ピアノリサイタル♪♪
「ベートーヴェンの時代のピアノ協奏曲は演奏会の華であった。」
が、その一方で、
「19世紀、ピアノ協奏曲は室内楽編曲版でしたしまれていた。」
と。
これは、新進気鋭のピアニスト、田中良茂さんが中心となり、世界初演を含むベートーヴェンの室内楽版ピアノ協奏曲が連続公演される企画を推薦・協力されている西原稔桐朋学園大学教授の言葉です。
努力と才能の結晶としての音楽をより身近に♪♪そのようなコンセプトの企画をフェニックス証券は微力ながら応援します。
2010年1月18日(月)東京オペラシティ・リサイタルホール(京王新線初台駅東口)
開場18:30
プレトーク19:00
開演19:15
ベートーヴェン作曲(小林寛明編曲)ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
(ピアノ&コントラバスを含む弦楽五重奏)
ベートーヴェン作曲(ヘッシンガー&ベートーヴェン編曲)ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
(ピアノ&ヴィオラ2本を含む弦楽五重奏)
チケット/一般:4500円、学生2500円
フェニックス証券では、12月までに外国為替証拠金(FX)取引口座フォレックス・ラインまたはアクティブ・ゼロ若しくは差金契約(CFD)取引アクティブ・ゼロ・ネオで100万通貨以上のお取引をいただいたお客様の中から抽選で10名様を、この素晴らしいコンサートにご招待いたします。
が、その一方で、
「19世紀、ピアノ協奏曲は室内楽編曲版でしたしまれていた。」
と。
これは、新進気鋭のピアニスト、田中良茂さんが中心となり、世界初演を含むベートーヴェンの室内楽版ピアノ協奏曲が連続公演される企画を推薦・協力されている西原稔桐朋学園大学教授の言葉です。
努力と才能の結晶としての音楽をより身近に♪♪そのようなコンセプトの企画をフェニックス証券は微力ながら応援します。
2010年1月18日(月)東京オペラシティ・リサイタルホール(京王新線初台駅東口)
開場18:30
プレトーク19:00
開演19:15
ベートーヴェン作曲(小林寛明編曲)ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 作品19
(ピアノ&コントラバスを含む弦楽五重奏)
ベートーヴェン作曲(ヘッシンガー&ベートーヴェン編曲)ピアノ協奏曲第4番 ト長調 作品58
(ピアノ&ヴィオラ2本を含む弦楽五重奏)
チケット/一般:4500円、学生2500円
フェニックス証券では、12月までに外国為替証拠金(FX)取引口座フォレックス・ラインまたはアクティブ・ゼロ若しくは差金契約(CFD)取引アクティブ・ゼロ・ネオで100万通貨以上のお取引をいただいたお客様の中から抽選で10名様を、この素晴らしいコンサートにご招待いたします。
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