2010年7月7日水曜日

東京駅のエキナカに欲しかった「止まり木」

フェニックス証券のある東京駅の八重洲北口に、朝も昼も晩も食事が楽しめるカフェが誕生しました。大丸東京店の1階の、いつ見ても長蛇の列がバームクーヘンを求めている「ねんりん家」すぐ横(※)に出来たスィーツ&カフェの名前はPERCHOIR(ペルショワール) 。フランス語で「止まり木」という意味だそうです。

(※)タイトルにエキナカと書きましたが、正確に言えば、改札の外なので、(グランスタのように狭義の)エキナカではありません。

店のオープンは昨日ですが、ホームページは私が確認したところによれば本日七夕。

http://www.perchoir.jp/whatsnew.html

ウェブのほうは、まだまだ工事中の箇所がいくつかあるようですが、現実の店は100%開店稼働しており、初日から賑わっています。早速私も、打ち合わせと急ぎのランチに使いましたが、使い勝手の良さに嬉しくなるわ、周りから「美味しい、美味しい」の声が聞こえてくるわ、出だしのテンションは絶好調のようです。

ウェブに拘るFX会社の社長としては、出来たてのホヤホヤのトップページ

http://www.perchoir.jp/index.html

の導入部分のアニメーションの素晴らしいセンスに感動。そのウェブデザイナーさんたちと同様、PERCHOR(ペルショワール)のコラボレーターのうちのおひとり写真家の坂本泰士(サカモトタイシ)さんと邂逅。私にとって写真と言えば、何よりもDAYS JAPANと「チェルノブイリ子ども基金」の広河隆一さんなのですが、社会の底辺を支える生身の人間を写すことを軸にしている坂本泰士さんはもちろん広河隆一さんのことを御存知だという話になり、カフェで大いに盛り上がりました。

返す返すも世間は狭いです。

あまりに混雑すると、私は困るのですが、場所はコチラです。
http://www.perchoir.jp/access.html

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2010年7月6日火曜日

社会保障と経済成長は二者択一ではない

もう17年前のことになります。社会人5年目を迎えた1993年4月、日本興業銀行(当時、現在はみずほグループ)の総合企画部に配属され、人生初の東京生活を始めて1週間。週末、独身寮に住む同期にこう語ったことを覚えています。「たった1週間だが、この会社は老い先短いと確信した。会社を変えることが出来るとすれば、それは役員でもなければ、残念ながら総合企画部でもない。株主(総会)か労働組合しかないだろう」と。

ご覧の通り、形骸化した株主総会にも、御用組合の典型である労組にも、期待できる筈がなく、今日の姿を迎えているわけです。

現在では製造業を含む殆どの大企業が正社員と非正規従業員の理不尽な対立を孕んでいるなかで、もの言わぬ株主と、もの言わぬ非正規従業員の双方から既得権益を収奪し続けようとしているのが企業別労働組合です。当時の銀行は、良きにつけ悪しきにつけ、正規非正規の対立はなく、全員が幹部候補生という稀有な組織でした。組織化率が異例に高い御用組合にも、造反有理の一縷の望みはあったと思ったものでありました。

昨夜のブログ
消費税より前に重要な争点がある「日銀党宣言」
に掲載させていただいた日銀論文
北欧にみる成長補完型セーフティネット~労働市場の柔軟性を高める社会保障政策~
を読むと、常識的には資本の論理(株主の論理)と矛盾対立すると思われる労働組合というものが、目標設定次第では、雇用の促進と成長の促進という一石二鳥をドライブしうることがおわかりいただけます。

格差、経済成長、財政規律、、、これらを全問正解することは政治にとってたいへんな難問であることは間違いないでしょうが、ただいまの日本は何ともはや全問不正解という稀有な状態に落ち込んでいるわけです。この理由も、上記論文で淡々と説明されています。

ひとつだけ取り上げると、「生涯教育」の在り方が全く違うということ。北欧では産業別労働組合が運営する職業訓練、技能訓練であるが、日本では余暇を持て余す人達向けの趣味に費やされ(全国各地に「よくもまあこんなに建設したな・・・」と呆れるほどの量と質の「公民館」で、義理でもなければ聴きに行きたいと誰も思わないような素人演芸会が日夜行なわれている)。後期高齢者医療制度を批判する前に、やることが一杯あったのです。
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2010年7月5日月曜日

消費税より前に重要な争点がある「日銀党宣言」

政治や政策を論ずるときに、日本銀行の話題が出ていれば、その殆どが、金融緩和政策の不徹底(含むインフレ目標を設定しないこと)への批判であると思われます。与党野党を問わず(革新系のごくわずかな代議士を除き)不景気打開の隘路を日銀の不作為に求めるのは常習化しているのであります。

かくして、財政再建と経済成長を両立することは、菅直人首相の言う通り、難問題であることは確かです。選挙前のタブーとして定着している消費税問題を敢えて争点にした、内閣支持率再び急落中の同氏の清々しさに一票を投じたい気持ちはあります。

さはさりながら、消費税云々以前に重要な争点があることを、実にその日銀が先刻アップした論文は示しています。

北欧にみる成長補完型セーフティネット~労働市場の柔軟性を高める社会保障政策~

本文は長いですが、どうか冒頭の要約と、後半のグラフィックだけでも御一瞥下さい。この国の不幸が、主として大企業や官僚機構の(本質的には持続不能であることを自他ともに認めている)終身雇用と年功序列、それらの既得権益を無理矢理支える企業別労働組合と労働法制(含む解雇法制における重要な判例)であることがおわかりいただけます。

七転び八起きブログで繰り返し主張してきたこの争点ですが、この国の更に不幸な点は、この既得権益を本気で打破しようとしている政治家が、私の知る限り、二大政党にも第三極の諸派にも伝統的革新野党にもいらっしゃらないことです。
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2010年6月25日金曜日

ジョージ・ソロスの思考実験

昨日付の英フィナンシャル・タイムズ紙にヘッジファンドの王様、ジョージ・ソロス氏が「ドイツは想定不能なこと(the unthinkable)を考察(reflect)しなければならない」という題名の論稿を載せています。

ゴールデンウィーク明けにブログ掲載したわたしの「思考実験」は、「ギリシャのユーロ離脱⇒ドラクマの復活があったとしたら・・・」でした。

http://phxs.blogspot.com/2010/05/blog-post.html

ソロス氏がドイツに強く奨める思考実験(thought experiment)は、「ドイツのユーロ離脱⇒マルクの復活」です。

この似て非なる現実離れした仮定から導かれるものは、明らかにマルクの高騰とユーロの暴落だから、ドイツは(現在ユーロ安を享受することで可能になっている)貿易黒字が枯渇し、マルク高によるデフレで雇用が悪貨し、おまけにユーロ安により国内銀行のバランスシートが更に悪化する。。。

(但し、悪いことばかりではなくて、ドイツの年金生活者は自国通貨高を享受してスペインで王様のような引退生活を送る動きなどを通じて、スペインの不動産不況が治癒されるという「経路」も紹介されています。円高デフレと闘って(結果円高バブルとその崩壊を帰結させた)80年代後半、当時の通産省がスペインやオーストラリアで老後生活を送ることを勧奨していたことを思い起こさせます)。

「現実離れした仮定」が、まさか現実のものとならないようにするためにも、ドイツがこのような思考実験することに意義があるのだというのがソロス氏の主張です。東西ドイツが統一できた(ドイツ周辺のヨーロッパ各国が支持した)のは、ひとえに、ヨーロッパ自体の統一であった(ヨーロッパの統一なくして、ドイツだけが統一化し強大化することはナチスドイツの反省からヨーロッパ全体のコンセンサスを得られない雰囲気があった)にもかかわらず、ユーロ危機(ギリシャ危機など)に際しては、他の有力国と比較しても、ドイツの非協力的態度が目立っていたことを受けての論稿になっています。

私の予想は、上掲のブログ

ユーロ、ギリシャ国債は押し目買いのチャンスなのか!?

の執筆時点から全く変わっておらず、(ドイツや)ギリシャなどの統一通貨離脱の動きは瀬戸際まで行くことはあっても、臨界点を超えて、ユーロ崩壊が現実化することはないという予想です。瀬戸際までは行く可能性がある理由は、ドイツ自体が実は既にソロス氏の言う思考実験を実施済みであると考えられ、自国の貿易戦略と金融戦略の最適化を狙って虎視眈眈とユーロの水準を調整しようとしており、その目的が達成されることが確実になれば、打算的なソブリンリスクの引受は屁の河童と考えている節があるからです。
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