2011年5月25日水曜日

ちょっと儲かった



残念ながらフェニックス証券のことではありません。

リーマンショック後、巨額の国庫負担で公的管理下となったAIGの発行株式の再上場のおはなしです。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052702304520804576343203093719010.html?mod=WSJASIA_hps_LEFTTopWhatNews

AIGの株価は年初から4割程度下落したため、今回の売り出し価格(仮条件レンジの下限の29ドル)は、米財務省の取得減価をわずかに上回ったにとどまり、第一次売出後の政府持株比率も74%と、独立民営までにはまだいくつものステップが必要となっています。

さて、公的資金の注入と(配当と)回収による国民負担(税負担)と言えば、先月29日付の日経新聞の記事が気になっていました。

「政府が1990年代後半以降の金融危機で大手銀行や地方銀行の経営健全化のため資本注入した約12兆円の公的資金について、預金保険機構による回収の結果、今年3月末までに返済時の上乗せ分として累計約1兆5000億円の利益を得たことがわかった。」

米国のGMやクライスラー(やAIG)のように、本邦の預金保険機構も、(納税者にはプラス、公的管理前の株主にはマイナス、という意味で)ハゲタカディールで成功を収めてくれたのかと思いつつ、糠よろこびではないのか半信半疑でした。いまこの記事に検索を掛けても電子版からは消去されているようです。

http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819481E0EBE2E2E68DE0EBE2E6E0E2E3E39797EAE2E2E2 ↑リンク切れ

預金保険機構の広報を見ますと、確かに、資本注入という分野で見れば、注入額12.7兆円に対し回収額10.8兆円(残金1.9兆円)のところ取得原価との差額が1.5兆円と発表されており、記事の内容と合致しています(2011年3月11日現在)。

しかし公的資金というのは資本注入だけではありません。金銭贈与(18.9兆円)、資産買い取り(9.8兆円)など他の巨額分野があり、前者の金銭贈与のうち10.4兆円分については国民負担が確定しているとあります。
http://www.dic.go.jp/katsudou/katsudou1-4-20101224.html

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2011年5月20日金曜日

スペインの痛み

タイトルのFT紙の記事によれば、スペインの若年失業率は、約45%だそうです。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/408cb194-8242-11e0-961e-00144feabdc0.html#axzz1Mf8MyXSm

我が国でも新卒採用については超がつく氷河期と言われていますが、二人に一人が失業というスペインの状況には、ユーロ圏ならではの財政金融政策の制約も背景にあるでしょう。同じような資産バブルの崩壊後にもしも日本も同じように放置されていたらスペインなどの南欧ユーロ圏と同様になっていたのかも知れません。

しかしわたしはケインズ政策が必要悪だという論者ではありません。もうひとつ、大小の違いはあるものの震災に見舞われた両国に共通するのは、過保護で歪んだ労働市場と、かつての出稼ぎの時代にはあったハングリーさの喪失による労働者の質の低下ではないかと思います。

記事の表題の
Pain in Spain drives young people’s protest
は、もちろん、ミュージカル映画マイフェアレディのなかでエリザ役のオードリー・ヘプバーンが口パクで歌った
Rain in Spain stays mainly in the plain
を踏んでいます。
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2011年5月19日木曜日

5月6日の大暴落

5月6日と言っても今年ではなくておよそ1年前のことです。バンカメが黒か白かで話題になった相場操縦なのかシステムトラブルなのか何が何だかわからない相場変動でした。ニューヨークダウが瞬時に700ポイントも乱高下した前後は現在と同じギリシャ危機の最中。外国為替証拠金(FX)取引でも大損した方、大儲けした方、双方いらっしゃったと思います。

あれから一年経って、 米SECが電子プラットフォームの欠陥に関する調査を行なう(調査対象にはナスダックを含む)と英FTが報じました。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/bfd0e94e-81a6-11e0-8a54-00144feabdc0.html#axzz1Mf8MyXSm

しかし、この記事の面白いところは、システムエラーの原因についてよりも、より重点的調査分野があるとしていて、それが「全ての取引参加者に同時に公平に価格配信がなされているかどうか?」という関心事であるということです。

世界の金融商品取引所は、半官半民組織から、民営化、公開会社化を経て、敵対的買収を含む合従連衡の流れでありますが、その主導権確保のために、取引サーバーのコロケーションなどのオプションメニューなどで大口取引参加者への優遇や取り込みが常識化していたなかでの、この論点の指摘が流れの変化を意味するのか?だとしたら、どのような時間軸で時計が逆回りするのか、たいへん興味を抱かされるところです。

それにしても、ここのところのFT紙は、米紙が取り上げない、金融不正やゴールドマンをしつこく追い回す記事が目立っています。
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2011年5月18日水曜日

ゴールドマンサックス、投資銀行部門の幹部人事を刷新

昨日のFTの記事です。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1194c800-7fdf-11e0-b018-00144feabdc0,dwp_uuid=ffa475a0-f3ff-11dc-aaad-0000779fd2ac.html#axzz1Mf8MyXSm

この記事の前半に、いかにも英国紙らしい言い回しがありまして、「投資銀行(部門)が同社のドル箱的な地位をトレーディング部門に譲ってから長く久しいが・・・」。

そもそも投資銀行とは何かという話を、このブログでは、リーマンショック前後からしてきましたが、知る人ぞ知る事実として、われわれが何となく投資銀行と定義していた金融機関は、かなり投資銀行ではなくなってきていたのであり、またそれは日本市場だけの話ではなかった、更にはフランチャイズ構築をあきらめてトレーディング頼みで収益だけを追求するスタイルに開き直った一部欧州系銀行だけの話ですらなかったことを言いあらわしております。
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