2008年8月27日水曜日

晴れた日には傘を貸してくれるけど、、、

●S&Pも投機的格付の一歩手前まで大幅格下げ-ファニーメイ優先株(8/26WSJ)
ファンフレッド優先株の格下げではS&Pはムーディーズに先行していたが格下げ幅は大人しかった。で、ムーディーズ、先週末に大幅格下げでS&Pを出し抜いた。その直後、JPモルガンがファンフレッド優先株の強制評価減実施+巨額損失を公表。S&Pも更に3段階格下げ(BBB-)、ムーディーズと“共同歩調”?

ところで、シニア債でも優先株でも償還期限は色々。満期が数年後に到来するものでも十数年後のものでも弁済充当順位が同等の負債には同じ格付けというのは世の格付機関の習慣ではあります。

ムーディーズもS&PもAAA(最高格付)に据え置いているファンフレッドのシニア債。しかし借金して事業を行なうとことは多少なりともリスクを背負って利益を出そうという営みです。トリプルAの事業体は一部の例外を除き、自己資本を活かしきれていないか、規制や参入障壁などで守られているか、暗黙のソブリン保証があるか、いずれかでしょう。

かつてドイツの州立銀行は「国が州を守り、州が銀行を守る」という二重の暗黙保証を前提に高格付が付されていました。当時から投資家はEU成立を前に暗黙の保証は継続が難しいのではないかと懸念していたもの。二大格付機関は、暗黙の保証がどのタイミングで中断され信用力にどの程度の衝撃が走るかという仕事を最後の最後まで避けていました。

監査法人にも見抜けない上場会社の粉飾が事後に出てきたのなら判ります。しかし、只今現在の財務体力を審査するだけでなく、事業の性質を見極め、事業を取り巻く環境や規制、それらの将来変化を見通す努力は、結果間違うことはあるにせよ銀行の審査部なら人事を尽くす仕事。それに比べて、二大格付機関がファンフレッドに対してやってきた仕事はどうでしょう?市況(投資家の評価)の下落を後追いしての格下げ。またその行為が市況悪化を加速させるというスパイラルを演じているだけの空疎な存在。

「晴れた日には傘を貸し付け、雨が降り出すと傘を取り上げる」とは古今東西で銀行に対する悪口。我が国の上場不動産企業が次々と黒字倒産していることを指しているのではありません。世界的な格付機関も銀行と同じ、振り子の幅を両極端に広げているだけではないのか?

●FOMC議事録、経済見通しを下方修正(8/26WSJ)
ただし、去る8月5日時点では「次回のFF金利見直しは“利上げ”になるだろう」「インフレ懸念は根強い」という表現がしっかり残っていた。

先週のバーナンキ発言「商品市況は下げに転じ、インフレ懸念は晴れた。寧ろ成長が課題」と明言するに至るまで3週間と掛からなかった。何故でしょう?(続く)
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2008年8月26日火曜日

“げっぷ”と“おなら”

●JPモルガン、1200億㌦保有のファンフレッド永久優先株を強制評価減(8/26WSJ)
600億㌦の損失。E*トレード、ソブリン・バンコープ、ウェルスファーゴなども同様。

一方で、
●シティバンクのアナリスト、ファンフレッドの国有化はあり得ないと(8/26Reuter)
普通株、優先株の株主に犠牲を強いる救済策に反対。政府がモーゲージ債を買い取ることはあっても、と。

ポジション・トークにしか聞こえないのは筆者だけでしょうか?

●UBS、人件費を1/3削減(8/25FT)

もうひとつ
オバマ氏、ファンフレッドの破綻は許されないと演説(8/26Reuter)
「儲けるときは儲けておいて、損をしたら納税者に救済を求める」処理案を批判。しかし、現時点での破綻では「有権者が住宅ローンを借りられなくなる」として破綻は許されない、と。

納税者と住宅ローンの借り手との利害相反が鮮明になってきたこと。民主主義国家の為政者を目指すには、この両方に良い顔をせざるを得ない現実と同時に浮かび上がります。残念なことに、オバマ氏の演説からは具体的な処方箋は出てこないのです。

話はガラリと変わって、昨夜フェニックス証券第5回オンラインセミナー「オセアニア通貨-ソコが底ですか?」で喋り切れなかった点を補完しますと、、、

①(ニュージーランドの電力需要の50%以上は水力発電によって賄われているが)温室効果ガスの問題と無縁ではない。それは、人口を遙かに超える数の羊と牛の“げっぷ”と“おなら”。両者の主成分メタンガスは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるらしい。
②(少なくとも暫くは、対米ドルではなく対円でオージー・キウイを買うべしと申し上げた理由として)幾つかの人口統計demographyを用意していました。

人口はご存知の通り、日本=1億2800万人、オーストラリア=2000万人、ニュージーランド=400万人。

「人口が多ければ良いというものではない」として、最近問題視されている出生率は、日=1.3、オ=1.8、ニ=2.0。

実は、筆者の個人的な意見は「少子化なんか気にするな」なのです。何故なら、『耕地面積当たり人口』という統計の取り方をすると、日=2895人/k㎡、オ=115人/k㎡、ニ=41人/k㎡。日本は主要国中で最悪。

更に暴論を続けますと、過疎や限界集落の問題も気にする余裕は最早この国には無いのではないでしょうか?都市人口率で見ると、日=68.4%、オ=92.0%、ニ=85.9%。新幹線に乗って何処まで行っても人家がなくなることの無い車窓風景は世界的に見て我が国独特のものです。

オーストラリアとニュージーランドは一体としては語り尽くせないので改めてお時間を頂戴したいと思いますが、規制緩和、移民政策、貿易自由化のいずれの点をとっても、日本はオセアニア両国から周回遅れであることは間違いないようです。
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2008年8月25日月曜日

五輪終了。いざ仕事です。

●ファンフレッドの優先株、ムーディーズも格下げ(8/23WSJ,FT)
「地球規模のインフレは落ち着きつつある」と発言したバーナンキFRB議長も、金融問題に関しては政府系2社の名指しこそ無かったものの、ベア・スターンズの時と同様、体系的な手段で破綻処理を行なうべきと発言。

ムーディーズの格下げはA1⇒Baa3とジャンク債(投機的格付)の一歩手前。

一方、先に格下げをしているS&PはAA-⇒A-と対応は穏やか。

ムーディーズ、S&Pともに、シニア債については最高格付け維持なので、現時点で破綻処理または救済方法が不鮮明な2社について、ムーディーズは「普通株だけでなく優先株も含め大幅減資のうえ米国政府が増資」、S&Pは「普通株についてだけ大幅減資のうえ米国政府が増資」というシナリオを前提に描いていると推測されます。いずれの方法であれ、シニア債に対する暗黙の保証は流動性支援という形で履行されることになります。

この点に関する外国為替市場としての解釈は、今晩のオンラインセミナーで触れる予定です。

●バイデン氏、オバマ候補の副大統領候補に指名(8/23~24WSJ他)
バイデン氏を紹介するオバマ候補「一貫して弱者underdogの味方だった人だ」と。グルジア問題勃発で共和党マケイン候補に逆転との報道もある中での電撃指名。

グルジアに続きアフガニスタンでも軍事衝突が再発、マッチョな米国の将来もまた、外国為替市場は注目。余裕があれば、オンラインセミナーで触れます。
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2008年8月22日金曜日

為替タックル

●フレディマック、民間の投資家からの資本調達を打診(8/22WSJ)
とは言え、公的資金が投入され株式等が紙屑になる恐れが高いと多くの投資家が恐れている中では、悪足掻きに過ぎないのでは、とWSJ紙。

8月初旬より堅調を続けていた米ドルが昨日急反落。米ドルの今後の動きを占う三大要因は、①ファン・フレディ問題、②グルジア問題、③原油高騰問題、でしょうか。

昨日の相場分析については、上記①は関係が無いという説も有力。②と③については、米ドル急反落に対して、どっちが原因でどっちが結果か、これまた諸説あり。少なくとも「有事のドル買い」という公式がもはや当て嵌まらなくなっていることは確か。

問題はやはり、①その他米国金融危機の深刻化や米国政府の救済“手段”によって米ドル相場がどう影響を受けるか。これは大変難しい。難しいことをわかりやすく説明するのが筆者ブログの役目かも知れません(汗;)。が、一方で相場は単純明快な材料で二項的にか反応しづらいものだということも事実。多くの職業専門家が、ファン・フレディ問題を煽りこそすれ真摯な分析からは逃げ腰なのも気持ちはわかります。

●米ドルが弱含んだので原油が強含んだ(8/22WSJ)

一方で、

●金融セクターに対する不安が米ドル高を刈り取った(8/21FT)

ちょうど20年前のこと。数々の奇行と問題発言にも関わらず今もテレビの人気者として驚異的なサバイバルを続ける元自民党代議士の浜田幸一氏。「所詮、日本は米国の植民地だ」と言い放つ氏が、竹下内閣で衆議院予算委員長という似合わない立場に居た頃、日本は円高バブルの真っ只中でした。氏がその要職を辞するキッカケとなった自らの爆弾発言「日本共産党の宮本賢治委員長は殺人鬼だ」。予算委員会の司会者でなくても許されない割り込み発言で、共産党高森議員(当時)の宮澤喜一大蔵大臣(当時)への質疑「米国債や大蔵省証券(為券など)を我が国の銀行は嫌々買わされている。三菱銀行(当時)もそう言っているんですよ」に対しる答弁は遮られ、結局このまま国会は空転。

共産党ならではの正鵠を射た質問に政界随一の知能指数と機転で宮澤氏がどう答えるか固唾を呑んでいた筆者はガッカリしましたが、今思うと、あの宮澤氏ですら、日米関係と金融行政、すなわち暗黙裏かつ秘密裏に、ドル安と判って居ながら米国債の押し売りを甘受する体制について、センス良く答弁でかわすことが難しいとして、浜田氏は犠牲になったという解釈もあるのではないでしょうか。

何故、このような話をしたかと言えば、ファン・フレッドが発行する暗黙の保証付の機関債もまた様々な経路で我が国の(今のところ)巨額な貯蓄を吸収しているからなのです。