●S&Pも投機的格付の一歩手前まで大幅格下げ-ファニーメイ優先株(8/26WSJ)
ファンフレッド優先株の格下げではS&Pはムーディーズに先行していたが格下げ幅は大人しかった。で、ムーディーズ、先週末に大幅格下げでS&Pを出し抜いた。その直後、JPモルガンがファンフレッド優先株の強制評価減実施+巨額損失を公表。S&Pも更に3段階格下げ(BBB-)、ムーディーズと“共同歩調”?
ところで、シニア債でも優先株でも償還期限は色々。満期が数年後に到来するものでも十数年後のものでも弁済充当順位が同等の負債には同じ格付けというのは世の格付機関の習慣ではあります。
ムーディーズもS&PもAAA(最高格付)に据え置いているファンフレッドのシニア債。しかし借金して事業を行なうとことは多少なりともリスクを背負って利益を出そうという営みです。トリプルAの事業体は一部の例外を除き、自己資本を活かしきれていないか、規制や参入障壁などで守られているか、暗黙のソブリン保証があるか、いずれかでしょう。
かつてドイツの州立銀行は「国が州を守り、州が銀行を守る」という二重の暗黙保証を前提に高格付が付されていました。当時から投資家はEU成立を前に暗黙の保証は継続が難しいのではないかと懸念していたもの。二大格付機関は、暗黙の保証がどのタイミングで中断され信用力にどの程度の衝撃が走るかという仕事を最後の最後まで避けていました。
監査法人にも見抜けない上場会社の粉飾が事後に出てきたのなら判ります。しかし、只今現在の財務体力を審査するだけでなく、事業の性質を見極め、事業を取り巻く環境や規制、それらの将来変化を見通す努力は、結果間違うことはあるにせよ銀行の審査部なら人事を尽くす仕事。それに比べて、二大格付機関がファンフレッドに対してやってきた仕事はどうでしょう?市況(投資家の評価)の下落を後追いしての格下げ。またその行為が市況悪化を加速させるというスパイラルを演じているだけの空疎な存在。
「晴れた日には傘を貸し付け、雨が降り出すと傘を取り上げる」とは古今東西で銀行に対する悪口。我が国の上場不動産企業が次々と黒字倒産していることを指しているのではありません。世界的な格付機関も銀行と同じ、振り子の幅を両極端に広げているだけではないのか?
●FOMC議事録、経済見通しを下方修正(8/26WSJ)
ただし、去る8月5日時点では「次回のFF金利見直しは“利上げ”になるだろう」「インフレ懸念は根強い」という表現がしっかり残っていた。
先週のバーナンキ発言「商品市況は下げに転じ、インフレ懸念は晴れた。寧ろ成長が課題」と明言するに至るまで3週間と掛からなかった。何故でしょう?(続く)
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