2011年8月8日月曜日

腐った組織の愚かな連中

事務次官など3人が「更迭」(←日本語が乱れ切っています!)された霞が関の某お役所その他原子力村の住民たちのことではありません。

リーマンショックの年にノーベル経済学賞を受賞したポール・クルーグマン教授がコメンテーターを務めるニューヨークタイムズ紙のなかの「御意見番コーナー」、、、というかブログのなかで、S&Pによる米国債格下げの報道をうけての一言コメント。

「明らかなことは、我々は(週明けの東京市場がどうなるかなどを案ずるために・・・七転び八起き注)、腐った組織に属する愚かな連中がいったい何をどう考えているのか程度のことに気を配ろうとしていることだ。」

http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/08/06/the-best-summary-of-the-sp-downgrade/

リベラリストの同教授が断言するように、債務危機の問題があるのであれば、中央銀行が米国債でもイタリア国債でもスペイン国債でも迷わず買えば良いだけの話だ、、、という意見に、わたしは100%賛成であるわけではありません。

しかし、同教授が上記一言コメント以降に長文のブログを更新しているなかで述べているように、企業が発行する債務(社債など)への格付け審査や発表の実態もさることながら、国家の債務についての格付け機関の態度が馬鹿げていることについては賛成です。

かつて日本も、週末ではなくて週央の日中に、大手米系格付け機関に格下げの不意打ちを食らい、国債市場が大混乱したことがありました。もちろんそれ以降も日本の財政規律は改善するどころか悪化する一方ですが、あの格下げの意味はなんだったのか。いや、何の意味もなかったことを、今回格下げを「演じた」格付け機関も、格下げをしないと「発表」した格付け機関も、同様に論理的に反省すべきです。

米国債を「格下げしない」と「発表」した格付機関も同様に愚かしいことについてはちょっと解説が必要かも知れません。例えば、東京電力の発行する社債はついこの間まで日本企業のなかでトップクラスでしたが、社債には満期まで数年と短いものから、20年またはそれ以上の長いものがあるにもかかわらず、社債格付けは同一なのです。では格付け機関は、格付け審査をしている企業や国家が発行している債務のうち最も満期が先のものまでその償還能力が等しく高いと推定して高い格付けを付与しているのでしょうか。そんなことはないのです。

エンロンでもサブプライムでもそうでした。格付けを下げるという行為は、格付け機関の存在感や影響力を誇示している側面として取り上げられるようですが、実は、生命保険会社に譬えれば、生命保険の契約者が死亡したのに保険会社側に義務のある健康診断がちゃんと行なわれていなかったことを免責事項としてでっち上げて保険金を不払いにするような犯罪でありまして、保険金不払いにも色々あるでしょうが、こんなひどいことはさすがにないと思っているのはわたしだけでしょうか。
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2011年8月3日水曜日

イタリア国債の問題は桁違いに深刻

「市場には二つのタイプの参加者がいる。恐怖で動いている参加者と欲望で動いている参加者である。

現在、イタリア国債やスペイン国債の流通市場で観察されている現象は、、、どちらのタイプの参加者も同じ方向(≒売り逃げ)で動いてしまっていることである」

ニューヨークタイムズ紙の記事の特徴は、まず何と言っても文章が長いことですが、もうひとつは記事の結びに取材先からのコメントを格言のように取り出して締めくくっていることです。

米国債の発行額上限問題が何とか解決したとたんに、狼(おおかみ)は再びヨーロッパ、特にイタリア、スペインの扉を叩いたという趣旨の同紙の記事を締めくくっているのは、あるヨーロッパの財務担当高官の匿名のコメントです。

ヨーロッパの主要銀行が保有しているイタリア国債の額は33兆円を超えており、先ごろ問題だったギリシャの国債の30倍以上のレベルとのこと。どの銀行がどれくらい保有しているか、記事に詳細があります。

http://www.nytimes.com/2011/08/03/business/global/pressure-builds-on-italy-and-spain-over-finances.html?pagewanted=1&_r=1&ref=global-home

大手金融機関のビジネスモデルという点で言えば、一昨日発表された英HSBCの大規模リストラの発表は、世界規模での金融ビジネス縮小の前触れに過ぎないという一面を表しています。

一方、大西洋の両側で繰り返される国家債務問題は、通貨発行権限(シニョレッジ)や財政金融政策の独立性(ソブリニティ)を超えたグローバリゼーションに内在する問題の深刻さも如実に物語っています。
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2011年7月20日水曜日

最新鋭FXシステム導入に関するお知らせ

このたび、フェニックス証券株式会社(東京都中央区(外国為替部門)、代表取締役社長:丹羽広)は、外国為替証拠金(FX)取引システムを全面刷新することを決定し、日本を代表するシステムインテグレーターであるNTTコミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:有馬彰)との間で、新たにFXシステムの利用に関する契約を締結することと致しました。


新システムは、超高速・高信頼のFXトレード・プラットフォーム「U-FOREX1」を採用し、リッチクライアントはもちろん、iPhone/Android、タブレットなどの複数のトレードチャネルを標準装備とした業界最新鋭のシステムとなります。なお、提供開始は2011年10月初を予定しております。


また、新サービス導入に伴い、お客様には、現行の外国為替証拠金(FX)取引サービスであるフォレックス・ラインから新サービスへの口座移管(証拠金およびポジションの移管)プログラムをご用意する予定です。


現在、FX業界は、レバレッジ規制や、震災後の金融市場混乱を引き摺った取引低迷などで、全体として不振な状況が観察されているなか、フェニックス証券は、敢えてこの環境をチャンスととらえ、FX事業開始後最大規模のシステム投資を行なう決断に至りました。


既存のお客さまをはじめ、ひとりでも多くのお客さまに、フェニックス証券の最新取引システムを御利用いただければと考えております。

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商号:フェニックス証券株式会社(金融商品取引業者)
登録番号:近畿財務局長(金商)第34号
加入協会:日本証券業協会、社団法人 金融先物取引業協会(会員番号1097)

<本件に関するお問合わせ先>

フェニックス証券株式会社 東京支店
TEL:03-3517-1953 E-mail:info@phxs.jp


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2011年7月19日火曜日

ブラームスとプロコフィエフを結ぶ線

例えば、俳句だと、五七五とか、季語をひとつだけ入れるとかの形式があるが、それに囚われず、自由に感動を与えれば良いという立場があります。逆に、形式という制約のなかで感動を与えることに意味があるという立場もあります。

極端にどちらかの立場だけが正しいというものではなく、好き好きなのでしょう。形式という制約も、特定の権力者や権威者が下々に押しつけたものではなく、長年、人間の生理に叶うものとして選ばれ続けられてきた伝統なのだと思われます。

ブラームスやプロコフィエフは、少なくとも或る時期は、どちらかと言えば、形式や伝統にも守るだけの意味があるという考え方で名曲を紡いだ立場の作曲家だったと、「父ハイドンを尊敬した作曲家二人」という趣旨の、一昨日日曜日のN響アワーで説明をされていました。紹介されていた曲は、ハイドン最後の交響曲(第104番「ロンドン」)と、プロコフィエフの最初の交響曲(ロシア革命の年に書かれた「古典交響曲」)、ブラームスが自らの管弦楽技法に自信を持ち「交響曲第一番」の完成へとラストスパートをかけるきっかけになった「ハイドンの主題による変奏曲」です。

プロコフィエフの「古典交響曲」はその第三楽章「ガヴォット」が同番組のオープニングテーマに現在は使われてもいます。

親しみやすい曲ながら、奇妙な転調が続く同楽章は、同時代の作曲家でプロコフィエフの葬儀委員長も務めたカバレフスキーが子どものために書いた「子どものためのピアノ小曲集」にしばしば登場する、決して子ども向けっぽくない、和音進行と良く似ています。

そこでは、前回のブログ、愛の調べの第二楽章で、再度ご紹介したメディアンテが中心的な役割を担っています。

土曜日のオーケストラーダの演奏会は、目の御不自由なお客さまも大勢招かれていて、個性的な演奏会となり、初回公演として大成功でした。プログラムの中心がブラームスの交響曲第一番で、アンコール曲はプロコフィエフの「古典交響曲」の第三楽章「ガヴォット」だったのです。

最近、商業的には大流行している派手なパフォーマンス(だけ)が持ち味の売れっ子指揮者とは一線を画した久保田昌一さんの棒を、素人目で勝手に解釈すれば、クラシック音楽の原点に戻る強い決意の表れだと感じました。プロコフィエフの「古典」をアンコールに選んだ理由も、「新鮮な」原点回帰という含意なのではと勝手に憶測しています。
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