2013年5月7日火曜日

ビットコインとアベノミクス

「どうせまた話題の言葉を並べてページビュー数を狙ったのだろう!?」と訝る筋もあるかも知れませんが、そんなことはありません。

しかし、これは5分でわかる経済学というわけにはいかない深淵で哲学的な問題も孕んでいるのです。

高校時代に「政治経済」という科目があり、どうもわかりづらかった(正確に言えば、当時だけでなく未だにわからない、、、だから「わかりづらかった」のではなくて、苦し紛れに(受験のためだけに)わかったふりをしていた)のが、信用創造(銀行の貸出と預金)、年金制度、そして憲法第九条です。

年金制度と憲法第九条は、過去ログのどこかにあると思いますので、本日は割愛。

それを言うなら、信用創造だって、アベノミクスだって書いていますし、金本位制についても書いてます。

金本位制について書いた部分を検索されてしまいますと、いつのまにお前はアベノミスト(←さすがにそんな言葉はないですね)に転向したのかと間違いなく突っ込まれてしまいかすから、黙っておきたかったのですが。

はい、はっきり言いましょう。オンライン・デリバティブ会社のポジショントークにほかなりません。従業員の雇用を守る立場から転向と変節はやむをえないのであります。

スペインやイタリアやフランスに比べて、イギリスや日本がちょっとはましなのは、裁量的な金融(財政)政策が許されているからにほかなりません。財政に括弧(カッコ)をつけたのは、ユーロ圏の財政赤字ルールももはや決壊した堤防みたいになっているからではありますが。

言い訳はこのくらいにしておきまして、「わかったふり」をしたくても正直言えば「わかりづらい」問題に戻ります。

一番言いたいことは、「わかりづらい」難問というのがあって、これを早く(速く)解ける人が頭が良いとは必ずしも言えないということです。

紙幣や補助貨幣(≒箪笥預金)と中央銀行の当座預金をマネタリーベース(ハイパワードマネー)と定義するまでは良いとして、それ以外の民間銀行債務のどこまでが「通貨」(マネーサプライ)と定義すべきか(※)というのはとっても難しい問題で、これをいったんわかったふりをしないと、信用創造のメカニズムも、物価(上昇期待率)への影響も、論ずることができません。

(※もっと言えば、アップル社の社債だって株式だって、不動産だって、コメや金(の倉荷証券)だって、流動性・換金性があって購買力を表象しているし、財産価値の尺度となるし、価値の貯蔵もできるぞ、、、ということになります)

かと言って、これをすんなり理解してしまう秀才的な器用さというものは、「ビットコイン」のような革命的なビジネスモデル(それ自体はビジネスではなかったかも知れないのですが、敢えてビジネス・・・とつけました)を生み出す頭脳を退化させてしまうものです。

進化論も、iPS細胞も然り、、、地動説も相対性理論も然り、、、先生の話を聞いて周りの優等生たちがウンウンと頷きながらノートに鉛筆を走らせているときに、自分だけが理解できてないのではないかと不安になり自信を失いそうになり、それでもわからないものはわからないと自分に嘘をつかない別の自信と開き直りがあったればこそ、先学の胡散臭さに切り込みフロンティアを開拓できるというものです。

肝心のビットコインの説明を全くしておりませんが、中央銀行がやるのが当然と誰もがおもっている通貨の供給を、サイバー上でP2Pでやろいという試みです。規制当局がただでは置かないと思うのは当然。投機的という言葉が似合う乱高下をしてしまったものですから、当局も鬼の首を取ったよう。

関連記事はこちら。
「ビットコイン対ベン・バーナンキ」(ウォールストリート・ジャーナル5月3日)
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323809304578429142650304564.html?mod=trending_now_4

「米国の規制当局がビットコイン監視を視野に」(フィナンシャル・タイムズ5月6日)
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b810157c-b651-11e2-93ba-00144feabdc0.html#axzz2SZXPm3Pt

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2013年4月24日水曜日

チェルノブイリと福島の子どもたち

・・・子どもたちの未来のために今できること・・・数年前にわたくしも出演をさせていただいたチャリティ・イベントの宣伝です。4/26はもちろんチェルノブイリ原発事故の日です。

4 月 26 日(金)18:30 開場   19:00 開演
文京シビック   小ホール

〔主催〕チェルノブイリ子ども基金/
チェルノブイリ子ども基金・文京/未来の福島こども基金


1993年より続けているチェルノブイリ救援キャンペーン

今年は「チェルノブイリと福島の子どもたち」という
タイトルで、講演会とコンサートを開きます。

★放射線の研究者・木村真三さんは、今もチェルノブイリと
福島をひんぱんに往復されて放射能を測定し、人々の
健康への影響を調査されています。
チェルノブイリでも福島でも住民の人達に寄り添った
上での活動です。それによって、住民の人たちの
苦悩が見えてくる、研究者という立場だけでなく、
一人の市民としての視点を持ち続けたい。
そして市民科学者を一人でも多く育てたい、とも言われています。
チェルノブイリと福島の放射能汚染は今どうなっているのか。
最新情報をお聞きください。

★フォトジャーナリストの広河隆一さんは、チェルノブイリを
50回以上訪れています。人々の状況を取材すると共に、
被災した子どもたちの救援活動にも携わってきました。
その経験を生かした、福島の子どもたちのための
保養施設、沖縄・球美の里の運営を昨年夏より始めました。
先月、甲状腺検診プロジェクトがいわき放射能市民測定所で
オープンし、その支援も行っています。
首都圏のホットスポットに住んでいる子どもたちの
甲状腺検診の取組みも始めようとされています。
子どもたちを守るために何をすべきか、その最新情報です。

♪特別ゲストは弦楽四重奏団「オブリジェ」の4人です♪
リーダーの大山さんはかつて、ボランティアとして
ベラルーシの保養施設「希望21」でバイオリン教室を
開いたことがあります。
J.Sバッハ、武満徹、ピアソラの曲などを演奏します。
どうぞお楽しみください。

それぞれのプロフィールはチラシをご覧ください。
http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/saishin.html

会場の文京シビックホールは後楽園駅の目の前。
春日、水道橋なども利用できます。

6時半開場。7時開演。終了は9時半の予定です。

どうぞ、ご都合のつく方は足をお運びください。
お待ちしています。

チケットの予約は以下の団体で受け付けています。

--
チェルノブイリ子ども基金 Tel/fax 03-5228-2680
cherno1986@tokyo.email.ne.jp
http://homepage2.nifty.com/chernobyl_children/index.html
未来の福島こども基金 Tel 090-3539-7611
fromcherno0311@yahoo.co.jp
http://fukushimachildrensfund.org/
@=半角@に変えてください。

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2013年4月5日金曜日

黒田=アベノミクスをちゃんと理解して、日本を取り戻す

長期金利0.3%割れ目前というのは、さすがにバブルだろうと思いつつ、住宅ローンを借りようにもまずは物件探しからはじめなければならない状態で、しばらくこの状態が続くとありがたいものです。

それにしても、OECD加盟国の中でも最悪水準の対GDP比での財政赤字または国債発行残高の日本の金利が、短期~長期問わず、ダントツに低いというのは、皮肉であることを通り越して、ちゃんとその理屈を理解しておきたいところです。

今こそ、外国為替証拠金(FX)取引を始めよう、(時間がないから順張りタイプの自動売買ソフトを購入しよう)、金や株式や不動産に投資をしたいという方々が急速に増えています。が、どれを買って、どれを売れば良いのかというアセットクラスの選択を考えるうえで、この「不健康な国債利回りの不気味な低さ」を説明づけることは重要です。

読者のみなさんが、もしも土曜日の朝、電話で叩き起こされて、出てみたら街の金融業のコールセンターからで、「突然ですがあなたはいま無担保で100万円借りることができますよ。どうぞお借りください」と言われたとします。「これはラッキー」と思って、すぐに借用書に判子を押すというひとが何人いるでしょうか?

ほとんど居ないでしょう。

ただし、もともと「貸家を追い出されそうなので住宅を取得しなければならない」とか「仕事またはプライベートで自動車を購入しなければならない」状況で、常日頃から、どこかローンを下ろしてもらえる金融機関はないかなあと探しまわっていたという状況では、結論が全く変わってくるでしょう。

黒田=アベノミクスで、株式相場が上昇しているのは、後者の「借りたいという具体的『使途』のある人が多数派である」という前提の動きです。

いっぽうで、黒田=アベノミクスで、債券相場も上昇している(国債の利回りが低下している)のは、前者の「借りることができるからと言って、借りるつもり(≒具体的な資金使途)など無いという人が多数派である」という前提の動きです。

このふたつは矛盾しますから、これはバブルであって、このバブルの解消は、国債利回りが再び上昇するか株式相場が再び下落するかどちらかの経路で行われます。

例えば、日本国債(長期~超長期)の売り、不動産株(またはJREIT)の売り、米ドルの買いという投資戦略が考えられます。

最後の、米ドルを買うというのがなぜ出てくるかというと、有価証券のふたつのアセットクラスを売っているのでその売却代金で何か買うとしたら、、、、財市場との連動も考えて、、、、米ドルを検討してみたのです。

以上の筋道には、海外からの資金(資本)の流出入が考慮されていません。アベノミクスの三本目の矢とされる規制改革次第では、海外から投資資金が流入してきて、「邦銀が国債を換金しなくても、民間投資のファイナンスが可能」という状況が実現します。

さて、外国資本が日本で投資をもう一度してみたいと思える環境とは何でしょうか?この間の、日経CNBCさんのTraders Barの収録直後に、同番組のスポンサーである三菱地所さんと立ち話をしました。三菱地所さんが立てていらっしゃるようなハイスペックのオフィスやレジデンシャルに外国人がもう一度戻ってきてくれるかどうか甚だ疑問だという話をお聞きして、わたくしの反応は「法人税減税、もしもそれができなければ東京都の法人事業税は限りなくゼロにする。英語を第二公用語に、たとえそれができなくても、東京都内および国内のプロ投資家間の金融取引・商取引の契約書類は英語を公用語とすることができる、せめて欧米並の解雇法制の自由化・・・」。

震災や原発のハンディキャップはどうすることも出来ないかもしれませんが、以上をやれば、かつての中国のように、現在のインドネシアのように、外国資本や外国人が戻ってくると思います。最後の解雇法制については議論があると思いますが、正社員と契約社員の区別をなくせとは言いませんが、正社員のほうが契約社員よりも平均給与が高いというのは昔からわたしには理解できませんでした。野球選手が正社員だったら、あんな給料払えるでしょうか???




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2013年3月25日月曜日

キプロス支援合意とイスラエルで海開き

今朝からのこのニュースの確定が微妙であったことは、ウォール・ストリート・ジャーナルの速報と、フィナンシャル・タイムズの速報とを比較しても、数時間のズレがあったことからわかります。

キプロス議会の混乱もあって、先週一週間二転三転したこと、その他の南欧のより大きな国々にとって先行事例の変更になるかもしれない重要な判断となることから、一部有力メディアが慎重な報道姿勢に徹したことも理解できます。

結果をわかりやすく言えば、預金のペイオフの形を、日本型(1000万円以下の預金者を守ること)にしたために、議会が納得して、それによりキプロスとしても応分の痛みをわかちあうということで、当初どおりの外部(ECB、EU、IMF)からの支援が再度決まったというものです。

詳しくは、

ウォール・ストリート・ジャーナル
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324789504578380550995616128.html?mod=WSJAsia_hpp_LEFTTopStories
フィナンシャル・タイムズ
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/03c5e484-94ff-11e2-b822-00144feabdc0.html#axzz2OWlwu9m1
ロイタージャパン
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE92O01A20130325

朝から多くのアナリストが、先週週初来のキプロス問題でのユーロ通貨の相場が「行って来い」であったことを過剰なマッチポンプのように評価していて、むしろ本丸はイタリアだスペインだという話になっています。「本来、日本株には影響の少ない材料のはずだった」などなど。

市場の振れが大きすぎることに対して冷静な見方を伝えることには一理あります。しかし、キプロスが、ユーロ圏の破綻懸念国の救済の歴史のなかで前例を踏襲しないかどうかというのは極めて重要だったのです。ここまで揉めた最大の理由は、ロシア人たちをダントツの筆頭とする海外マネー(その多くが外交的にもユーロ圏であることはおろかEUとも距離がある国々だったりする)からの租税回避を目的とした銀行預金の肥大化という現象があって、これが特に事実上唯一の債権国であるドイツからは、アイルランドやポルトガルやギリシャと同様の処理ということでしかたがないとはいえなかったわけです。

国の大きさや金額の多寡とは意味の異なる次元の問題で、許されるモラルハザードと許されないモラルハザードとの間に線が引かれる可能性はあったのです。許されない敵に塩を送ってまで信用秩序を守ってやろうなどというお人好しは大陸の国々には存在しないのであります。

キプロスへの裁定によって、イタリアとスペインが安全圏に入ったと考えるのは理に叶うと思われます。ただし、それらの国々のなかで特にパフォーマンスの悪い銀行は、ユーロ圏防衛のための人身御供として、スムーズにして大胆な破綻処理が適用されるリスクは残るでしょう。

こちらは、まるで対岸の火事と言った風情のイスラエルはテルアビブの一足早い海開きの写真だそうです。
http://jp.reuters.com/news/pictures/rpSlideshows?articleId=JPRTR3FANW#a=8

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