2009年9月28日月曜日

問題は円高ドル安ではない

地場産業の衰退と国内製造業の空洞化、地方銀行の貸出先が住宅ローンと商業用不動産以外に見つからない、、、我が国のことを書いているように見えますが、米国のことを書いているのであります。

米銀ストレステストという官民一体の粉飾プログラムでドル円相場はキャリートレード全盛期のミセス・ワタナベ時代をも凌ぐ低ボラティリティを享受し、ユーロもオセアニア通貨もキャリートレードを再びエンジョイしました。先週来の急激な円高の原因は何も藤井財務大臣の市場追認発言などではなく、米国サブプライムに続く商業用不動産という第二の火薬庫が本丸です。

リスク回避的なトレンドが続くとすれば、もともと安かったドルよりも、ユーロやポンドのほうが下落余地が大きいと思われます。

亀井金融相のアンチグローバル姿勢やアンチ市場主義的な規制が正しいかどうか?とか、マクロ政策はバブルの生成崩壊に対してどう対処すべきか?とか、は物事の本質ではなかったのです。情報通信技術の日進月歩を前に、金融機関や物販の多くはリアルの店舗でサービスをしなければならない必然性を失っているのですが、10年以上前から言われており誰もが(頭では)認めていることなのに、具体的な行動を伴えないのが金融機関なのです。それが我が国の銀行にだけ当て嵌まるわけではないことを、過去1年に倒産した米国地銀の夥しい数が証明しています。東京すら例外ではなく、マッサージ屋や理髪店を除いて商店街にシャッターが下りても可笑しくないのが情報通信革命ですから、不動産担保を前提とした金融仲介機能は空洞化してしまわざるを得ないのです。

ヘリコプターで現金をばら撒いても、銀行の不良債権や大規模商業施設の過剰債務は帳消しに出来ないという真実。オバマ政権下のガイトナー財務長官もバーナンキFRB議長もわかっていてリーマン・ショックに続くシティ・ショックを起こすことは現実的ではないと判断したのでしょう。これは我が国の民主党政権の主要閣僚が理系エリートで物事の本質(デフレを通じたホワイトカラー社会のガラガラポンが一旦は必要だという真実)を理解しつつも、それでは選挙に勝てないから、ばら撒き政策を公約している、というのと大差ありません。

円、ドル、ユーロ、そしてポンドの不美人投票はまだまだ続くでしょう。成熟社会の行き詰まりという点でどの通貨圏も五十歩百歩であり、ドル圏だけがダントツに悪いわけではありません。しかし「IT革命とは、『金融従事者を従来ほど必要としない』ことと覚えたり」という現実は何処の経済圏も素直に受け入れることは出来ないでしょう。金融部門が必要以上に肥大化しているからこそバブルは幾度となく生まれ潰れると七転び八起きブログは説いてきました。これは長期トレンドに賭けることは投資に値しない、ボラティリティにこそ投資すべきだ、という結論を導きます。
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