2010年4月27日火曜日

チェルノブイリ24周年救援キャンペーン「チャリティコンサート」ご来場の御礼

先週4月24日(土)東京都文京区の「文京シビック小ホール」で行われましたチャリティコンサートには大勢のお客さまにお越しいただきまして、本当にありがとうございました。

私は、愛好家の端くれとして、実業界の端くれとして、舞台の末席を汚すこととなりましたが、声楽と器楽のそれぞれの分野において国内外で活躍されているトップクラスのプロ演奏家の皆さんとの競演を、会場埋め尽くすお客さまに、温かくお見守りいただいたことが、何よりも勇気の素となりました。

舞台袖で、当日の主役であるコロラトゥーラソプラノでウクライナの民族楽器バンドゥーラ奏者でもあるオクサーナ=ステパニュックさんが「ここのホールは響きがとても悪い。ニューヨークのメトロポリタン歌劇場はもっと良く響くのよ。。。」と耳打ちしてくれました。メトの舞台に立った経験のあるトッププロが文京シビックの小ホールでチャリティの為にひと肌脱ぐというのは純粋なボランティア精神です。

実は、オクサーナさんとの合同練習はお互いの時間制約もあり、一度だけでしたが、時まさにウクライナの大統領選の決戦の最中でありまして、彼女は、出身国ウクライナで、オレンジ革命以降、反ロシア路線を主導した当時現職首相の大統領候補ティモシェンコ女史の髪型を真似て、同女史の応援団の一員との主張をしていました。

ちょうど今、英FT紙が臨時ニュースで伝えたところによると、ロシアのプーチン首相がイタリア訪問の帰りにウクライナの首都キエフに立ち寄り、ティモシェンコを僅差で破った親ロシア派のヤヌコヴィッチ新大統領に「ロシアとウクライナの両国の原子力発電事業を統合し、近隣諸国への電力輸出も展望した事業拡大を一緒にやろう」との提案を持ちかけたそうです。

「もしこの提案をウクライナが受け入れれば、(永年、ロシアからの“いじめ”の道具に使われてきた)天然ガスのウクライナ向け価格を30%引き下げる」という飴をちらつかせているとのことです。

在野のティモシェンコ陣営としては、何に引き換えても、条約批准を阻止したいと怒りを爆発させている要因のひとつに、同提案が、こともあろうに、チェルノブイリ原発事故の記念日と重ねてなされたことがあります。ウクライナの政治が親ロシアに抜本的に軌道修正されるのかどうかを、前代未聞の「踏み絵」を通じて確かめたいという、まさにプーチン流のマキャヴェリズムの真骨頂のあらわれです。

何も、鳩山政権に限ったことではなく、プーチンのようなタイプのような政治家が長らく日本には登場していないことが、良くも悪くも、日本の政治世界の特徴と言えそうです。しかし問題は、様々な世界の不均衡から発生しうる災害から、日本だけが鎖国的に振る舞うことで逃れることが出来ない次元になっていることです。

例えば、金融の世界的不均衡もリーマンショック以降たいして解決されていません。また、核エネルギーを含めエネルギー問題も然り。加えて、戦争やテロなど、人類が築き上げてきた文明の自己破壊力ともいうべき人間疎外と脆弱性のマグニチュードは、既に人間自らが制御できない域に達してしまい、今直ちにはそれを抑制したり革命的な技術発展によって解決したりすることが出来無さそうだということです。

これまでは我が国に潤沢な外貨をもたらし、食糧自給率が低くても、高齢化が進んでも、何とか生活水準を落とさずに済んできた日本ですが、そのエンジン部分である外需頼みの製造業も、金融の不均衡や、核依存が決して低いと言えないエネルギー供給という隘路など、様々な外生的要因、すなわち不可抗力により苛まれる恐れが高まっています。

繰り返しになりますが、既述の「今直ちに、革命的な技術発展によって解決できない」という前提に立てば、「少子化が問題だ」「温暖化が問題だ」と頭ごなしに洗脳されていて良いものかどうか、そんなことをチェルノブイリという史上最悪の原発事故の周年において、私は考えさせられました。日本と同一程度の生活水準にある国の中には、人口密度が非常に低いことなどもあり、自然との調和、生態系のなかでの恒常的な循環を見事に果たして、電力重要などを水力や風力で相当程度賄えている国も少なくありません。史実に関する争いがないわけではないですが、我が国の歴史を振り返っても、近世までは所謂「間引き」の慣習が殆どの地方で存在したこと(例外はキリスト教や浄土真宗の影響が強かった地域か?)を思い起こしたり、年金制度は空気の如くあって当然のものだという考え方を一度疑ってみることで、本来であれば日本人のお家芸だった筈の、エコロジー社会という価値観が再び発信できるように、社会設計を見直す時期に来てしまっているのではないかという思いを深くさせられました。

そのような思い、関心と、勇気を同時に与えてくれたのが、チャリティコンサートを舞台裏で支えてくださった20人を超える「チェルノブイリ子ども基金」のボランティアの皆さんです。「慣れてないのでご迷惑をお掛けするかも」とおっしゃった舞台監督さんをはじめ、ホワイエでお客さまの案内から物販まで何から何までてきぱきとこなされたボランティアの皆さんとのひと時は、疲れ切った声帯に最高の栄養を与えてくれました。様々な形の舞台があるのですが、打ち上げがこれほど盛り上がり有意義だったのは初めてです。

全ての関係者に感謝。本当にありがとうございました。
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