2010年11月15日月曜日

周回遅れの日銀いじめ

そんな思いを新たにしたのが、今朝のウォールストリートジャーナルの記事「米国連銀への新たな攻撃」です。

「米国債を更に6000億ドル購入する」という追加金融緩和(量的緩和)を決定したバーナンキ議長に対して、中間選挙で勝利を収めたばかりの共和党系の経済学者などが、反対意見(共同声明)を広告という形でウォールストリートジャーナルとニューヨークタイムズに掲載したというものです。

曰く、「追加の資産購入は、不健康なドル安やインフレをもたらすだけで、中央銀行の目的である雇用促進にはつながらない」と。

インフレとデフレとどちらがメリット(とデメリットとの差)が大きいかについては、なかなかややこしい議論が必要で、それを書いていると、読者の数が減りまして、ブログランキングに影響するので、省略いたします(笑)。

興味のある読者のみなさんは、是非是非過去記事をお読みください。

ただし、有権者レベル、政治家レベル、圧力団体レベルにおいては、自分さえ良ければあとは知らないというポジショントークと欺瞞がある程度はまかり通る世界ですから、インフレを好感するひとも言えば、デフレを好感する人もいるという議論の域を出ません。

議論がその範囲に収まっていたとしても、両論が相ぶつかる米国社会のほうが、日銀総裁の不作為(または不十分な作為)を、「デフレさえ退治すればなんとかなるのに、それは日銀にしか出来ず、しかも日銀は簡単にそれを出来るのに、やらないのは馬鹿だ」という一辺倒かつ乱暴な意見(敢えて議論とは言いません)に、与野党問わず殆どの政治家や、大衆メディアに露出の多い似非民主経済学者が繰り返している、またそれに洗脳されている我が国の国民は、実に不幸だと言わざるを得ません。

さて、この記事にある「共同声明」に名前を連ねた共和党議員の発言の一部をお伝えしますと、「いま米国経済に必要な刺激は、減税であり、財政規律であり、規制改革である。人工的にインフレを作りだし、われわれの根本的な問題を包み隠すことではない」。

が、その一方で、

「米国議会自体が金融政策を運営するという考えは馬鹿げている。ただ、『金融政策はどうあるべきか』について開かれた議論をすることこそがフェアであると言いたいのだ。」

と。

我が国では民主党の支持率が致命的なレベルまで下がったとしても、政界再編への蟻の一穴となるとは思いづらい状況です。「周回遅れ」を取り戻すべく、軍事外交(尖閣諸島、北方領土、普天間・・・)、平成の開国(TPP)などの難問に対処するためには、民主、自民それぞれから割って出て日本版「茶会党」を形成してほしい(でないと、憲法問題、核問題、農業問題、などのタブーを誰も乗り越えることができない)とも思います。

しかし、一方で、それは日本らしさ、曖昧で何一つ意思決定できない大組織ゆえに

「周囲からは馬鹿にされるし多少不愉快ないじめにも遭うが、かといって致命的な反撃も喰らわない」

、という残された、かけがえのない良さを捨て去ることになるかも知れず、曖昧なねじれが延々と続く国政を良しとするかどうか、意外と難しい問題です。

はっきりしているのは、営利企業の意思決定は、ねじれ国会では、会社がすぐにつぶれてしまうということです。ただしメガバンクは別かも。
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