2008年11月20日木曜日

GM、フォードの末路は

●アルカイダ、オバマ次期大統領のイスラエル支持姿勢を批判(11/19FT)
偽善的なイスラエル支援、イラク撤兵後はアフガニスタンに兵力を配置という戦略は破滅すると。
人種問題、宗教問題という内憂外患の打開に期待が掛かるオバマ氏にとって、アルカイダからのメッセージは重い挑戦に聞こえます。

●ロンドンAIM市場、新規上場がなくなり輝きを失う(11/19FT)
我が国の東証マザーズや大証ヘラクレスもびっくりの規制ゆるゆるの新興市場。特にここ2年間はこの取引所の急成長と上場基準の甘さを米国当局者は「カジノと一緒だ」と揶揄してきた。世界中からベンチャー企業を集め、各国ライバル金融市場から羨ましがられてきたAIMは1995年の開設以来、最大の試練の年を迎えた。

ところで、私のブログのタイトルは今更ながら「七転び八起き社長のFXダイアリー」。本来は(?)、円高なのか円安なのか、早く教えろ!何処に書いてあるんだ?というご要望が多くて当然。尤も、過去6ヶ月、話が脱線しまくっても益々多くの読者の方々にご愛顧いただいているので、読者の皆さまの期待内容も進化してくださっていると推測されるのですが(汗;)。

気がつけば、米ドル円で95円から98円前後のレンジに「落ち着いてきた」為替相場。9月、10月に比べると、マクロ指標に素直に反応するようになりました(昨夜の例で、住宅着工や消費者物価)。しかし、現在の為替相場の最大の特徴は、株価指数⇒為替相場という因果関係の強さ。昨夜、FT紙が皮肉っぽく「未だにビッグスリーとして知られている」と報じた米国自動車産業が破綻か救済かが大きな波乱要因になるでしょう。

ニューヨーク・タイムズ紙が「破綻寄り」である理由が未だによく判らないのですが、勿論、このブログは破綻寄り(⇒自動車株・銀行株その他一層下落⇒米ドル安)。これは予想というよりは、そうあるべきだという政策論の話です。

今朝の日経新聞3㌻に出ていたGMワゴナー会長の発言「ある時期に景気が回復すると断言してくれるなら、追加支援は不要と約束できる」って、何様なのでしょうか?我が国証券会社の経営者は皆「相場が回復すると断言してくれるなら・・・」なんて、言いたくても言うべきでないとじっと堪えておられると思いますが。
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2008年11月19日水曜日

少数精鋭の農業国家と教育国家

1日半もブログの更新をサボりました。この間、地方出張(何故か今月は頻繁)、台湾製PCを持ち歩きたかったのですが余りに荷物が多く、置き去りにすることとしました。くどい言い訳は以上です。

昨夜は、前職、前前職の時代に大変お世話になった大手ガス会社の資源調達の責任者の方とお会いすることが出来ました。オーストラリアへのご出張回数では恐らく我が国最高頻度でいらっしゃるのではとお察しする方です。

鉄鉱石やボーキサイトなど鉱物資源は勿論、石炭、天然ガス等のエネルギー資源にも恵まれる同国は、リーマンショック前夜までの商品市況バブルで大いに沸き、1豪ドル=100円を超える通貨バブルと不動産バブルを併発していました。不動産バブルについては、従来から経済の中心地であったシドニーやメルボルンなど東海岸の諸都市だけでなく、むしろ次々と鉱山開発が続いた西オーストラリアの州都パースが特に異常だったとのことです。

オーストラリアで最も美しい街と言われるパースには発掘ラッシュで人口がどんどん流入し、水不足が生じているほど。鉱山労働者の時間当たり賃金もあれよあれよと上昇し、半日働いたら、残りはワインとビールに浸って大騒ぎという状況。一方、資源を分けて下さいという日本人インポーターであるお客さまにとっては、駅前でサンドウィッチを買うにも1個1500円という馬鹿にしたような値段。

日本とオーストラリアを頻繁に行き来されているお客さまから見ると、1豪ドル=60円台前半というのは妥当な水準だとのことです。

勿論、私のブログでも何度か取り上げておりますように、為替は「妥当な水準」にスッと収まるものではなく、振り子のように行き過ぎから行き過ぎへ振れやすいことを忘れてはならないのですが。

オーストラリアのついこの間までの非常識なバブルで苦労されたお客さまも、商品市況バブル崩壊によるオーストラリア経済の痛手より、円安バブル崩壊による日本経済の痛手のほうが辛いのではないかというご意見でした。勿論、お客さまの会社自身は、仕入れ単価が安くなることは歓迎すべきニュースなのですが。

借金漬けの消費者に不要不急のモノを売り続け外貨を稼いできた日本。外需と金融が我が国経済の背伸びをしていた部分だとすると、背伸びをせずに生きていくためには、やはり国民ひとりひとりの衣食住をいかに賄うかという原点に立ち返る必要があるでしょう。消費税増税予約付きの給付金で個人消費を拡大するのではなく、農林水産業の生産性を向上させつつ、一人当たり耕地(可能)面積を食料自給率の観点で「妥当な水準」になるように(江戸時代とは言いませんけど)少子化による人口減を受け入れる政策の転換・発想の転換が必要です。少子化の過程でどうしても高齢化が併発しますが、終末医療の問題は措くとして、農林水産業の分野にこそ高齢化に応じた労働年齢引き上げのヒントがあるのではないでしょうか(ちなみに金融分野で定年延長が押し付けられるのは絶対無理)。政府主導で投資すべき分野は今こそ農林水産業、そして教育です。

こういう意見は、少数派を通り越して天邪鬼かも知れません。が、少数精鋭の農業国兼教育国にならない限り、いずれはまた円安だと私は思っています(恐ろしい円高の後かも知れませんが)。
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2008年11月17日月曜日

FX業者は絶滅するのか!?(其の弐)

●ロンドンでは12人に1人が失職(11/17FT)
2010年末までの約2年間で、370,000人程度が職を失うと予想されるロンドンこそが、イギリス全体のなかで景気後退recession(2連続四半期経済成長がマイナスになること)の影響を激しく受けると、英地方自治協会the Local Government Associationの分析。

首都ロンドン以外の都市、例えばニューキャッスル、リーズ、マンチェスターは意外と景気後退の影響をうまく凌げるのだそうです。イギリス全体は1,700,000人が失職すると予想される中、地域格差は相当のものだと同レポート(失職率ではロンドンの7.9%が最悪で、次いで北西部6.7%、南東部6.3%、南西部5.1%)。

朝のブログにもありますとおり、ここでは地域格差は都市部が金融で潤い、地方が汗と油と土に塗れて働けど働けど・・・じっと手を見るという意味とは逆だということに注目です。

またこれまで、当ブログやオンライン・セミナーで繰り返し申し上げていたイギリス(ロンドン)こそが金融危機(信用収縮)の悪影響を最も激しく受けるということを反映したレポートではありますが、当然、日米とも他人事ではありません。国民所得に対する金融業の貢献度はイギリスが9%で最も高く、次いで米国8%、日本7%ではあります。この数字、素直に五十歩百歩だと認めるべきでしょう。

話が逸れるようですが、先週金曜日に選ばれるFX会社とは、社長が廃業する勇気を持っている会社だと書かせていただきました。勿論、自分が経営する会社の寿命は業界のなかでは相当長いほうだという自信を背景に言ってはいるのですが、外部環境次第でどんなに努力しても廃業せざるを得ない、業界全体が絶滅するという可能性はなくはないからです。そのときに《悪あがきして倒産》ではなく《潔く廃業》というのが望ましいという考えです。

で、その万が一の場合に貴方はどうするのですか?この答えは、一緒に働き戦ってきた従業員の仕事を最大限確保し、自分を含めた全員にとって働き甲斐のある職業、きっとその場合は金融以外の仕事となるでしょうが、それを築くことだと考えています。その心構えや準備まで出来ているというと、本当に廃業してしまうのかと心配されるので具体的には書きません。繰り返し申し上げますが、フェニックス証券程度の自己資本規制比率がないと、FX業務を継続できないかも知れないくらいに、規制を含めた外部環境は厳しくなっています。

すみません。結局、またまた宣伝になってしまいました。
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言論クーデターと自爆テロ

日頃親しくさせていただいている方が最近南アフリカ共和国に出張されました。週末お会いできる機会があり、いかがでしたか?とお聞きすると
「白人と黒人が同じ場所にいるのを見たことが無い。白人が農園主⇔黒人が農奴という関係に変りは無く、アパルトヘイトは“実質的に”無くなっていない、と感じた」
「治安の悪さ-やはり日本人観光客は集団行動しか許されない雰囲気だった。人口5000万人の国で一日に50人が殺されているのだから・・・」
と言いつつも、人口1億2000万人の某国の自殺者が一日当たり90人というのも悲しい比較対象だと知人。
「殺人や強姦などの被害者は決して白人ではない。ハイパーインフレに悩む周辺国ジンバブエやレソトからの不法移民が南アフリカ共和国で定職に就けず自暴自棄になり犯罪や麻薬密売に走っている」
・・・
「が、兎に角、大変な思いをしたが、もう一度行きたいかと聞かれれば、答えはYESだ」
それと言うのも、FXに携わっていらっしゃる方々なら良くご存知の通り、豊かな天然資源と、うまく組織化されれば名実共に世界の工場となるに相応しい良質な労働力がこの国には備わっているからです。この中で、金や白金、ダイヤモンドの需要は世界的な景気後退とともに著しく減退するでしょう。しかし、経済の破綻や戦乱の末に最後の拠り所となるのは「食べるものがある」ということではないでしょうか?先の大戦に破れ挑戦動乱の特需で復興するまでの間、我が国の生命線となったのは農村に他なりません。翻って、東京一極集中が金融危機で或る意味逆流したとしても、脱ホワイトカラー族を養うには一人当たりの耕作(可能)面積が狭すぎるのが実は我が国の弱みだというのが持論。付和雷同して少子化問題なんて言っている場合ではないのです。

金曜日夕刊で伊藤忠商事の丹羽会長のブレトンウッズ体制云々という話を引用したら、金融サミットで新ブレトンウッズ体制を云々と来ました。ブレトンウッズ体制に蜂の一刺しとなったのは、現在のユーロ圏の諸国家がベトナム敗戦後に米ドルから金の現物への交換をせがみ取り付け騒ぎとなったことであるのを忘れてはなりません。銀行の金庫には我々が預けた“お金”(紙幣や補助硬貨)が全て詰まっているわけではないことが取り付け騒ぎの可能性を孕むのと同様、米国もまた発券済の米ドル紙幣greenbuckと同額の金の延棒を用意していたわけではないのです。

それでも、サミット参加国のなかで、ひとり麻生首相だけが、米ドル支持で米国の歓心を買おうとするのは、ひとり日本円だけが対米ドルで高いからでしょうか?確かに、通貨切り下げ競争dirty floatの口火は既に切られつつあります。それとも、そもそも経済力とは別次元の、独立国家と言うには相応しくない独立した軍事力を持ちえていない我が国の弱みに由来するのでしょうか?

田母神論文を言論クーデターと呼ぶならば、村上談話は日本社会党の自爆テロだったのではないか・・・
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