2011年4月21日木曜日

原点に戻る-金融と原発と中国の貧富格差

わたくしがブログを始めた ちょうど3年前に、その執筆動機としていたのが、国内外のマスメディアの取り扱う内容の格差でした。

巨大地震が発生してから一ヶ月以上が経った今日、また別の意味で、情報ギャップは著しいままであると言わざるを得ません。

この記事の執筆時点で、英FT紙オンライン版が大きく取り上げている記事として、

①HSBCの新社長、大規模なリストラを計画か?

リーマンショック直後に買収した米国の旧ハウスホールド銀行「由来」の個人向ローンの事業や、中南米での事業が不振であることに加え、ここのところ英FT紙が精力的に報じてきた英国の金融規制の強化も泣きっ面に蜂なのだろうと考えられます。が、同業他社に比べて、経費率が悪すぎることも新社長は指摘。

何も外資系金融機関に限った話ではないのが、大企業経営の経費率を悪化させる要因として、高学歴、高知能の割に事業にあたってのパフォーマンスが優れない経費率の高い幹部社員が大量に居座ることです。

しかも、銀行における「文系」社員だけでなく、原発関連で、高学歴、高偏差値の人種が、官側、民側問わず、危機にあたっては実に役に立たっていないという現実。どうやら応用技術一般に日本の国力を支えてきたのはこのひとたちではなかったと改めて感じます。

原発と言えば、

②インドの原発建設で反対デモが激化、死者も

仏アレバ社が1兆円相当の契約を実現する寸前だったが、福島第一原発で「多重の安全装置も機能しないことが判明したというのに何故原発を進めるのか」とエンジニアや原発のエキスパートが地元住民に加わり暴徒化。

これに比べて、日本の能天気は一体どういうことかと思わせるのが、朝ツイットしたこのブログ

最後に中国関連で二つ
③中国政府、格差問題を収束させるために、税制改正を実施へ
もうひとつは米WSJ紙ですが
④中国高官「強い人民元はインフレ対策に有益かも」と公式発言
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2011年4月18日月曜日

みんなの党は本当に「みんな」の党なのか?

みんなの党のエネルギー政策がどうなっているのか、以前あまり聞いたことがなくて、ネットで検索をしてみたら、先週末になって、

電力再生アジェンダ(案)~原発ムラの利益を守るのでなく、国民を守る!~

なるものが発表されていたようでした。

表題は兎も角、なかみを読むと、同党の表向きのイメージとは真逆の切れ味の無さに愕然としてしまいます。まるで既に政権を握ってしまって「広義の原発村」の既得権益に縛られた無能な与党の歯切れの悪い釈明文にしか読めません。

有権者がみんなの党のアジェンダをわざわざ読もうとするとき、この国で仕事をし生活をしていく価値があるかどうかという高い意識で文面をチェック場合に限られるでしょう。この文章を読んでも、そもそも原発をどうするか何も書かれていません。もちろん、否定されていないのですから、結論肯定であり、みんなの党は、自民党、民主党(、そして公明党)と同様に、原発賛成派であるわけです。

残念ながら日本の有権者は、社会主義政党以外では反原発の政治家、もとい、政党を選べない状況にあります。大連立以前に、原発政策については、大政翼賛体制が出来てしまっているのです。

さて、冒頭に「広義の原発村」と書きました。電力会社、経産省(下の保安院)、メーカー、地元悪徳政治家だけでなく、米国利権や金融(特に電力会社やメーカーに大口融資を行なっているメガバンク)を含めて申し上げています。みんなの党の言う「電力再生委員会」なるものが経産省下ではなく内閣府下の置かれることの意味(金融庁も内閣府下)、債務超過認定(⇒100%減資)自体がお手盛り審査になる恐れが免れないのは当然ですが、銀行融資や電力債などの負債処理についてははっきりと書かれていないことにも注目です(読みようによっては、ペイオフ解禁後の銀行一時国有化スキームより酷いモラルハザードの恐れあり)。 誤字も目立つ威勢良いだけの原発アジェンダは、名目経済成長を過度に重視すれば、得をするのは、メガバンクや大手製造業など一部の特権階級に過ぎず、国民「みんな」ではないというトリックを映し出しています。

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2011年4月13日水曜日

反省だけなら猿でもできる。反省すら出来ない日本は猿以下なのか!?

人間の叡智には限界があります。

金融の分野で言えば、バブルが弾けるまで、それをバブルと気付かない人々が殆どである状況、、、それこそがバブルの本質だと説明するとトートロジーみたいですが、、、金融のプロとして生き残るひとは、ロスカットを早く実行することと、同じ(種類の)バブル(≒過ち)を繰り返さないことを鉄則としています。 わたくしは、前回の記事「被災地の皆さまへ心よりお見舞い申し上げます」で、

・・・原子力という砂上の楼閣に支えられた物質文明が簡単に復興するとは思えない・・・

と書きました。

「制御された核分裂」という幻想のもとに先進工業国は物質的な豊かさのバブルを享受していたに過ぎなかったと、とっさに判断出来ない「不作為犯」は、、、譬え、原子力発電所をこんなにたくさん地震と津波の国に作ってしまった過ちを見逃したとしても、、、許されない以前に情けないと言わざるを得ません。

これは、政治だけの責任でもなく、東電や日立や東芝のエリート幹部たちだけの責任でもなく、またかねてより原発を推進し過疎地域を買収したフィクサーたちの責任でもない、統一地方選という絶好の機会がありながらも、時の政権のだらしなさだけを血祭りにし、原発・放射能問題を争点にも出来ず、あれよあれよという間に、日本全国で原発推進派の首長を選んでしまっているレベルの低い有権者の責任です。

ただただ仕事を失いたくないだけの目的でテレビCMで「日本は強い国だ。力を合わせれば復興出来る」と空疎な科白を繰り返す芸能人が浅はかさに聴こえるのは、浜岡原発ひとつ止められない平和ボケと惰性を再確認するに、とても強い国だとは思えないからであります。日本は復興による豊かさを享受するに値する国でしょうか。

わたくしには、本業や家族や安全を犠牲にして、「お国」のために、福島に放射能関係の仕事に半ば強制的に送りこまれている友人が複数名居ます。かつて原発を「安全に」推進するために頑張ってきた人達が、言論の自由(≒真実の報道)を自主規制しつづけているマスゴミたちの伝えない地獄絵図を見て、「人類が核エネルギーを利用しようとしてきたのは間違いだったと一人でも多くのひとに伝えたい」と異口同音に語っています。
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2011年3月16日水曜日

被災地の皆さまへ心よりお見舞い申し上げます

東北地方太平洋沖地震では被災地の皆さまに比べては、東京駅前に事務所を構える私どもの恐怖や負担などは掠り傷以下のものであったものの、ここ数日、いろいろなことに追われ、いまようやくお見舞いのメッセージが打てる状況となりました。


業界が業界だけに、今年度は決して楽な経営環境ではありませんでしたが、眼先黒字かどうかということよりも沢山優先すべきことがあるという人生観の転換を突きつけられた今回の事象において、私どもフェニックス証券も、業界団体を通じて、些少ながら義援金を寄付させていただくことを決定しました。


一方で、石原現都知事の「天罰」発言が物議を醸し、発言者自身がお詫びしたそうです。わたしは石原氏とは政治信条はかなり異なりますが、言葉足らずな部分をちゃんと補い、悪意なく発言の意味を受け取れる環境にあれば、一理あると、被災地ではなく、東京都心の今週の生活を振り返ると、敢えて思わざるを得ません。


停電、節電、物資の不足を前提とした都市生活は、原子力という砂上の楼閣に支えられた物質文明が簡単に復興するとは思えないと考えた場合、当座の不便に留まるとは思えません。それでも、被災地での避難生活を送っておられる数多の皆さまに比べれば遥かに恵まれている首都圏の人々の多くが、大きな余震や放射能の問題は別格としつつも、「やむをえない」「これはこれでやっていける」「いままで如何に無駄な贅沢をしていたかむしろ反省している」という思いを共有しているのではないでしょうか?


サラリーマン社会という閉鎖的コミュニティなかでの上昇志向のためだけに、無駄なネオンがきらめく歓楽街で夜な夜な同僚や客先と飲み歩くという習慣や、正月には成田空港などから大量に海外旅行へと向かう付和雷同からは、自分個人にとっての幸せや価値観は何たるかという問題の追及を敢えて遠ざけ、見栄のためにあくせくする、変化を好まず物質文明を当然享受する資格があるものと信じ切った無防備な日本人の姿が見えます。


明治以降だけでも何度も津波で惨事を経験された三陸海岸沿岸の皆さんが、それでも自分たちは漁業で生きていくしかないという覚悟で、何度も復興を志したなかでの町や村の壊滅では、犠牲者やその家族親戚の皆さん、避難生活を送られる皆さんには当然のことながら何の罪もなく、むしろ、一極集中を奇貨とした、国内でもダントツで、世界的にも稀に見る物質的に豊かな、無駄の多い生活スタイルへの天罰だったと理解し、価値観を見つめ直す機会だとしなければ、人柱に他ならない戦後最悪規模の犠牲者の命に報えないと考えています。


謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
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