2008年7月16日水曜日

裸の空売り

●米SEC、空売り規制を緊急導入(7/15WSJ、FT)
ファニーメイ、フレディマック、リーマン・ブラザーズなどの株式を濫用的に空売りしないよう緊急措置をとりたいとクリストファー・コックス会長が議会で発言。この新しい規制は巨大金融機関以外の株式市場全体にも広げていく計画もあると。

日本株の「空売り規制」と比較しておかなければなりません。米SECが今回義務付けるのは、売りから入るにはちゃんと借株をしなさい、裸の空売り so-called "naked" short selling は駄目、と。現在日本では貸借銘柄を証券金融会社経由で借りて売るという制度信用または一部貸借銘柄以外の銘柄も含めた貸借市場(含む相対)経由(一般信用)が使われています。加えて、2002年以降は直近値段を下回る価格での信用売りも禁止(アップティックルール、実際はもうちょっと複雑)となり、空売り規制先進国の米国のルールを真似して更に厳しくしたものになっています。

米国の規制が緩過ぎたのか、日本の規制が厳し過ぎるのか。FX市場に流出した個人マネーを回帰させるためにはアップティックルールを緩和するしかないのではないかというのが筆者の意見。アップティックルールで株価の売り崩しから発行会社を守ろうという意見に対しては、売り崩しが不当なら自社株買いで応戦すれば事足りる(自社株買いについては一層の規制緩和が必要)。

●米ドル、対ユーロなどで史上最安値更新(7/15WSJ、FT)
月曜日の筆者の相場予想「ユーロドルは1.55~1.60の硬いレンジ」が早くも3日目にハズレ、昨夜は反省で居残り。しかし、WSJ紙面トップは

●ユーロゾーン、景気後退はハードランディングに向かっている(7/15WSJ)
世界的な景気後退と考えられてきたヨーロッパだが、、、と。
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2008年7月15日火曜日

監査法人と格付機関

昨日月曜日はフェニックス証券の4-6月期決算のために監査法人の公認会計士の先生方にいらして頂きました。四半期監査は一日で無事終了。夕方ご挨拶をさせていただいた際に、筆者から質問、「NHKのドラマ『監査法人』をご覧になってますか?」答えは、異口同音に「勿論見てますよ!」。

同業者である先生方からの番組評は味わい深いもの。橋爪功さんが証券取引法違反で逮捕される理事長を演ずる旧監査法人のモデルは空中分解した例の監査法人だ。その監査法人が加担した粉飾決算の舞台となった都市銀行は、旧UFJ銀行か、りそな銀行のいずれか(いずれも)だ、等々。

筆者の感想はと言えば、詐欺紛いのドーナツ屋フランチャイズチェーンを拡大させ上場を焦るベンチャー企業の社長役を演ずる阿部サダヲさんのテカテカの丸顔が堀江貴文氏に酷似している、という下世話なもの(汗)。ちなみにこの詐欺商法【定年退職世代からFC加盟金を掻き集めるべく商品先物営業的コールド・コールを朝から晩までチーム全体でやらせる】のモデルは実在していないのではないかというのが筆者と先生方の共通の見方です。

ちなみに、「家庭を顧みない、過労でぶっ倒れる、法律違反の誘惑に駆られやすい、という職業だと思われ、公認会計士の人気が落ちるのではないか」と先生のひとりが嘆いておられましたが、筆者は「それは無いでしょう。弁護士や医師を正義の味方という風にテレビドラマが描いても素直に信じて職業選択するほど現在の若者は柔ではない」と反論。

ところで、筆者が一番気になったのは、ドラマで金融監督当局が監査法人の合併を促そうとする場面。「華麗なる一族」の頃の銀行行政ならまだしも、金融ビッグバン後しかも監査法人に対してこのような行政の介入がありうるのか?先生方の意見は、さすがにここはフィクションなのでしょう、ということでした。

投資家や債権者という第三者の利益を保護するための仕事なのに報酬は依頼人から貰うという屈折構造は、監査法人同様、(殆どの)格付機関についても当て嵌まります。レイクをGEから買収した新生銀行を格下げしたムーディーズ。それは結構ですが、新生銀行を格下げするまえに、ファニーメイフレディマックのトリプルAは見直すつもりがあるのかないのか、先ず答えて欲しい。
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↑ コールド・コールのことを商品先物の世界ではテレコールというらしい。品性の欠片も無い和製英語

2008年7月14日月曜日

暗黙の保証

●FRB、米財務省、一転して救済の用意あると-ファニーメイとフレディマックに対して(7/13NYT、WSJ、FT)
金曜日の夜、株式市場から期待されていた国有化発言を否定。両社の株は一日で半減。日曜夕方、資本注入に吝かでないと発言を一転させたと臨時ニュースを各紙報道。

米国サブプライム問題は、サブプライムに留まらず、ホームエクイティローンを含めた全ての住宅ローンに波及する筈だと、昨年8月以来、メルマガその他で申し上げて参りましたが、いよいよクライマックスか。

バランスシートを復習しておきましょう。

ファニーメイとフレディマック、両社の借金を合わせると1540億㌦。但しこれには住宅ローンに対する保証、つまり両社にとっては偶発債務となる5000億㌦が含まれていません。合わせると約520兆円の資産規模となっています。当局からの緊急融資枠はたったの22.5億㌦。それもその筈で、40年前に設定された当時のファニーメイの借金は150億。現在はその50倍以上に膨らんでいます。問題はこのように膨らんだ借金に対して政府が行なっている保証があくまで暗黙ベースであるということ。

2001年に日本で敢行された財政投融資改革でも、日本版GSEが政府の明示的保証を受けずに債券を発行するという習慣が始まりました。この財投機関債に対して格付け機関は企業開示を含め厳しく対応したものです。これらの格付け機関はファニーメイ、フレディマックの最高格付けに対してどのような反省を行なうのでしょうか?

もうひとつ、不動産危機は米国に限られたものでは絶対無く、英国、大陸欧州、日本の順に同様の危機を孕んでいると考えられます。FXに則して言えば、ユーロドル相場は要人のマッチポンプ発言を挟んで1.55~1.60の硬いレンジの中で乱高下し続けると予想しますが、基本は長期でユーロ安という見方を一切変えておりません。
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↑ 梅雨明け間近?今週もよろしくお願い致します

2008年7月11日金曜日

元祖フリーペーパー

フレディマックファニーメイ、危機的状況(7/10WSJ、FT)
バーナンキFED議長、ポールソン財務長官の議会証言の傍ら、両社の株価は大幅下落。1991年以来の最低水準に。セントルイス連銀のビル・プール前総裁の「フレディ、ファニーともに救済が必要。特にフレディについて時価会計を適用すれば52億㌦の債務超過だ」発言が追い討ち。米国の住宅ローンの75%がフレディ、ファニー経由。両社の破綻回避の策を講じないと納税者に巨額の負担を強いることに、とFT紙。

しかし、本来借金する能力が無かった人が不相応の家に住み続けるために税金を使って破綻回避をすることのほうが納税者苛めではないか、と思うのは筆者だけでしょうか?

我が国のフラット35も大丈夫???

●中国の貿易黒字、急減(7/10FT)
6月の前年同月比が20%減。世界経済の減退が中国の輸出部門に深刻な影響を与えつつある。「我々はアジアの虎じゃないんだ」と中国共産党高官が発言。

●サムライ債の発行が急増中-日本の資本市場(7/10FT)
4-6月期で43%増。ブルームバーグ調べ。南アフリカランド建が特に人気。

人気の理由は理解できますが、手数料の高さを考えれば、どうしてFXで投資しないのでしょうか???

最後に重要なおまけ。。。
●日銀、企業物価算定方法を見直し(7/10日本銀行のホームページ)
100ページ以上もある大論文をブログ風に要約するのは難儀ですが。スポーツではゲームの途中でルールを変えることには誰しも抵抗があります。が、物価統計では何十年も「物価の優等生」卵のウエイトを変えないわけにはいきません。筆者が、ブログやオンラインセミナーで重視して参った物価水準や購買力平価。上がり続ける原油に重きを置くか、下がり続けるサーバーの値段に重きを置くかで、結果は全く変わってきてしまいます。ビックマック指数もトールラテ指数も完璧ではないのです。かといって時系列で比べたり世界各国で比べたりすることが計測上難しい商品もあり、日銀も苦労しているのです。それで、意見を求める(匿名もOK)とのことです。今回の目玉はインターネット広告かと。

筆者が興味あるのは、「情報の値段」。新聞の不読を加速させていると犯人扱いされているWeb2.0。新聞の単価が変わらなくても、国民全体が支払っている情報の対価は劇的なデフレになっているのではないでしょうか?それを支えているのがインターネット広告かも知れませんが、それだけテレビ広告の出稿は減っているようです。勿論、民放テレビも元祖大型フリーペーパーに過ぎないのですが。
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↑ iPhoneの行列に並ばれた方々@表参道。ご苦労様でした