2008年11月12日水曜日

金の生る木はありませぬ

●原油価格、60㌦割れ-20ヶ月来安値(11/12NYTimesほか)
今年7月の高値から何と59%下落。OPECによるカルテル(産出削減合意)も、世界経済の成長鈍化に勝てなかったとニューヨーク・タイムズ紙。

金も下落。WSJ紙は、「ありとあらゆるインフレ再燃政策を駆使しているのに、商品相場が低迷しているのは、金融機能が相変わらず壊れていることを証明している」と論じています。

●GM、韓国での操業を停止(11/12FT)
ウォン安は関係ない!

●ファニー・メイとフレディ・マック、住宅ローンの条件変更プランを公表へ(11/11WSJ)
9月に国有化された米住宅ローンの巨人。何十万契約にものぼる住宅ローンの条件を債務者寄りに見直し、住宅供給が再び経済成長を引っ張るようにしたいのが趣旨だとのこと。詳細はこれからだが、昨年までに実行されたローン(要保険付、自己破産案件は除外)につき、毎年の元利金弁済が年間所得の38%以内になるように利率を緩和したり、場合によっては元本も一部帳消しにするとの案が出ている。

●7000億㌦の金融安定化法案、実効性に疑問が(11/11WSJ)
アメリカンエキスプレスが銀行持ち株会社となり、GSやモルスタと同様、金融支援対象となったほか、GM等自動車産業についても民主党新政権が既にプログラム適用をと鼻息が荒い。駆け込み寺に次々と殺到する「それなら私も助けてよ」という声・声・声に対して、政治は収拾をつけられるのか?

最後におまけ。
★アーバン転換社債の仮装払込はインサイダー取引の可能性あり-BNPパリバの外部検討委(日本語ロイター、日経)
楽して儲ける方法はありません。その一言に尽きる。
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2008年11月11日火曜日

ニューディール政策とモダン・タイムズ

●DHL、大リストラ-ドイチェポストが米国事業を抜本縮小へ(11/10WSJ)
正社員は現在の13,000人から3,000~4,000人へと大幅削減。過去15年間、数十件にものぼる企業買収を繰り返し、ドイツ国内の郵便屋からグローバルなロジスティック企業に変貌したドイチェポスト。その米国での橋頭堡が5年前に買収したDHLだった。が、この5年間で数十億㌦が投資され費消され、それでもUPSやFedExのシェアを奪うことは出来なかった。これらライバル2社も業績修正を発表済みだが、損失が最も酷いのはDHL。

米国内の地上ハブを18箇所閉鎖、集配所を現在の412箇所から103箇所に大幅に削減すると発表。

●ノーテル・ネットワークス、赤字転落。雇用削減へ(11/10WSJ)
第3四半期の損失が34.1億㌦。1,300人の雇用削減を発表。

●AIGへ“新”救済案、第3四半期の純損失244.7億㌦で(11/10WSJ)
AIGと言い、GMと言い、我が国の生保業界や自動車業界で汗水垂らして働いていらっしゃる方々、どうお思いでしょうか?

今年のノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマン教授がニューヨーク・タイムズのコラムをオバマ氏当選後はじめて更新しました。フランクリン・ルーズベルト大統領のニューディール政策が馬鹿の一つ覚えのように比較対象とされる昨今、オバマ新大統領はルーズベルト大統領の成功体験より失敗体験により学んで欲しいと忠告。曰く、「1932年の米大統領選挙では、従来から経済の自由放任を主張する共和党のフーヴァーに対して、ニューディール政策を掲げる民主党のルーズベルトが、変化を求める国民の支持を得て当選した。・・・公共工事による失業救済、金本位制離脱(インフレ政策)で輸出促進、食管制度、最低賃金制度・・・北部の労働者や黒人の支持を広く獲得し、3選ばかりか4選を果たし、第二次大戦を戦い抜いた(山川出版社『詳説世界史研究』)」という通説は正確ではなく美化されすぎた伝説だと。むしろルーズベルトはフーヴァーと同じように本音では財政均衡論者で、政権初期段階では政策を小出しにし過ぎていて効果が出ず、中間選挙では負けたこともあると。ルーズベルトがアメリカを救ったとされるニューディール政策の本命は第二次世界大戦に他ならないと論じています。

オバマ氏に対して、「出し惜しみはいけない。とことんばら撒け」という忠告が正しいかどうかは別として、世界恐慌後の各国の対応として、ドイツ・イタリア・日本が全体主義に陥り、イギリス、フランスは保護主義に陥ったが、アメリカはケインズ政策で立ち直ったというのは、確かに拙ブログで再三非難している“勝てば官軍”史観かも知れません。

ところでチャールズ・チャップリンは私が最も尊敬する映画人のひとりで、子どもの頃は彼の映画全てが好きだったのですが、今では「モダン・タイムズ」をダントツに評価しています。つまり、例えば「独裁者」は最後の主人公の演説は素晴らしい内容だけど、やはり映画を製作した国の国益を背景に、ドイツ全体主義に対する勧善懲悪の色が濃い。この点、モダン・タイムズは「“持てる国”アメリカにもファッショはあった。不当労働行為、人間疎外はあった。“持たざる国”ドイツ、日本と五十歩百歩なのだ」ということを暴露しつつ、国益を超えて、世界中の弱者に勇気を与えてくれる作品だと思うのです。
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2008年11月10日月曜日

求人広告-東京・八重洲で働ける方を急募

フェニックス証券では、業務拡大につき「経理・財務の業務経験のある方」を1名、採用することに致しました。勤務地は東京・八重洲となります。

証券会社・FX会社での業務経験は必ずしも問いません。知的好奇心の豊富な方、数字に強い方ならOKです。

報酬等、委細は面談にて。フェニックス証券はFXの注文を銀行間市場に直結させており自己ディーリングを行なっていない堅実なビジネスモデル。大儲けは出来ません。したがって、報酬については大きな期待をしないでください。働く環境、働き甲斐については大きな期待をしてください!

是非フェニックス証券の面接を受けてみたいとおっしゃる方は、履歴書と職務経歴書を、

recruit@phxs.jp

宛、ソフトコピーでご送付下さい。
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公的資金でGMは救済されるのか?

●中国、4ヵ年で5860億㌦の景気刺激策(11/9WSJ)
米国の金融安定化法7000億㌦に迫る金額だが、これまでの税収により概ね賄える(但し、財政赤字は必至)。

●米国下院議長ナンシー・ペロシ女史、ポールソン財務長官に書簡(11/9WSJ)
金融安定化法7000億㌦の適用範囲を拡げ、自動車産業の救済にも使うべきだと。

モラルハザード抑止(自己責任原則の貫徹)は銀行救済においてのみ妥協が許され、事業会社への公的資金の直接投入については我が国自民党でも意見をまとめることは出来ないでしょう。しかし、例えば新銀行東京の不良債権の取立て不能と、不良融資先に対する都税による補助金ばら撒きと実態的に何処が違うのかと聞かれうると皆さん答えに窮しませんか?

さて、はじめてブログのお休みをいただいた先週金曜日、近畿財務局の金融監督官さまに弊社のむさ苦しい事業所までお越しいただき、事前に聞かれる予定になっていた株券電子化問題について話す暇もないくらい、世間の情勢につきお話をすることが出来ました。
★折しも米国の政権交代が決まり、従来どちらかと言うと、米民主党政権は対日強硬の傾向が強いが、外交・経済についてどのような変化が予想されるか?
★サブプライム、世界金融危機は何だったのか?
★これからのフェニックス証券のビジネスモデルについて?
これらの話題について、驚く勿れ、私がこれまでブログに書いてきたことそのままお話しました。私のブログは権力批判や官僚批判のオンパレードだという印象をお持ちの方が多いと思います。ある意味、それはその通りですが、表裏の無い私の意見を受け取っていただける懐の深いエリート官僚もどっこいいらっしゃるという嬉しい事実もあるのです。

ちなみに、FXに関しては、「顧客資産の区分管理を全額信託に」という法改正。賛成である。が、市場リスクが現行では自己資本規制比率の計算上反映されない「向かい呑み」行為も同時に規制しないと、今まで以上にカバー先にヘッジも預託もしないほうが金繰り上楽だという誘因が働き、かえって顧客保護に悖る。この点をしっかり主張させていただきました。悪徳な比較サイトやアフィリエートによって異常なスプレッド競争やレバレッジ競争が巻き起こされた我が国のFX業界ですが、もうそろそろパーティはお開きでしょう。これからは真の意味での財務と技術が勝負の世界です。
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