2008年11月20日木曜日

広告宣伝する余裕があるなら借金を返せ!

「債務超過で余命幾許かと噂される自動車会社が新車を発表したのか?」と勘違いさせるようなバナー広告がウォール・ストリート・ジャーナル紙オンライン版に出ていました。

広告担当を兼務しているFX会社の社長としては、このメディアのトップページのこの場所の広告料が莫大なものであることが想像できます。自動車に電源コードがくっ付いている写真をクリックすると、GMを救済しないと大変なことになるというYouTubeの動画などが出てきます。

ユーチューブですので、コメント不可の設定にも出来るのですが、あえてコメントを開放し、スパムメール、無関係な話題、名誉毀損以外は削除しないとGM側は書いております。それにしても、名誉毀損とまでは行かないとGM側が判断したのか、閲覧回数やコメント件数が多すぎて削除が追いつかないのか、米国経済を人質に取ったかのようなGMの態度に露骨な怒りを表しているコメントが消されず目立つのは皮肉です。

我が国なら、ネトウヨ(私も実名を明らかにしていなければ主張的には近いかも^^;)、チャネラーの如きと一笑に付されてしまうのかも知れません。日米ネット文化の違いをちゃんと理解せずに申し上げるのは危険ですが、この期に及んでGMが行なった広告投資の効果と反響を、米国国会議員たち(特にオバマ次期大統領を含む)がどう受け取るか、資本主義陣営の長年の牽引役としての矜持を示すのかどうか、大いに注目です。

今朝のブログで、GM破綻で株安ドル安と書きましたが、GM救済でも結局ドル安なのではないでしょうか?

最後に、先週末から今週にかけて2度にわたり書かせていただいたFX業者は絶滅するのか!?が大変反響を頂いております。FXのお客さまからもお客さまでない方々からも応援のメールや電話を頂いております。案の定誤解を招いてしまった部分が廃業する勇気を持つ社長の件。謙遜のつもりで書かせていただいております。決して廃業する予定はございませんし、現状ではFX会社130社のなかで8割が廃業または倒産したとしても残りの2割のなかに入ろうとずっと努力してきており、また勝算もございます。ご心配をお掛けし申し訳ございませんでした。
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GM、フォードの末路は

●アルカイダ、オバマ次期大統領のイスラエル支持姿勢を批判(11/19FT)
偽善的なイスラエル支援、イラク撤兵後はアフガニスタンに兵力を配置という戦略は破滅すると。
人種問題、宗教問題という内憂外患の打開に期待が掛かるオバマ氏にとって、アルカイダからのメッセージは重い挑戦に聞こえます。

●ロンドンAIM市場、新規上場がなくなり輝きを失う(11/19FT)
我が国の東証マザーズや大証ヘラクレスもびっくりの規制ゆるゆるの新興市場。特にここ2年間はこの取引所の急成長と上場基準の甘さを米国当局者は「カジノと一緒だ」と揶揄してきた。世界中からベンチャー企業を集め、各国ライバル金融市場から羨ましがられてきたAIMは1995年の開設以来、最大の試練の年を迎えた。

ところで、私のブログのタイトルは今更ながら「七転び八起き社長のFXダイアリー」。本来は(?)、円高なのか円安なのか、早く教えろ!何処に書いてあるんだ?というご要望が多くて当然。尤も、過去6ヶ月、話が脱線しまくっても益々多くの読者の方々にご愛顧いただいているので、読者の皆さまの期待内容も進化してくださっていると推測されるのですが(汗;)。

気がつけば、米ドル円で95円から98円前後のレンジに「落ち着いてきた」為替相場。9月、10月に比べると、マクロ指標に素直に反応するようになりました(昨夜の例で、住宅着工や消費者物価)。しかし、現在の為替相場の最大の特徴は、株価指数⇒為替相場という因果関係の強さ。昨夜、FT紙が皮肉っぽく「未だにビッグスリーとして知られている」と報じた米国自動車産業が破綻か救済かが大きな波乱要因になるでしょう。

ニューヨーク・タイムズ紙が「破綻寄り」である理由が未だによく判らないのですが、勿論、このブログは破綻寄り(⇒自動車株・銀行株その他一層下落⇒米ドル安)。これは予想というよりは、そうあるべきだという政策論の話です。

今朝の日経新聞3㌻に出ていたGMワゴナー会長の発言「ある時期に景気が回復すると断言してくれるなら、追加支援は不要と約束できる」って、何様なのでしょうか?我が国証券会社の経営者は皆「相場が回復すると断言してくれるなら・・・」なんて、言いたくても言うべきでないとじっと堪えておられると思いますが。
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2008年11月19日水曜日

少数精鋭の農業国家と教育国家

1日半もブログの更新をサボりました。この間、地方出張(何故か今月は頻繁)、台湾製PCを持ち歩きたかったのですが余りに荷物が多く、置き去りにすることとしました。くどい言い訳は以上です。

昨夜は、前職、前前職の時代に大変お世話になった大手ガス会社の資源調達の責任者の方とお会いすることが出来ました。オーストラリアへのご出張回数では恐らく我が国最高頻度でいらっしゃるのではとお察しする方です。

鉄鉱石やボーキサイトなど鉱物資源は勿論、石炭、天然ガス等のエネルギー資源にも恵まれる同国は、リーマンショック前夜までの商品市況バブルで大いに沸き、1豪ドル=100円を超える通貨バブルと不動産バブルを併発していました。不動産バブルについては、従来から経済の中心地であったシドニーやメルボルンなど東海岸の諸都市だけでなく、むしろ次々と鉱山開発が続いた西オーストラリアの州都パースが特に異常だったとのことです。

オーストラリアで最も美しい街と言われるパースには発掘ラッシュで人口がどんどん流入し、水不足が生じているほど。鉱山労働者の時間当たり賃金もあれよあれよと上昇し、半日働いたら、残りはワインとビールに浸って大騒ぎという状況。一方、資源を分けて下さいという日本人インポーターであるお客さまにとっては、駅前でサンドウィッチを買うにも1個1500円という馬鹿にしたような値段。

日本とオーストラリアを頻繁に行き来されているお客さまから見ると、1豪ドル=60円台前半というのは妥当な水準だとのことです。

勿論、私のブログでも何度か取り上げておりますように、為替は「妥当な水準」にスッと収まるものではなく、振り子のように行き過ぎから行き過ぎへ振れやすいことを忘れてはならないのですが。

オーストラリアのついこの間までの非常識なバブルで苦労されたお客さまも、商品市況バブル崩壊によるオーストラリア経済の痛手より、円安バブル崩壊による日本経済の痛手のほうが辛いのではないかというご意見でした。勿論、お客さまの会社自身は、仕入れ単価が安くなることは歓迎すべきニュースなのですが。

借金漬けの消費者に不要不急のモノを売り続け外貨を稼いできた日本。外需と金融が我が国経済の背伸びをしていた部分だとすると、背伸びをせずに生きていくためには、やはり国民ひとりひとりの衣食住をいかに賄うかという原点に立ち返る必要があるでしょう。消費税増税予約付きの給付金で個人消費を拡大するのではなく、農林水産業の生産性を向上させつつ、一人当たり耕地(可能)面積を食料自給率の観点で「妥当な水準」になるように(江戸時代とは言いませんけど)少子化による人口減を受け入れる政策の転換・発想の転換が必要です。少子化の過程でどうしても高齢化が併発しますが、終末医療の問題は措くとして、農林水産業の分野にこそ高齢化に応じた労働年齢引き上げのヒントがあるのではないでしょうか(ちなみに金融分野で定年延長が押し付けられるのは絶対無理)。政府主導で投資すべき分野は今こそ農林水産業、そして教育です。

こういう意見は、少数派を通り越して天邪鬼かも知れません。が、少数精鋭の農業国兼教育国にならない限り、いずれはまた円安だと私は思っています(恐ろしい円高の後かも知れませんが)。
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2008年11月17日月曜日

FX業者は絶滅するのか!?(其の弐)

●ロンドンでは12人に1人が失職(11/17FT)
2010年末までの約2年間で、370,000人程度が職を失うと予想されるロンドンこそが、イギリス全体のなかで景気後退recession(2連続四半期経済成長がマイナスになること)の影響を激しく受けると、英地方自治協会the Local Government Associationの分析。

首都ロンドン以外の都市、例えばニューキャッスル、リーズ、マンチェスターは意外と景気後退の影響をうまく凌げるのだそうです。イギリス全体は1,700,000人が失職すると予想される中、地域格差は相当のものだと同レポート(失職率ではロンドンの7.9%が最悪で、次いで北西部6.7%、南東部6.3%、南西部5.1%)。

朝のブログにもありますとおり、ここでは地域格差は都市部が金融で潤い、地方が汗と油と土に塗れて働けど働けど・・・じっと手を見るという意味とは逆だということに注目です。

またこれまで、当ブログやオンライン・セミナーで繰り返し申し上げていたイギリス(ロンドン)こそが金融危機(信用収縮)の悪影響を最も激しく受けるということを反映したレポートではありますが、当然、日米とも他人事ではありません。国民所得に対する金融業の貢献度はイギリスが9%で最も高く、次いで米国8%、日本7%ではあります。この数字、素直に五十歩百歩だと認めるべきでしょう。

話が逸れるようですが、先週金曜日に選ばれるFX会社とは、社長が廃業する勇気を持っている会社だと書かせていただきました。勿論、自分が経営する会社の寿命は業界のなかでは相当長いほうだという自信を背景に言ってはいるのですが、外部環境次第でどんなに努力しても廃業せざるを得ない、業界全体が絶滅するという可能性はなくはないからです。そのときに《悪あがきして倒産》ではなく《潔く廃業》というのが望ましいという考えです。

で、その万が一の場合に貴方はどうするのですか?この答えは、一緒に働き戦ってきた従業員の仕事を最大限確保し、自分を含めた全員にとって働き甲斐のある職業、きっとその場合は金融以外の仕事となるでしょうが、それを築くことだと考えています。その心構えや準備まで出来ているというと、本当に廃業してしまうのかと心配されるので具体的には書きません。繰り返し申し上げますが、フェニックス証券程度の自己資本規制比率がないと、FX業務を継続できないかも知れないくらいに、規制を含めた外部環境は厳しくなっています。

すみません。結局、またまた宣伝になってしまいました。
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