2011年10月25日火曜日

「現金の海」を泳ぐ銀行

ほとんど金利がゼロなのに、(家計部門などが)銀行に預けている預金の残高は未曾有の水準。ところが、銀行はリスクの高い貸出を控えようとする。信用力の高い大企業は借りてくれない。

銀行全体の預金量に対する貸出の比率(=預貸率)のグラフを見てびっくり!!

90年代以降の、デフレ、大企業の債務リストラ、低金利~ゼロ金利が概ね20年続いた日本のことではありません。ニューヨークタイムズ紙が、「銀行たちが現金のなかを泳いでいる」と譬えたグラフィック記事は、昨今の金融危機以降、急速に「カネ余り」状態に陥った米国の商業銀行の姿を現しています。

このグラフィックが付属している記事本編では、預金の「洪水」を歓迎できない商業銀行のなかで、とくに高飛車な大手のなかには、ニューヨークメロン銀行が一部不採算預金客に対して0.13%ポイントの口座管理料の徴収を計画しているほか、JPモルガン・チェース、USバンコープ、ウェルズファーゴが当座預金だけでなく譲渡性預金の金利を殆どゼロに下げたうえで預金保険料を中小企業向けの貸出金利に上乗せする形で転嫁する動きが出ています。

昨日アップのウォールストリートジャーナルの記事にありますように、一方では、オバマ政権が緊急対策を打たなければならないほど、住宅ローンの借り換えが(ちゃんと約定どおり元利払いをしてきた善良な人々ですら)ままらなぬほど銀行の貸出姿勢が厳しくなっている。その結果が、預貸率の「悪化」です。

金融危機以前は、どの商業銀行も預金獲得に躍起になっていて、3%以上の金利を付けるだけでなく、iPadを無料で配るまでして、また支店の増設も盛んだったのが、一転、支店閉鎖、何千人という桁での解雇という状況に陥っていると同紙は報じています。
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2011年10月24日月曜日

住宅ローンで債務超過の借り手を救済へ-米国政府

米ウォールストリートジャーナルの臨時ニュースです。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204346104576638931114550132.html?mod=djemalertNEWS
資本主義陣営である米・欧・日などのなかでは、モラルハザード的な政策が最も受け入れづらい米国で、極めて異例な「自己責任・結果責任を問わない」手段が取られようとしています。

共和党側、とくにティー・パーティーの出方、反応にも注目ですが、オバマ政権の動きに、しのごの言ってられない、のっぴきらない状況を感じざるを得ません。

ギリシャという国が相手か、住宅ローンを借り過ぎた相手か、随分異なるように見えますが、稼ぐ力以上の生活に嵌ってしまった浪費家を助けざるを得ないという事情ではほぼ共通です。

米国財政の更なる不健全化という意味では明らかにドル安要因、ただし景気悪化に歯止めがかからない程度であればマネーサプライは上昇せず、ドル高要因と減殺されます。
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【追記】今朝10/25(火)朝のNHKニュースで、ウォールストリートジャーナルのスクープを追認する報道がありました。そのサイトを添付します。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111025/t10013482551000.html

「ことりFX」いよいよ始まる⇒始まりました【フェニックス証券】

七転び八起きブログの外枠で、密かに(?)お知らせしていたフェニックス証券の新サービス「ことりFX」、、、いよいよ本日10/24(月)サービス開始&新規口座申し込み受付開始となりました。

10月に入ってから、毎週末、役職員全員で土日出勤してテストを繰り返し、昨日一昨日でフェニックス証券の既往のお客さまの口座移管を無事完了。本日からログイン可能となり、また新規のお客さまの口座開設申し込みも予定通り開始することが出来ました。

デモ口座も従来通り機能しております。

利便性(パソコン~スマホ《iPhone/Android》・・・)でも取引条件でも、これまでより格段に改善し、業界トップクラスになっていると自負しています。どうぞお試しください。

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2011年10月21日金曜日

破綻したデクシア銀行の大胆過ぎる粉飾

今朝のフィナンシャルタイムズが臨時ニュースで、欧州危機による最初の破綻銀行、デクシア(仏蘭西・白耳義)が、取引先2社に対して巨額の融資を行ない、その資金がデクシア自体の株式の購入に使われたと報道しています。

http://www.ft.com/intl/cms/s/0/6c89260a-fb29-11e0-8756-00144feab49a.html#axzz1bHEleE7L

融資額は2社分合わせて2000億円程度。EUをはじめ多くの文明国では禁止されている行為だが、ベルギーではOKかNGか、記事によると微妙です。

禁止行為が行なわれたのは2008年以前の増資の時期だったということで、これはギリシャに端を発する欧州危機どころか、リーマンショック以前であったことにも驚きを隠せません。

しかし驚いてばかりいられません。この事案が、粉飾や架空増資という意図を以って行なわれたことかどうかもさることながら、間接金融の規模の割に直接金融の市場が小さく、金融機関が優越的地位の濫用を起こしやすい経済圏で起こりやすいわけでして、そういう意味では日本の金融制度も他人事ではないのです。

「預け合い」と並ぶ架空増資のやり口である「見せ金」も、もともと(「見せ玉」と同じく!?)、抜け道がいくつも存在していました。最低資本金制度などの改正や、自己株(≒金庫株)取得の解禁など規制緩和も拙速だったという商法学者(会社法学者)の見方もあります。一方で、銀行の優越的知の濫用については規制が強化されているとも見られますが、銀行の融資先への劣後債等の引き受け要請、自行株担保の融資、株式持合など、架空増資と紙一重の行為は、失われた20年でもまだ十分失われたとは言いづらいのが現状です。

リーマンショック直後に批判した銀行による政策保有株式の話、、、預け合いと株式持ち合いもこれまた紙一重です。
http://phxs.blogspot.com/2008/10/blog-post_21.htm

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