去る10月10日の「第五次中東戦争か?第三次世界大戦か?」は、いつも以上に多くの方々にお読みいただき、ありがとうございました。
この内容に基づいて、アヴァトレード・ジャパンが珍しくスポンサーをしているWiLL BizというYouTubeチャンネルで、同編集長の山根真さんの見事な司会にいざなわれるかたちで、この内容をお話してきました。
去る10月10日の「第五次中東戦争か?第三次世界大戦か?」は、いつも以上に多くの方々にお読みいただき、ありがとうございました。
この内容に基づいて、アヴァトレード・ジャパンが珍しくスポンサーをしているWiLL BizというYouTubeチャンネルで、同編集長の山根真さんの見事な司会にいざなわれるかたちで、この内容をお話してきました。
ちょうど50年前のほぼ同じ日に始まった第四次中東戦争は、イスラエル建国以来それまでの3度の戦争と比べ、エジプトやシリアなどによる奇襲が奏功したこともあり、最終的にはイスラエル側勝利とされているものの、イスラエルの被害は大きく、死者は2500人ないし2800人にのぼったと言われています。
対して、50年ぶりの奇襲攻撃で、はや900名以上の犠牲者が出ていて、ガザ側(≒ハマス側)よりもその数が多いと推測されている事態を、イスラエル版9.11と恰も晴天の霹靂だったと表現する人が多いのは頷けます(※)。
イスラエルは(四国と同じぐらいの国土・・・ただし地形は大いに異なる・・・に)約1000万人が暮らす国です。
日本との人口の比率を考えると、北朝鮮から飛翔するミサイルがせいぜい脅しでまさか東京に着弾することはないだろうと思っていたところ、そのまさかが現実のものとなって、いきなり9000人以上の一般市民が犠牲になり、またそれに加えて大勢の拉致被害者が出たくらいのインパクトがあります。
日本にも来てくれたことがあるグローバルCMO(グループ全体のマーケティング責任者)は、わたくしとほとんど年齢が変わらないオッサンですが、そんな年齢でも予備役にあるのです。まだ確認することが出来ていませんが、彼がすでに臨時招集されている可能性は大いにあります。
イスラエルを主人公または悪役あるいは狂言回しとした中東戦争は、第二次世界大戦終結後はおよそ10年おきに発生していました。この50年間は、平和と自由、ゆえに多様性や研究開発や経済活動に安心してのめり込めていた時期だったと考えられます。
いっぽうで、イスラエルの政体が何故そうなったのかはわからないのですが、日本とは大きくことなっています。どちらも歴史的経緯からして英国議会を範としていそうな気がするのですが。イスラエルの議会は一院制で比例代表の全国区しかないのです。にもかかわらず、奇跡的に、長い間、二大政党制による政権交代が実現していたところ、近年は少数政党乱立という欠点が現れ、連立協議がまとまらず政権が成立しないため国政選挙のやり直しという事態がなんども続き、気が付けば、汚職まみれのネタニエフ氏が復権したということがありました。
このような環境のなかで、世界最強との呼び名が高い諜報機関モサドが気が付けば弱体化していたのも、今回の原因なのではないかというのが、以下の動画で解説されています。 アヴァトレード・ジャパンは、いま、同チャンネルの弟分とも言えるWiLL Bizのスポンサーをやっていますが、ここのところ、岸田政権の経済政策の話や、不動産相場問題など、ぶっちゃけあまりパッとしない内容のものが多くて、スポンサーシップどうしようかなと悩んでいたところでした。しかし、1年半まえには、ウクライナ問題についてダボス会議でのヘンリー・キッシンジャー対ジョージ・ソロスの激論を見事にまとめてくれていた白川司さんが、ここで展開してくれている内容は見事です。国内の一般のメディアの扱いが過少だったり偏向があるのに対して、右は右でも、ディープステート批判なども扱う当該メディアとしては、わかる範囲で中立公平な分析を提供してくれていると思い、引用させてもらいました。
偏向と言えば偏向なのは、トランプ時代は中東政策はうまく行っていたが、バイデン政権になりぐちゃぐちゃになった。大きなポイントは、イラン(ゆえにハマス)に対しては強硬で良かったのが宥和となり、ロシアに対しては宥和で良かったのが強硬となったことが原因という切り口。ただし、イスラエルとサウジアラビアその他湾岸諸国の仲を取り持ったのはトランプ政権下の話なので、トランプが善玉で、バイデンが悪玉というほど事は単純ではなさそうです。
テルアビブに数回出張に行かされた身分としては、一番のショックは、ガザ地区からテルアビブ市までの距離はそこそこあり、これまでのハマスによるテロ活動はガザ地区にもっとずっと近い地域での小規模な被害に限定されていたのが、ずいぶんと飛行距離の長い優秀なミサイルを突如(しかし用意周到に)ハマスが手に入れていたことです。
この驚きは、多くのテルアビブ市民に共有されていると思われます。日本のいわゆる平和ボケと比べるのは相当ではないものの、第四次中東戦争(冒頭紹介した石油ショック~トイレットペーパー品切れをもたらしたあれです)を幼少時に体験した同僚も、あのときの緒戦よりも今回のほうが格段にショッキングで(倍返しは間違いなくするが現在のところ)いつにない劣勢を感じると述べていました。
このような状況でも、アヴァトレードのサーバやポートなど通信機器はすべてイスラエル外にあるため、日本では祝日の昨日も問題なくサービスは継続しています。
いま思うと、アヴァトレード本社のウエブサーバへのDDoS攻撃(対応済)が頻発していて、これもハマスやヒズボラのテロ資金稼ぎだったのかもと勘繰りたくもなりますが、MT4/5サーバには何の影響もなかったことは、すでにお知らせなどで公表していたとおりです。
話が飛びます。
私はすでにアヴァトレード・ジャパンの社長を10年以上務めて、なかなかビジネスの基盤づくりに苦労した時期が長かったですが、ようやく近年、パートナーの方々にも恵まれ、同僚の成長もあり、また金融当局による温かいお見守りもあり、独特の成長モデルを作る目途がたってきたように思っています。忘れてならないのは、アヴァトレードの経営哲学で、なかなか日本でも世界でも見られない方針でやっています。その方針の基礎になっているのが、二人のオーナー家の慧眼だと思っています。たまに話をするのですが、3月に出張に来た前CEOとは、前述の、イスラエルの選挙制度(議会制度)の問題について、日本料理に舌鼓を打ちながら話をしました。選挙制度(議会制度)の結果で、物事を決められない機能不全の国家像と今日発生してしまった悲劇と無関係とは言えないとは思うのです。
かと言って、どちらかと言えば、ナポレオン、ビスマルク、、、スターリン、毛沢東、ヒトラー、、、エルドアン、習近平のようなタイプのリーダーが常に望ましいかというとそうではないとも思います。
このあたりが難しいところで、強力なリーダーシップの一長一短については、ひとりでも多くの選挙権、被選挙権を持つ国民が、各地域の紛争の歴史から、先入観なしに学んでいくのが正しいアプローチなのではないかと。
あと二年そこらで還暦になるので、人生第三コーナーからはそちらの分野で何か役に立ちたいという話も、イスラエルから出張者が来るときにはしているのです。
物事の考え方が真逆(だが一方で日猶同祖論も人気の?)ユダヤ人とくんずほぐれつ10年間やってきた経験も生かせると考えています。
が、考え方が真逆と言っても、知り合いの命が奪われたり、自分の命も危ないという状況へと人生が暗転したときの不安心理は、人類共通です。
ユダヤ人らしからぬユダヤ人として、イエス・キリストと並ぶ(?)カール・マルクスは、「今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である」(共産党宣言)と嘯きましたが、それだけではなかったと思います。富を巡る戦いを階級闘争の延長として捉えることは可能かも知れませんが、宗教戦争のすべてを階級闘争で説明するのは無理があります(十字軍遠征のように説明できるものもある)。
人類の多くは最初は多神教を生み出したと考えられますが、それが今日まで大きな形を変えずに温存されているのは日本を含めあまり多くはなく、ご存じのように、旧約聖書を共通の経典とする3宗教(一神教)が人口では今日まで圧倒してきたわけです。多神教や仏教では戦争が起きないとは言えません。この話を突き詰めていくと、憤慨するユダヤ人もいますが、ユダヤ人の側から一神教がいけないんだよ(と言いながら無神論者になったわけでもない)有人も結構いまはいる点は是非申し添えたいと思います。
※この原稿を執筆中に、親会社の同僚と電話会議をしましたら、ニューヨークと行き来している人物によれば、同じ無差別テロとは言え、一点集中だった9.11よりも、広範囲かつ断続的にミサイルが飛んでいているいまのイスラエルの状況のほうが酷いという評価だそうです。また、ちょうど話していた相手の出身の集落の知り合いがすでに少なくとも10人は亡くなっている。さらに、私が一番親しくしている(が条件交渉の相手としては厳しい)同僚は、家族のうち彼の父親だけが防空壕に逃げ損ねて一昨日亡くなったという悲しい知らせもありました。
マルクスとエンゲルスの迷言集
「宗教はアヘンだ」
「ひとつのものにとっての善は、他のものにとって悪である。」
「愛情に基づくものが、道徳的な婚姻ならば、愛情が続くものだけが、道徳的な婚姻である」
②
いかにしてわれわれはわれわれ自身のうちにおけるワーグナーの残滓を捨て去ることができるか?
③
どのようにしたらわれわれは万人に先んじ続けることができ、また絶えずわれわれ自身の先を越すことさえできるか?
戊辰戦争とアヘン戦争
イギリス国立公文書館で発見された機密文書によると、前回触れた第二次長州征伐(四境戦争とも幕長戦争とも呼びます)での大村益次郎こと村田蔵六と高杉晋作の大活躍というのは過大評価されていたのではないかということになるのです。
上記NHKスペシャルの中で、ショックというか案の定と思ったのが「第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機」で、英国駐日公使のハリー・パークスが、幕府側で「四境」のうちの小倉口の総督を務めた老中小笠原壱岐守長行に対して、長州側を爆撃することを制止する場面です。外交官が他国の地方政府に対してそのような権限を執行できる道理はないと思うのですが、パークスは「もしもその砲弾が我が国(英国)の商船に被害を与えた場合にはお前ら賠償できるのか!?」と脅すのです。
司馬遼太郎先生は「花神」のなかで、第二次長州征伐で、幕府側がまさかの敗北を期した複数の理由のひとつとして、幕府側についた諸藩の士気の低さもあげています。そのなかで、この小笠原長行の戦闘意欲の高さは例外だったと司馬先生は書きます。
「小倉戦争」とも言われる、関門海峡を挟んだ幕長の戦いに関しては、ウィキペディアで「下関戦争」「長州征伐」「小笠原長行」「ハリー・パークス」と調べても、この外交官による事実上の介入は出てこない事実なのです。
これが、近頃、英国公文書館で初出の事実だというわけです。
大学受験日本史の参考書の代表格とされる山川出版社「詳説日本史研究」は、第9章 近代国家の成立>2 明治維新と富国強兵>戊辰戦争の項で、
なお、ほぼ同時代に世界でおこった出来事に比べると、アメリカの南北戦争(1861~65)では死者約62万人、フランスのパリ=コミューン事件(1871)では1週間から10日間の市街戦で約3万人の死者がでたという。それと比較すると、1年5カ月にわたる戊辰戦争の死者は8200人余りで、その後の変革の大きさに比べて流血は小規模であった。
という受験参考書としてはいささか印象的すぎる描き方をしています。この比較がフェアかどうかは措くとしましょう。さまざまな要因のおかげ(注)で、当時の日本がアヘン戦争の中国=清のようにはならなかったかも知れません。が、列強に巻き込まれた代理戦争にほぼなってはいたことは認めなければならないでしょう。
幕末の日本には、従来言われていた以上に、国家としても民間資本としても先進列強の介入があった。特にイギリスはそうである。この新事実は、確かに、ロスチャイルド=ジャーディン・マセソン=トマス・グラバー=よく言われている坂本龍馬・中岡慎太郎の流れの延長線上に浮かぶべきものです。
だとすると、長州ファイブを、イギリスに遊学させたいという(桂小五郎や高杉晋作の兄貴分である)周布正之助の発想も、まだ歴史資料としては発見されていないだけで、実は確たる人脈、政脈、金脈に沿った流れであったと考えるのが相当なのでしょう。
(注)一般に言われている理由を含めて、個人的には清=中国と日本には以下の違いがあったと思います。
①清は英国に紅茶を輸出しており、英国は対清で巨額の貿易赤字を抱えていた(銀が清に集中していた)。この貿易不均衡対策がアヘンの輸出だった。以下は説明を省略(林則徐の登場など)。日本とは貿易不均衡がなかった(というか貿易がなかった)から、暴力的に是正すべき問題がなかった。
②アヘン戦争の時期までは、列強のなかで、英国が軍事的に突出していた(ロシアはクリミア戦争で英国に敗北した。米国はまだ新興国であった。オランダは弱体化しつつも日本と友好的だった)。マシュー・ペリー来航以降の日本においては、列強の間で、抜け駆けを許さないある種の拮抗関係があった。特に、米国は、条約締結には漕ぎつけたがその後南北戦争が勃発。英仏に抜け駆けさせないように、むしろ、日本の利害を後方支援した。
③アヘン戦争と同様の惨事を起こさないようにという意識が、薩長側の有力者と、幕府側の有力者との間で共有されていた。その人材の代表格として、前者の西郷隆盛、後者の勝海舟が居て、江戸城の開城は無血となった。
④幕長戦争、鳥羽伏見の戦い、戊辰戦争を英仏の代理戦争だと看做すとき、その背景には、英仏両方のロスチャイルド系資本があると言われている。代理戦争で実際に命を落とすのは日本人であるとしても、市場開拓や、対ロシア、中国の軍事的防波堤として考えたときに、日本人の多くを無駄死にさせるのは得策ではないというベクトルが働いた。
結びにかえて
3回にわたる「幕末史ー納得と幻滅と」シリーズの結びにかえて、中編と後編の間に闖入させざるを得なかった、世界第二位の暗号資産取引所FTX破綻にまつわる後日談を少しだけ紹介します。
何故、幕末史とFTXがつながるのかは不思議なところです。
幕末史というか、我が国が第二次世界大戦で敗れてその後(しか知らない私のようなものが)受け入れがちな認識、つまり(欧米型の)民主主義が人類史のなかでもっとも進んでいて優れたものであるという価値観について疑いたいのです。
民主主義と言っても、ギリシャ・ローマの民主主義と、今日われわれが範としている(?)議会制民主主義は異なります。が、ポイントは、代議士を間接的に選ぶ場合でも、大統領や首長を直接的に選ぶ場合でも、「ひとり一票」というのが原則だというのが民主主義のエッセンスだと考えられていると考えられます。
払っている税金に参政権の度合いが比例して、「高額納税者は10票、少額納税者は1票、生活保護は0票」などという制度だとしたら、それは民主的ではないという呼ばわれかたをすることでしょう。
ここでFTXです。
破綻したFTXは、主としてその創業者社長であったSBF氏が、主として米民主党の議員に、総額40,000,000ドルもの寄付をしていたことが発覚したわけです(2022年だけで)。
これを素っ破抜いたWSJ紙はさすがです。
こいつはニューヨークタイムズでは、やはり、見つけることが出来ませんでした。見落としだったらごめんなさい。
ただし、調べようと思えば調べられる程度の透明性がある点では、米国版の政治資金規正法は機能しているということにはなりますが。
なお、FTXのSBF前社長以外の役員からの寄付を合わせると、72,000,000ドルにも達するそうです(この残差の部分には若干だが共和党議員への寄付も含まれている)。
この金額がどれだけ大きいか。前前年の2020年の同社関係寄付総額の6倍の規模であり、米国の国会議員が暗号資産業界から寄付されている総額のほぼ100%であること、そしてSBF個人としては、民主党への寄付金額は、会社を破綻させた今年、ジョージ・ソロス氏について2番目へと躍り出ているという具合です。
以上が、先々週末のWSJ紙の記事。そして、先週末、同紙は、SBF氏というかFTX社が目論んでいた見返りというのは、暗号資産業界の規制監督を、SEC(米国証券取引委員会、米国版の証券取引等監視委員会)よりも《手加減してもらえそうな》CFTC(米国商品先物取引委員会)の手に委ねられるよう《動いてもらう》ことだったとしています。
高校時代に「政治経済」の授業で「米国ではロビー活動というのが認められている」という話があって、釈然とせず、いまだに釈然としません。現時点では、政治家に対する「寄付」「献金」「賄賂」の違いについてちゃんと説明できない私がこんなことを書いております(受託収賄罪と単純な収賄罪の違いならわかります)。
しかし、FTXがらみのSBF氏たちの寄付の射程は、我が国で言えば、リクルート(コスモス)事件を彷彿とさせるものです。この事件にしても、収賄側の自民党議員(たち)の職務権限がはっきりしていなかったにもかかわらず、川崎駅西口開発にかかわる容積率緩和という具体的事案が含まれていたがゆえに、受託贈収賄で、立件されたわけです。
ところで、経団連が「政治寄付関連制度の国際比較」というのをまとめてくれています(出典:国立国会図書館資料等)