民主党寄り、労働者階級寄りとして知られるニューヨーク・タイムズ紙が意外な解説記事を載せました。
●窮地のGM,倒産か救済かの疑問を掻き立てる(11/13NYTimes)
ワシントンでは、GMの倒産を回避するために、救済パッケージを自動車産業にも広げようという動きが加速しているが、連邦破産法11条(いわゆるチャプター・イレブン)は皆が恐れるほどの悲劇を招くものではないという論調もある、と同紙が紹介。
オバマ新大統領、ペロシ下院議長等、民主党幹部をはじめ、当然のことながら、ワゴナーGM会長や自動車労連は破産回避の言い分として、自動車産業の裾野の広さを強調しています。が、「倒産で良いのだ」派の論陣は、航空業界や鉄鋼業界、小売業界の場合は、倒産こそ新たなスタートをより競争力のあるコスト構造とともに提供するものだと主張。また、倒産の壊滅的な影響を緩和する方法として「プレパッケージ」(保全状態での銀行借入枠や新しいスポンサーを予めこっそりと決めておいて倒産法の申し立てをすること)を提案するファンドマネージャーの意見も紹介されています。
もしかしたら、そのファンドはトヨタ株に投資していたのかも知れませんが(笑)。
米国から市場開放と自由主義経済を押し付けられてきた我が国で気を吐いてきたトヨタ自動車(の株主-と言っても米国籍の方々も大勢いらっしゃる筈ですが)の立場から、競争相手が自由主義のご本尊に救済されるかも知れないというのは納得がいかない話でしょう。
今では鳴りを潜めつつあるハゲタカが我が国に啓蒙してきたのも自己責任原則でした。つぎ込まれた公的資金が銀行を経由して次々と債務免除に流し込まれて、本来なら倒産を通じて新しいスタートか否かという選別過程に移るべき企業群を非効率のまま生き残らせてしまった我が国の90年代。前述のプレパッケージや保全状態での銀行借入(DIPファイナンス)など、自己責任原則と自由競争原理、すなわち真面目に健全経営してきた競争相手が馬鹿を見ない制度として会社更生法が改正されたのはその直後。これこそ、失われた10年の最大の副産物のひとつであり、今すぐGMに提要されるべき制度インフラなのではないでしょうか。
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