「日本株は駄目、投信は売れない、外国債券では客に損をさせた。。。」、というわけで証券会社が絶滅危機種であることは既に述べました。FX業界をも震撼させたのが、先週の日本経済新聞の1面記事「顧客資産の区分管理を《全額》信託保全に・・・」と週刊東洋経済の特集記事「FX130社に迫る大量淘汰の足音」です。
伝統的な金融ビジネスモデルが次々と頓挫する中、FX業者は独り勝ちだと周囲から思われ、安易な新規参入が近頃まで続いてきていました。しかし、リーマン前夜の時点で、FX後進国だった我が国のFX委託者の裾野は、FX先進国の欧州やアジアよりも広がっていたとも考えられます。先週から今週に掛けて、欧米アジアの名だたるプライム・ブローカー(以下、PB)の方々の訪問を受けましたが、皆さん異口同音におっしゃるのは
★欧米やアジアの主戦場でPBの主たる客層はヘッジファンドと富裕層個人。日本のようにリテール市場で何百倍ものレバレッジが提供されてきた市場は世界で類を見ない。
★解約と消滅に歯止めが掛からないヘッジファンド。彼等にレバレッジを提供してきたPB業界の上位2社だったゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーが銀行持株会社として生き残りレバレッジを落とさざるを得なくなった。ヘッジファンドに対するレバレッジ解消のあおりを喰う形で、これまで一生懸命我が国のFX大手にPBやらせてくれと営業に来ていた大手外銀の中には「いついつまでに他さんでPBをやってもらい、自分達はカバー取引をギヴアップする形にさせていただかないと流動性の供給を続けられない」と方針の大転換を迫られているところが出現。
クロス円ロングのお客さまの損失や解約よりも、FX業界にとって、リーマンの影響は上記の点において深刻なのです。
日経新聞の記事は現時点では観測記事に過ぎないかも知れません。しかし、顧客資産と最大同額の資金繰りをカバー先銀行に対して捻出しなければならない。信託銀行からのLG(保証)は認められない。PB契約もままならない。そして、多くのFX業者がこれまでは大儲けが出来た「お客さまのFX注文をカバーせずに向かい呑む」という(上場株式の信用取引では法律違反に該当する)利益相反行為に規制が掛かるとすれば、生き残れるFX業者は数えるほどしかないと考えられます。
勿論、金融庁もリーマン直後矢継ぎ早にアンケートをとられ、この点十分理解をされております。お客さまのFX注文に自己で向かわず銀行間市場で直ちにカバーを取る経営方針。LGに頼らずに《全額》信託保全が可能な財務体力。FX業者の正常化に必要な自己資本規制比率はざっくり800%以上必要と考えられることから、当局としても内閣府令の改正を急ぎすぎると大半のFX業者を廃業・倒産させてしまうことでかえって投資家保護に悖るということもあり悩ましいところなのだと思います。
はっきりしていることは、FX先進国を驚かせるような低スプレッドや高レバレッジを宣伝文句につかう業者は長続きしないということでしょう。
ちなみに、フェニックス証券は、来年1月を目処にPBをバークレイズ銀行、スポーク銀行(カバー注文をギヴアップして決済と証拠金のやりとりをPBに集約させる銀行)としてゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーという体制に練り直す予定です。
珍しくフェニックス証券の宣伝にしてしまった今日のブログ。でも、FX業者選びで一番大事だと思っていることは廃業する勇気のある社長の会社を選ぶことです。社長という職業はどんなに努力してもうまくいかないことがある。それを素直に認めて、悪あがきせずに堂々と撤退する。これがなかなか出来ないものなのでしょう。最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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