三連休、既に多くの内外メディアが扱っているシティグループ問題。当ブログならではの天邪鬼な切り口で今週も始めたいと思います。私が注目していることは、
①このブログで9月から主張している、《良い銀行と悪い銀行の分離》が採用されていること
②ポールソン財務長官主導の金融安定化法案7000億㌦の使われ方が二転三転した末の処理案であること
③シティグループは、GMに代表される米国自動車産業に対する最大かつダントツの債権者であること
更に、政治的な背景として垣間見られるのは、
①現財務長官のポールソン氏も、次期財務長官のガイトナー現ニューヨーク連銀総裁も、立場の違いこそあれ、モラルハザード(平たく言えば「やり逃げ」)は許さない主義主張が引き継がれていること
②オバマ次期大統領のGM等に対する言い方が「自動車産業は米国の魂だ」という労働者を意識した言い方から、暫くの沈黙を経て、「再建の見通しが無いのなら、政府は白地の小切手a blanc checkを切ることは出来ない」と豹変していること。
どう足掻いても火中の栗を拾わざるを得ないオバマ氏にとって、自動車産業に従事する労働者まで裾野が広がる金融問題は、ばら撒き政策というポピュリズムに走るか、モラルハザードを断固として許さないと言い切るか、どちらにしても叩かれることから、1月の就任までに現政権で片付けておいて欲しいというのが本音だと思われます。一方、良い銀行(good bank)を「摘出する」値打ちがもともとなかったかも知れないものの、リーマンを切り捨てたポールソン氏とガイトナー氏としては、80年代のコンチネンタル・イリノイの先例や自動車産業問題を参照しつつ、これ以上の最適解は無いという結論に至ったのだと推察します。
小口の預金者や真面目な借り手の保護は絶対に大切。結果として、大西洋の両側とも、商業銀行業務(バランスシートを経由して預金者から借り手に資金の融通が行なわれている金融業)が人質に取られている限り、政府から可能な限り身代金は奪えるという慣習が成立したと見られます。真面目に汗をかく投資銀行やブローカーに徹する独立系証券会社にとっては悔しい面もありますが、FXに関しては、銀行間市場の安定に大きな一歩を踏み出したとも言えます。
それにしても、先週末が山場だったシティグループが、FX業界で数少ないプライムブローカーを前向きに営業している業者であったのは不思議(今日からは堂々と営業してくださいませ)。それに、我が国において最初で恐らく当面最後の三角合併の例として、旧日興コーディアル証券株が東証とニューヨークと《ダブル上場》しており、去る金曜日の東証ではストップ安なのに買い注文しかないという目を疑うような板だったのは写真に収めておく価値があったかも知れません。
0 件のコメント:
コメントを投稿