2021年4月7日水曜日

「見ざる聞かざる言わざる」の米国株マーケット

 

クイズです。以下は何のチャートでしょうか?




ビットコインでも、米ドルでも、米国株ではありません。ちなみに、出典は、ウォール・ストリート・ジャーナルです。答え合わせは後ほど。

 

2021年の第一四半期、金融市場の話題をさらったのは、FXよりも、米国株だったのではなかったでしょうか?

 

キーワードは、ゲームストップ(Gamestop)、レディット(Reddit)、ロビンフッド(Robinhood)です。

 

ゲームストップ「事件」については、

 

令和3年2月4日万国の零細投資家、団結せよ_ゲームストップとキングオブEAでご説明しました。その事件現場だった「株式注文無料アプリ」運営会社ロビンフッドが上場してしまいました。

 

「万国の零細投資家」と、カール・マルクスを真似て呼びかけましたが、日本にお住まいの投資家は、「ロビンフッダー」にはなれません。ロビンフッドがやっているのは、アプリの運営どころか正真正銘、証券会社<第一種金融商品取引業、です。日本に上陸できないものでしょうか???上陸されたら困るという大手証券、オンライン証券も居そうです。

 

ゲームストップ「事件」のころ、わたくしは、エドワード・スノーデンの自伝を読んでいました。

 

スマホのアプリが、SNSだろうが、SMSだろうが、ゲームだろうが、無料があたりまえなのは(例外はあると信じたいですが)、広告収入やプレミアム会員からの料金徴収だけでなく、諜報機関へのデータ販売によるものだと言われています。まぁ、わたくしなんかは、CIANSAに目を付けられることはやっていないので(中国共産党は困るのでLINEをどうしようか迷います・・・)、ランニングアプリはいまでも平気で使っています。ジョギング中に、米国の衛星から爆弾を落とされるリスクは限りなくゼロだと思っているのです。

 

ロビンフッドは、無料アプリですが、証券会社にほかなりません。その収入源は、一部のプレミアム会員からの料金以外に、案の定、零細投資家たちの注文データ売却によるものらしいのですが、その売却先は、HFT(高頻度取引または超高速取引と和訳されている)のプロファンドだったらしく、従前それを零細投資家たちに開示していなかったとして、行政処分と罰金を科されています。

 

とにかく、タダより高いものはない、のが世の常。「無料」の種明かしはやっておくべきです。

 

多くのFX会社は、スプレッドを含めた手数料が不思議なほど安いですが、HFTかどうかは措くとして、注文データが「業者内プロファンド」においてマネタイズされるビジネスモデル、それこそが店頭デリバティブの本質だと見るべきです。

 

われらが金融庁により、平成 30 6 13 日にまとめられた「店頭 FX 業者の決済リスクへの対応に関する有識者検討会」報告書のなかに、

 

“店頭 FX 業者がカバー取引を行うことなく自己で抱える未カバーポジションについては、業者が自ら設定する未カバーポジションの上限額に大きな差がみられ、上限額が1,000億円を超える水準となっている業者もある。

 

未カバーポジションは、ヘッジされていないエクスポージャーであり、相場が急変動すれば保有する店頭 FX 業者は直接的にその影響を受け、多大な損失を被る可能性もある。店頭 FX 業者の決済リスクへの対応という観点からは、未カバーポジションを保有する業者に対し、情報開示や適切な リスク管理を求めることが適当と考えられる。“

 

というくだりがあります。「不勉強だったり下手だったりで、為替でやられる投資家がいて、その分業者がもうかるのは仕方がない。わたしはちゃんと勉強していて上手なので、勝てているのだからそれで良い」という考え方もあります。しかし、過半数のFX投資家が上手になることはないのでしょうか?

 

確かに、われらが金融先物取引業協会の資料によれば、日本の投資家は、ひたすらやられているので、



 

今後もそうだろうと考えるのは自然のように思えます。が、コレって、数学的ではない帰納法です。

 

ここで、冒頭のクイズの答え合わせです。

 



チャートの上と下に書かれている説明は、

 

WallStreetBets(コレです!https://www.reddit.com/r/wallstreetbets/)へ投資家から投稿されたコメントに占める「猿」「間抜け」「馬鹿」「読めない」「自分が何をやっているかわからない」などの自虐コメントの割合

 

ということです。人工知能の文脈に照らせば、このテキストマイニングで、米国株式のブル指数を予測してみたい、という発想になるところですが、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事は、今年の米国株式相場は、ブルでもベアでもなく、無知に支配されていると説きます。

 

しかし、結果がすべての世界。無知の知を投資用SNSで言いふらしつつ、株式投資の成功を自慢するというトレンドが出来ているのです。バイデン新政権によるコロナ対策・インフラ対策・温暖化対策(?)による米財政悪化が、米国債相場を押し下げ、ゆえにドル高という、わかったような(?)わからないような(?)後付けの説明も、このような新種の投資家には追い風です。

 



ウォール・ストリート・ジャーナルの記事には、見ざる聞かざる言わざるをもじってか、猿を牡牛(ブル)に置き換えたアニメーションが載っています。

 

この記事自体は、

 

「勉強していない弱小投資家が、勉強しているプロの投資家に勝ち続けることはありえない」という趣旨のものですが、それは措くとして、為替と株式では勉強することに相似点と相違点がありますし、受験勉強やパズルなどとはまったく異なり、何を勉強すれば良いとあらかじめ決まったことはありません。

 

「プロが結局は勝つ」と断言することは出来ないのです。

 

弱小な零細投資家は負け続けるまたはいつかは大負けするという前提に立ったFX会社の経営では、例えば目下のドル高が極まると、出金トラブルのリスクが増嵩するというわけです。

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